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ナースダイアリー・超忙しい看護師のひとりごと

アセトアルデヒドの分解能力を知って食道がんを予防する!

食道がんの原因については、かなり明らかになってきています。特に影響が大きいのが、アルコールの分解物であるアセトアルデヒド。今回は食道がんの予防に、アセトアルデヒドがどのように関係するのかお伝えします。

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食道がんの大きな原因アセトアルデヒド

多くのがんの原因は明確ではありませんが、食道がんは、飲酒、喫煙、野菜・果物をあまり食べない、熱い食べ物が好きと言ったことが原因となります。これらの習慣がある人は食道がんになりやすいことがわかっています。

熱い食べ物は食道のただれの原因、飲酒はアルコールの分解物であるアセトアルデヒドが発がん性を持つために、特に影響が大きいものとされています。飲酒量やアセトアルデヒドの分解能力によって、食道がんのリスクは異なってきます。

 

食道がんと飲酒の関係

ある調査研究*から飲酒と食道がんの関係が明らかになってきました。「お酒を飲むと顔が赤くなる人はお酒に弱い」と言われていますが、顔が赤くなるのはアセトアルデヒドの分解能力が低いためです。

分解能力が低い、飲酒量が多い、飲酒などにより食道のダメージが大きい、という人ほど食道がんになりやすいことがわかっています。条件が重なることで食道がんのリスクはドンドン高くなります。

飲酒なし、食道のダメージなし、アセトアルデヒドの分解能力が高い人の食道がんになるリスクを1とすると、毎日約4合(日本酒換算)、食道に大きなダメージあり、アセトアルデヒドの分解能力が低い人のリスクは、約1724倍にもなります!分解能力が高い人でも、約516倍です。

食道がんの予防に知っておくべき2つのこと

食道がんの予防には、自分のリスクの程度を知って、主な原因となる飲酒の習慣を見直すことが大事です。そのためには、

  • アセトアルデヒドの分解能力
  • 食道のダメージの程度

の2つのことを知ることが重要です。リスクが高い場合は、飲酒を控えることが大事。

アルコールと食道がんの関係、予防について、武藤教授の講演動画です。23分ほどの内容です、わかり易く説明されていると思いますので、興味がある方はぜひご覧になってください。

講演3「アルコールと食道癌 -予防・早期発見・根治治療-」 武藤学(京都大学大学院医学研究科腫瘍薬物治療学講座・教授)

*アルコール代謝酵素と食道多発がん・他臓器重複がんとの関連性および発症予防に関する研究 武藤学教授

 

アセトアルデヒドの分解能力と食道のダメージ

アセトアルデヒドは明らかな発がん性物質と言われており、アセトアルデヒドを分解する体内の酵素の能力が低い場合、アセトアルデヒドが長時間体内にとどまるので、がんが起きやすくなると考えられています。

飲酒時に顔が赤くなる人は、アセトアルデヒドを分解する能力が低いのですが、中には分解する能力が低くても、顔が赤くならない人もいます。昔は赤くなったけれどお酒が強くなって、今は赤くならないという人も分解能力は低いです。

アセトアルデヒドを分解する能力を確かめるためには、検査を受けることをおすすめします。

アセトアルデヒドの分解能力の検査方法

検査には以下のような3つの方法があります。

パッチテスト 
アルコールのついたパチを皮膚に貼り、皮膚の色の変化で判断します。簡単に行える検査ですが、その人の皮膚の色により結果が左右されることがあります。

遺伝子検査 
結果が出るまで時間がかかりますが、確実な方法です。血液などからアセトアルデヒドの分解酵素の遺伝子を調べます。

呼気スクリーニング検査 
今後の実用化が期待されている細菌開発された方法です。微量のアルコールを飲み1分後に呼気を専用のバッグに集めます。そこに含まれるアセトアルデヒドの量から分解能力を判定する方法です。簡単で素早く、かつ正確に判定することができます。

※以下では、食道内部の写真が掲載されています。不快に思われることもありますので、ご注意ください。

食道のダメージの程度を知る

飲酒や熱い食べ物などが原因で食道の粘膜が痛み、ダメージを受けていきます。ダメージが大きくなると(以下の画像C群)白い部分が多くなり、表面がザラザラしています。自分のリスクを知るためには、食道のダメージの程度を把握しなければいけません。内視鏡検査で食道の状態を確認しておきましょう。

リスクの高い人の注意点

アセトアルデヒドの分解能力が低い人、食道のダメージが大きい人は食道がんのリスクが高いので、飲酒は控えます。控えることで食道の状態が改善し、リスクも低下する可能性があります。

アルコールの濃度が低くても食道がんのリスクを高めますが、濃度が高く強いお酒は、さらにリスクになるので、可能な限り控えます。強いお酒はアセトアルデヒドの発生量を増やすので、食度にダメージを与えると考えられます。

早期発見には定期的な内視鏡検査

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出典:前述の武藤教授の研究論文より

早期に発見するためには、以下のような内視鏡検査で発見することができます。リスクが高い人は、特に定期的に検査を受けるようにしましょう。

ヨード染色内視鏡 
ヨード液で染色し、食道の表面を観察します。
正常な食道の粘膜は茶色になりますが、がんの部分は白く見えます。

狭帯域光内視鏡(きょうたいいきこうないしきょう) 
特殊な光を当てて食道の粘膜を観察します。がんの部位は正常な粘膜より色が濃く見えます。
通常の内視鏡ではわからない早期のがんでもよく見え、検査を受ける人の体への負担も少ないです。

どちらも早期の食道がんの発見に効果的ですが、ヨード染色内視鏡は胸焼け、アレルギー反応など患者さんへの負担が大きいので、狭帯域光内視鏡検査が多くなっています。

 

食道がんとは

食道がんは口と胃をつなぐ臓器の食道の内宮表面にできます。がん細胞には幾つかのタイプがあるのですが、日本人の場合約90%が扁平上皮がんと言うタイプです。早期には自覚症状が殆どないため、早期がんを発見することは難しいです。

進行すると胸焼け、食べ物を飲み込んだときにしみる、食べ物がつかえるなどの症状が現れることもあります。気管や大動脈に転移しやすく、経過も悪いです。食道の周りには様々な臓器があるので、手術は体に負担がかかります。

治療法

早期 
食道の表面にとどまるがんの場合は、内視鏡を使って食道の表面だけを切除する内視鏡治療を受けられます

進行した場合 
食道そのものを切除する外科手術や抗がん剤治療と放射線療法を組み合わせた化学放射線療法が行われます。

食道がんは転移しやすく、食道の近くにある、肺へつながる気管や全身に血液を送る大動脈に広がることがあります。進行した場合は経過が悪く、体に負担がかかる大きな手術も必要になります。

負担の少ない内視鏡治療で済ませるには、早期発見が必要ですが、早期では症状はほとんど現れないので、症状から早期がんを発見するのは困難です。

 

まとめ

食道がんのリスクに大きく関係するアセトアルデヒドの分解能力を調べ、食道がんになるリスクがどの程度なのかを調べることで、予防することが可能です。リスクが高ければお酒を控えることが重要となります。特にお酒を飲むと顔が赤くなる人は、検査をおすすめします。

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