ナースほど誇れる仕事はありません

健康を大切にしたい方へ贈るひとりごと

看護師が天使になる瞬間~エンゼルケアに思うことは妙に現実的だった

 

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「白衣の天使」はもはや死後に近いですが、看護師が本当に天使になる時があります。

 

看護師は一般の職業に比べ、人の死と向き合うことの多い仕事です。お世話していた患者さんが、亡くなられた時に施すのが、死後の処置、死亡時の看護。

 

これが「エンゼルケア」つまり「天使」のお世話。

 

 

エンゼルケアは患者さんとの関わりを思い返す時間

ご家族やお知り合いの方とのお別れに、穏やかな死に顔でいて欲しいと、生前の患者さんを偲びながら、心を込めてエンゼルケアを施しています。

 

エンゼルケアはご遺体を拭き清め、新しい着物などに着替えさせて頂く処置のことですが、実際の作業は、天使とは縁遠い、実務的なことが多い。

 

エンゼルケアの手順例

まず、病室内の治療に用いたものを片付け、ご遺体を整えてからご家族に、唇を水で湿らせていただきます。ご家族が一通りお水を上げ終わったところで、本格的なエンゼルケアとなります。

 

亡くなられた後は、筋肉が弛緩して体内の内容物が体外に出やすくなるため、それを防ぐ処置が必要となります。(胃の内容物、尿、便の排出)

 

亡くなられてから時間が経ち、遺体が見苦しくならないように綿を詰めたり、おむつをあてたりといった処置となります。

 

体内の分泌物が出ないように綿を詰めます。鼻、口、耳、膣、肛門の順に割り箸やピンセットを注意して使います。

 

カミソリや爪切り、メイクも行ないます。口が開いてしまう場合は布で縛ったりバンドを用いることもあります。

 

 

エンゼルケアって、名前からくる優しいイメージではなく、実際はかなり残酷な処置に見えることも行ないます。

 

ご希望が有れば、ご家族も一緒にエンゼルケアをしていただくこともありますが、こちらから声をかけるのはちょっと。

 

エンゼルケアセット

この時使用する物がセットになって用意されています。ネットで調べていただくと解りますが、「エンゼルセット」「エンゼルケアキット」などの名前で販売されているんですよ。

 

基本的にセットの中身は、晒、顔カバー、特大の綿棒、綿、カミソリ、T字帯(紙おむつ)、割り箸、竹串などです。

 

死後、時間が経つことで起こる外観の変化を目立ただないように処置し、その人らしい姿を整えて、旅立ちの準備をします。

 

 

予断になりますが、「エンゼルケアセット」と「お産セット」のダンボールが並んで保管されているのをみて、病院には「生」「死」どちらもあるのだ、と妙に納得したものです。

 

患者さんの死に向き合う辛さ

看護師を辞めたい、と思う理由の一つに患者さんの死があります。治療の甲斐なく亡くなられたかたを、お世話していた時の無力感。もっとできることはなかたのだろうかと。

 

緩和病棟*勤務の場合は、心の準備は出来ているとはいえ、患者さんの死と向き合うのは、やはり辛いものです。

 

無くなる直前の清拭

いよいよ、となった頃にいつも思うのは、もっとキレイにしてあげたいのだけれど。というジレンマ。

 

無くなる直前は面会の方も多いし、身体もなかなか動かすのが難しくなってくるので、清拭は最小限になってしまいがち。

 

それに、自分が患者さんの身体を動かしたせいで、息が止まってしまったらどうしよう。という気持ちもあって、恐る恐る清拭をしてしまうことも多いのです。

 

患者さんの残りの生命が消えてしまわないように、自分の行為がダメ押しにならないようにという気持ちが、拭えないのは事実。

 

エンゼルケアを心を込めてさせていただくことで、そのようなことも含めた、気持ちの整理をすることも少なくありません。

 

また、新人ナースは、患者さんの死の原因になってしまうミスをおかすのではないか、という恐怖におしつぶされて、看護師の仕事は無理、辞めたいと思うことも多いのですが、エンゼルケアを経験することで、患者さんの死と向き合う覚悟ができることもあります。

 

※緩和病棟

緩和ケアを行う病棟です。死への恐怖の緩和、がんによる心と身体の苦痛を和らげ、生活の質を向上、自分らしく行きられるように支えます。

 

 

生あるところには死もある

死は、誰にでも必ず訪れることです。看護師の仕事は、普通の人よりも死と向き合う確率が高いというだけのこと。

 

患者さんの死と向き合うことも、成長の過程に必要なことです。いろいろな気づきや学びがあり、看護師の仕事の難しさとともに、やりがいを深く感じ取れる、患者さんからの贈り物。

 

まとめ

患者さんであれ、身内であれ、人の死は様々なことに思いをはせる時です。看護師はエンゼルケアをすることで、患者さんとの看護の日々を思い起こす。

 

生あるところには必ず死があります。エンゼルケアは、人の生命に直接関わる看護師の仕事を、改めて考える時間でもあります。

 

 

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