健康と日々の徒然~Anのひとりごと

心と体の健康を大切にしたい方へ贈るひとりごと

ドクターヘリ看護師搭乗裏話~空飛ぶ救急外来のすべて

ドクターヘリには看護師と医師が搭乗し、現場にいち早く到着、初期治療を開始できることから空飛ぶ救急外来とも呼ばれています。誰でも呼べるのか、費用は、などの疑問や、ドクターヘリ事業についてお伝えします。

f:id:lady-jhones:20160930233557j:plain

ドクターヘリと救急車

追記:劇場版ドクターヘリが人気上映中です。(2018年夏)ドラマではドクターヘリに関わる様々なエピソードが公開され、ドクターヘリの活躍を身近に感じた方もいらっしゃるのでは無いでしょうか。

ドクターヘリの特徴や救急車との相違点、社会的効果など、なかなか知る機会はありませんが、なんとなくでも事業についての理解をしていただきたいと思います。おまけです。ドクターヘリに3度搭乗した看護師の、笑ってはいけない裏話をこっそり暴露。

 

ドクターヘリの特徴

通常ドクターヘリに搭乗しているのは、パイロット、整備士、フライトドクター、フライトナースの4人が基本です。場合により複数名です。時に、産婦人科の医師、訓練中の医師及び看護師が搭乗する場合もあります。

原則として、家族及び付添者の同乗は認めませんが、フライトドクターが傷病者の状態を考慮して同乗を必要と判断し、機長がこれを認めた場合は、この限りではありません。

ドクターヘリの最大の特徴は、「現場および飛行中に初期治療を受けられる」ということです。

「空飛ぶ救急外来」とも呼ばれています。単に迅速であるということだけではなく、機動性と迅速性が目的とされています。

救急車は、迅速に医療機関に搬送することが主な目的で、救急救命士が処置し、医療機関に到着後医師による治療が開始されます。

 

 

治療開始と医療機関への搬送時間が短縮される

飛行スピードは時速約200km、基地病院から50km圏内であれば離陸から約15分で救急現場に到着し、救命治療を開始することが可能です。

一刻も早く治療を開始しなければならない場合や、短時間で遠くの病院に搬送する必要がある場合に病院に搬送、または救急車や救急隊員が地上からは近づくのが困難な場合に、傷病者を待機している救急車や病院まで搬送することを主な目的としています。

 

ドクターヘリとは

日本の場合、厚生労働省と該当する県からの補助を得て、医療機関が事業主体となり救命救急センターを拠点病院として運営される事業である。一般市民の方から出動を要請することはできず、要請できるのは消防機関、警察、役場等の公的機関、および医療機関などである。

出典:Wikipedia ドクターヘリ

 

患者にとってのドクターヘリの最大の効果は、救命率の向上と予後の改善である。

救急医療は時間との勝負である。

救急医療において何よりも肝心なことは一刻も早く患者に対して治療を開始することであり、迅速な治療を開始してこそ、救命率の向上と予後の改善という、患者にとってかけがえのない価値をもたらす質の高い救急医療が確保できる。

 さらに、ドクターヘリを活用すれば、現場に急派された医師・看護師は、現場での初期治療を行った後、搬送先となる病院に帰投する機内で、必要な治療処置を行いつつ、搬送先となる病院で待機する医師陣に対し、無線等を用いて患者の情報を伝えることが可能で、受け入れる側も万全の態勢を準備しておくことができ、その結果、根本治療までの時間の大幅な短縮化が図られる 

参考資料pdf p1

 ドクターヘリの配備状況(2015年10月22日現在)

f:id:lady-jhones:20160930231655p:plain

参考資料 pdf p5

*東京都は独自の東京型ドクターヘリを導入

2015年8月時点で、全国38都道府県に46機のドクターヘリ(北海道は4機、青森県、千葉県、静岡県、長野県、兵庫県は2機)が運行中です。今後必要とされるドクターヘリは、日本航空医療学会の最近の調査・研究によると、72機と推定されています。

救急車と同様にドクターヘリによる搬送には費用はかかりません。但し、医師が搭乗して診察しながら搬送するため、病院を受診したのと同じく初診料がかかり、投薬、輸液等の処置が行われた場合は、その分が加算されます。

フライトドクター及び基地病院の医師が、緊急度や重症度、搬送時間、家族の希望等を考慮して、受入病院を選定します。救命救急センター、災害拠点病院、地域で救急車の受入が多い病院等に搬送されます。

 

ドクターヘリの歴史と普及

ドクターヘリの事業は、2001年から始まりました。厚生労働省の所管ですが、実際に導入するのは都道府県で、1機の年間運航費用約2億1千万円程度を負担していました。(国と都道府県で折半)

当初なかなか進まなかったドクターヘリ事業は、財政負担の大きさも背景にありました。現在は国が最大9割、残りを都道府県が負担しています。

2009年3月の交付分から都道府県負担分の2分の1相当(運航費全体の4分の1に相当する額)が特別交付税交付金として支出されることになり、更に、2009年度の交付分からは都道府県の財政状況に応じて都道府県負担分の50%乃至80%が特別交付税交付金として補填されるようになっている。参考資料 pdf p18

 

財政負担軽減で進み始めたドクターヘリの導入

全国で18番目にドクターヘリが導入された青森県は、2004年にも病院から導入の打診を受けていますが、財政面で実施不可能と見送られていました。それが2009年に、約半分の4250万円の負担でドクターヘリを飛ばせるようになったのです。

救急車による搬送と費用の面で比較しても、運営費や出動費等のコスト、医療費や社会的経費は優れています。

ドクターヘリの有効性、経済性は優れているという認識が広まり全国に広がって行きました。テレビドラマ「コード・ブルー」が話題になっていたのは、この頃です。

 

防ぎ得た死亡(プリベンタブルデス)

日本の外傷死亡には、約40%もの事例が、適切な病院へ迅速に運び、適切な治療を受ければ助かったに違いないといわれます。

救急車では病院の医師のもとに到着して、初めて治療が開始されますが、ドクターヘリは医師による治療が遥かに早く開始されます。

更に搬送時間の短縮で救命率の向上、後遺症の経験が期待できます。

ドクターヘリの導入によって死亡率を大幅に減少させ、社会復帰の可能性を広げたことが明らかになったのです。

 

ドクターヘリの2004年度治療効果 

  実績 推定 増減 成果
死亡 363 496 -133 ー26.8%
植物状態 22 35 -13 ー37.1%
重症後遺症 89 168 -79 ー47.0%
中東後遺症 246 290 -44 ー15.2%
社会復帰 872 603 269 44.6%
合計 1592

出典: 益子邦洋ほか「平成16年度厚生労働科学研究」、平成17年3月

 

ドクターヘリの出動要請

  • 出動要請は消防が判断します。一般の人がすることはできません。
  • 119番通報時に明らかにドクターヘリが必要な場合は司令室から要請。
  • 現場に到着した救急隊により必要と判断された場合はその時点で要請
  • 救急搬送した病院で治療をした結果、早急に存問的治療が必要と判断されて転送

 

参考: 新潟県のドクターヘリ現場出動基準

消防本部は、119番通報の受診時に、後述する内容(キーワード)が含まれていた場合、ドクターヘリの出動を要請することができます。

現場に到着した救急隊が以下の1~5の項目に該当すると判断した場合は、ドクターヘリの出動を要請することができます。

 1.緊急性があること

 2.医師による早期の診断と治療が必要であること

 3.搬送時間の短縮が期待されること

 4.傷病者の救命または後遺症の軽減が期待されること

 5.その他

  (1)多数の傷病者が発生した場合(概ね5人以上)

  (2)オンラインMCで担当医師がドクターヘリの要請を指示した場合

参考:新潟県のドクターヘリ現場出動基準 新潟大学医歯学総合病院

 

ドクターヘリが出動する流れ

  • 現場周辺のヘリ発着可能なスペースに着陸
  • 発着場所が現場から遠い場合、救急車がヘリの場所まで患者さんを搬送して乗せ換える
  • ヘリ発着場所には、警察、消防が先行し、安全な着陸が行えるようにサポート
  • 行程のような場所で砂塵が立つ場合は、消防が散水

ドクターヘリの中では

  • フライトドクター、フライトナースが治療。
  • 搬送先の病院の救急と連絡を取る、病院側は受け入れ体制を整える
  • バイタルなどの報告、基礎疾患があるか、現状の様態を連携しながら搬送

社会的逸失所得の回避に関する研究

2004年度消防防災科学技術研究「ドクターヘリ運用病院におけるヘリ搬送患者に関する費用対効果の研究報告書」によれば、ドクターヘリを運用している7つの基地病院で診療したドクターヘリ搬送患者について、その治療に要した医療費額を算出するとともに、ドクターヘリによる搬送を行わなかった場合に支払うことになったであろう医療費額と比較して、医療費の削減効果の計測を行った。また、ドクターヘリ搬送による死亡率の減少・症状の改善等により損失を免れることができた社会的経費の算出を行った。その結果、ドクターヘリ運用による社会的効果が顕著であり、ドクターヘリ事業費用に比べれば遥かに大きな効果が期待できることを示している。  

参考資料 pdf p11

参考:ドクターヘリ運行費用の負担の多様化に関する有識者懇談会報告書 2015年12月  //www.hemnet.jp/databank/file/160324.pdf

救 急ヘリ病 院 ネットワーク(HEM-Net)

 

新潟大学医歯学総合病院 現場出動基準 

想定事例 関連キーワード
病院外
心停止
① 目前で突然に倒れ、蘇生処置中
② 蘇生処置やAEDにより脈が戻ったが、意識や呼吸がない
大動脈・虚血性
心疾患
① 突然、ひどく、胸が締められる、押さえられる、苦しい
② 亜硝酸薬を舌下や貼付しても苦しい、冷汗が続く
③ 突然の激烈な背部痛
脳卒中 ① 突然、鼾をかいて、意識がはっきりしない
② 突然、言葉が出なくなった、麻痺が出た、呂律が回らなくなった、顔のしわ寄せが出来なくなった
③ 突然、激しい頭痛が起こった
④ 突然、全身の痙攣が起こり、止まらない
窒息
溺水
アナフィラキシー
① 突然、詰まらせた、息が出来ない、声が出ない
② 生き埋めとなっている
③ 溺れ、チアノーゼが出現、意識がはっきりしない
④ 突然、息が苦しい、息がゼイゼイ、チアノーゼが出現した
傷害事件 ① 頭、首、胸、腹を撃たれた、刺された
② 殴られて、意識がはっきりしない
急性中毒
環境障害
① 何かを飲んで、吸って、触れて、具合が悪い、意識がはっきりしない
② 意識がなく、体がひどく冷たい(低体温)、熱い(熱中症)
外傷
熱傷
電撃傷
① 頭に傷があり、意識がはっきりしない
② 四肢(指趾を含む)を切断した
③ 大きく四肢が変形している
④ 大きなやけど、顔のやけど、煙を吸って息が苦しい
⑤ 雷や電線ふれ意識がない
高エネルギー
事故等
1.自動車事故
  ① 車や重機に閉じ込められている、挟まれている、轢かれた、車外に放り出された
  ② 車が大破、横転している
  ③ 歩行者、自転車がはね飛ばされた
2.オートバイ事故
  ① かなりのスピードで衝突した
  ② オートバイから放り出された
3.転落・墜落事故
  ① 高所から転落した
  ② 山間部で滑落した
4.その他の事故
列車、航空機、船舶、爆発事故
その他 救急(消防)司令担当者がドクターヘリを必要と判断したとき

119番通報受信時のドクターヘリ出動要請基準(キーワード方式)

 

アイキャッチ: ヘリコプター撮影日記 2014年3月23日 群馬ドクターヘリ
”スノーボード中の事故で大怪我を折った患者さんの搬送で群馬ドクターヘリが出動しました。”

 

高所恐怖症の看護師がドクターヘリに乗ったら

オペ室勤務だったEさんは、障害者施設に転職して3年たちました。先日、重度障害児が痰をのどに詰まらせてしまいました。

自分では動けない患者さん、Eさんも付き添い救急車で救急搬送されましたが、その病院では、治療ができず、ドクターヘリを要請。その際Eさんもドクターヘリに搭乗したのですが…

Eさんは高所恐怖症。ましてヘリコプターなんて、通常であれば絶対にに乗りません。しかし、担当患者の搬送です、恐怖を抑え乗り込みました。怖くて歯を食いしばっていたら、歯がポロリ。差し歯が取れてしまったそうです。

実はEさん、ドクターヘリに乗ったのは3回目。初めて乗ったときは恐怖と緊張で、全身に力を入れて恐怖をこらえていたのですが…思わず「プッ」とおならがでてしまったそうです。

笑うに笑えない状況ですが、なんだか分かるような気がしないでもないです。

 

ドラマで知るドクターヘリの活躍

ドクターヘリというと『コードブルー ドクターヘリ緊急救命-2nd』(フジテレビ2010年1月11日~3月22日)を思い浮かべた方も少なくないのでは。

救急救命センターのドクターヘリにスポットを当て、フライトドクター候補生の4人が医師として成長していく物語です。ちなみに「コード・ブルー」の意味は前回のエントリー、「看護師が使う仰天の医療用語」で。

追記:劇場版コード・ブルー、大人気ですね。(2018年夏)

 

まとめ~ドクターヘリのさらなる普及を

医療ドラマも数多くあり、誇張はされていますが、医療現場に対する漠然としたイメージがある昨今です。

「コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命-2nd」がお茶の間を賑わしていた頃は、丁度自治体の負担が軽減された時期に重なり、ドクターヘリの普及が進み始めた頃でしょうか。

救急車の運用と比較して費用が高い、というイメージがありがちですが、治療効果や社会的効果が顕著であることも知られてきています。

「Anのひとりごと」~今日も1ページ