ナースほど誇れる仕事はありません

健康を大切にしたい方へ贈るひとりごと

ナースコール・エピソード1~モンモンとした日々

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病気になれば、皆患者。地位や職業などは関係ありません。が、私はなぜか、その世界の方とご縁があるようで、妙に可愛がられてしまうのです。

 

その世界の方は礼儀正しく、受けた恩義(看護師ですからお世話するのは当たり前なんですが)にはきちんとお礼をされ、爽やかに去って(退院されて)いきます。

以前モンモンの方への注射で起きた、針にまつわる怖いはなし~冷や汗無しでは語れないナースの仕事、でも触れています。

 

そんな彼らとの、妙な関係を一つご披露しますね。最近増えてきた、モンスターペイシェントやモンスターファミリーに、爪のアカを煎じて飲ませたい!

 

 

黒塗りベンツがやってきた

日勤で病棟に行くと、個室の前に大柄な男性が2人立っています。「要人が入院して、SPか何かかしら」などドラマの見過ぎのような連想をしたのですが…

 

夜勤からの申し送りは、「●●組の組長さんが食あたりで昨夜緊急入院した」。あの門番のような男性は組員さんなのだと知りました。

 

夜間救急に黒塗りのベンツが3台横着けになり、あたりに物々しい空気を撒き散らしながら、組長さんがやってきたのだとか。

 

腹痛を訴える組長さんの体いっぱいには、モンモンが…夜勤ナースの話では、当直の若いアルバイト医師の顔が引きつっていたそうな。龍の目に針をドンピシャで刺してしまった時の、生きた心地がしなかった一件を思い出してしまいました。

 

 

誰もが嫌がる担当

門番さんは24時間、交代で病院の廊下に立っています。他の患者さんへの影響も少なからずあるし、本来ならお引き取り願うところなのですが、誰も何も言えないようで、まるで組長宅の玄関にいるように立っていました。

 

当然その部屋の担当には、皆なりたがりません。勿論私も担当が回ってくる前に、退院されることを願っていましたが、残念ながら、その日がやってきてしまいました。

 

偶然の一致は必然?

組長でも、患者は患者。朝の処置の準備を入念にし、「●さん、検温と点滴です」と声をかけ平静を装って部屋にはいり、「おはようございます。今日の担当のIです」というと、組長さんが以外なことを言うのです。

 

「Iさんって、ちょっと前に龍の目に針刺した看護師さん?」

 

え、え、なんで知っているの!と内心驚きながらも「あら、なんでご存知なんですか」と声が震えないように答えると、なんとあの龍のモンモンさんとは親しい中で、例の一件は今でも酒のツマミにしているそうな。

 

ドキドキしながらも点滴の針はうまく1回で入り、「うまくなったみたいだな」と言われると、赤い涙を流した龍の目が、思わず浮かんでしまいました。

 

指名つきのナースコール

ナースステーションに帰って間もなく、●さんからナースコール。点滴はそろそろ終わるころではあるけれど、ちょっと早いなあ、と思いながら病室に行くと…

 

目をみはる美人が病室にいて、「これ、ウチの嫁。よろしくな」美人の嫁様にも丁寧にご挨拶をされました。用事はそれだけ。忙しい所悪いな、と言ってくれましたが、わかっているなら呼ばないで欲しい。でも、そんなこと言えるわけがありません。

 

その日から●さんのナースコールは指名付きとなりました。当然、他のナースは●さんからのナースコールをとらなくなり、私は頻繁に呼び出される。

 

 

毎日が神頼み

それも、「見舞いに珍しい物をもらったから」「これ、一緒に食べよ」更には奥様では無い美女を紹介されたり、ナースの仕事には全く関係ないことがほとんど。いただきものはNGですが断れず、仕方なく一旦預かって師長から返してもらおうと思いお願いすると、「もらっておけば」と言うのでビックリ。そんなに怖いんですか!

 

退院されるまでの10日ほど、●さんの専属のような日々で、怒らせませんように、組の抗争が起きませんように、早く良くなりますようにと、毎日祈っていました。

 

スタッフもきっと、私が「ヘマをしませんように」と、毎日祈っていてくれたのだと思います。

 

やっと自由に~退院の日

退院の日、お見送りをして、本当に心から(やっと開放される!)お祝いを言うと、「Iさん、いろいろありがとう。世話になったね。アイツにもみやげ話ができたよ」とウィンクまでされちゃいました。

 

ボディガードの面々も一斉に「お世話になりましたっ!」と深々とお礼をしてくれたのです。入院中も皆礼儀正しく、他の患者さんたちへの配慮もキチンとしてくれていた。その世界の方たちは、仁義に厚い。

 

正妻と屈強な男たちに付き添われ、組長さんは、やってきた時と同じように、3台のベンツで退院されていきました。

 

次もお願いね

その世界のかたは、礼儀正しく、律儀でした。用事もないのにナースコールをしたり、廊下の門番さん、贈り物攻勢は迷惑ではありましたが、それ以外では模範患者さんといってもいいくらい(笑)

 

師長やナース仲間には、「次もお願いね」と今から頼まれています。患者さんとの相性もナースの仕事には必要か、と割りきって(諦めて)その日がきたとしたら、とびっきりの笑顔でお世話をしましょう。

 

 

まとめ

「患者様」という言葉が聞かれるようになってからでしょうか、権利意識ばかり高い患者さんがトラブルを起こすことも少なくありません。

 

職業や社会的地位などで、待遇が変わることはありえませんが、「お金を払っているのだから当たり前」と無理難題を言ったり、こちらの支持に従ってくれない患者さんは本当に困ります。

 

病気になったら、みんな同じ、ただの患者さんです。

 

 

「ナースのひとりごと」~今日も1ページ