健康と日々の徒然~Anのひとりごと

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トイレが近い!対策は?尿が我慢できない過活動膀胱の治し方

トイレが近い、頻尿、尿もれがあるなど尿のトラブルを抱えている人は少なくありません。最大の原因は加齢ですが、今回は頻尿の原因でポピュラーな、過活動膀胱の原因、症状、治し方などをお伝えします。

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トイレが近い対策

尿のトラブルはちょっと人には相談できない、恥ずかしい、病院にも行きにくいと言った事情から、一人で悩んだり我慢したりする人も少なくありません。

年を取ればトイレが近いのは自然です。病気という認識も低いのではないでしょうか。しかし、何度もトイレに行くのは不便ですし、トイレに行きにくいケースもあります。

トイレが近い頻尿の原因がどこにあるのかをみきわめ、トイレが近い悩みを改善する対策について見ていきましょう。

 

頻尿の原因でポピュラーな過活動膀胱

加齢によるもの意外にも、頻尿の症状が出る病気はたくさんあります。例えば

  • 過活動膀胱
  • 前立腺肥大症
  • 骨盤底のゆるみ

などの膀胱周辺のトラブル

  • 脳卒中
  • パーキンソン病
  • 脊髄損傷

など脳や脊髄のトラブルなどです。

トイレが近い主な原因
泌尿器の病気 感染症(女性に多い膀胱炎、男性の前立腺炎など)、前立腺肥大症、腹圧性尿失禁、膀胱結石、膀胱や前立腺のがん、間質性膀胱炎
泌尿器以外の病気 糖尿病、脳卒中の後遺症、脊髄の病気、睡眠障害(夜間頻尿と勘違いされやすい)
薬の副作用 降圧利尿薬、 遮断薬
その他 過剰な水分摂取、精神的な緊張や不案、加齢

検査で病気が見つかったらその治療が第一ですが、病気が見つからなかったり、治療をしても症状があまり改善されないことも少なくありません。

そのような症状には、過活動膀胱と呼ばれる状態が関係していることが多くあります。

トイレが近いのが過活動膀胱によるものかどうかは、後述の「過活動膀胱症状質問表(OABSS)」で可能性が判断できます。

過活動膀胱とは

過活動膀胱とは尿を貯める働きをする膀胱の「蓄尿力」が低下し、ためられる量が少なくなる症状です。

  • 一日8回以上トイレに行く
  • 強い尿意の切迫感(おしっこをしたくて我慢できない状態)を週に1回以上感じる)

という2つの症状があると過活動膀胱と定義されます。

過活動膀胱の有病率

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出典: わかりやすい病気の話シリーズ39

過活動膀胱の最大の原因は加齢です。高齢者の3人に1人は頻尿といえます。

血流と神経線維

最近過活動膀胱の原因として注目されている神経線維があります。C繊維と言って皮膚などにあり、暖かさや冷たさ、痛みなどを感じる神経です。

普段は殆ど活動していないのですが、血流が低下すると活性化し、温度や痛みに対して敏感になる性質があります。膀胱にもこのC繊維はありますが、やはり普段はほとんど活動していません。

しかし、血流が悪くなると活発に動き始め、少しでも膀胱に尿がたまるとそれを脳に伝達してしまい、頻繁に尿意を感じるようになってしまいます。

血流が悪くなる要因は

  • 加齢に伴う肥満、高血圧、アルコール、運動不足など
  • つまり生活習慣病が根底にある
  • メタボ⇒頻尿をもたらす

過活動膀胱、頻尿の改善

C繊維は血流が悪くなると活性化しますので、膀胱周辺の血流を良くすればそれを抑えることができます。C繊維を活性化させないためには下半身の血流を良くすることが大切です。膀胱の周りにある

  • 骨盤底筋
  • お尻の筋肉
  • 内ももの筋肉

の3つの筋肉をきたえることが頻尿の改善に効果的です。

ウオーキングやジョギングなどの有酸素運動を始め、ヨガ、太極拳、フラダンスなどを始めてみましょう。

トイレが近い悩みの改善は

トイレに行きたくなった時、少し我慢すると膀胱訓練になり効果があります。おしっこを我慢すると膀胱炎になる、などと言われます。

尿意の我慢は、過活動膀胱を改善させる膀胱訓練のメニューの1つにも含まれているくらいですので、我慢できる時間を少しずつ長くしていけるように訓練しましょう。

最近は効果的な薬も開発されています。女性では、恥ずかしさから病院に行くのを敬遠し、歳のためと諦めたり、ナプキンで対策をしているという人も少なくありません。

トイレがあまりにも近いなど、日常生活に支障をきたすようなら、早めに泌尿器科を受診することをお勧めします。

頻尿対策7つのポイント

  • 早めにトイレに行く
  • 外出時にトイレの位置を確認しておく
  • 必要以上に水分を取らない
  • 利尿作用のあるカフェインを控える
  • 行きたくないのにトイレに行かない
  • 一日の排尿計画をたてる
  • 短時間から始め、徐々に排尿間隔を延長する

過活動膀胱の改善は、生活習慣の見直しや膀胱訓練など、幾つかの行動療法があります。家庭でも簡単に取り入れることができ、効果が期待できそうな事をピックアップしました。

トイレ習慣を変更することや、膀胱の蓄尿力を少しずつ向上させる訓練で、頻尿の症状を少しずつ改善していきましょう。

※トイレが近くなるのを恐れて、水分を制限しすぎないように注意してください。特に高齢者は周りの人が水分補給の状態を見守ることが大切です。

男性の頻尿

男性の方が女性より少しですが多いのは、男性特有の病気、前立腺肥大症の影響があると考えられます。前立腺が大きくなると尿道を圧迫するので、尿が出にくくなり、膀胱はなんとかしておしっこを押し出そうとして過活動になると言われています。

50歳を過ぎた頃から急増する前立腺肥大症の影響で、頻尿になる人も多くなります。しかし日本以外では男性より女性の方が多いという国もあるので、過活動膀胱にはあまり性差はないようで、やはり加齢が一番の原因です。

過活動膀胱症状質問表(OABSS)

質問 症状 頻度 点数
朝起きたときから寝るときまでに何回くらい尿をしましたか 7回以下 0
8~14回 1
15回以上 2
夜寝てから朝起きるまでに何回くらい尿をするために起きましたか 0 0
1回 1
2回 2
3回以上 3
急に尿がしたくなり、我慢が難しいことがありましたか なし 0
週に1回より少ない 1
週に1回以上 2
1日1回くらい 3
1日2~4回 4
1日5回以上 5
急に尿がしたくなり、我慢できずに尿を漏らすことがありましたか なし 0
週に1回より少ない 1
週に1回以上 2
1日1回くらい 3
1日2~4回 4
1日5回以上 5
  合計点数

①昼間頻尿
②夜間頻尿
③尿意切迫感
④切迫性尿失禁

質問③(尿意切迫感スコア)が2点以上で全体の合計点数が3点以上の場合、過活動膀胱の可能性があります。

合計点数が5点以下は軽症、6~11点は中等症、12点以上は重症と考えられます。

出典:過活動膀胱診療ガイドライン[第2版]日本排尿機能学会
参考:Mindsガイドラインセンター 下部尿路症状 4診断 2症状QOL質問表 5)過活動膀胱症スコア(OABSS)

ちなみに健康な人のトイレの回数は、一日5~6回です。

まとめ

TVで尿もれパットのCMがごく普通に流れるようになってきました。女性用だけでなく男性用の商品も宣伝されています。「レジで買うのは恥ずかしい人に」とネット対応も増えています。

頻尿、尿もれが誰にでも起こる症状と捉えられる時代となりました。しかし、やはり恥ずかしいと一人で悩んだり我慢したりしている人も少なくありません。

一人で悩まず、早めの受診で治療を受けることと、生活習慣病の改善で血流を良くすること、骨盤底筋やお尻、内ももの筋肉をきたえることで、トイレが近い頻尿対策に効果を期待できます。

参考:わかりやすい病気の話シリーズ39 過活動膀胱 日本臨床内科医会 /www.japha.jp/doc/byoki/039.pdf

「Anのひとりごと」~今日も1ページ

追記
過活動膀胱以外にも、骨盤底が弱くなって起こる腹圧性尿失禁や、腎機能の低下による頻尿もあります。詳しくはそちらのエントリーをごらんください。