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健康を大切にしたい方へ贈るひとりごと

鼠径部の黒ずみ、色素沈着した皮膚の秘められた使い方

脇やデリケートゾーンの、色素沈着による皮膚の黒ずみに悩む女性は多いのですが、鼠径部(足の付け根)の黒ずみ、色素沈着した皮膚が、意外な使い方をされて、女性のある悩みを解決しているのをご存知でしょうか。意外な使われ方とは、ある悩みとは…

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色素沈着した皮膚の意外な使われ方

意外な使われ方とは、なんと乳輪形成術です。乳がんで乳房を切除した女性の、乳房再建後に、鼠径部の黒ずみ、つまり色素沈着した皮膚を移植して乳輪を形成します。乳頭・乳輪を形成するには、この他に、医療用の色素で色を付ける(tattoo)方法もあります。

乳房を切除しても、下着でカバーできるので、衣服を着用している場合、問題はありません。乳房再建すると温泉などで裸になったときも、傷跡なども目立たず、ほとんど違和感はありませんが…

乳頭・乳輪の形成を希望する女性が多いのは、異性の目が気になるという心理があることは否めません。

 

乳輪形成術

男性はピンクの乳頭・乳輪がお好きなようですが、(乳首の色について、男性にアンケートを取った結果だそうです)お相手の乳輪がもとをたどると…

まあ、それは置いておいて、「乳房は再建できたけれど、やっぱり自然に見えるようにしたい」と思うのが女心と言うものでしょう。

乳輪形成には、tatoo、あるいは鼠径部の黒ずみ、色素沈着した皮膚を移植という2つの方法があります。それぞれについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

乳輪を形成する2つの方法について

医療用の色素で色をつける(tatoo)
いわゆる刺青です。アートメイクの技法を使います。自然なニュアンスが出せるのですが、

  • 自費(保険適用外)
  • 追加施術が必要(時間がたつと色があせてくる)

と言うデメリットがあります。

MRI検査は問題なく受けられます。(一般的な刺青と比較して含有金属量が少ない)

植皮
鼠径部(足の付け根部分)の黒ずみ、色素沈着した皮膚を移植します。色褪せることはありませんが、自然なニュアンスが出にくい場合もあります。

参考: 乳房再建  日本形成外科学会 
乳輪形成術 順天堂大学医学部付属順天堂医院

生活の質QOLの向上

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以前は、乳がんで乳房を全摘すると、胸の膨らみがなくなり、銭湯や温泉にいけなくなった、という悩みが多くありました。現在は医療技術の進歩により、ごく小さいしこりの状態で乳がんを発見でき、早期に治療が開始できたり、手術後のケア(下着なども含め)も充実して、生活の質が高まっています。

水着などの着用でも傷跡が隠れて目立たないし、乳房再建術も保険適用となる範囲が広がり、温泉なども人の目を気にせず楽しめるようになってきました。さらに乳頭・乳輪形成で手術前と変わらぬ外見を保つことも可能に。

同性のみならず、異性の前でも臆することなく裸になれる幸せが手に入ります。それに一役買っているのが悩みのタネ、何とかして消したい、皮膚の黒ずみであることに驚く方が多いかも、ですね。

ちなみに鼠径部や脇は皮膚と皮膚がこすれやすく、その刺激によって色素沈着が起こり、黒ずみになりやすい部位です。下着などの縫製部分が皮膚とこすれたり、無駄毛の処理などの刺激でも、色素沈着が起こります。

悩みとなっている方の黒ずみは、皮膚の摩擦などによる刺激のほか、むだ毛の処理の際の刺激も関係しています。自己処理をやめて脱毛をすることでも、改善は期待できますが、脇やデリケートゾーンの皮膚はとってもデリケート。

色素沈着や黒ずみができるメカニズムや、対処法などはこちらのサイト、わき(脇)の黒ずみを取るのに効果のある脱毛方法は?に詳しく載っていましたので、参考にされてみてください。

参考: ワコール リマンマ 再建手術のステップに合わせた下着選び

 

乳がんの治療

乳がんの治療は、進行程度により違いますが、基本的には手術です。35年ほど前までは、早期でも進行がんでも、乳房と胸の筋肉、脇の下のリンパ節を全摘してしまうハルステッド手術(定型的乳房切除術)が一般的でした。

現在は

  • 乳房切除術 乳房をすべて切除する
  • 乳房部分切除術(乳房温存療法) がんを含めて乳房の一部だけを切除する

の二通りがあります。

いずれの場合もわきの下のリンパ節はいっしょに切除しますが、胸の筋肉を切除することはほとんどありません。

乳房温存療法の場合には、温存した乳房に放射線をあてることが一般的です。

参考: 乳がんの治療法 東京女子医科大学東医療センター乳腺科 

乳房再建術

再建の方法は、自家組織再建、シリコンインプラントを用いた再建があります。また、再建の時期には、乳房切除術と同時に再建する即時再建、手術後一定期間がたってから行う2期再建があります。

乳房切除術を行うときは、再建のことまでなかなか考えられないものですが、いずれ再建したいと思う場合、自家組織再建、シリコンインプラントどちらの方法で再建するかはあとで決めるとして、切除手術の際に、組織拡張期(エキスパンダー)を挿入しておくと良いでしょう。

※インプラントによる乳房再建術は、これまで自費診療でしたが、一部の乳房再建用エキスパンダ―とブレスト・インプラント術が保険の適応になりました。認定施設、適応される製品などは医療機関で確認してください。

 

乳がんが増える背景とリスクが高い人

乳がんは年々増加傾向にあります。食生活やライフスタイルの欧米化に伴い、女性のホルモン環境が変化、栄養状態が良くなったことが背景にあるとされます。

初潮年齢が早まり、閉経年齢が遅くなったことから、女性ホルモンに関係する年齢が長くなったこと、また結婚年齢が高くなり、出産の回数が減ったり、初産の年齢が高くなっていることが、女性ホルモンの分泌に影響をあたえ、リスクを高めているといえそうです。

乳がんのリスクが高い人は

  • 30歳以上で未婚
  • 30歳以上で初めて出産した人
  • 55歳以上で閉経した人
  • 標準体重の20%以上の肥満のある人

などとされています。また、遺伝的な要素もあり、肉親で乳がんになった人がいる場合は、注意が必要です。

乳がんを発見するときの主な症状と検査

乳がんは乳房にできる悪性のしこりですが、具体的には以下のような特徴があります。

  • 40~50歳代に多くみられる(60歳以上、30歳代でもみられる)
  • しこりの表面は凸凹で硬く、周りとの境がはっきりしない
  • 痛みはない
  • 月経周期により、小さくなったり消えたりすることはない
  • 乳房の外側上方にできやすいが、乳房のどこにでもでき、わきの下で見つかる場合もある
  • 乳房が引き連れて見えることもある
  • しこりを指でつまむと、皮膚にえくぼができたり、乳首が引っ込んでくることもある
  • 乳首から血液の混じった液が出る場合もある
  • 症状が進むと、しこりが大きくなり、表面が赤くなったり潰瘍になったりする

このような症状は、自己チェック法があるので、月経が終わって数日から1週間目に調べてみましょう。もし異常がある場合は、すぐに乳腺外来で検査を受けてください。

参考: 乳がんのマンマチェック(自己検診) 日本乳がんピンクリボン運動

 

検査と早期発見

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乳がんの検査方法は触診、超音波、X線検査(マンモグラフィ)の3つが基本です。超音波とX線検査の診断率はそれぞれ80%~90%で、これらを組み合わせることで乳房のしこりの多くは正しく診断することが可能です。

超音波検査 
ゼリー状の液を乳房に塗って超音波を当てることにより、乳房の細かな構造やしこりなどの異常を、画面に映し出すことができる検査方法

X線検査(マンモグラフィ) 
乳房を挟んで撮影する検査方法。しこりのほか、石灰化を含む異常がよくわかる

超音波やマンモグラフィ検査を行うことで、しこりを触れないような数ミリ程度の小さな乳がんを見つけることも可能です。

上記3つの検査で異常がある場合、注射針をしこりにさして、細胞を取り出し顕微鏡で見る細胞診を行う場合があります。さらに確実に調べえるには、必要に応じてしこりの周りに麻酔をし、しこりの一部または全部をメスで切り取って組織を調べる、生検を行います。

乳管内視鏡検査 
乳頭から分泌物が出る人に対して行われます。0.4~1.0㎜と言う非常に細いファイバーを乳頭から入れ、乳管の中を画像に映し出しながら調べることができるようになりました。

乳頭から麻酔液を入れて行うので、痛みはほとんどありません。これにより、管の中にできたしこりになる前の小さな乳がんも見つけられています。

このような検査方法の普及により、乳がんを早期発見できるケースが多くなっています。

 

まとめ

女性にとって色素沈着による黒ずみは、悩みのタネであるけれど、このように悩みを解決し、男性の高揚(笑)にも貢献することもある、というのはなんだか不思議なめぐり合わせのような気がします。

何れにせよ、今は乳がんのごく小さなしこりも発見できるようになりました。乳がん検診は毎年受け、異常を早期に見つけることが大切です。

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