ナースほど誇れる仕事はありません

健康を大切にしたい方へ贈るひとりごと

恋の病につける薬は…失恋から立ち直るための看護師の仕事とは

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恋の病に付ける薬はない、と昔から言われています。確かに失恋から立ち直るには、薬や治療ではなく、時間経過や、次の恋などのきっかけが必要です。

 

しかし、入院治療が必要となる方も少なからず存在する。この場合は、精神科での治療となります。

 

入院治療が必要だなんて、どんな大失恋をしたのか。以下は精神科病棟ナースに聞いた話です。看護師が失恋で入院された患者さんにできることは…

 

 

失恋で入院治療が必要なケース

治療は恋の病そのもの、失恋から立ち直るため、ではありません。うつ病や一過性の気力の低下などがあり、自然な時間経過を待っていても立ち直れない場合には、入院治療が必要となります。

 

看護師の仕事は患者さんのお世話、失恋で入院された患者さんには、

  • 十分な睡眠が取れるようにする
  • 本当の望みを理解して受け止める
  • 気力の回復のお手伝い
  • 日常生活を取り戻せるようにする

などを基本に患者さんに寄り添ってお世話をします。

 

「精神科で、失恋の痛手から立ち直ることなんて、できるわけがない。」

確かにその通りです。入院治療で、心を休ませ、気力を回復、結果的に失恋から立ち直るきっかけをつかんで頂くのが目的ですが、こんなケースもありました。

 

病気を武器に相手に関係修復を迫る

失恋でひどい頭痛に悩まされ、一時は失語(言葉がでなくなる)にもなって、普通の生活に支障がでたため、入院された女性がいらっしゃいました。

 

しかし、彼女は「自分が入院したのは、失恋のせい。『あなた(彼)が戻らなければ彼女の病気は治りません』とカレに指導して欲しい」と言い張って引きません。

 

さらに親や友人に頼み込んでカレに度々連絡もし、ストーカー的行為も繰り返していたのです。

 

勿論主治医も看護師も、彼女の主張を聞き入れることはないです。入院の目的を「貴女の休養と体調の回復で、恋愛関係には介入できません」と、つどきっぱりと言い渡していました。

 

全ては失恋のせい

しかし、彼女は自分の主張を絶対に譲らず、「自分が体調を崩したのは、すべて失恋のせい、カレを連れ戻してもらわないと困る」と、言い張って、最後には入院という事実をたてに、相手を脅すような状態にもなっていきました。

 

病気を武器に病院に立てこもり、相手を脅迫する。これはもう「失恋直後のやむを得ない心理状態」を遥かに逸脱しています。

 

病院としてもこれ以上入院を続けても、事態が悪化するばかりと判断し、退院していただいたのですが、退院後の彼女がどのような生活を送っているのか、いまでも思い出すと心配になります。

 

 

入院治療は気力を回復するためのお手伝い

厳しい状況に耐え得る、気力を取り戻すための休養、薬物調整が目的です。失恋そのものを治すことは出来なくても、気力を回復するためのお手伝いはできる、ということです。

 

つまり、失恋に限らず、人間関係や借金などのストレスが原因の場合も、現実に立ち向かう気力を回復することが可能です。

 

まずは十分な睡眠

感情が尖りすぎて、休むことが出来ず消耗するばかりなので、眠剤の服薬であったり、面談だったりで十分な睡眠が取れるようにします。

 

睡眠が取れるようになると、思い込みなどで正常に働いていな方思考回路が、正常化していく。

 

失恋について過剰に自分を責めたり、同じ話を繰り返していたのが、少しずつ現実に目を向けることができるようになるのです。

 

本当の望み

患者さんが本当に望んでいることは、去っていった恋人が、自分のもとに戻ってくること。病室に迎えに来てくれることです。しかし、それはもうかなわないこと。

 

諦めきれずに追いかけ続ける人、自分のカラに引きこもって耐える人。それぞれ違います。しかし誰しもが心の中で「恋人が病室に駆け込んでくる」ことをずっと待っています。

 

気持ちを受け止める

現実を受け止めることができるようになったからといって、失恋の痛みも消えるわけではありません。

 

「恋の病に付ける薬はない」ので、入院は失恋から立ち直るための治療ではないのです。

 

看護師は、本当の望みを理解した上で、辛い、寂しいと泣く彼女たちの気持ちを、受け止めることしか出来ません。

 

日常生活を取り戻す

看護師は、失恋の痛みから立ち直るお手伝いは出来ません。失恋を現実として受け入れ、前へ進めるように、日常生活を取り戻すためのお手伝いしか出来無いのです。

 

十分眠れるようになり、徐々に現実を受け入れられるようになって、なんとか普通に暮らせるようになるまでは、時間がかかります。

 

患者さんの心に寄り添いながら、少しでも早い回復を待つ。 病棟ナースの重要な仕事です。

 

 

まとめ

恋の病につける薬はありませんが、失恋から立ち直るための、気力の回復をお手伝いすることは出来ます。

 

眠れるように薬剤を使ったり、話をじっくり聞いたり、患者さんの心に寄り添って受け止める。

 

十分な睡眠の確保で疲れた心を休ませ、現実に向き合う気力を回復し、日常生活がおくれるようにするのが目的です。

 

失恋に限らず、人間関係や借金の悩みなど、強いストレス状態で社会生活に適合できなくなってしまった時などの治療方法の一つです。

 

 

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