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ナースダイアリー・超忙しい看護師のひとりごと

肝炎キャリアとは?肝炎ウイルスの感染経路、誤解していませんか

肝炎の原因の多くは肝炎ウイルスの感染です。肝炎のキャリアは300万人以上いると推定され、自覚症状がないまま肝硬変や肝がんへ移行する人が多く問題となっています。肝炎キャリアとは、肝炎の種類と特徴、感染経路などをお伝えします。

肝炎キャリアとは?肝炎ウイルスの感染経路を正しく知ろう。日本人に多いのはB型、C型のウイルス性肝炎。

肝炎キャリアとは

体内に肝炎ウイルスがいる人を、キャリア(持続性感染者)といい、症状が出ないまま治ることもありますが、知らないうちに進行して肝硬変や肝臓がんと言った重篤な病気を発症するリスクがあります。

日本人に多いB型とC型の感染は、血液検査で調べます。感染の危険があると思われる人は、検査を受けることをお勧めします。

肝炎ウイルスの検査は感染直後にはウイルスを発見出来ないこともあるので、不安に感じた時は、数週間後に再度検査を受けてください。

B型、C型肝炎の検査は、自治体の事業として無料で受けられる場合もあります。ただし対象者等に条件がありますので、お住いの地域の医療機関や行政機関で確認されてください。

 

肝炎検査をおすすめする人

肝機能の低下は、全身に十分な栄養が届かないなど、深刻なトラブルを招きます。

肝臓は多くの肝細胞が壊れても、残っている正常な細胞が頑張って機能を維持します。そのため病気になってもかなり進行するまで気づかないことも多く、沈黙の臓器とも呼ばれています。

40歳以上の人、過去に「肝機能異常」と指摘されたのに、その後肝炎検査を受けていない人は注意しましょう。B型、C型の肝炎検査を受けることをおすすめするのは、以下のような方です。

肝炎血液検査を受けることが望ましい人

B型肝炎ウイルス(HBV)

  • 家族にB型肝炎キャリアがいる
  • 新たに関係を持つ相手が出来た
  • 長期間血液透析を受けている
  • 妊婦(妊娠がわかったら必ず受けましょう)

C型肝炎ウイルス(HCV)

  • 1992(平成4)年以前に輸血を受けたことがある(出産時を含む)
  • 大きな手術を過去に受けたことがある
  • 血液凝固因子製剤*を投与されたことがある
  • フィブリノゲン製剤*(フィブリノゲン糊としての使用を含む)を投与されたことがある
  • 長期間血液透析を受けている
  • 薬物乱用者、入れ墨をしている
  • ボディピアスをしている

*フィブリノゲン製剤・血液凝固因子製剤
人の血液の成分を原料とした医薬品の1種です。大量出血時の止血などのために医療機関で用いられていました。

現在厚生労働省は、当時これらの製剤を納入した医療機関を公表し、投与された人にC型肝炎ウイルス検査の受診を呼びかけています。

参考: 薬害肝炎 血液凝固因子製剤(フィブリノゲン製剤、非加熱第IX因子製剤、非加熱第VIII因子製剤)の投与によるC型肝炎(非A非B型肝炎)の感染被害のこと。
薬害肝炎 Wikipedia

感染したら注意すること

症状がなければ入院などの必要はありません。定期的に肝臓の検査を受けましょう。

  • 処方された薬を指示通りに服用し、勝手にやめたり飲んだりしない
  • 過労を避け、規則正しい生活をする
  • 飲酒は控える
  • 肥満に注意

感染を広げないために注意すること

B型、C型肝炎は血液を介して感染します。しかし、誤解も多いので正しい知識を持つことも大事です。

感染しません

  • くしゃみ、せき
  • 握手
  • 抱擁
  • 入浴
  • 食器やコップの共有
  • となりに座るなどの日常的な接触

 

感染の恐れがあるので注意

  • 歯ブラシ、カミソリなど血液が付着するようなものは、専用で使用し他人と共有しない
  • 血液や分泌物が付着したものは、他のものと分け、しっかりくるんで捨てる

肝炎Q&A

 

お酒の飲み過ぎはどうしていけないのですか

 

お酒を大量にのみ続けると、肝臓がアルコールを代謝・分解する機能が衰え、様々な障害を招きます。
キャリアの人もお酒をよく飲むほうが肝炎の進行が早くなります。
主なアルコール性肝障害 

  • アルコール性脂肪肝 
  • アルコール性肝炎 
  • アルコール性肝線維症 
  • アルコール性肝硬変
 

性感染しますか

 

B型肝炎(HBV)は感染の可能性があります。
自分がキャリアの場合はパートナーの免疫を検査し、ない場合はワクチンを接種しましょう。
特定のパートナー以外の場合は、必ず避妊具を。
C型肝炎ウイルスは感染力が弱いので、感染はまずありません。

 

母子感染の予防はどうすれば良いですか

 

B型肝炎キャリアの母親から産まれた子供は、高い確率でB型肝炎に感染しキャリア化します。
母子感染は予防出来ます。妊娠がわかったらそれまでHBV検査を受けていない場合は、必ず受けることが重要です。
キャリアでもワクチン接種等で子供のキャリア化は避けられます。

 

海外旅行先に行きます。A型肝炎の予防はどうすれば良いですか。

 

A型肝炎は感染者の便に含まれるウイルスで汚染された、生水や生物を食べることで感染します。
衛生状態の良くない国での感染が目立つので、アジア、アフリカ、南米などA型肝炎の多発地帯では、氷、生水、生物を避け、手洗いをきちんとしましょう。
ワクチンの接種で予防できます。

ウイルス性肝炎の種類と特徴、自然経過

ウイルス性肝炎にはA型からE 型があり、日本で特に多いのがB型とC型です。一過性の感染と持続性感染(キャリア化)の場合があります。感染後の経過は様々で、症状が出ないまま治ることもあります。

急性肝炎 A型、B型、C型肝炎に多い

慢性肝炎 B型、C型肝炎に多い

B型、C型に感染した場合どのような経過をたどるのかを見てみましょう。それぞれの特徴は最後に表にしてあります。

B型肝炎の自然経過

B
型肝炎の自然経過

B型肝炎ウイルス(HBV)は感染者の血液や、血液が混じった体液を介して感染します。性感染によるB型急性肝炎が増加傾向で、遺伝子Aと呼ばれるHBVに感染すると約10%が慢性化すると言われています。

  • 母子感染はキャリア化し易いのですが、ワクチン接種等により予防できます。妊娠がわかったら必ず検査を受けてください。
  • 衛生管理を普通に行っていれば、日常生活での感染はほとんど心配ありません。
  • 大人で感染する人は殆どが一過性で自覚症状がなく治る(不顕性感染)ことも少なくありません。
  • 一部で急性肝炎を発症したり、慢性肝炎に進行することもあります。
  • キャリアでも、殆どの場合症状が出ないままですが、10%~15%は慢性肝炎の発症や、気づかないうちに肝硬変、肝がんに進行する場合もあります。

C型肝炎の自然経過

C型肝炎の自然経過

C型肝炎ウイルス(HCV)は、感染者の血液が別の人の血液中に入ることで感染します。日常生活で感染する心配は殆どありません。C型肝炎が広がったのは、HCVの検査方法が確率される以前のことです。

輸血などで使われた治療用の血液や血液製剤、1960年代まで使いまわしされていた予防接種用の注射器の汚染などが原因と考えられています。

  • 全身の倦怠感や食欲不振、黄疸などの症状が出ることもありますが、殆どの場合自覚症状はない
  • 感染者の70%前後がキャリアとなり、40歳異常のキャリアの65%~70%が慢性肝炎と診断される
  • キャリアを放置すると、肝硬変や肝がんを発症する場合もある
  • インターフェロン療法などで完治が期待できる
  • ワクチンはない

画像出典: ウイルス性肝炎について 厚生労働省 /www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/04.html

ウイルス性肝炎の種類と特徴

種類原因ウイルス主な感染経路潜伏期間
A型肝炎 HAB 経口(汚染された水や食物) 2~6週間
一過性の感染 他のウイルスによる急性肝炎と比べ、症状が強い
まれに劇症化 発展途上国など、海外旅行中での感染が多い
治ったあとは免疫ができ、再発症することはない
B型肝炎 HBV 血液 1~6か月後
一過性の感染と、持続性感染(キャリア化)の場合がある
治った後も免疫を抑える薬や、抗がん剤などを使うと体の抵抗力が低下するので、再発することがある
急性肝炎では発熱
C型肝炎 HCV 血液 2週間~6ヶ月位
一過性の感染と、持続性感染(キャリア化)の場合がある
急性肝炎を発症しても、A型やB型と比べ症状が軽く、気づかない場合もある
D型肝炎 HDV 血液 1~6か月後
HBVに感染している人のみ感染する
日本では感染例は少ない
E型肝炎 HEV 経口 (汚染された水や食物) 2~9週間 (平均6週間)
一過性の感染 急性肝炎を発症した場合の症状は、A型肝炎に類似
まれに劇症化することがあり、妊婦や高齢者は危険
発展途上国など海外旅行中での感染が多い
イノシシやしか、豚など動物にも感染する
国内でも、動物の生肉を食べて感染することがある

感染があった場合

血液検査で肝炎の感染がわかっても、症状には個人差があります。また、治療の必要がない場合も、すぐに治療が必要な場合もあります。肝炎のキャリアだとわかったら、より精密な検査をして治療方針を検討します。

血液生化学検査や超音波(エコー検査)、必要に応じてCT、MRI、血管造影なども行います。

医療費助成制度もあるので、都道府県の窓口で確認してください。

肝炎治療(インターフェロン治療、インターフェロンフリー治療、核酸アナログ製剤治療)に対する医療費の助成

平成20年度からB型・C型肝炎のインターフェロン治療に対する医療費助成を開始し、平成21年度からは、一定の条件を満たした方には助成期間の延長を認める等の運用変更を行いました。 平成22年度からは、自己負担限度月額の引下げや、核酸アナログ製剤治療を助成対象に追加する等の運用変更を行いました。平成23年度からはテラプレビルを含む3剤併用療法等を、平成26年9月からはインターフェロンフリー治療を助成対象に追加するなど、より利用しやすい制度となっています。
出典:医療費助成 厚生労働省 

まとめ

肝臓は栄養素の貯蔵と代謝、解毒など体の健康に関して多くの重要な働きをする、体の中で一番大きな臓器です。病気になってもすぐには症状が出にくいことから沈黙の臓器とも呼ばれています。

肝機能の低下は深刻な事態を招きますので、異変に早く気づくことが大切。肝炎の原因の多くは肝炎ウイルスですが、日本人はB型、C型肝炎のキャリアが多いです。感染経路や特徴、検査などについての知識を持ち、進行を防ぎましょう。

「ナースのひとりごと」~今日も1ページ

参考
日常生活の場でウイルス肝炎の伝搬を防止するためのガイドライン(一般の方向け)2014年3月発行
厚生労働省 /www.kanen.ncgm.go.jp/content/010/ippan.pdf 
出典:国立国際医療研究センター肝炎情報センター