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大腸内視鏡は痛くない?大腸がん早期発見のための2つの検査

大腸がんの検査には2種類あります。定期健康診断などで行われる便潜血検査と、便潜血検査で要精密検査となった場合などに受ける、大腸内視鏡検査。今回は大腸がんの早期発見に役立つ2種類の検査についてお伝えします。

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大腸がんの早期発見、検査の方法

大腸がんは近年日本で増加しており、患者数や死亡者数が多いですが、早期に発見して治療を受ければ治るがんです。定期的に検査を受け、症状が現れる前に発見することが大切。便潜血検査は自宅で2日分の便を採取して提出するだけです。簡単にできるので問題はありませんが、この検査で陽性反応が出ると、大腸内視鏡検査を受けることになります。

 

大腸内視鏡は痛くない?

便潜血検査で陽性となったYさん。大腸内視鏡検査を受けるように指示されました。

 

大腸の内視鏡って痛くないですか?それに、あれ、肛門から入れるんですよね。お尻を出すのは恥ずかしい。

 

大丈夫ですよ。恥ずかしがることはないです。看護師や医師はお尻をずっと見ているわけではありませんから。内視鏡で見るのは大腸のポリープや炎症があるかどうか。それにYさんの検査を担当するK医師は内視鏡の名医と言われていますからね。痛みもほとんど感じないで終わりますよ。

医師の腕も大きな要因~内視鏡検査は痛くない

以前は内視鏡検査は痛い、苦しいと言われていましたが、機械の進歩、検査の技術が大きく進歩しているので、苦痛もなく行えるようになってきています。

大腸は真っ直ぐではないので、カーブのあたりで動きを感じることもあります。普通は違和感はあっても痛みは感じないのですが…

  • 腸管の癒着がある(お腹の手術をしたことがある、帝王切開した等がきっかけ)
  • 腸が伸びやすいタイプ

の場合、痛みがあったり内視鏡が挿入困難な場合があります。

症例数の多い病院、経験を踏んだ医師

しかし、医師の技術力によっては、痛みを感じるケースもあります。内視鏡の操作にはセンスも必要ですが、多くの症例や経験を踏んだ医師は、カメラ操作が上手です。下手な医師は力で押してしまうこともあるので、痛みを感じたり、検査後も痛みが抜けないことが起こる可能性もあります。

大腸内視鏡検査を受けるときは、症例数の多い病院を選ぶ、できれば医師も選べると良いですね。

 

便潜血検査と大腸内視鏡検査

便潜血検査では、痔や腸内の軽い炎症などが原因で陽性反応が出ることもあります。便潜血検査で陽性でも、これらが原因の場合もあるので、内視鏡検査で腸のポリープや炎症があるかどうかを検査します。大腸のポリープとがんは混同されがちですが、ポリープのすべてががんになるわけではありません。

便潜血検査(便潜血検査免疫報)

自宅で2日分の便を採取して提出、便中に血液が混じっていないかどうかを調べる検査です。自治体や職場などの大腸がん検診で、40才以上の人に推奨されています。渡される大腸がん検査キットの使い方は簡単です。説明書に図解されているので、そのとおりに便を採取するだけ。

キットの使い方や便の取り方の注意点もわかりやすく説明されていますので、まずキットの中にある説明書をきちんと読むことが大切です。

自動洗浄装置のついたトイレも多くなりましたが、便の採取時には、作動して流してしまわないよう注意しましょう。

便秘の方の検査

便秘で2日分の便が採取できないときは、1日分だけでも提出しましょう。精度は低くなりますが2回めを待ってから提出すると、1回めが古くなって正しく検査できなくなりま

す。

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勤務先の場合は1回分しか提出できないケースもあると思いますが、自治体の場合は、実施医療機関に予め、便秘であること、1回目と2回めの間が相手も、提出してよいかどうか聞いてみましょう。実施機関内で有れば受け付けてもらえると思います。

大腸内視鏡検査

バリウム検査では発見が難しい小さなポリープや平坦ながんを発見することが可能です。

また、検査と並行してポリープや早期の大腸がんを取り除くこともできます。

先端にカメラのついた内視鏡を肛門から挿入し、大腸の粘膜の様子をモニターに映しだして観察します。検査前には、前処置として1.5~2Lの下剤(腸管洗浄剤)を飲み、大腸を空にする必要があります。

 

前処理が辛かった、と言う患者さんは多いです。確かに大量の下剤を時間内に飲むのは苦痛かも。しかも、トイレに何度も往復しなければなりませんし。便が透明になってくると検査を行うことができます。

 

大腸内視鏡検査で食べていいものはなんですか。

 

前日は野菜や繊維質を抜いた食事を摂ります。消化の悪いものや、刺激物も避けます。もちろん飲酒はNG。もしポリープが見つかって、同時に切除もする場合は、1週間は食事制限などが指導されます。

 

便秘気味なんですけど…

 

検査の3日前くらいから繊維質を避けたり、消化の良いものにしましょう。その他の注意点は、詳しい指示があるのでそれに従ってくださいね。

無双基軸保持短縮法

内視鏡検査の挿入方法です。「直線的挿入法」「ストレート法」「無痛大腸内視鏡」などとも言われています。

大腸はゆるいM字型ににたような形に表されることが多いですが、実はブラブラしている状態。内視鏡を押し入れることで長く伸びて痛みが起こることもあります。

無双基軸保持短縮法は大腸を押して伸ばすのではなく、手前に蛇腹のように畳み込むように縮めながら、内視鏡を挿入していく方法です。痛みはなく、熟練した医師なら5分程度で検査の終点である盲腸まで到達可能です。ただし、この方法は習得に時間がかかるため、医師の育成が追いついていません

新しい検査方法

大腸の癒着があるなどで内視鏡検査ができない場合、

  • マルチスライスCTコロノグラフィー: CTのデジタルデータを画像処理して3次元画像にする
  • カプセル内視鏡: 口から飲み込む

を使って検査を行うこともありますが、これらの検査が受けられるかどうかは医療機関によって異なります。希望する場合は医師に相談しましょう。

大腸ポリープの種類と切除によるリスクの軽減

大腸ポリープは、腫瘍と非腫瘍に分類されます。腫瘍の中で悪性のものががん、良性のものが腺腫と呼ばれます。大腸ポリープの約80%は良性の腺腫です。良性の腺腫でも、癌を含む危険性はあります。腺腫の直径が10mmを超えると、そのリスクが急激に高まると考えられているので、ポリープの段階で見つけ、早期治療を行うことが重要と考えられています。

大腸ポリープの切除で、

  • がんの発生を76~90%抑制できる
  • 大腸がんによる死亡率を半減できる

と言うデータがアメリカの研究で発表されています。日本でも2003年からジャパンポリープスタディ(JPS)と言う大規模追跡調査が行われており、大腸ポリープの切除により、大腸がんの発生や死亡率をどのくらい下げられるのか、研究が進められています。

参考: JPS(Japan Polyp Study)Website

 

検査の頻度

便に血液が混じっているのが見て分かる状態は、がんなど、大腸の病気がかなり進行している可能性が高いです。何も症状がないときから便潜血検査を受けることが、早期発見につながります。自宅で簡単にできるので、積極的に検査を受けるようにしましょう。

検査の目安

  • 40才以上 便潜血検査を毎年
  • 50才になったら 一度は大腸内視鏡検査を受ける

ことが検査の目安として勧められます。大腸内視鏡検査を受け、異常がなかった場合は、大腸がんのリスクは低いと考えられます。初めての内視鏡検査であれば、念のため1~2年後にもう一度受けましょう。

大腸内視鏡検査は毎年受ける必要はありません。大腸ポリープが見つかった場合は、数や大きさによって検査の頻度は異なります。ポリープを切除したあと、3年に1回程度、大腸内視鏡検査を受けることが勧められています。

大腸ポリープは、7~10年かけて大きくなります。定期的に検査を受けて観察することにより、がんになる前に発見して切除が可能です。

家族歴がある場合

父母、兄弟などががんを発症するなどの家族歴がある場合、家族が発症した年齢より10年早く内視鏡検査を受けるようにします。大腸がんの15%は遺伝的要因が関わっているとサれていますが、進行が遅いので、10年早く検査をすれば、がんを発症していたとしても早期に発見できるので、治すことも可能です。

 

参考: 2015年部位別がん死亡数

 
1位  肺  53,170(87.2%)  大腸 22,867(35.5%)
2位  胃  30,797(50.5%)  肺  21,164(32.9%)
3位  大腸 26,798(43.9%)  胃  15,862(24.6%)

出典: 厚生労働省 平成27年人口動態統計月報年計(概数)の概況 pdf p12 

 

まとめ

大腸がんの予防法は、はっきりわかっていません。原因と考えられることを避けるようにします。

  • 自分にあった適切なエネルギー量の食事をバランス良く摂る(過体重や肥満予防)
  • 適量範囲内のアルコール
  • 適切な運動
  • 禁煙

などの生活習慣を見直すこと、そして定期的に大腸がんの検査を受けることが重要です。

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