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男性の貧血と鉄分サプリの危険性~隠れ貧血、自己判断貧血に注意

男性は貧血になることはほとんどありません。貧血が見つかった場合は、何か病気が隠れていることが多いです。鉄分サプリでは改善されなかったり逆にダメージを与えることも。サプリでムダなお金を使う前に血液検査をおすすめします。

男性の貧血と鉄分サプリの危険性~隠れ貧血、自己判断貧血に注意

男性の貧血は鉄分サプリの前に血液検査

女性に多い貧血ですがその原因は、月経による出血や妊娠などで貧血になりやすい体質を持っているからです。男性は月経もなく、食事の量も多いため、貧血になることはあまりありません。

男性の場合、貧血の症状と自己判断し、鉄分不足が貧血の原因と考え、手軽に摂れる鉄分サプリを利用することが多いようですが、何か病気が隠れている可能性があります。

鉄欠乏症以外の病気では、鉄分だけを摂っても貧血は改善しませんし、逆に摂りすぎると体にダメージを与えることもあります。

サプリメントにムダにお金を掛ける前に、まず血液検査をすることをおすすめします。

 

ヘモグロビンとフェリチン

鉄分不足による貧血かどうかは血液検査の「ヘモグロビン(Hb)の値を見て判断します。医療機関によって多少の差はありますが、基準値は以下のとおりです。

ヘモグロビンの基準値

性別基準値
成人男性 13g/dl
成人女性 12g/dl
妊婦 11g/dl

しかし、ヘモグロビンの値が正常であっても、貧血の心配がないわけではありません。フェリチンと言うたんぱく質と結合した状態で、普段は肝臓の中にためてある貯蔵鉄の量も関係しているからです。

つまり、鉄分不足による貧血は、ヘモグロビンとフェリチンの両方を調べて正確にわかるのです。

*ヘモグロビン A1c(Hb A1c)は糖尿病の診断の目安になる検査値です。

すぐ使える鉄とためてある鉄

体の中には赤血球の中にあるヘモグロビンと、肝臓の中にためてある貯蔵鉄があります。

ヘモグロビン
ヘモグロビン検査でわかることは、赤血球にある鉄を含んだたんぱく質(ヘモグロビン)の量です。ヘモグロビンは酸素を運搬する能力を持った状態の鉄で、すぐ使える鉄です。

貯蔵鉄
フェリチンというたんぱく質と結合した形で、普段は肝臓の中にためてあります。血液中のヘモグロビンが減ってくると、フェリチンが鉄を運び補給してくれるので、血液お中の鉄分なちょうどよい量を維持しています。

フェリチンの量は、鉄の貯蔵量を知るバロメータであると言えるでしょう。

隠れ貧血

ヘモグロビンの量は、貯蔵鉄がなくならない限り一定に保たれています。そのため通常の血液検査では鉄分が不足するギリギリ手前まで発見するのが難しい。これが隠れ貧血と呼ばれる状態です。

ヘモグロビンの量を確かめずに生活し、不足に気付いたときは溜めてある貯蔵鉄もないという状態になってしまいます。

フェリチンの量もきちんと調べることが重要であることは、理解していただけたでしょうか。

フェリチンの検査は一般の血液検査には含まれていないので、オプションとなり、通常1000円~3000円程度の追加費用がかかります。

鉄サプリが必要ない場合

貯蔵鉄が十分あるのに、ヘモグロビンの量が少ないので貧血だと自己判断し、鉄サプリを利用するのは、使う必要のないものをためるようなものでお金のむだです。

本当は必要のないサプリメントにお金をかけるより、フェリチン検査を受けて、必要なときにサプリを買う方が賢い選択でしょう。

必要のないものをため込むだけならよいのですが、貯蔵鉄がたまりすぎると余った鉄がそのまま血液にあふれだしてしまいます。

それが血管の壁や肝臓を傷つけ、動脈硬化や肝障害を引き起こす要因に。

女性にとっては卵子の遺伝子を傷つける、活性酸素を増やすことにもなってしまいます。

フェリチンは正常値なのにヘモグロビンが少ないという人は、鉄分不足が原因の貧血ではないので、鉄サプリで補う必要はありません。

鉄サプリはいつまで摂ればいい?

鉄欠乏症貧血で鉄剤や鉄サプリで症状が改善すると、もう大丈夫と止めてしまいがちです。

しかし十分な量の鉄の貯金ができていないうちにやめてしまうと、また貧血状態に戻ってしまうことがあります。

辞めるタイミングはフェリチンの量が正常値になってから、または貧血の症状が改善されてから半年後くらいがおすすめです。

鉄剤や鉄サプリに頼るのではなく、まず普段の食事で積極的に鉄分を補給するような工夫をすることが大切です。

次項でお伝えしますが、ヘム鉄を多くふくむレバーや肉などの、動物性食品に含まれる鉄をとるようにしましょう。

鉄が不足すると…

鉄は赤血球に含まれるヘモグロビンの材料で、全身に酸素を運ぶ働きの他にも様々な働きをします。細胞中のミトコンドリアでエネルギーを作り出すという重要な働きも。

鉄が不足しているとせっかく摂った食べ物をエネルギーに変えることが出来ないのです。寝起きが悪い、頭痛、肩こり、冷え、気分が落ち込む、イライラする等様々な症状が現れます。

更に鉄不足になると、脳内の神経伝達物質(ドーパミン、セロトニンなど)を作ることもできません。物覚えが悪くなったり、気持ちが落ち込んだりします。脳がきちんと働くためにも鉄が必要です。

また、抗酸化酵素の構成要素でもあり、鉄不足は抗酸化力を低下させ、老化を促進してしまいます。

かと言って摂りすぎても、活性酸素の発生源になり体にダメージを与えるので、適量の摂取が大切です。

 

ヘム鉄と非ヘム鉄

食べ物からとる鉄には

  • 非ヘム鉄 主に穀類や野菜等植物性食品に含まれる鉄
  • ヘム鉄  レバー、肉など動物性食品に含まれる鉄

の2種類があります。

非ヘム鉄の素材には、クエン酸鉄、グルコン酸鉄などがあり、医薬品の鉄剤としてよく使われる「フェロミア」はクエン酸第一鉄です。

鉄がむき出しの状態なので胃や腸に負担をかけやすく、気持ちが悪くなる場合もあります。

一方ヘム鉄は、鉄がポルフィリンという分子にくるまれているので、胃や腸に負担が少なく、副作用が起こりにくくなっています。

また、非ヘム鉄に比べて、吸収率も5~10倍も良いと言われています。

鉄不足が原因の不調の対処

鉄不足が不調の原因にあることが明らかな場合は、医師に鉄剤を処方してもらうのが第一選択です。医薬品なら保険が適用されるので経済的負担が少なくて済みます。

しかし、医薬品は非ヘム鉄のため、胃の不調などが起こり飲み続けられないこともあります。その場合はヘム鉄のサプリメントを使うのが良いとされます。

ただし、ヘム鉄はほんの少しでほとんどが非ヘム鉄の製品もあります。錠剤が小さいのにたくさんの鉄が摂れることが表示されているものは、非ヘム鉄がほとんどであることも少なくないようです。それなら医薬品の方が安いし安心ですね。

鉄の含有量だけでは比較できない

鉄サプリにもヘム鉄の製品と非ヘム鉄の製品があります。ヘム鉄はほとんどが動物(主に豚)の赤血球などから作られています。

それ以外の鉄、病院で処方される鉄剤や野菜に含まれる鉄分は非ヘム鉄です。

ヘム鉄は吸収率も高いですが、材料のコストも高い。それを知らずに鉄分の含有量で比べると、「高価なのに鉄が少ししか入っていないサプリ」と見えるかもしれません。ヘム鉄は少量でも十分鉄分補給ができるのです。

見かけに騙されない

鉄サプリを選ぶ際、パッケージに「ヘム鉄」と表示されていても、よくみると「ヘム鉄はほんの少しで残りは非ヘム鉄」と言うものも残念ながらあります。原材料、成分量もしっかりチェックしてください。

病院で処方される鉄剤と、サプリメントの鉄は別物、サプリメントの方が体に優しい、と誤解されやすいですが、ほとんどは同じ非ヘム鉄が使われています。

サプリメントの方が体に優しい、と言うイメージは、鉄分の量が少ないので刺激も少ないと考えてよいでしょう。

医薬品は厳しい品質基準があります。表示されている量がきちんと入っている、と言う点で安心して利用できます。

吸収力アップのお助けビタミンC

非ヘム鉄の鉄剤やサプリは、体の中で働いている鉄と形が違うので吸収率は1%~10%程度と高くありません。

しかしビタミンCと一緒に摂ろうと吸収率がアップします。ビタミンCが豊富な食事やビタミンCサプリと一緒に摂るようにするとよいです。

 

まとめ

貧血、と言うと女性の専売特許のように思われますが、男性の貧血も増えてきているようです。自覚症状がない隠れ貧血や、症状から貧血と判断する自己判断貧血もあります。

鉄分不足が原因、とサプリメントなどを利用する前に注意することが有ります。体の不調がある場合は、まず血液検査(フェリチン検査も追加で)をお勧めします。

鉄分不足が原因なのか、ほかの病気が原因なのかを調べることが大切です。鉄分不足の場合、鉄剤やサプリメント利用を考えますが、鉄の種類もあることを確認しておきましょう。

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