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肥満の合併症を切る!生活習慣病の複雑に絡みあう相関図

肥満から引き起こされる合併症も、他の生活習慣病と相互に深く関わりあっています。肥満の改善・予防のために、まず合併症の原因や発症のメカニズムを知ることは、同時に生活習慣病を理解し、改善・予防につなげる助けになります。

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肥満の合併症

以下の6つの肥満の合併症とその他の合併症について、簡単にまとめました。

脂質異常症、痛風(高尿酸血症)、脂肪肝、II型糖尿病、動脈硬化症(心疾患)、動脈硬化症(脳血管障害)、その他(婦人科系、呼吸器系)。肥満と合併症はそれぞれが深く関わりあっています。

 

脂質異常症

肥満症と関わりの深い脂質異常症は、血液中の脂肪が増え高脂血症を招きます。脂肪や糖分、アルコールなどのとりすぎから発症することの多い病気です。血液に含まれるコレステロール、中性脂肪などの脂質が異常に増えた状態を言います。

脂質異常症が起こるメカニズム

治療せずに放置していると血中のコレステロール値が高くなり、余分な脂質(悪玉コレステロール=脂肪性沈着物)が全身の動脈を傷つけ動脈壁に沈着します。これがプラークです。

プラークができると動脈硬化を起こし血管の流れが悪くなったり、詰まって血が流れなくなったりします。

その結果、心臓・脳・腸への血液供給が滞り、脳梗塞や心筋梗塞の原因となります。

自覚症状がほとんどありませんが、早期発見、早期治療が大切。定期的な検診を心がけましょう。

脂質異常症の発症が脳や心臓などの生活習慣病や、腎臓・肝臓の障害も引き起こします。

 

痛風(高尿酸血症)

痛風は尿酸塩が関節に沈着して引き起こす、急性の関節炎です。下肢の親指の痛みが多い。血中の尿酸値が高い状態となる高尿酸血症は、やがて尿酸が尿酸塩と言う結晶となって、関節や腎臓などに影響を及ぼします。

痛風の原因と症状

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高カロリーの食事を好む肥満した成人男性がかかりやすい病気です。飲み過ぎ、食べ過ぎ、ストレス、運動不足、喫煙などが原因となります。肥満症と痛風の原因は重なりあっています。

痛風の発作は激痛を伴いますが、およそ1週間で痛みは無くなります。しかし、治療を行わないと、腎機能障害、尿路結石、動脈硬化など、さらなる病気を引き起こします。脂質異常症と高い関連があります。

 

脂肪肝

肥満症が肝臓の働きを低下させます。肝臓は、様々な栄養素を必要なかたちに分解、吸収し、蓄積する臓器です。脂肪が過剰に溜まった状態を脂肪肝と呼びます。アルコール性脂肪肝と非アルコール性肝炎があります。

肥満症が脂肪肝を引き起こすメカニズム

肥満症の改善のため、痩せようとして朝食を抜いたり、過度のトレーニングをしたりと無理なダイエットをした結果、リバウンドを起こす。更に無理なダイエットを続けるを繰り返すことで、栄養不足になったり代謝が悪くなります。その結果肝臓の機能が低下し、脂肪肝を発症するのです。

脂肪肝は肝硬変、最後は肝がんへと進行するケースが懸念されます。肝硬変は肝細胞が死滅して肝臓が硬く、小さくなってしまう状態です。

 

II型糖尿病

40代以上に多く発症する糖尿病は、肥満の原因がほぼ同じです。どちらかを患うと、もう一方も発症しやすい。初めは自覚症状がなく、他の病気を発症してから気づくことがほとんどです。

糖尿病はエネルギー源のブドウ糖を正常に取り込めず、血中にブドウ糖が溢れた慢性高血糖の状態です。肥満症になると、インスリンの血糖を下げる能力が低下し、糖尿病リスクが高まります。

生活習慣が原因でインスリン作用が低下するタイプが、II型糖尿病です。日本では40歳以上の約10%が糖尿病で、その95%以上がII型糖尿病です。

肥満症がII型糖尿病を引き起こすメカニズム

肥満症は過食や運動不足の人に多く、インスリンの必要量が増えて、すい臓にあるβ細胞がインスリンをドンドン増やします。インスリンの量が多くなりすぎると作用は低下します。更に肥大した肥満細胞からインスリン抵抗性を起こす物質が分泌されます。血糖値を正常にするため、すい臓は更にインスリンを増やしますが、血糖の処理が追いつかずに糖尿病を発症します。

この状態が続くとβ細胞に異常が起き、インスリン分泌量が減少して糖尿病は重症化します。

Ⅱ型糖尿用の治療方法

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インスリンの感受性を回復させ、正常な血糖値に戻すのが治療のカギです。そのためには体重を落とすことが大切で、インスリン分泌を正常化させ適正な分泌量に戻し、血糖コントロールを改善させます。食事療法と運動療法が中心となります。

食事療法 
低カロリー、低脂肪を基本に、血糖の上昇を抑える食物繊維を積極的に摂ります。

運動療法 
1週間の消費エネルギー量2000kcalを目標とし、血糖の上昇を抑える食後1~2時間後に運動を開始します。赤みの肉や魚などを選び、脂質を抑えます。糖分や果物などは控え、糖質はいも類、穀類から摂ります。

薬物療法
場合によっては血糖を下げる血糖降下薬を服用し、インスリン分泌が足りない場合はインスリン注射が必要です。

悪循環に注意 
高血糖になるとインスリン分泌量の低下や、インスリンの機能低下が起こります。そしてこの高血糖がさらなる高血糖を引き起こすという悪循環を起こすので注意が必要です。

 

動脈硬化症(心疾患)

肥満症は心臓の病気も引き起こします。代表的なものは冠動脈疾患(虚血性心疾患)といい、狭心症と心筋梗塞があります。心臓に酸素や栄養を送る冠動脈のつまりや、動脈硬化で狭まることが主な原因です。また、肥満のために脂肪が増えると、脂肪組織へ回す血液量が増加し、末梢まで血液が達しなくなります。その分、心臓に強く血液を送る必要が起き負担となります。

狭心症と心筋梗塞

狭心症 
一時的に血液の流れが悪くなり、十分な栄養が有用されずに起こります。胸痛、動機、呼吸困難などの症状が起こります。

心筋梗塞 
心筋への血液共有が途絶えた状態で命に係わります。肥満の場合、コレステロールが血中に増加し、動脈硬化へと進むため、心疾患の危険性が高まります。強い胸痛から始まり、冷や汗やめまい、嘔吐などの症状が見られます。

そのような症状が見られたら、早めに検査をしましょう。

検査と治療

検査 
動脈硬化症(心疾患)の検査は心電図、X線、心エコー(超音波)などがあります。しかし前触れの症状では、ほぼ正常な状態に戻るため、検査時に発見できないこともあります。定期的な健診が必要です

治療 
冠動脈を正常な状態に戻して血液が流れるようにすることで、内科的療法と外科的療法(冠動脈バイパス手術)があります。内科的療法は血管を広げる投薬に加え、カテーテル治療法や、バルーン治療法などが行われます。

 

 

動脈硬化症(脳血管障害)

肥満症は脳の病気も引き起こします。脳に酸素や栄養を送る血管が詰まったり破れたりすることで、血液を十分に送れない状態を脳血管障害と呼びます。脳の血管が詰まると脳梗塞、脳の血管が破れると脳出血やクモ膜下出血と言います。

症状

右かひだり,どちらか半身の実の麻痺やしびれがあります。ろれつが回らないなどの言語障害、片方が言えなくなるなどの絵の症状や意識障害も起きます。激しい頭痛が起きた場合は、クモ膜下出血が疑われ、頭痛とともに嘔吐やけいれん、意識障害が現れることもあります。

脳血管障害になるメカニズム

脳梗塞は血管の詰まり方で、脳血栓と脳塞栓に分かれます。脳血栓は、脳の太い血管内にできたコレステロールの塊に血小板が集まり、動脈をふさいだ状態。一方脳塞栓は心臓など脳以外の場所でできた血栓が血流にのって脳まで運ばれ、脳の動脈を詰まらせます。

脳出血は、高血圧や加齢などで血管が弱くなり、敗れることで起きる場合が多い。クモ膜下出血は、脳の動脈にできたこぶ状の脳動脈瘤が破れ、頭の表面に近いクモ膜下腔に血液があふれた状態を言います。

脳血管障害の検査と治療法

出血や梗塞の位置を特定するため、まず脳の検査を行います。血圧や脂質異常症、糖尿病の検査も受け、動脈硬化や血管の詰まり具合を確かめます。

脳の検査 CTスキャン、MRI,エコー検査

手足の血圧 ABI検査(足首と上腕の血圧比から、動脈硬化の進行程度がわかる)

脳梗塞の治療には、血栓溶解療法や薬物治療があります。必要な場合は、バイパス手術、カテーテルの血管内治療も。脳出血の場合、血圧コントロールや脳のはれを抑える内科的治療が中心で、血腫を取り除くために手術を行うこともあります。クモ膜下出血はクリッピング術やカテーテルによる血管内治療を行います。述語もリハビリや食事療法を続け、改善していきます。

 

その他(婦人科系、呼吸器系)

肥満は不妊症や乳がん、子宮がんなどの女性特有の病気や睡眠時無呼吸症候群など、ニュースでよく効くような病気にも関係しています。

婦人科系の病気

肥満症になるとホルモンバランスが崩れ、不妊症や生理不順などの病気も招きます。脂肪細胞はアディポネクチンと言うたんぱく質を作りますが、肥満になるとその機能が低下します。アディポネクチンが減ると、卵巣の皮が厚くなって卵子がうまく排出されなくなります。

排卵は脳の視床下部、脳下垂体、卵巣の3つが連携し合って行われています。また、肥満んのまま妊娠すると産道に脂肪が付き、出産時のリスクが高くなります。さらに子宮がんや乳がんにもかかわってきます。

呼吸器系疾患

睡眠時無呼吸症候群とは睡眠時に突然呼吸が止まるという病気。その結果満足な睡眠を得られず、日中に注意力散漫となり、居眠りしてしまいます。交通事故の原因としてニュースなどで聞いたこともあるでしょう。

肥満によって気道が狭くなっていることが原因。気道周りの脂肪細胞が沈み込み、浅い呼吸・無呼吸が10秒以上起こってしまいます。あごが小さい・首が太くて短い人は要注意です。中高年の男性に多い病気とされます。

 

まとめ

生活習慣病の諸悪の根源は動脈硬化ですが、肥満は糖尿病、高血圧、脂質異常など他の生活習慣病を引き起こすし、他の生活習慣病がある場合に肥満になると、更に症状が重症化します。

肥満症、特にメタボリックシンドロームの場合は、体全体の健康障害を改善することが重要。病気に気づいてからでは治療は大変です。普段の生活を注意して予防するためにも、それぞれの病気について理解を深めておくことが大切です。

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