ナースほど誇れる仕事はありません

健康を大切にしたい方へ贈るひとりごと

緩和ケア病棟の看護師を目指すあなたへ~がん患者を看取るということ

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緩和ケア病棟の看護師となってから、多くの患者さんが亡くなりました。ガンそのものの治療はしない終末期の患者さんばかりで、痛みや死への恐怖を和らげることを目的とし、患者さん自らの希望で入院される。

緩和病棟に来られるまでの治療は、患者さんによって様々です。副作用に対する恐れから、放射線抗癌剤、手術と言ったオーソドックスな治療を一切してこなかった方。あるいは、それら考えられる治療を繰り返してきた方…

人が亡くなっていく過程の大変さを実感したなか、治療における副作用の有無をどう考えるか、緩和ケアを看護師として全身全霊つくせたか。など、書き留めました。これが、これから緩和ケア病棟の看護師を目指したいあなたに、何かしらのメッセージとして届くことを願って止みません。

 

緩和ケアの取り組み


緩和ケアの取り組みは病院によっても違いますが、患者さん自身の選択によっても治療方針は異なります。

・治療もするが、主体は苦痛の緩和
・治療はせず、苦痛の緩和のみ

それぞれの選択をされた患者さんをみていると、緩和ケアのあり方について深く考えさせられる。元気な時と、病気になってからでは考え方も違ってきます。良いことばかりの治療はなかなかないものです。

*余命が幾ばくもない患者さんへの看護や看取り、心身の様々な苦痛に対応する専門病棟。


緩和ケアをする看護師として、患者さんがどんな思いで、緩和病棟にこられるまでの治療をされていたのか、思いは複雑です。

緩和病棟に入院されるまでの治療

大きく分けて、次の3つのパターンがあります。

《オーソドックスな治療を繰り返した
手術、放射線治療、抗癌剤、などがんと診断されてすぐに、これらのオーソドックスな治療を繰り返してきたが、回復が見込めない。

《治療はしたが、ある程度のところで見切りをつけた
オーソドックスな治療を続けていたが、回復は思わしくなく、副作用が怖いのでそれらの治療は辞めた。

《がんと解ってすぐに緩和治療を選んだ、あるいは放置した
副作用が怖いので、オーソドックスな治療は拒んだ。気功、食事療法、免疫療法などを選んだ。

 


何が正しい選択なのか、誰にもわからないのがツライ

初期に発見されたがんでも、「辛い治療はしたくない」と何もせず放置されていた方。見つかった段階で治療を始めていたら、回復、完治さえ期待できたかもしれません。

手術をして失われる機能も、広い意味では副作用です。手術で失われる機能があるなら、と緩和治療を選ばれた方。

何もしないよりは、とできうる限りの治療を繰り返し続けてきた結果、どれも思わしくなかった。という患者さんも。

患者さんが決めること

どの選択も、最終的には、患者さん自身が決めることです。しかし、副作用が怖くて必要な治療を受ける機会が有ったにもかかわらず、生命を縮めてしまった患者さんや、「副作用が無い」というだけで効果の期待でき無い高額の治療を続ける患者さんを見ると、やりきれない思いも。

気持ちの持ちようだから、といえばそれはそうなのですが。

副作用のリスクと治療

がんが見つかった時点で、既に手遅れと言う事態も起こりえます。手術も抗癌剤も、放射線も手の施しようがない。

効果が強い薬ほど、副作用も強くなる傾向がある。作用と副作用について、きちんと知らせることが大事です。効果ばかりを強調する医師も、副作用の問題ばかり取り上げるマスコミも、五十歩百歩でしょう。

安全であることと副作用

期待する作用と、避けたい副作用を比較して、それを使わなくてもいずれは回復するのであれば、使わなくても良いです。しかし、致死的な病気の患者さんにとって、副作用には寛大にならざるを得ません。

安全であること、副作用をさけることを優先していては「副作用のリスクが有っても、治療をするしか無い」という患者さんの決断は生かされなくなってしまいます。

 

緩和ケア病棟も慌ただしくなってきた

緩和ケア病棟への在院日数は、以前に比べ短くなってきています。国も在宅で最後を迎えるよう、在宅関係の医療点数を高くしたり、在宅での死を希望する患者さんも多いのです。

緩和ケア病棟を医師に紹介してもらえなかった、本人が希望しなかった、などもその理由のひとつです。

基本は在宅で、痛みなどの症状が強まってきた時、痛みを緩和する目的での入院が増え、週単位の入院で最後の看取りに備えている、といえます。


緩和病棟の看護師を希望するあなたへ

急性期病棟並みに、入退院が慌ただしくなってきた、という傾向もあり、緩和ケアに関わる看護師を「ゆったり、じっくり」看護ができる、と言うイメージで選ぶのは辞めたほうが良いです。

まとめ

余命がわずか、治療をどうするかの決断をするのは患者さんです。あらゆる手を尽くそうと戦う方、ただただ穏やかに残された日々を過ごしたい、と緩和治療を望まれる方。

全力で患者さんと一緒に戦う医師や看護師もいる傍ら、効果は期待できないけれど、副作用もないから、と高額な治療を続ける医師もいる。正直やりきれないこともあります。

緩和病棟の看護師として、患者さんとどう向き合うか。複雑な思いも多々ありますが、患者さんの思いを尊重して、叶えられる看護を目指していくだけです。

 

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