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ナースダイアリー・超忙しい看護師のひとりごと

パーキンソン病治療方法~薬で症状が改善!iPS細胞の利用も

運動の指令を調節する、脳の中のドパミンが減少することで起こるパーキンソン病は、薬での治療がとてもよく効きます。パーキンソン病の3つの治療方法、薬、手術、将来期待されるiPS細胞の利用についてお伝えします。

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パーキンソン病3つの治療方法

パーキンソン病は薬によってドパミンを補うことで、運動の症状を改善することが可能です。その他、症状を改善するため、脳の奥に装置を埋め込む手術や、将来的にはiPS細胞の利用も期待されています。パーキンソン病の治療に使われる薬の種類や使い方、手術の方法と効果、iPS細胞の研究についてまとめました。

 

薬での治療がよく効く病気

パーキンソン病は運動の指令を調節する、脳の中のドパミンが減ることで起こるので、薬でドパミンを補うと運動の症状を改善します。手の震えなどの症状はかなり抑えられ、発症して2~3年は治ったのではないかと思うくらい良くなります。

慢性的な脳の神経の病気で、薬でこれほど症状が改善する病気はありません。病気の進行後も、適切に薬を組み合わせることで10~15年、それ以上の期間自立した生活を送ることも期待できます。主な薬はレボドパドパミンアゴニストの2種類です。

レボドパ(L-ドパ)

脳内でドパミンに変化し、ドパミンと全く同じ働きをします。効き目が強い半面、持続時間が短いため、1日3回程度服用するのが基本です。レボドバを長く使っていると、ウェアリングオフという現象や、ジスキネジアという不随意運動が現れることがあります。

ウェアリングオフ 薬の効果が早く切れて、症状を抑えにくくなる

ジスキネジア 薬が効きすぎて、首や肩、手足などが自分の意志とは無関係に動く

レボドパが向く人

  • 症状が中等以上や仕事などの事情により、早く症状を改善したい人
  • 高齢者は軽度でもレボドパを使用(ドパミンアゴニストで幻覚や認知機能障害などが現れやすい)

ドパミンアゴニスト(ドパミン受容体刺激薬)

ドバミントと似た物質で、脳の中でドパミンの働きを補強する作用があります。効き目は弱いですが、効果は長続きし徐放剤(体内に入ってから樹所に薬が吸収され得るように加工されている)や貼り薬は長く作用するので、1日1回です。

吐き気、眠け、幻覚などの副作用が起こりやすくなります。

ドパミンアゴニストが向く人

  • 軽度の人
  • 40才以下の人(レボドパを使うと、ウェアリングオフやジスキネジアが起きやすくなる。しかし効果が弱いので、3年ほどでレボドパとの併用が必要)

その他に併用する薬

マオB阻害薬、COMT阻害薬 ドパミンの効きを長くする

ドパミン遊離促進薬 脳の黒質の神経細胞からのドパミンの放出を促す

抗てんかん薬、アデノシンA2A受容体拮抗薬 ドパミンとは別のところに働き、症状を改善

パーキンソン病と診断されたら薬を早く使う

パーキンソン病と診断されたら、薬は迷わず使います。生活に不自由がある症状が出ていればなおさら必要です。以前は、早くから薬を使うと、早く効かなくなる、進行しやすいと言われていました。しかし、最近の研究では薬を早く使うことで、悪影響が出ることはまず無いと、されています。

運動以外の症状

軽いうつや認知機能障害の一部には、レボドパやドパミンアゴニストが有効です。その他の場合には、症状に応じた薬をつかう、生活習慣の改善などで対処します。レビー小体型認知症を合併している場合は、その進行を抑える薬を使用します。

 

深部脳刺激療法(手術)

脳の奥の、運動の指令の調節に関係する場所に電極を埋め込み、更に胸の皮膚の下に刺激発生装置を埋め込み、電極と刺激発生装置を皮膚の下に通したコードでつなぎ、弱い電流を流して脳を刺激し、症状を改善する方法です。脳の電極の手術は原則1回です。

刺激発生装置のバッテリーは、5年ほど立ったら、簡単な胸の手術をして交換します。最近登場した充電式のものでは、約10年で交換します。

手術が検討される場合

ウェアリングオフやジスキネジアが頻繁に起き、薬で抑えるのが難しい場合に手術が検討されます。手術後はウェアリングオフが起きにくくなり、電極を埋め込む市によってはジスキネジアも出にくくなります。薬も減らすことが可能ですが、全く要らなくなるわけではありません。

50~60歳代の人は特に効果が大きく、仕事などの活動の幅が広がります。しかし、高齢者では、手術時に脳出血などの危険が高まることもあり、慎重に検討する必要があります。日本でも近いうちに、腸に細い管を通してレボドパを持続的に注入する手術が、始まる可能性があります。

 

iPS細胞の利用

様々な細胞に分化する能力を持つiPS細胞、これを黒質の神経細胞に分化させて移植する研究が進められています。再生医療は研究が進み、パーキンソン病iPS細胞バンクの構築の成功など、のメディア発表もあります。

この方法では、脳内でドパミンを作る細胞自体を増やすので、薬を超える効果が期待され、また薬の作用を助ける効果も期待できます。症状が進行した患者さんを対象に、臨床研究が始まる予定です。

iPS細胞をどのように利用するか

iPS細胞は、

  • 患者さんの血液から新しく作る
  • 血液細胞から作成されて、すでに保存しているものを使う

方法の2種類が検討されています。保存されているものを使う場合は、拒絶反応の起こらないものを選びます。

iPS細胞をドパミンを作る黒質の神経細胞にして、脳に移植する治療の研究が進んでいます。また、iPS細胞から作成した神経細胞を、パーキンソン病の原因解明や、新薬の開発に応用することも可能です。

参考:メディア発表等

ヒトiPS細胞の高効率な神経分化誘導方法の開発とパーキンソン病iPS細胞バンクの構築へ

~パーキンソン病の病態研究・再生医療を促進~

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ヒト末梢血から作製したiPS細胞を効率的に神経幹細胞に誘導する技術を開発し、神経難病を解析する病態モデルを構築することに成功しました(Stem Cell Reports誌に論文発表)

出典: 日本医療研究開発機構(JST)>プレス一覧>共同発表(2015年度) 平成28年2月19日 /pr/announce/20160219/

京大でのパーキンソン病臨床研究の開始時期は2016年~2017年に見直されました。

 iPS応用の計画後ずれ 京大、パーキンソン病1年iPS応用の計画後ずれ 京大、パーキンソン病1年

iPS細胞を使って難病を治療する臨床応用が遅れている。京都大は11日、神経の難病のパーキンソン病を治療する研究について実施を1年ほど遅らせることを明らかにした。文部科学省の専門家会合が同日示した臨床応用の工程表案でも、ほとんどの計画が1~4年先送りするとされた。

 iPS細胞の備蓄・供給体制が整備されたことを踏まえ、計画を見直すことにした。

 iPS細胞は傷ついた組織や臓器を治療する再生医療の切り札とされる。応用を進めるにあたっては、臨床研究から法律に基づいた臨床試験(治験)に進むか、最初から治験に入るかの2通りがある。

出典: 日経Web刊 2015年11月11日 article/DGXLZO93865280R11C15A1CR0000/

参考: 京都大学IPS細胞研究所 CiRA(サイラ) newsletters/201417/  パーキンソン病治療にむけて

参考: 日本神経学会 パーキンソン病治療ガイドライン2011

※薬の使用や治療は、医師の指示に従って行うことが必要です。こちらでご紹介しているものは、現時点での一般的なもので、どなたにも当てはまるわけではありません。また、新薬の登場や新しい治療法等で現在の治療法と相違してくる場合もあります。

 

まとめ

薬や手術でパーキンソン病の症状を抑えることができても、黒質の神経細胞の減少をとめたり、病気の進行を防ぐ方法はまだありません。ips細胞を利用した再生医療や、新薬の開発など様々な研究が進んでいます。将来は根治を目指した治療法の開発が期待されています。

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