一酸化炭素中毒、低温やけどなど、暖房器具による事故が起こりやすい季節になりました。一酸化炭素中毒事故は死亡率が高く、12月が最も多いです。暖房で頭痛やめまいが現れたら、まず部屋の換気!冬の事故の危険や症状、対処法をお伝えします。
正しい知識で冬の暖房事故を防ぐ
暖房器具の不適切な使用で一酸化炭素中毒や低温やけどなど、思わぬ事故が起こることもあります。
一酸化炭素中毒は、ファンヒーターなどの不具合、囲炉裏や火鉢、石油ストーブなど暖房の使用などで起こりやすいです。また、バーベキュー用のコンロなど、屋外で使うものを室内で使うことも危険です。
一酸化炭素中毒事故を防止するには、
- 十分な換気
- 定期的な点検と清掃
- 適切な使用
がポイントとなります。
また、一酸化炭素を感知する警報機の設置も有効です。
湯たんぽ、カイロ、こたつ、電気カーペットなどによる低温やけどにも注意が必要です。
平成23年から平成27年までの5年間の一酸化炭素中毒による事故 月別発生状況
出典:東京消防庁
一酸化炭素中毒
閉めきった部屋で暖房器具を使っていて、頭痛やめまいの症状が現れたら、まず部屋の換気をしてください。
最近の住宅は気密性が高いので、不完全燃焼で一酸化炭素が発生すると酸素不足を招き安く、酸素が全身に行き渡らくなり、一酸化炭素中毒を起こしやすくなります。
暖房器具の他にも、オーブンや湯沸かし器などの使用、車庫で車のアイドリングなどでも一酸化炭素中毒が起こる場合もあります。
一酸化炭素中毒は死亡率が30%ともいわれ、助かっても長い間記憶障害や人格障害などに悩まされることもあるので、予防することが大切。
万が一、一酸化炭素中毒が起こった場合は、まず部屋の換気をして、早急な対処が必要です。
起こるメカニズムと特徴、症状
赤血球中のヘモグロビンは、酸素と結合し、酸素を全身に組まなく運ぶ役割を果たしています。しかし、一酸化炭素がヘモグロビンと結合する力は、酸素が結合する力の200倍も強いので、酸素が十分にない状態で燃焼すると、
- 不完全燃焼が起こり一酸化炭素が発生
- 一酸化炭素を吸うと、赤血球中のヘモグロビンと結合する
- 酸素不足を招く
その結果、酸素が全身にいきわたらくなってしまいます。
特徴
一酸化炭素は無味無臭の気体です。部屋に充満しても気づきにくく、同じ部屋で同時に複数の中毒患者がでやすい。ペットや胎児にまで影響が出ることがあります。
症状
一酸化炭素中毒の症状は、頭痛、めまい、吐気などから始まり、痙攣や意識障害を起こし、生命に関わることも少なくありません。
頭痛、めまいはよくある症状ですが、暖房器具を使っている場合は、一酸化炭素中毒が疑われます。一緒にいる人にも症状がないかどうか確認することが大切です。
濃度が高くなるほど短時間で激しい頭痛などが起こり、死亡に至ることもあります。高齢で貧血や心臓の病気、呼吸器の病気などがある場合は、更に短時間で様々な症状が起こります。
空気中の一酸化炭素濃度と症状
0.02~0.03%: 5~6時間で頭痛、耳鳴りなど
0.03~0.06%: 4~5時間で激しい頭痛、吐気など
0.07~0.10%: 3~4時間で頻脈、意識障害など
0.11~0.15%: 1.5~3時間で昏睡、意識障害、失禁など
0.16~0.30%: 1~1.5時間で呼吸微弱、心機能・血圧の低下、ときに死亡
0.50~1.00%: 1~2分で呼吸障害、死亡
出典:東京消防庁
住宅で起きる一酸化炭素中毒事故に注意 PDF
予防と対処
暖房による一酸化炭素中毒を予防するのに、最も大切なのは部屋の換気です。
空気の流れができるように、窓を2箇所開けたり、窓を開けて、換気扇を回すなどすると効果的です。
ストーブやファンヒーター、火鉢などを使用するときは、2時間に1回、5分程度窓を開けて換気をすることを忘れないようにしましょう。
対処法
頭痛やめまいなどがあり、一酸化炭素中毒が疑われる場合は以下のように対処します。
暖房器具を止め、窓を開けて部屋の換気
換気して新鮮な酸素を供給することが重要です。暖かい毛布をかけるなど、体を温めます。
意識・呼吸の確認
軽く肩を叩きながら呼びかけ、意識があるかどうか、また、呼吸をしているかどうかを確認します。意識がない場合は、舌が喉に落ち込んで気道を塞ぐ危険があるので、気道の確保を。
救急車を呼ぶ
意識、呼吸が確認できなければ救急車を呼びます。判断に迷った場合も119番通報を。
心肺蘇
呼吸がない場合、判断に迷った場合は、救急車が到着するまでの間、心肺蘇生を続けます。
気道の確保
喉の奥を広げて舌の落ち込みを防ぎ、空気を通りやすくします。嘔吐がある場合は、横向きに寝かせることが大切です。
- 片手を額にあて、もう一歩の手の人差し指と中指の2本を下あごの先(骨のある硬い部分)に当てる
- あごを持ち上げ、頭を後方に反らせる(鼻の孔が真上を向く程度まで)
左:舌(白い部分)の付け根が喉に落ち込み気道を塞いでいる
右:気道の確保により、舌の付け根が持ち上がり、気道が開通
出典:久留米市広域消防本部
www.fire-city.kurume.fukuoka.jp/fire/dousuru/teate/kido-kakuho.htm
◆心肺蘇生の手順は以下のホームページで確認できます。
※心肺蘇生の方法は、5年に1度見直しが行われ、平成28年7月から、新しいガイドラインに基づく応急手当の講習が開始されています。救命講習を受けたい場合は最寄りの消防署に問い合わせてみましょう。
低温やけど
暖房による事故は、一酸化中毒だけではありません。低温やけども起こります。高温によるやけどではなく、40~60℃の温度でやけどすることを低温やけどと言います。
長時間、体の同じ部分に湯たんぽやカイロ、こたつ、ホットカーペットなどの熱が当たり続けることで起こり、当たっていた時間が長いほど重症化します。
症状と起こりやすい状況
最初は少し赤くなり、小さな水ぶくれができる程度で、ヒリヒリした感じがするだけですが、放射状に熱がじわじわと皮膚の奥にまで伝わっていきます。
時間とともに皮膚の奥深くまで、また広い範囲に渡ってやけどをします。治療をしてもなかなか治りません。起こりやすい状況は以下のような場合で、注意が必要です。
寝ている間
湯たんぽや電気毛布の熱が、体の同じ部位に長く当たることで起こります。飲酒後にこたつで寝てしまうのも危険です。
高齢者
皮膚が薄くなったり、感覚が鈍くなっていることにより、低温やけどを起こしやすく、治りにくいと言われています。
糖尿病のある人
下肢の感覚が鈍くなっていることが多く、やけどをし易いと言われます。
対処と予防は?
低温やけどが疑われたら、
- 水ぶくれを潰さない
- 自己判断で薬を塗らない
などを心がけ、必ず医療機関を受診することが大切です。
予防には
湯たんぽはカバーをしていても火傷をすることがあります。布団が温まったら取り出します。
電気アンカや電気毛布も、温まったらスイッチを切ります。カイロは長時間同じ場所に使わない、寝るときには使わないことが大切。
少しでも熱いと感じたら使用をやめることなども重要なポイントです。
まとめ~暖房は部屋の換気をしっかり
寒くなると出番が多い暖房器具ですが、使用に当たっては部屋の換気に注意し、器具の点検清掃、使い方に気をつけることで、一酸化炭素中毒や低温やけどなどの事故を予防することが可能です。
特に高齢者がいる場合は、家族などの見守りも重要です。
暖房している室内で頭痛やめまいなどが現れたら、まず部屋の換気をしてください。室内で倒れている人を発見したりした場合は、換気をした上で呼吸や意識の確認、119番通報、心肺蘇生などの対処を。
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