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肩の痛みの原因は肩の腱板に開いた孔!肩腱板断裂の治療

肩の痛みや動きに支障があると、50肩が疑われることが多いですが、肩の腱板に開いた孔が原因の肩腱板断裂という病気かもしれません。肩腱板断裂について、50肩との違いや治療方法などお伝えします。

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肩腱板断裂とは

肩の腱板に擦り切れるように孔が開き、痛みが生じる病気です。腕の外側が痛む、腕を動かすと痛む、夜眠れないほど痛む、など50肩と共通した症状が現れます。また、腱板に孔が開くことで肩の関節が不安定になり、腕を上げる動きに支障が起きます。

腕をあげられることもありますが、重いものを持ち上げられない、ジョッキを持ち上げて乾杯ができない、など力が入らないという場合もあります。

50肩は痛みのない側の手で補助しても、痛い方の腕を上げることができなくなりますが、肩腱板断裂の場合は、肩の力を抜き、痛みのない側の手で補助すると、腕をあげられることが多いです。

診断と治療

肩腱板断裂かどうか、視診、触診が行われ、MRI検査をして確定診断します。

視診、触診では肩の筋肉の状態や動きの制限の有無などが確認され、確定診断のためにMRI(磁気共鳴画像)検査が行われます。

MRI検査では、水が白く(高輝度)映る条件で撮影すると、腱板は黒く(低輝度)映り、断裂している部分は、関節液が入り込むので白く(高輝度)映ります。

肩関節と腱板

肩の関節は主に上腕骨と肩甲骨からなり、上腕骨と肩甲骨をつなげているのが腱板と言う板状の腱です。腱板は4つあります。

棘下筋腱(きょくかきんけん)、小円筋腱 
肩関節の後ろ側にあり、腕を外側に回すときに働く

肩甲下筋腱 
肩関節の前側にあり、腕を内側に回すときに働く

棘上筋腱(きょくじょうきんけん) 
肩関節の上部にあり、腕を上に上げるときに働く。最も断裂しやすい部位

肩腱板断裂が起こる原因

肩を強打した場合などに腱板が完全に切れることもあります。殆どの場合は、靴下が摺り切れるように腱板がすり切れ、孔があいたような状態になります。起こりやすいのは、

  • 重い荷物を持つ仕事などで肩を酷使している
  • 転倒などによる外傷がある場合

などで、男女差はなく、利き腕の肩にやや多く発症します。60歳代から発症する人が増え始め、80歳代では、約3割の人に見られます。

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出典:日本整形外科学会

治療法

一般的には、まず痛みを和らげる薬物療法から始め、痛みが改善した場合は運動療法、改善しない場合は手術を検討します。運動療法で動きが改善しない場合も手術を検討します。

肩腱板断裂が起こっていても、症状が現れないこともあり、基本的には症状がなければ治療の必要はありません。しかし、開いた孔が自然に塞がることはなく、加齢とともに進行しやすいので、肩腱板断裂が見つかった場合は、経過観察が必要です。

半年~1年に1回程度、検査を受け腱板の状態を確かめましょう。その間、運動療法を行って腱板を強化しておくと、肩の機能低下を予防することも可能です。

薬物療法

炎症を抑え、痛みを和らげるために薬物療法が行われます。

  • 消炎鎮痛薬(内服薬、貼付薬)
  • ステロイド薬(肩に注射)
  • ヒアルロン酸(肩に注射)

7~8割の患者さんは、薬物療法で炎症が抑えられ、痛みが和らぎます。痛みが改善されたら運動療法を開始しますが、動きが改善しない場合などには、手術が検討されます。

運動療法

腱板に一度孔が開くと、自然に塞がることはありません。孔がさらに大きくなるのを防ぐために、運動療法で腱板周辺の緊張をほぐしたり、腱板を鍛えたりして、断裂した腱板への負担を減らすことが大切です。

運動療法は、開始してもよいかどうか、医師に確認し、指示にしたがって行います。運動中に痛みが出た場合は、すぐに相談します。ストレッチ→ゴムバンド体操→クーリングダウンを行います。

ストレッチ 
腱板が肩甲骨の一部である肩峰に圧迫されて痛むのを防ぐため、腱板と憲法の衝突を和らげます。

  • 背筋を伸ばして立ち、両腕を体の後ろに回す
  • 痛みのある側の手首を反対側の手で掴んで真下に下げる
  • 5秒間キープしたらもとに戻す
  • 3~5分間繰り返す

朝夕など1日2~3回行う

ゴムバンド体操 
腕を外側や内側に回したり、上に上げたりする動きをスムーズに行えるよう、腱板につながる、棘下筋、小円筋、肩甲下筋、棘上筋を鍛えます。それぞれ1回3分間 1日2~3回行います。

◆外側へ向けて力を入れる(棘下筋、小円筋を強化)

  • 姿勢をただし、両手でゴムバンドを持ち、両腕を90度に曲げる
  • 脇を締め、痛みのある腕でゴムバンドをできるところまで外側に、ゆっくり引っ張る
  • 5秒間キープしもとに戻す

 

◆内側へ向けて力を入れる(肩甲下筋を強化)

ゴムバンドを後ろに通して両手で持つ(親指を上に向ける)

  • 脇を締め、腕を約90度に曲げ、ゴムバンドを痛みのある腕の肘に引っ掛ける
  • 痛みのある腕でゴムバンドをできるところまで内側にゆっくり引っ張る
  • 5秒間キープし、もとに戻す

(椅子に座った姿勢で行っても良い)

 

◆上に向けて力を入れる(棘上筋を強化)

  • 痛みのある側の足でゴムバンドの端を踏む
  • 痛みのある側の手でゴムバンドの反対側をもつ
  • 体の斜め前に腕を出す
  • そこから腕を横方向に約45度あげる
  • 5秒間キープしもとに戻す

 

ストレッチ、ゴムバンド体操が終わったら、クーリングダウンを忘れずに。

  • 両腕を自然におろした状態で、肩を軽く回す運動を行う。

手術

薬物療法や運動療法を行っても肩の痛みや動きが改善せず、日常生活に支障がある場合は、手術が検討されます。断列した腱板を上腕骨の骨頭に繋いで修復する、腱板修復術が行われます。直視下手術、関節鏡下手術がありますが、現在は関節鏡下手術が多くの医療機関で行われています。

関節鏡下手術 
肩に1cmほどの孔を数か所明け、関節鏡を挿入して行います。 手術時間は直視下手術と比べるとやや手術時間が長くなりますが、傷跡は小さくて済みます。

直視下手術 
肩の一部を切開して断裂部位を直接見ながら行います。 断裂部位が大きい場合や、全身状態の関係から、麻酔時間を短くしたい場合などに適しています。

リハビリテーション

手術後数週間は腱板をしっかり固定しておく必要があるので、多くの場合は入院が必要になります。退院後は低下した筋力を回復されるため、通院でリハビリテーションを行います。

手術後の腱板の強度は、断裂部位の大きさや、患者さんの年齢などにより異なり、個々の患者さんに応じたリハビリが必要です。担当医の指導を受けて行います。一般的に手術後腱板が上腕骨にしっかりと固定されるまで、約半年かかるとされています。

日常生活では無理に肩を動かすと、再び腱板が断裂する恐れがあるので、水泳やテニスなどのスポーツは控え、腱板に負担がかからないように生活することが大切です。

 

まとめ

50肩と同じような肩の痛みがおこる肩腱板断裂の治療は、まず痛みを和らげる薬物療法から行います。肩腱板断裂があっても、痛みや動きが悪いと行った症状がなければ治療の必要はありませんが、定期的に進行をチェックすることが大切です。

運動で筋力をつけ、動きを良くすることも大切。生活の質が低下しないよう、普段から心がけたいですね。

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