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健康を大切にしたい方へ贈るひとりごと

気づきにくい高齢者の冬の感染症、家族も一緒に予防の取り組みQ&A

寒さとともに感染症の流行が気になる時期です。今年はインフルエンザワクチン不足で、不安に思う方も多い。今回は特に高齢者について、家族などにも知ってほしいインフルエンザなど冬の感染症予防のQ&Aをお伝えします。 

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注意したい高齢者の感染症

西日本を中心にインフルエンザの患者が増え始めているそうです。

例年子供や高齢者、受験生などインフルエンザワクチンの摂取を希望する人は多いですが、今年はワクチン不足で、接種時期はワクチンの入荷待ち状態の医療機関も。

しかし、慌てて摂取する必要がない場合もありますので、必要な人から受けられるよう接種時期は医師と相談すると良いでしょう。

気になるインフルエンザワクチンの不足、予防接種についてのニュースは後半でお伝えするとして、特に高齢者が注意したい冬の感染症、インフルエンザと肺炎、ノロウイルスについて予防の取り組み方や、病気の特徴などQ&A形式にまとめました。

高齢者の感染症は気づきにくいことも少なくありません。本人の自覚がないことも多いです。家族も知識を持って、感染症の予防、重症化を防ぐ取り組みをして欲しいと思います。

 

感染症の予防はできることから一つずつ

インフルエンザやノロウイルスの感染自体を完全に防ぐことは、残念ながらできません。

しかし、少しずつでも予防のために良いことを行い、感染のリスクとなることは少しずつでも取り除くと言った対策を、できることから一つずつ組み合わせていくことで、全体として予防の制度や効果を高めていくことは可能です。例えば

  • 日常的に健康管理を意識して行う
  • ワクチンの摂取を受ける
  • 手洗い・うがいの徹底

などです。

最近では乳幼児に多いRSウィルスによる、おとなの感染も報告されています。高齢者では肺炎を起こし死亡した例もあります。

日頃から感染症予防を意識して生活することで、インフルエンザやノロウイルスだけでなく、他の感染症の予防にも役立ちます。

 

高齢者の感染症予防

高齢者の場合、できるだけ感染症にかからないように注意することも大切ですが、もしかかった場合には悪化させないようにすることも重要です。そのためには、

  • 健康状態を良好に保つ(特に持病のある人は注意)
  • 病気についての正しい知識を持つ(感染しても慌てずに対処できるようにする)

ことが大切です。

高齢者は脱水症状を起こしやすいので、対策用のイオン飲料など普段から用意するようにしておきましょう。

 

インフルエンザQ&A

 

高齢者がインフルエンザにかかるとなぜ危険?

 

高齢者は今までに様々なタイプのインフルエンザにかかったことで、蓄積した免疫があり、実はインフルエンザにはかかりにくいといえるのです。しかし、一旦発症すると重症化しやすいという特徴があります。

 

特に糖尿病、腎臓疾患、ぜんそくなど慢性の病気があると、症状が急激に悪化することもあるので注意してください。

また、高齢者の場合、インフルエンザの特徴的な症状(高熱、関節痛など)が現れないことも少なくありません。

微熱や咳が長引くなどおかしいと思ったときには、肺炎や脱水症を起こしていることもあるので十分注意してください。

 

ワクチン以外に普段取り組みたい予防対策は、どんなものがありますか?

 

普段からバランスの良い食事や、適度な運動を心がけて抵抗力や体力を付けておきましょう。感染症は体の抵抗力が低下するとかかりやすく、かかったときに悪化しやすくなります

 

慢性の病気(持病)はきちんと治療を行い、体の状態をできるだけ良好に維持することが重要です。

手洗い、うがいはインフルエンザや肺炎を確実に防げるものではありませんが、他の感染症の予防にもなります。

マスクは感染予防の他にも感染した人がつけると、周りの人へうつすのを防ぐ効果も期待できます。

腸内環境を整えることも体の健康維持に役立ちます。腸内環境改善の腸活に機能性ヨーグルトや乳酸菌サプリなどの利用もおすすめします。

詳しくは前回の機能性ヨーグルトの種類と効果をお読みください。菌の種類や機能性などについてもお伝えしています。免疫力アップの機能性が表示されている商品もあります。

 

重症化しないようにするには?

 

通常は3~5日間ほど安静にしていれば自然に治りますが、発症後48時間以内に抗ウイルス剤を使うと、早く楽になることが期待できます。

 

こまめな水分補給も忘れずに。

高齢者の場合、特に脱水症を起こしやすいので、こまめな水分補給を家族など周りの人も十分注意してあげてください。

症状はさほど強くなくても、

  • 微熱が続く
  • 咳がなかなか治まらない
  • 元気がない
  • 尿の量が少ない

などの状態が続いている場合は、すでに肺炎や脱水症を起こしている可能性があります。すぐに医療機関で適切な治療を受けてください。

 

肺炎球菌ってなんですか?

 

インフルエンザなどで体調を崩すと、傷がついた気管・気管支・肺の組織から細菌が感染して肺炎(二次性肺炎)を起こすことがあり、この原因で最も多いのが肺炎球菌です。

 

肺炎球菌はありふれた細菌で健康な人からも見つかることがあります。しかし、抵抗力や免疫力が低下している高齢者では、インフルエンザなどで体調を崩すと続いて肺炎を起こしやすくなるのです。

肺炎の原因菌上位10病原微生物

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日本呼吸器学会. 成人肺炎診療ガイドライン2017 p10より

 

そもそもワクチンで感染は防げる?

 

インフルエンザ予防で最も有効なのはワクチンの接種です。およそ2/3の人で発症を抑えたり、症状を軽くする効果があります。

 

合併して起こる肺炎球菌の感染による肺炎の予防には肺炎球菌ワクチンの接種が有効です。効果は同じく2/3くらいです。

インフルエンザワクチンに加え肺炎球菌ワクチンを接種すると、重症化の予防効果がより高まり、その効果は5年以上持続すると考えられていています。

肺炎球菌ワクチンは以下のようなことから、2014年より高齢者に対する定期接種となりました。

  • 肺炎は日本人の死因第3位
  • 肺炎による死亡者の約95%は65歳以上(2015年厚生労働省、人口動態統計による)
  • 高齢になると、肺炎を引き起こしやすくなり、急激に症状が進むことがある

定期接種は受けられる期間が定められています。

肺炎球菌の㍻29年度接種対象者(接種費用の一部を公費負担)

対象者 生年月日
65歳となる方 昭和27年4月2日生~昭和28年4月1日生
70歳となる方 昭和22年4月2日生~昭和23年4月1日生
75歳となる方 昭和17年4月2日生~昭和18年4月1日生
80歳となる方 昭和12年4月2日生~昭和13年4月1日生
85歳となる方 昭和  7年4月2日生~昭和 8年4月1日生
90歳となる方 昭和  2年4月2日生~昭和 3年4月1日生
95歳となる方 大正11年4月2日生~大正12年4月1日生
100歳となる方 大正  6年4月2日生~大正 7年4月1日生

厚生労働省 肺炎球菌感染症

*助成の有無や、助成内容、助成の時期については、自治体によって異なる場合があります。

*対象機関に定期接種を受けなかった場合は、任意接種が可能です。原則自費負担ですが、自治体によっては助成がある場合も。

 

ノロウイルス

 

感染予防にはどのようなことを心がけると良いですか?

 

ノロウイルスに対するワクチンはありません。手洗いを習慣にすることが最大の予防策です。

 

手指についたウィルスの多くは、せっけんと流水で20~30秒ほどかけて丁寧に洗うと落とせます。せっけんがない場合も同じように時間をかけて洗いましょう。

ウィルスは主に調理器具を介して広がります。食べ物からの感染を防ぐのは、普通の食中毒対策と同じです。

貝類を扱ったまな板や包丁をそのまま使うのは止めましょう。かきの生食は感染の可能性があることを十分理解しておいてください。

 

感染してしまった時、重症化を防ぐには?

 

現在ノロウイルスの治療薬はなく、症状に併せて対応しながら回復を待ちます。

 

下痢や嘔吐が続く場合は脱水症を起こすことがあるので、こまめに水分を補給することが大切。電解質を含むイオン飲料などがおすすめです。

受け付けない場合は、口を湿らせる程度でも良いので、回数を多く与えましょう。

下痢や嘔吐は、原因となるウイルスなどを体外へ排出するための正常な反応です。強い下痢止めなどで止めてしまうのは避けます。

  • 尿の回数が少ない、色が濃い
  • 口の中が乾く
  • 皮膚がかさかさになる
  • 元気がない
  • 目がうつろになる

などが見られる場合は脱水症のサインで黄色信号。すぐに医療機関を受診します。家族など周りの人も十分注意してください。

 

感染を広げないための対策は?

 

ノロウイルスは感染力がとても強く、二次感染を起こす危険があります。いつもより意識して丁寧に手を洗うようにしましょう。

 

感染者の嘔吐物や便を処理する場合、ウイルスが広がったり飛び散ったりしないよう、十分気をつけることが大切です。

直に振れないように使い捨てのビニール袋などを着用し、汚れものはポリ袋に入れてしっかり密封してから廃棄します。

また、汚れが付着したところは使い捨ての布や髪で拭き取った後に、家庭用漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)で消毒すると良いでしょう。

 

高齢者の感染はなぜ危険?

 

体力が低下している高齢者では、ひどい下痢と嘔吐で脱水症を起こすなどの危険性がより高くなります。また、窒息や誤嚥性肺炎を起こしたりして命に関わることもあるからです。

 

ノロウイルスに感染すると胃腸炎をおこし、嘔吐、下痢、腹痛、発熱などの症状が現れます。健康な人なら2~3日で回復しますが、高齢者では

  • はいたものを喉に詰まらせて窒息
  • はいたものが気管・気管支に入って誤嚥性肺炎をおこす

などの危険性が高いので十分な注意が必要です。

 

ノロウイルスの感染はどのように起こる?

 

感染経路は「食べ物から」と「人から人へ」に大別できます。

 

食べ物から

ノロウイルスに汚染されたかきなどの二枚貝を生、または十分加熱しないで食べることで感染します。

人から人へ

ノロウイルスは感染者の便や嘔吐物に含まれています。

  • 感染者がトイレの後の手洗いが不十分なまま食品に振れたり、調理したりしたものを食べる
  • 治った人が気づかずに感染源となっている(回復後も通常1~2週間は便からウイルスが排出される)
  • 嘔吐物などを処理するときにウイルスが手についたり、残ったウイルスが空気中に舞い散ったものが口から入り込む

などで感染します。

 

RSウィルス感染症

 

RSウィルス感染症ってなんですか?

 

乳幼児に肺炎などを引き起こす「RSウイルス」は、2歳になるまでにほぼ100%発症するといわれていますが、実は大人や高齢者も注意が必要な感染症です。

 

最初は鼻風邪程度。気管支炎、肺炎 せき、息苦しさ、呼吸が早くなるなどの症状があります。免疫のない1歳までの乳幼児や免疫力が低下している高齢者は、肺炎で死亡することもあります。

咳、くしゃみなどの飛沫以外に、物による感染も起こります。幼少期には何度も発症します。

感染ごとに体内で免疫ができるので、大人が感染しても鼻風邪程度の症状ですが、感染源となって乳児や高齢者に移す可能性があり、予防が重要です。

ワクチン、予防薬はなく、研究者でもまだまだわからないことが多いので、アルコール消毒、清掃、周りの人のマスク着用、手洗い・うがいの徹底を行います。

 

なぜ冬に感染症が流行るのか

冬の感染症、というと真っ先にインフルエンザが思い浮かびます。冬の日本の「気温が低く乾燥した気候」が原因と考えられていますが、実はそれだけでは説明できません。

沖縄では初夏に流行することが珍しくないし、世界ではむしろ暑い雨季に多い傾向も観られます。

インフルエンザの流行には気候以外にも様々な要因*が複雑に影響していると考えられ、結果として「冬に多い傾向」という状況です。

一方ノロウイルス(冬の感染性胃腸炎原因のトップ)の流行は、主な感染源である生かきの旬(11月~2月頃)と関係していると考えられます。

*日照時間、気圧、体の免疫の状態、人の移動、ウイルスの変異など。

 

インフルエンザワクチンの不足について

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「今年はインフルエンザワクチンの製造が昨年を下回っていて、不足…」というニュースが流れるようになりました。本来接種すべき医療従事者も、ワクチン不足から控えているような現状もあるようです。

「とにかくワクチンのある医療機関で…」と皆が先を争って予約をするような事態が起こると、出荷量は現在徐々に増えてはいても、例年インフルエンザの全国的な流行が始まり、需要が高まる11月下旬から12月上旬にかけて、不足が加速してしまいます。

必要性の高い人が予防接種を安心して受けられるよう、皆で考えたいですね。

ちなみにワクチンが不足した原因は

ワクチンの製造に使うはずのウイルスがうまく増殖せず、途中でウイルスを変更したため

だそうです。

 

インフルエンザワクチン摂取は焦らず相談

接種の時期を考えるのにNHKニュースによると、

厚生労働省は医療機関に対し、13歳以上の健康な人には1回の接種で十分な効果が得られることを知らせて、2回接種をしないことや、必要以上のワクチンの発注をしないよう通知したほか、各医療機関では子どもとお年寄り、それに呼吸器などに病気がある人を中心に早めに掛かりつけの医師と相談して接種する時期を相談するよう呼びかけています。

子供への2回目接種焦らなくても大丈夫

「子どもへの2回接種の間隔は4週間ぴったりである必要はなく、それ以上、期間をあけても問題はない。また、高齢者は免疫の持続期間が若い人に比べて短いとされているのであせって早く接種するのではなく、流行がピークを迎える1か月程前に接種するほうが効果は高いと考えられる」と話しています。

そのうえで、「万が一ワクチンを求めて複数の医療機関に重複して予約をすると、ワクチンの見かけの需要が実際よりも高くなってしまい、結果的に必要な人に届かなくなるおそれもあるので重複した予約は絶対にせず、健康な成人については落ち着いてワクチンの供給が安定するのを待ってほしい」と呼びかけています。東亰・足立区和田小児科医院の和田紀之院長談 

NHKニュース

 

まとめ~冬の感染症予防はまず手洗い・うがい

インフルエンザやノロウイルスは、残念ながら完全に感染を予防することはできません。しかし普段から健康管理に務める、ワクチンの接種や手洗いやうがいなどを徹底するなどで、予防の効果を高めることは可能です。

現在のインフルエンザワクチンの不足は不安を煽りがちですが、焦らず医師と相談して接種を受けましょう。

免疫や抵抗力の低下している高齢者の場合、本人が気づかない場合も多く、家族や周りの人の見守りも重要です。

もし感染してしまっても、医療機関を受診するなど早めの対処で重症化しないよう十分注意してください。

「Anのひとりごと」~今日も1ページ