ストレスは、むしろ人間にとって無くてはならないものです。ストレスとは、また、悪いストレスはどのように対処すればよいかを考えてみましょう。ストレスの全くない世界ほど、人間にとってつらい環境はないのです。生きていけません。
ストレスと心の管理
ストレスとは、緊張や不安やイライラなどの精神的圧迫を、心に与える外部からの悪い刺激を刺すのが一般的で、ストレスは悪者とされていますが…
ストレスとは本来「何らかの外からの刺激により、生体に引き起こされるひずみを指す物理用語です。ストレスの原因となるものをストレッサーといいますが、気温や酸素の濃度等、世界にある、ありとあらゆるものが人間にとっては刺激となり、広い意味では、何でもストレスの原因、ストレッサーになるのです。
喜びも広い意味でのストレス、運動も人為的なストレスです。良いストレスがあると、病気になりにくく、治りも早い。大笑いをすることで免疫力が高まります。これらのストレスがあるから、生きているという実感を持っているのです。
病は気から
同じストレスを受けても、人によって受け取り方は千差万別です。ストレスを上手に発散させて、短い間に処理できる人と、いつまでも抱え込み、ストレスを自分で大きくしてしまう人が居ます。
気持ちの持ちようが下手な人は、体調を崩しやすく、気持ちをコントロールできる人は元気です。偽薬(プラセボ)を使った実験でも証明されています。
近代医学と祈祷、どちらが早くなおったか
ハーバード大学で、風邪をひいた学生を、近代医学で治療するグループ、祈祷師を呼んでお祈りで治すグループに分けた実験をした所、お祈りグループのほうが早く良くなったという結果がでました。
精神状態が悪いと、視床下部から下垂体、副腎皮質という経路を辿って、免疫系に悪影響をおよぼすだけでなく、自律神経を介して直接リンパ球の動きを阻害する、というダブルパンチを受けます。
逆に精神的に活性化された状態では、免疫系は活発に働き、元気もでます。
気の緩みも体調を崩す
週末になると風邪をひく、暇になると風邪をひく、という現象はよく起こります。これも気の緩みから免疫力を低めて体調を崩すのが原因です。
忙しい人が風邪を惹かないのは、風邪なんかにかまっていられないため、本人が気づかないうちに治っているわけです。精神力と気力、ですね。
体調の良し悪しは精神的なものがかなりあるということです。例えば、日頃から職場に不満があると、ちょっと熱がでたくらいで重症感が強く、寝込んでしまう。反対に風邪で具合が悪く寝込んでいた時に、地震や家事が起こると、テキパキと動ける。そういったことです。
風邪ほど病気の半分は気の持ちよう、という事実を如実に表す病気はありません。
ストレスをエネルギー源に変える
ストレスは付き合い方次第で、プラスに変えることが可能です。良い例がオリンピックでメダル獲得を期待されている選手。
プレッシャーは相当なもので、精神的なストレスが大きくのしかかっていることでしょう。
しかし、このプレッシャーを良い方向に持っていけば、自分の力を出し切って結果をもたらすことができます。
一方、プレッシャーに押しつぶされてしまうと、本来の力を出し切れず悔しい思いが残ってしまいます。
「ストレスは人間が活動するときのエネルギー源である」(ストレス学説の生みの親、セリエ博士)
ストレスを積極的にエネルギー源として活用することが大事です。
嫌なことは忘れる
「人間は忘れることができる動物」だから生きていける。
嫌なことをグジグジいつまでも悩んではいけません。解決できないからグジグジしているので、自分ではどうしようもないことです。
どうせ考えてもどうにもならないことは、ケセラセラ、なるようになる、時間が解決する、と割り切ってしまうこと。
一度結論を出したら、それ以上は考えない。それで立ち直れるものです。
転化
転化とは、嫌なことをうまくやりすごして、プラスに変えていくことを言います。ストレスに強い、弱いは、転化が上手か下手か、ということです。
ストレスの発散をどううまくするか、あるいはストレスのもとを断ち切るかのどちらかです。転化の方法は人それぞれ。自分はどんな方法ができるのか、考えてみましょう。
お酒に走るのは心が弱い証拠。アルコールで紛らわす習慣をつけると、肝臓がやられ体を壊します。お勧めはスポーツ。
エネルギーが発散されれば、ストレスや嫌な気分も吹き飛び、爽快な気分になります。これが人間の体のメカニズムだからです。
何も考えずに運動ですっきりすることは、心にも体にも良いことです。
ストレスは自分の胸の中でため込まず、吐き出して発散しましょう。
例えば嫌な上司の悪口を、友人に思いっきりしゃべってしまうことでもよいし、テレビを見て大笑いするのもよし。世渡り上手な人は、ストレスの解消が上手です。
自分だけのストレス発散法をみつける
カラオケで歌いまくる、読書する、瞑想するなどで気分転換をする人もいます。自分が元気になる方法は、何があるのか考えてみましょう。
あなたのオリジナルの気分転換法を探すことも大切。
いずれにしても、いつまでも悩みにこだわっていてはいけません。ほかのことに目を向けトラブルから遠ざかることも必要です。
ストレスマネジメントで、自分のストレスに気づき、解消していく具体的な行動を起こすことも大切です。
ストレスがなぜからだに悪いのか
ストレスが溜まってからだに悪い影響が出る仕組みは、以下の様なものと分かっています。
- からだにストレスが加わると自立神経の中枢を司る、脳の中の視床下部から、脳やからだに指示が出てストレスに順応できるよう、身体を守るための準備が始まる。
- →視床下部から、副腎髄質に作用し、アドレナリンなどが分泌、体や心が緊張状態になる
- ホルモン分泌を司る脳下垂体が副腎皮質に作用し、全身の臓器に防衛反応を起こさせる。
- ストレスに敏感に反応して、それに対して抵抗できるこころと身体の状態が作りだされる。
適度なストレスが好ましいのは、このように身体がストレスにより活性化されるからです。
ストレスが体調を崩す
適度のストレスも長い間加わると、ホルモンや自律神経のバランスを保てなくなり、強いストレスには、身体が適応できずに体調を崩します。
- 心臓や血管など、様々な期間に障害が現れ、頭痛、腹痛、倦怠感といった症状
- 高血圧、心筋梗塞などの循環器系や、胃潰瘍、過敏性大腸などの消化器系の病気
- 不眠症、各種の神経症やうつ病などの障害
などが現れてきます。
ストレスを感じている人ほど、からだに不調を感じている人が多い、というアンケート結果もあります。
ストレスは病気の引き金になる恐れがあり、また、精神面の以上にも繋がります。
ストレスの原因となるもの~ストレッサー
ストレスには
- 物理的ストレス(気温、湿度、騒音など)
- 生理的ストレス(疲労、病気)
- 精神的ストレス(不安、恐怖、いらだち)
の3種類がありますが、問題になるのは、生理的ストレスと精神的ストレスです。
日常生活では家庭内のストレスと、職場内のストレスに大きく分けられます。
家庭内のストレス
夫婦仲が悪かったり、子供の非行、近所づきあいや隣人とのトラブルなどもストレスとなります。
毎日家にいる主婦は、この家庭内のストレスに大きな影響を受け、また働くご主人にとって安息の場である家庭が、ストレスとなってしまうことに。
職場内のストレス
精神的な重圧や疲労につながりやすいといえます。働いている人の悩みの80%が職場での人間関係に関わるというデータもあります。
また、人間関係に恵まれていても、仕事がうまく行かなかったり、自分の能力に限界を感じると、落ち込む。
特に看護師など、人間関係の仕事に付いている人は、どうしてもストレスが発生しやすく、常にストレスに晒されていると言えます。
病気の治療
病気の治療もストレス。一時的な治療なら、病気が治り治療の必要がなくなればストレスの原因は無くなります。
しかし、長く続く病気だったり、慢性化に繋がる病気だと、ストレスも溜まっていきます。病気自体の不安、将来の不安、治療費の不安、など、次から次へとストレスの原因になる悩み事や不安が増えていきます。
ストレスから病気になると、またそれがストレスになり、ストレスが増してからだに悪影響を及ぼす負のスパイラルに陥ります。
普段からストレスをコントロールし、心の健康管理を上手に行うことが重要です。
ストレスマネジメント
- ストレスには、「ストレス要因(ストレッサー)」、「ストレス反応」、そして「元の状態に戻ろうとする反応」の3つが含まれます。
- 図に示されている「ストレス耐性」とは、ボールが元の形に戻る速さのことです。(5P)
ストレス要因とは、ストレスを生じさせる外界からの刺激のことです。
社会的要因(職場問題、家庭問題、経済的問題など)は、物理的・化学的・生物学的要因に比べ、心理的ストレス要因になりやすいといわれています。(6P)
ストレス反応
ストレス要因に対しては、身体面、心理面、行動面にいろいろな反応が生じます。この反応を
「ストレス反応」と呼びます。
このようなストレス反応が出てもその要因が何であるかについては、なかなか気づきにくいものです。(7P)
ストレスマネジメント
ストレスマネジメントとは、自分自身で心身の緊張といったストレス反応に気づき、それを解消していくことを指します。
第一は、ストレス反応に対する気づきを良くすることです。
第二は、ストレス反応を解消するための具体的な行動を起こすことです。 (11P)
具体的な行動(12P~20P)
- リラクセーション(呼吸法、ヨガなど)
- ストレッチ(筋肉をゆっくり伸ばし、コリをほぐす)
- 適度な運動
- 快適な睡眠
- 親しい人たちと交流
- 笑う(免疫力アップ)
- 趣味を持つ(新たな人間関係を生み、生活の幅を広げる
- 相談
参考
メンタルヘルス不調とは(21P~30P)
メンタルヘルス不調とは厚生労働省の指針によると、『精神および行動の障害に分類される精神障害や自殺のみならず、ストレスや強い悩み、不安など、労働者 の心身の健康、社会生活および生活の質に影響を与える可能性のある精神的および行動上の問題を幅広く含むもの』をいいます。
(うつ病も精神および行動の障害に分類されます)
予防の3つのポイント
- ストレスへの気づきをよくする
- メンタルヘルスへの理解を進める
- 相談する
メンタルヘルス不調になってしまったら
こんなところに相談窓口があります。
◯ 全国の医療機関
参考元: 働く人のメンタルヘルスポータルサイト 厚生労働省
出典(画像含む): 15分でわかるセルフケアー心の耳ー厚生労働省
看護師もストレスマネジメントが重要
看護師も労働者です。人を相手にする看護師の仕事は一般の職種と比較して、ストレスマネジメント、メンタルヘルスの取り組みが、より重要な課題となっています。
看護師はできれば一箇所で長く努め、キャリアアップしたいと思っています。
それにもかかわらず他の職種に比べ、離職率が極めて高い背景には、人間関係のトラブル、心の部分が占める割合が多いのです。
ストレスマネジメント、メンタルヘルスケアが整い、労働環境、職場環境が良ければよほどの理由がない限り、看護師を辞めたい、他の職場に転職したい、という気持ちも起きません。
新人看護師の離職率0%の病院があった!
看護師の離職率が極めて低い、特に新人看護師の離職率0%という埼玉県のA総合病院。2年前の離職率が15%、次の年が8%、2014年上半期が4.6%(同病院動画より)。
A病院では、退職者アンケートを実施し、本当の退職理由を知ることなどの取り組みで、スタッフ全員が最高だと思う職場を目指しています。
お互いに尊重し助け合える、その他にもプリセプターとプリセプティーの絆、看護部長の存在など、スタッフが実にいきいきと仕事をしています。
子育てとの両立は、ママさん看護師の一番のストレッサーと言えるかもしれません。そのような問題もA病院ではクリアしているようです。
男性看護師のアンケートや看護部長の紹介など、動画がホームページに載っていました。こんな病院で働きたい!と見学に来る新卒や転職希望の看護師さんが多いそうです。
看護師辞めたい、転職したい、という裏にある悩みは、多くが人間関係のストレスです。
自身のストレスマネジメントをしっかり行い、事業者も労働者のメンタルヘルス部分を整えることで、看護師不足に対処。転職を防ぎ、多くの入職希望者を集めることが可能です。
まとめ~ストレスマネジメントでストレスをコントロール
ストレス社会と言われて久しいですが、メンタルな部分で休職、転職する方も増加しています。
まずは自分自身でストレスをコントロールするための、ストレスマネジメントを行ない、メンタルヘルスの不調を起こさないような職場でのサポート、理解が重要な課題です。
病は気から、といいます。ストレスのない生活はあり得ません。ストレスといかに上手に付き合えるかで、健康で生き生きとした生活を送ることが可能です。
看護師の仕事は、メンタルな部分が非常に大きい。埼玉県のA病院のような取り組みが、全国でもっともっと広がってほしいと思います。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ