ナースほど誇れる仕事はありません

健康を大切にしたい方へ贈るひとりごと

ひざの痛みの解消に手術は治療の最終手段。決断は慎重に

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日本人は変形性膝関節症でO脚になりやすく、膝の内側の痛みが多いですが、痛みの感じ方や支障の受け止め方は、ひとによって様々です。手術をするかどうかの検討は、病状の客観的判断だけでなく、年齢やライフスタイル、社会的な立場なども含めて納得してなされることが重要です。

変形性膝関節症の手術~種類と特徴、注意点

変形性膝関節症の病状が進行して、運動療法や薬物療法などをしばらく継続しても、改善が見られなかったり、痛みが強く外出できない、階段の上り下りができない、など日常生活に大きな支障がある場合は、手術が検討されます。主な手術方法は

  • 関節鏡手術
  • 骨切り術
  • 人工関節置換術

の3つです。

入院期間は数日から1か月程度、手術後のリハビリも長期にわたることが多いので、日常生活や仕事との兼ね合いなども含め、手術は担当医と十分相談してから行いましょう。複数の病院で診断を受けることも場合によっては考えましょう。

高齢者では、退院後の日常生活やリハビリなどで、家族にどのような影響があるのかなども考慮することが必要です。

 

関節鏡手術 ひざの周りに7mmほどの小さな穴を2~3箇所あけ、関節鏡と手術器具を挿入して挟まった破片を取り除いたり、けばだちをきれいにする
対象となる人 関節軟骨や半月板の毛羽立ち、損傷によって生じた破片が挟まって痛みが現れている人
特徴 痛みがすぐに改善
身体への負担が少ない
入院期間は数日程度
日常生活での注意点 手術後の運動療法や体重管理が大切
その他 負担は少ないが、変性性膝関節症そのものの治療ではないので、運動療法などを継続して痛みの再発を防ぐことが大切

 

骨切り術 脛骨の一部を切り開いて固定し、人工骨などを入れて、体重の負荷が外側にかかるように間接の形を変える。
対象となる人 O脚の進行によって痛みが現れている人
60才以下
特徴 日常生活に戻るまでに時間がかかる
身体への負担が大きい
スポーツや農作業も行えるようになる
日常生活での注意点 X脚になる
その他 切った骨が自然に回復するまで時間がかかる
手術後のリハビリなどで患者さんの負担が大きい
比較的若い世代の人に行われる

 

人工関節置換術 膝関節の損傷部分を取り除き、大腿骨と脛骨ん一部を削って人工関節をはめ込む
骨に当たる部分:コバルトクロム合金、関節軟骨部分はポリエチレン製
対象となる人 かなり進行して、日常生活に著しい支障がある人
特徴 耐用年数に限りがある
痛みが短期間に改善する
脚がまっすぐになる
日常生活での注意点 ひざを曲げられる角度に制限がある
その他 耐用年数があるので、以前は高齢者が対象。近年、租税の進化などで耐用年数が伸び、若い人にも行われている

 

関節鏡手術

膝関節用の関節鏡(関節用の内視鏡)を入れて挟まった破片を取り除いたり、けば立ちをきれいにします。膝に2~3か所の小さな孔をあけ、関節鏡や手術器具を挿入して処置を行います。この手術の対象となるのは

  • 関節軟骨や半月板が痛んでけばっだっている
  • 損傷したときに生じた破片が関節に挟まっている

ために痛みがある場合です。「膝を動かすと関節の中に何かが挟まって、ゴリゴリ音がして痛みがある」といった時です。

特徴

  • 孔は直径7㎜程度なので、体への負担がすくない
  • 手術の後も小さいのであまり目立たない
  • 数日の入院期間
  • 痛みがすぐに改善する
  • 特にリハビリは必要としない

関節軟骨は半月板の損傷の治療を行うわけではないので、症状がまた現れることもあります。症状が現れないように手術後もしっかりと、運動療法や体重管理を続けることが大切です。

 

骨切り術

O脚は膝の内側に負荷がかかり、膝関節軟骨がすり減りやすく、病状の進行で膝の内側の骨どうしが直接ぶつかりあうので、強い痛みがあります。

変形した骨の形を整えて、膝にかかる負荷をバランスよくします。すねの骨である脛骨を切って脚の形を矯正する方法です。変形性膝関節症が進行し、膝の内側の関節軟骨や半月板がすり減ってO脚が進んでいる場合に検討されます。

手術で脛骨の一部をくさび状に切り開き、人工骨などを移植して固定し、体重の負荷が外側にかかるように骨の形を整えます。関節の内側に集中していた負荷が外側にかかるので、痛みが出なくなります。

特徴

骨は再生力の強い組織なので、切ること自体には問題はありませんが、人工的に骨折させていることになるので、回復には時間がかかります。日常生活ができるようになるまで2~3か月かかり、それまでは松葉杖生活となります。

高齢者ではリハビリなどの負担が大きいので、骨切り術は一般的に60歳以下の人が対象です。

回復後はランニングなどの激しい運動や、農作業なども行えるようになります。一方、O脚を矯正するため、手術後は脚の形がX脚になり、見た目の問題が生じることもあります。

 

人工関節置換術

骨の一部と関節軟骨を人工関節に置き換える方法で、病状がかなり進行して、日常生活に大きな支障が出ているような場合に検討されます。手術後のリハビリを行う意欲があれば、年齢制限はありません。

耐用年数があり、以前は主に高齢者が対象の手術でした。現在は素材の進歩などにより20~30年はあると考えられ、若い人にも適用されるようになり、手術の件数は増えています。

特徴

  • 耐用年数に限りがある
  • 痛みが短期間に改善する
  • O脚が改善して脚がまっすぐになる

ひざが曲がる角度が制限されるので、正座ができなくなる人が多いです。急な階段の上り下りや、自転車をこぐのが難しくなる人もいます。ジョギングやエアロビクスなど、膝に大きな衝撃がかかる運動は避けたほうが良いですが、ゴルフ、水泳などは可能です。

手術後の痛みの種類と対処法

人工関節手術後は通常3ヶ月程度痛みが残ります。薬や運動療法をきちんと続けていれば改善するので心配はありません。手術後の痛みは大きく分けて3つに分類されます。

  • 手術によって起こる痛み
  • 膝の前側を切開した傷による痛み
  • 膝の前側にある比較的太い感覚神経を切ったことによる痛み

です。

手術による痛み

3週間ほどの入院後、退院時には痛みが残っていることがほとんどです。手術後3ヶ月程度は、腫れ、熱、焼けるような感じといった症状も続きます。

痛みを軽減するには、切開する長さを短くしたり、周囲の筋肉への影響をなるべく少なくする、最小侵襲手術法を行ないます。また、手術直前の神経ブロック注射で痛みを抑えます。

手術前からの痛み

人工関節で改善するのは、基本的に関節の痛みです。関節の痛み以外の痛みが手術前からあると、その痛みが残ってしまうことがあります。

新たに起こる痛み

手術前は、膝の痛みであまり歩かない生活をおくっていて、ひざの周りの筋肉や腱を使っていません。手術で歩けるようになって筋肉や腱を使いはじめると、大きな負担がかかり炎症が起こることで、痛みが出ることもあります。

姿勢や歩き方が変わることで、今までとは違う負荷がかかるようになり、痛みが出てくることもあります。

  • ひざ周囲の間接の動く範囲を広げるストレッチ
  • ひざの負担をへらすため、膝周りの筋力の強化

に取り組むことが大切です。太ももの前側にある、大腿四頭筋を強化します。

痛みは気から~痛みが長引きやすい人

3か月以上リハビリを続けても、痛みに悩まされる患者さんも居ます。最近の研究で痛みにとらわれやすい人に、痛みが残りやすいことがわかってきました。また、非常に不安の強い人、手術に過度の期待を持っている人なども、手術後の痛みが長引き悩まされやすいことも分かっています。

運動療法によるリハビリが基本ですが、それだけで良くならない場合は、薬物療法も行ないます。消炎鎮痛薬、解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)、抗てんかん薬、オピオイド、抗うつ薬などを使用します。

生活の質を良くするにはリハビリが重要

手術で痛みが改善されても、リハビリをしっかり行うことが必要です。

人工関節置換手術を例にすると、傷口が落ち着いたら、膝の曲げ伸ばしなどを始めます。一般的に

  • 手術から1週間後 歩く練習
  • 手術から約3週間後 階段の上り下り
  • 退院後 いつも通りの生活を心がける

約1か月の入院中、歩行や階段の上り下りの練習などを行い、退院時は杖をついても自分で歩きましょう。退院後は通常の生活を送ることがリハビリになります。積極的に活動しましょう。

手術はあくまで最終手段

手術をするべきかどうか、の判断は医師と患者双方にとって、非常に難しい決断が必要となります。手術が完璧だったとしても、

  • 手術による病状の悪化
  • 将来の再発・悪化というリスク
  • 高齢で有ればあるほど日常生活への影響も大きくなる

日常の予防や保存的療法で痛みを解消でき、手術をしないで済むなら、それに越したことはありません。多くの痛みは、治す気持ちと適切な治療、日常生活の注意で防ぐことは可能です。手術はあくまで最後の手段と考えることも大切。

手術が検討される場合

日常生活に大きな支障があるほど痛みが悪化している場合は、一般的に手術を検討する段階と考えられます。しかし、不自由さの捉え方はひとりひとり違うものであり、ひざの痛みで歩くのが困難で、外出もなかなかできないといった状態でも、「手術をするくらいなら、外出がしにくくてもこのままで良い」など、痛みの感じ方や支障の受け止め方も違います。

手術をすることで、

  • 日常生活がどのようにかわるのか
  • 手術することで将来起こりうるリスクはどのようなものがあるのか
  • 退院後のリハビリなどを行う環境はどうか
  • 手術をしなかった場合はどうか

など納得いくまで説明を受け、医師、状況に応じては家族などと相談して決断することが重要です。

 

まとめ

変形性膝関節症の手術は、治療の最終手段です。日常の予防や、運動療法、薬物療法などで痛みを改善出来るにこしたことはありません。手術をするかどうかの判断は様々な状況を検討し納得した上で、慎重に下しましょう。

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