尿漏れは産後や40すぎの女性に多いと思われがちです。実は恥ずかしさから誰にも相談できず、悩んでいる若い方や男性も多い。尿漏れが起こる原因にはいくつか有ります。原因を知り、治療が必要なもの、自分で改善できるものを認識して、尿漏れの悩みを改善します。
増える男性の尿漏れの悩み
最近になって増えた、と言うよりは目立つようになってきた、と言ったほうが良いのが若い人や男性の尿漏れの悩み。
以前から有った悩みが、尿漏れパッドのCMなどが増えて表面化してきたのです。尿漏れを20代で悩んでいる人も多い。
ズボンにシミが…「残尿」
中年期意向の男性では、老化現象で前立腺肥大により、尿のキレが悪くなり下着やズボンに尿が漏れてシミになったり、臭ったりします。
若い人の場合、尿道の中に尿が残る残尿で下着が尿で濡れたことを、尿漏れと思い込んでいることも多いです。ちなみに残尿は様々な年代の男性によく起こります。
男性は女性と比べて尿道が長いので、尿が残りやすい構造となっているためです。
残尿の対策
- 排尿後、そのままの姿勢でまたの付け根と抗癌の付け根の部分を、またの方から睾丸の付け根に向かって優しく押す。
- その後陰茎を振り、尿道に残っている尿を排出する
- 排便の時は便と尿を出しきったあと、陰茎を上に持ち上げて下におろすことを繰り返し、残尿を排出する
老化による前立腺肥大症
前立腺は生殖活動に不可欠ですが、男性ホルモンの影響で加齢により、肥大化する傾向があります。
肥大化すると尿道部分を圧迫するので、尿の勢いが無くなったり、尿の出が悪くなったりし、頻尿や尿漏れを起こしやすくなるのです。
この場合、尿漏れの対策は、前立腺を薬剤投与か手術で縮小させるしか、方法はありません。
尿漏れパッド、パンツ
男性用の尿漏れパッドも販売されています。意外と目立たないですので、ズボンのシミが気になるようでしたら、一度試して見てはどうでしょう。
最初は違和感があるかと思いますが、慣れれば問題ないようです。(つけ心地は男性でないとわからないので…)
パンツタイプも最近のものは随分快適になっているようですので、尿漏れで外出できない、スポーツができないと言った悩みにも対応できます。
尿漏れの対策
くしゃみをしたり、ちょっとお腹に力がはいると尿漏れを起こす(腹圧性尿失禁)ことは、お産を経験した女性、40代以上の女性に多いです。
後述の腹圧性尿失禁の場合、どの段階から治療の対象になるかは、重症度にもよりますが、どんな生活をしているか、尿失禁でどの程度生活に支障があるかなどにもよります。
基本的に普段の生活に支障がなく、パッドなどで間に合う程度の尿漏れでしたら、骨盤底トレーニングなどで改善が期待できます。
一方、歩いたり、重いものを持っただけでも尿漏れをする、旅行やスポーツなどに支障があるようになると、骨盤底トレーニングだけで改善するのは難しい。服薬や手術など治療が必要です。
骨盤底トレーニング
尿漏れを改善する方法として用いられていますが、もともとの目的は、産後にお産で緩んだ骨盤底を、できるだけ早く元の状態に戻すこと、また40歳代から進む骨盤底の老化を防ぐことです。
骨盤底のたるみは、尿失禁だけでなく、排尿障害(おしっこが出にくくなる)、性器脱(膣がめくれて子宮が膣の中に下がってくる)、便失禁など様々なトラブルの原因となります。
将来の排尿障害を防ぐためにも、日頃から骨盤底トレーニングを実行して筋肉を鍛えましょう。
トレーニングの仕方
出典: よこすか女性泌尿器科クリニック
治療と手術
骨盤底は椅子に座って少し身体を前に傾けた時、座面にピタッと接するあたりです。坐骨結節(座った時、おしりの下に手を入れると触れる尖った骨)と尾てい骨の先、恥骨に囲まれた部分です。
骨盤底全体をぐっと上の方へ引き上げるように筋肉を引き上げる。
肛門や膣、尿道口を締め付ける
お腹に力を入れない(お腹に手を置いて、腹筋が収縮していないか確かめながら行う)
治療
尿失禁のタイプや重症度により服薬、または手術となります。
- 切迫性尿失禁では、膀胱が勝手に収縮しないようにする薬を飲むのが一般的。膀胱炎では抗生物質などによる治療が中心。
- 膣内に治療器具を装着(毎日自分で着脱)して膣壁と膀胱頸部を持ち上げる方法もあります。
- 腹圧性尿失禁が生活に支障がある状態になった場合は、尿道の抵抗を強くするための手術や、尿道と膀胱の動きを抑制する手術などが行われます。
- かつて主流だった「吊り上げ手術」は3~5年で効果が薄れてきますが、現在はもっと長持ちするTVT手術が主流です。
*TVT手術: メッシュ状のテープになったプラスチック製の補強材を尿道の下をくぐらせて恥骨の上まで通し、尿道と膀胱の動きをよく制する手術。
所要時間は30分程度、局所麻酔で入院も3~4日程度で負担が少ない。
性器脱をともなうなど、骨盤底が激しく変形し、TVT手術では無理と思われる人には、骨盤底全体を再建する「骨盤底形成術」を行ないます。
尿漏れのタイプと原因
尿漏れにはいろいろなタイプがあります。女性に多いのが腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁との混合型、男性では老化による前立腺肥大症や、尿道の中に残る残尿です。
- 腹圧性尿失禁
- 切迫性尿失禁
- 膀胱炎などによる頻尿
- 機能性尿失禁
- 反射性尿失禁
- 溢流性(いつりゅうせい)尿失禁
男性:老化による前立腺肥大症
女性:子宮がんの手術後など - 尿道の中に残る残尿
これらの中から、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、膀胱炎などによる頻尿について、少し詳しくまとめます。前立腺肥大症、残尿に関しては前述しました。
腹圧性尿失禁
40歳代から60歳代くらいまでの女性に圧倒的に多い。尿意がないのにちょろっとおしっこが漏れてしまいます。
女性の骨盤の中にはいくつかの臓器がありますが、それらを下がらないように支えているのが、骨盤底です。
バケツの底のようなもので、傷ついたりもろくなったりするので、おかなに力がかかった時に反射的に尿道を縮めることができなくなり尿漏れが怒ります。
骨盤底がたるむ2つの原因
体質的要因
骨盤底の筋肉の強さ、収縮の強弱は個人差があり、弱い人は尿漏れを起こしやすい。
出産
骨盤底は分娩時にダメージをうけますが、出産後の養生が不十分であったり、間違った排尿の動作が身についてしまうことも、腹圧性尿失禁が起こる原因と考えられます。
尿意を脳がキャッチ、尿道括約筋が緩み尿道が開く、膀胱の収縮が始まり排尿が起こる。これが正しい排尿反射で、お腹には力がかかりません。
お産のあとでは、会陰切開の傷が深かったり、膀胱の収縮力が弱まっているためにお腹に力をかけて、腹圧でおしっこを押し出す場合もあります。
これが習慣となって腹圧性失禁につながっている可能性があります。
加齢による変化
誰でも40歳代意向になると、膀胱の収縮力が弱まり、脳から排尿の命令が来てもあまり縮まないので、腹圧で押し出してしまうことになります。
その他
肥満、運動不足、慢性の便秘なども原因となります。
切迫性尿失禁
尿意を感じた時、トイレに行くまで我慢できない、下着をおろしている間にもれてしまう。脳の排尿コントロールがうまく機能せず、膀胱が勝手に収縮してしまうために間に合いません。
脳卒中などの後遺症や、前立腺肥大症が原因になることがあります。膀胱が勝手に収縮しないように服薬が一般的な治療法です。
膀胱炎などによる頻尿
尿失禁とは違うのですが、時や場所を選ばず頻繁に尿意を催す頻尿は、トイレが間に合わず、「ちょろっと漏れ」が多い。
大腸菌などの細菌感染で、膀胱が炎症を起こし、膀胱の粘膜が刺激されて、尿が少し貯まっただけでもすぐ出したくなってしまいます。
ストレスによってトイレが近くなる、神経性頻尿も少なくありません。
膀胱炎は抗生物質等による治療が中心です。細菌を洗い流すために、水分補給も必要です。神経性頻尿は、何かに夢中になる、リラックスしているときは尿意は感じません。
まとめ~生活の室のためにもきちんと尿もれ対策を
尿漏れは20代の男性でも起こります。経産婦でなくても便秘で良くいきむ若い女性は、骨盤底筋が弱っているため、尿漏れが起きるのかもしれません。
生活に支障のない程度の尿漏れであれば、あまり気にせずに、下着などを清潔に保ち、骨盤底トレーニングなどを取り入れていれば問題はありません。
しかし、日常生活や行動に支障が起きる尿失禁は、泌尿器科などを受診し尿漏れの原因を明らかにして、治療が必要です。
排尿の問題は、年をとった時の生活の質、QOLに直接関わってきます。きちんと対策をすることが重要です。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ