ナースほど誇れる仕事はありません

健康を大切にしたい方へ贈るひとりごと

パワハラと暴力~看護師辞めたい~そして誰もいなくなった

看護師がストレスを感じ、辞めたいと思うのは、倫理的な葛藤やパワハラ、患者や家族からの暴力であることも多い。うつやPTSDを発症して病院を相手に訴訟となることも増えていくと考えられます。個人の対応に任せる問題ではなく、組織的に対応すべきテーマです。

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看護師がやめたいと思う時

知識や経験などの未熟さから辞めたいと、離職につながることも多いのですが、職場でのパワハラ、患者や家族からの身体的、精神的暴力でボロボロになってしまう看護師も少なくありません。さらに見て見ぬふりの風土が有ったら…

看護師は次々と辞めていき、当然看護の質は落ち、そして誰もいなくなった、と言うことは決して想像だけではないでしょう。

 

倫理的な葛藤から辞めたいと思う事

自分の未熟さを感じた時など、看護師が倫理的な葛藤を感じると、誰かに気軽に離せることではないので、孤独になり、一人で抱え込みがちになります。その辛さに辞めたいと思うことが多い。

勇気を出して口にしたら、相手も同じモヤモヤを抱えていてほっとした、そんなことはしばしばあります。時にはカンファレンスの場で本音トークを出し合うことも重要です。

未熟さへの葛藤

「こんな未熟な私が看護師をしていても良いのだろうか」

仕事をしているときは、あまりの忙しさに流されていても、休みの日などにフット考えてしまうことがるかもしれない、自分の能力を遥かに超えることを求められることは、とてもツライものです。

恋愛の最中にいるはずなのに、ふと孤独を感じる不倫。妻子に申し訳ないと倫理的な葛藤をするでしょう。そのような倫理的な葛藤は誰にも気軽にいえるものではありません。看護師にも、不倫ではありませんが、似たような倫理的葛藤を感じ、孤独を感じることが有るのです。

自分ではどうしようもないこと

患者さんは主治医には言えない本音や、感情を担当看護師にぶつけてくるものです。そのことで苦しんでいても、主治医も師長もただ業務を進めていく、そんな時看護師は孤独感を味わいます。

自分の判断ミスや決断が失敗したことを、患者さんから責められるのは仕方ありません。しかし、自分の権限の及ばない範囲のことで非難を受けるのは、大変なストレスです。2つの例をご紹介しましょう。

手術不能の決定への葛藤

がん患者が手術前の検査入院。様々な検査を受け、中には苦痛のあるものも有ったにもかかわらず、主治医の判断は手術不能でした。誰にも責任はありませんが、手術不能(ガンが広がりすぎている)という事実が告知された時の、患者さんの落胆や不安と恐怖の表情を見た看護師は、「何もしてあげられなかった」「本当にそれでよかったのだろうか」と倫理的葛藤を感じます。

在院日数短縮のための退院

担当患者が病院の都合で退院となりました。「あと1週間、せめて3日ケアできれば、もっと良くなったのに」とか「在宅医療をこのご家族でちゃんとできるのだろうか」などと感じることもあります。

多くの病院で、経営のために平均在院日数の短縮が進められます。病院の経営が破綻してしまっては何もできなくなってしまうので、理屈ではわかってはいますがやりきれなさ、葛藤を感じるのです。

 

看護師がストレスを感じる人間関係

医師の高圧的な態度は、一番のストレス。些細なことで攻撃的な言動をとったり、看護師の人格や人間性を否定するような、パワハラ医師も存在します。師長や先輩からのパワハラもどきの発言も少なくありません。

患者や家族から叩かれたり、噛まれたりの暴力や、言葉による暴力、過度の要求もあります。

パワーハラスメント

パワハラは些細なミスやトラブルを咎める形で始まり、だんだんエスカレートしていきます。「仕事が遅い」だの「なんで言われたとおりにしない」など長時間攻撃的なことばが繰り返されます。

一見、指導をしているようにも見えるのですが、仕事に関係の無いことや、直しようの無い過去のミスまでも引き合いにだし、最後には人格を否定して「態度が悪い」「学生以下だ」「足手まといだ」などと言い出します。

職場全体のモラル(士気)の低下

パワハラを受けた人は、初めは理不尽だと思っています。しかし、徐々に自分が悪い、と思い込んでしまい、恐怖から無抵抗になるので、更に図に乗ってパワハラが増長し、被害者は心に傷を受けてしまいます。また、職場全体の秩序も乱れ、モラル(士気)も低下します。

パワハラをする人は単に攻撃的なだけでなく、相手を支配したい気持ちが強くて自己中心的です。過度の疲労状態になり、ストレスを抱えると、特にパワハラを起こしやすくなります。

パワハラとは

仕事上のミスやルール違反を強いことばで叱ったり、指導をすることはもちろんパワハラではありません。何でもかんでも「パワハラ」と問題にしがちな傾向がありますが、安易に使うと誤解される場合もあります。

  • 職場などの権威を背景にする
  • 本来の業務の範囲を超えている
  • 継続的
  • 人格と尊厳を傷つける言動
  • 働く環境の悪化、雇用不安

これらに当てはまるとパワハラであると言ってよいでしょう。

信頼される仕事のスタイル

パワハラを受けていると感じたら、一人で抱え込まないことが大事。具体的な内容を記録しておき、それに基づいてしかるべき担当者に相談しましょう。攻撃的な医師、上司、先輩への対処は以下のようなポイントを心がけてみてください。

  • 指示があったら、必ず復唱する
  • マメに報告・連絡をする
  • 注意や叱られたりした時は、メモをとり、「ありがとうございました」という
  • きっぱりとした態度で、相手の目を見てはっきりとした声で話す

あなたがこのように毅然とした態度で対応すれば、パワハラに発展する可能性は低くなるはずです。

 

身体への暴力、言葉の暴力

暴力は体はもとより、心も傷つけます。相手に悪意があってもなくても、「こんなに一生懸命看護をしているのに」と自分の非力さに絶望したり、心を病んでしまったりすることも少なくありません。しかし、多くの医療機関では、パワハラや患者や家族からの暴力があっても、スタッフに我慢を求めているのが実情です。

安全配慮義務

全ての事業者には、労務者の安全と健康に配慮しなければならない、と言う法律上の義務(安全配慮義務)があり、メンタルヘルスの管理の環境も整ってきています。もし安全配慮義務を守らなかった場合、過労死や過労自殺で訴訟を起こされれば、損害賠償を命じられることもある。最近は労災認定されるケースも増えてきています。

今後心に傷を受け、うつ病やPTSD(外傷後ストレス障害)などで、休職や看護師を辞めたりした人が、病院を相手に訴訟を起こすケースも増えるかもしれません。

患者・家族からの暴力

職場でのパワハラのほかに、患者やその家族からの身体的、精神的暴力も増える傾向にあります。患者さんの状態を心配するあまりの葛藤であったり、改善しない病気にやり場のない思い、いらだちなどをぶつける相手は、看護師となります。権利意識ばかりをかざす、モンスターペイシェント、モンスターファミリイーの存在も問題です。

職場の暴力は看護師辞めたいの理由となる

医師や上司、先輩からのパワハラや、患者、家族からの暴力。見て見ぬふりの風土ではただでさえ疲労困憊、消耗している看護師のメンタルヘルスの不調を招き、辞めたい気持ちが強くなって離職となるのは当然と言えば当然です。

患者・家族からの過度な要求

医療技術の急速な進化などで、患者や家族の医療に対する期待、要求は少し前と比べでも、格段と高いものになってきています。もちろん患者や家族のニーズは、より良い看護へとつながるきっかけとなるのですが、度が過ぎるのはかえって、妨げとなります。

「医療はサービス」と言う方針が前面に押し出され、誤った権利意識ばかりが育ってしまった傾向があることは否めません。ホテルの高額なスイートルームに大枚を払って宿泊しているかのように、横暴な要求ばかりを言う人もいないとは言えません。

客観的にミスと言えないのに、すぐに看護部長や院長を呼びつけようとする人、いわゆるクレーマーと言われる人や、難癖をつけて金銭を要求したりする人も0ではありません。モンスターペイシェント、モンスターファミリーの存在は、このようなケースに適切に対応する、専門的な知識や経験も必要となっているのです。医療機関によっては、外部のプロに依頼している場合もあります。

 

まとめ

パワハラや暴力は、看護師個人の安全と健康を脅かすだけでなく、その医療機関の看護の質も低下させ、看護師の離職も続くでしょう。対応を個人に任せる問題ではありません。病院の管理者がガイドラインを作り、組織的に対応していかねばならないテーマです。

医療機関は患者の安全だけを見るのでは、辞めたい看護師が次々と現れ、「そして誰もいなくなった」となってしまいかねません。

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