1日10分のストレッチ、あなたは続けられますか。体が硬いと様々な不調や病気の要因にも繋がります。血管の若返りを目指し、体が硬い人でも手軽で長く続けられるストレッチをおすすめします。
体が硬い人は健康面で損をする
体が硬いとあちこちに不調が起きやすいものです。さらに直接健康にも関わる血管の硬さにもつながっていることが、国立健康・栄養研究所の調査で明らかに。
血管が硬くなると高血圧、動脈硬化、悪化すれば脳卒中や心筋梗塞といった重篤な病気のリスクも高まります。
でも、「若い頃から硬いから…」と体の硬さを諦め気味の方も少なくないのでは。
大丈夫!時間はかかるかもしれませんが、ストレッチを続け健康で柔らかい体を目指しましょう。
今回は体が硬い人でも手軽にでき続けやすい、血管の若返りを目指す10分ストレッチをご紹介します。180度開脚も夢ではありませんよ!
その前に、ストレッチと血管の若返りの関係をちょっとおさらいしておきましょう。
ストレッチで血管が若返るのはなぜ?
動脈硬化や高血圧などのリスクを高める血管の硬さは、加齢や運動不足などで筋肉が硬くなるなどが原因で起こります。
血流も悪化するので冷え、肩こり、腰痛など様々な不調も招く。
ストレッチで筋肉をほぐして柔らかくするだけでなく、血管の若返りも期待できるのは…
筋肉や血管を硬くする要因のひとつ、「古いコラーゲン(糖化したコラーゲン)」を壊し、新しく作り変えて柔らかくすることに関わっているからです。
*筋肉は筋繊維が束になってできていますが、筋繊維を蜂の巣のようなコラーゲンの膜が取り囲んでいます。筋肉にもコラーゲンがたくさんあるのです。
ストレッチは硬くなって糖化したコラーゲンを壊して、修復を助ける働きをする「線維芽細胞」の活性化を促します。線維芽細胞はコラーゲンを作っている細胞です。
ストレッチを続けるとより多くの糖化したコラーゲンが修復され、線維芽細胞も効率よく働きます。
糖化したコラーゲンは老化物質
コラーゲンはタンパク質の一種で全身の細胞や組織、筋肉を支える働きをしています。血管も筋肉でできているのでコラーゲンがあります。
運動不足や糖質過多などで血糖値の高い状態が続くと、コラーゲンに糖がまとわりついて(糖化)伸びにくい筋肉になってしまいます。
体が硬い人は、筋肉の中の老化物質「糖化したコラーゲン」が筋肉を伸びにくくし、血管も硬くなっています。
血管の硬さを調べてみよう
最近はドラッグストアや健康ショップなどで、血管年齢を測ってくれるお店も見かけますね。家でも簡単に体の硬さを測る方法です。ただし、40歳以上の方限定。
前屈運動をします。
- 両足を伸ばして床にすわる
- 両手を脚の先の方へ伸ばしながら上体を前に倒す
- 両手の先が脚のつま先に届かなかった→血管が硬く、動脈硬化が進んでいる可能性がある
*硬かった人は股関節が特に硬くなっています。股関節のストレッチ、筋トレもおすすめします。
ストレッチとコリのスパイラル
コリをほぐすためのストレッチが、かえってコリを悪化させてしまうこともあります。
ストレッチは怪我の予防や、運動後の疲労回復などを目的に行いますが、強すぎてしまうと筋肉は逆に収縮してしまいます。
筋肉の伸び縮みを感知するセンサー、筋紡錘(筋肉の奥深くに有る小さなスプリング状の組織)が強すぎるストレッチを感じ取り、筋肉が伸びすぎて切れてしまわないように収縮させる信号を出すためです。
筋肉のコリ→血管が狭くなる→血行が悪化→疲労物質の蓄積→筋肉のコリ
強いストレッチをしてしまうと→→→更に血管が狭くなる
ストレッチの効果をよりひきだし、不調の軽減や病気予防に役立てるには、コリのスパイラルを引き起こさないよう正しいストレッチを行うことが大切です。
正しいストレッチのポイント
- 強さ:物足りないくらいがちょうどよい
- 時間:30秒~40秒
- タイミング:筋肉疲労の前と、直後の30分間
強すぎるストレッチは筋肉が働き続けて、疲労の蓄積や血行の悪化につながります。
ストレッチ後の平均血流量が多いのは30秒~40秒行った時とわかっています。
運動や仕事の前にストレッチを行うと疲労の蓄積が少なく、活動後のストレッチは、筋紡錘の働きを止めるスイッチに。
(筋紡錘は運動を止めた直後も電気信号を発し続け、筋肉が30分程収縮したまま血行の悪い状態で疲労物質がたまり続ける)
1日10分のストレッチ
7つの簡単なストレッチをご紹介します。筋肉が伸びやすい入浴後や、よく眠れるように寝る前に行うとより良いですが、スキマ時間を利用して小分けに行っても大丈夫。
トータルで1日10分、好みの組み合わせで行いましょう。
ストレッチをする前に
- 強く負荷をかけないよう「気持ちが良い」と感じる程度で、ちょっと物足りないくらいがちょうどよい強さです。
- 呼吸はゆっくりを意識して、止めないように注意します。
- 痛みを感じたらすぐに止めます。
- 高齢者、持病のある人など健康に不安がある場合は医師に相談し、指示を仰いでから行います。
部位別のストレッチ7種類
太ももの前のストレッチ
上体を倒してゆっくり太ももの前面を伸ばすストレッチです。
- 両足を伸ばして床に座り、両手を後ろにつく(ひじは伸ばす)
- 左足を曲げてかかとをお尻に近づける
- ゆっくり上体を後ろに倒す
- そのままの姿勢でゆっくり呼吸をし、30~40秒
- 反対側の脚も同じように行う
*無理がなければひじを曲げて床につけて行っても良い。
太ももの裏のストレッチ
太ももの裏側にある大きな筋肉(ハムストリング)を伸ばししなやかにするストレッチです。
- 足を伸ばして座り、片方の足を軽く内側に曲げる
- 背筋を伸ばしたまま上半身を少しずつ前に倒しながら、伸ばした足を同じ側の手でつま先をつかみ30~40秒
- 伸ばしている足の膝が曲がらないように注意する
*つま先に手が届かない場合は、伸ばせるところまでで良い。
余裕のある人は両手でつま先をつまむようにすると、より気持ちよく伸ばせます。
お尻のストレッチ
お尻の筋肉(大殿筋)を気持ちよく伸ばすストレッチです。
- 足を伸ばして座り、左足を組んで右ひざの外側あたりに置く
- 立てた膝を右手のひじで抑えるようにして上体をひねる
- そのままゆっくり呼吸をしながら30秒~40秒
- 反対側の足も同じように行う
お腹のストレッチ
お腹の前側を走る大きな筋肉(腹直筋)を無理なく、気持ちよく伸ばすストレッチです。
- うつ伏せに寝て両足を肩幅程度に開く
- 両ひじを床に付き、背中を反らせる(ひじが肩の真下になるようにする)
*背中が硬い人はここまででもよい。 - 両腕をゆっくり伸ばし背中をそらしながら伸ばす
- おへそはできるだけ床につけたままで胸を張るようにする
- 呼吸を止めないように30~40秒
*背中をそらしすぎないように注意する。
ふくらはぎのストレッチ
疲労がたまりがちなふくらはぎの内側に有るひらめ筋を、奥まで伸ばすストレッチです。
- 背筋を伸ばしたまま、片ひざを床につけてしゃがむ
- 立てたひざに両手をのせる
- 立てた方の足裏はかかとまでしっかり床につける
- 背筋を伸ばしたままの姿勢で上半身をゆっくり前に倒す
- ふくらはぎが気持ちよく伸びるのを感じて30~40秒
- 反対側の足も同じように行う
二の腕、脇のストレッチ
ひじから脇のラインを伸ばし、肩こりの解消にも役立つストレッチです。
- あぐらをかいて座る(椅子に座っても良い)
- 右手をまっすぐ頭の上に伸ばしたら、ひじから頭の後ろ側に折り曲げる
- 左手で左のひじを持つ
- 右腕を頭の後ろに引っぱるようなイメージで力を入れる
- 背筋を伸ばしゆっくり呼吸をしながら30~40秒
- 左手も同じように行う
肩のストレッチ
背中の肩甲骨周りから二の腕にかけて、凝り固まった筋肉を伸ばし柔らかくするストレッチです。
- あぐらをかいて座る(椅子に座っても良い)
- 右手をまっすぐ前に伸ばし左手を右手のひじに添える
- 左手で右ひじをしっかり押さえ、右手を伸ばしたままゆっくり左側に引き寄せる
- 右手はできるだけ床と平行にして、そのまま30~40秒
- 左手も同じように行う
*上体はひねらずに正面を向いたまま行う。手のひらは外側に向けると良い。
まとめ~体が硬い人に10分ストレッチで血管の若返り
ストレッチはコリをほぐしたり疲労を軽くしてくれるだけでなく、心身のリラックスや病気予防の効果も期待できます。
今回ご紹介したストレッチは、どれも1分足らずでできるものばかり。気持ち良いと感じる程度の強さで合計1日10分、続けてください。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ
参考:国立健康・栄養研究所のホームページに「ちょっとした時間にエクササイズ」という動画があります。
体の部位別に、ストレッチング体操とレジスタンストレーニングを、わかりやすくビデオ映像で解説しています。(視聴にはQuick Time Playerが必要です。)
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