健康と日々の徒然~Anのひとりごと

心と体の健康を大切にしたい方へ贈るひとりごと

間違いだらけの「会話術」ことばに現れる看護師の品格

患者さんの人生にうまくかかわることができる看護のために、看護師として、人として気遣いや品格が現れる言葉づかいについて、また、仕事上で抑えておくべきポイントついて考えてみましょう。

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看護師として心がけたい言葉づかい

看護師の仕事は、普通なら見たり聞いたりしない個人的な情報も多く扱います。なかには、家族や恋人などにも知られたくないことだってあります。かかわるすべての人に配慮しなければいけない仕事です。

言葉づかい一つにも、配慮や気遣いのある無しで、患者さんの受け取り方が違ってくるし、一歩間違えるとクレームになったり、患者さんの状態を悪化させたりすることもあるので、十分気を配らなければ行けません。

 

言葉づかいに現れる看護師の品格

以下でお伝えする内容は、看護師というよりも人として心がけたい言葉づかい、社会人として知っておくべき最低限のことばのマナーなどです。

改めて取り上げるまでも無いことばかりかもしれませんが、さらっとで良いので確認してみてください。

 

基本編:よく使う丁寧な言い回し

普段何気なく使っていることばでも、仕事の場にはふさわしくなかったり、相手に不快な気持ちを与えてしまうものもあります。

看護師としてマスターしたいのが、丁寧な言い回しです。基本は語尾に「です」「ます」をつけること。語尾を意識するだけで、印象は随分変わってきます。

 

よく使う丁寧な言い回しの例

普通の使い方 丁寧な使い方
わかりました かしこまりました、承知いたしました
ごめんなさい 失礼しました、申し訳ございません
どうですか? いかがですか?
すみません おそれいります
ちょっと 少々
これ、こっち こちら
それ、そっち そちら
いま ただいま
前に 以前に
あとで のちほど
すぐに さっそく
だれ どなた、どちら様

 

患者さんが同年代であっても、友人との会話で使う略語や若者言葉などは、仕事の場にはふさわしくありません。「軽い人」「頼りにできない」などと先入観をもたれてしまうこともあります。

 

クッション言葉 

言い難いことを伝えるときに使いたいのが、クッション言葉です。 

「お手数ですが」 「恐れ入りますが」 「失礼ですが」 

など本題に入る前にひと言付け加えると、印象が柔らかくなります。

 

間違いやすい敬語の混同、使いすぎ

仕事上の会話は、患者さんに対しても、スタッフに対しても、敬語を使うのが原則。

敬語には 丁寧語・尊敬語・謙譲語 の3種類があり、相手や状況によってそれぞれ使い方が違うので、苦手な人や間違って使っている人が少なくありません。

使い方を間違えると、「礼儀も知らない失礼な看護師」と患者さんに思われても仕方ありません。

 

よく使う尊敬語と謙譲語の例

普通の言い方 尊敬語 謙譲語
言う おっしゃる 申し上げる
する される、なさる いたす、させて頂く
食べる 召し上がる いただく
来る いらっしゃる、お見えになる 参る、うかがう
行く いらっしゃる 参る、うかがう
見る ご覧になる 拝見する
聞く お尋ねになる、お聞きになる うかがう、うけたまわる
いる いらっしゃる おる

 

間違いが多いのが、医師や看護師長のことを患者さんに伝える時。「◯◯先生がおっしゃっています」では、身内である医師に「先生」という敬称をつけたり、「おっしゃっている」と尊敬語にしているのが間違いです。

(一般的には、「◯◯先生が言っています」と言うことが多いですが、本来は間違った使い方です)

先輩看護師に同じことを伝えるときは、「◯◯先生がおっしゃっています」と尊敬語で正解。敬語を気にするあまり、過剰な表現にならないように気を付けましょう。

アタマがこんがらかりそうですね。尊敬語と謙譲語は、日本語の中でも最も難しい使い方といえます。

 

専門用語は言い換える

看護師が普通に使う専門用語。仕事を進めるにはなくてはならないことばですが、患者さんに取っては理解できないことも多い。

冷たく聴こえたり、不安になったりしがちです。わかりやすく、暖かく響く表現に言い換えると良いです。

 

専門用語の言い換え例

清拭  ⇒  体を拭く
体位変換(体交) 体の向きを変える
既往症 以前にかかった病気
悪寒 さむけ
嘔気、嘔吐 吐き気、吐くこと
褥瘡 床ずれ
浮腫 むくみ
輸液 点滴
剃毛 種々部位の毛を剃ること
熱発 発熱
経口摂取 口から飲食すること
誤飲 食べ物や飲み物、痰などが
誤って気管内にはいること
QOL(Quality Of Life) 生活の質
ADL(Activities of Daily Living) 日常生活活動

 

医療の現場で飛び交う、一般には聞き慣れない専門用語。看護師として必要な専門用語は、きちんと理解するのが大前提ですが、患者さんやご家族に対しては、同じように使わないのがマナーです。

患者さんにしてみれば、何をされるか不安になったり、冷たく感じてしまうことも。わかり易い言葉に言い換えてきちんと理解してもらうことが大切です。

 

誤解を招くことばに注意

患者さんと看護師の感覚には違いがある、ということを意識することが大切です。何気なく使ったことばが、患者さんを不安にさせたり、迷わせたりすることもあります。

どんなことばや表現が患者さんの誤解を招くのかを知ることで、トラブルや不信感を生み出さないよう、具体的に伝えることが大切です。

 

誤解を招くことばの言い換え例

ちょっと待ってください ⇒   申し訳ありません。今手が話せないので、10分ほどお待ちいただけますか
もうすぐお呼びします 大変おまたせして申し訳ございません。後5分位でお呼びできると思います
また後で、◯◯先生に聞いておきます 今日◯◯先生はお休みなので、明日の朝、確認してからお返事します
いつもと同じ検査です 以前にも受けられていますが、これから◯◯の検査を受けていただきます
何か異常があったら呼んでください お薬の副作用で吐き気がしたり、頭が痛くなる場合もあります。
その時は遠慮せずにナースコールで呼んでください

 

「ちょっと」「すぐ」などは具体的な時間(実際より長めに伝えるのがポイント。告げられた時間より少しでも遅くなると、すごく待たされた気分になります)を伝えます。

「なにかあったら」は患者さんにしてみれば、どんなことがどの程度起こったら、なのかわかりません。どんな症状や状況が起こる可能性があるのかを、具体的に説明する必要があります。

患者さんに余計な心配や気遣いをさせないことが大切です。

 

耳障りなことばは使わない

口癖にも注意しましょう。言葉づかいとしては間違っていなくても、患者さんに取っては気になる表現や言い回しもあります。

「だって」「でも」といった言い訳や弁明に聞こえることばや、「すみません」ばかり言っているのも、あまり感じが良いとは言えません。

曖昧で自信が無いように聴こえたり、偉そうに聴こえたり、雑な印象を与えるものなどがあります。例えば、ぼかしことば「~みたいな」「~的な」「~とか」など知らず知らずのうちに良く使っていることも。

自分の口癖を意識して、耳障りなことばや表現があったら、意識して直していきましょう。

語尾にも注意が必要です。語尾が伸びたり、疑問形では無いのに、文節ごとに語尾があがったりするのは耳障りです。語尾を省略するのも雑な印象を与えます。

正しいことば遣いをしていても、口癖や語尾で印象が台無しになってしまうこともあるので注意しましょう。

 

まとめ~言葉にも品格あり

自分の言葉づかい、普段はあまり意識していないのが普通です。しかし、時には振り返って見ることも必要ですね。

ことば一つで人生が変わってしまうこともありえますから。看護師のことばが、患者さんの人生を変えることもあり、その逆もまたあり、です。

※ここで紹介した例は教科書的な一般論です。場合によっては、心がこもっていない、話しづらいなどの感情を持たれる場合もあるでしょう。

職場の風土、患者さんとの関わり具合などにより、ケース・バイ・ケースです。基本を理解したうえで、それぞれの状況に応じ応用してください。

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