水虫は足の指にできるのが多く、夏が水虫の季節と思われていますが、じつは最近は冬に水虫に悩まされる人も多くなっています。カサカサかゆい、皮膚がジクジクふやけるなど水虫の4つのタイプ、予防・治療についてお伝えします。
若者や女性に増える水虫
水虫、というと夏場に発症する中年男性の病気、というイメージが先行し勝ちですが、若者や女性には隠れ水虫の人も多くなっています。
○モバイルの1980より少し前、1968年のヒット曲、水虫の唄の歌詞は言い得て妙ですねえ!恋人同士で感染、別れた後も水虫のかゆみで思い出すなんて、切ないというか…
女性や若者に冬場の水虫も増えているのは、ライフスタイルの変化などから、寒くて眠れないため靴下をはいて寝ている、ブーツを常用しているなどで、足が蒸れるのも原因となっています。
最近は、自然界だけでなく、病気にも季節感が薄れてきましたね(笑)。
隠れ水虫は、知らない間に恋人や家族に感染させてしまう可能性もあります。
家族に責められたり、別れた恋人を思い出さずにはいられない状況にならぬよう、以下で水虫について理解を深め、隠れ水虫だと疑われたら、皮膚科を受診して治療してくださいね。
水虫の感染と予防
水虫は白癬菌というカビ(真菌)の一種が皮膚の角質層に感染して起こり、角質層の成分であるケラチン(タンパク質)を栄養源として増殖します。白癬菌の感染は体のどこの皮膚にも起こりますが、一般に足や手に感染して起きるものを水虫と呼んでいます。
白癬菌は湿度80%以上の環境で繁殖しますが、白癬菌が皮膚に付着してから角質層の中に入り込むには、湿度が高い状態の中で24時間ほどかかると言われています。
直接触れるだけでなく、剥がれ落ちた皮膚のかけらに混じって足ふきマットやスリッパ、床や畳、ホコリの中に白癬菌がいると感染しやすい状況となりますが、足を清潔にし、足や靴の通気性を良くすることで、予防は可能です。
水虫の症状と特徴
水虫はかゆいと思っている人が多いようですが、かゆみを伴う水虫は、それほど多くありません。実際にかゆみがあるのは、水虫の患者さん全体の約1割です。
かゆみがないと、「かゆくないから水虫ではない」と思い込み、本人の自覚がない、隠れ水虫の人も増えています。
恋人や家族に感染させる恐れもあるので、足の裏の皮膚がカサつく、皮膚が厚くなる、足の皮膚がめくれるなどの症状がある場合は、水虫を疑い治療をしましょう。
水虫の4つのタイプ
水虫は、症状と症状の現れる部位により、
- 趾間型(しかんがた)
- 小水疱型(しょうすいほうがた)
- 角質増殖型
- 爪白癬
の4つのタイプに大別されます。
趾間型(しかんがた)
指の間にできます。ジクジクと皮膚がふやけたり、カサカサして皮がむけたりします。
小水疱型(しょうすいほうがた)
足の裏などにブツブツと小さな水疱ができ、水疱が破れることもあります。
以上2つは一般的に夏に症状が現れ、多くの場合かゆみを伴います。かゆみは、白癬菌が角質層の浅い部分にいるときは感じません。奥まで入り込み、角質層の下にある、顆粒層(行きた細胞の層)に触れるとかゆみを感じます。
角質増殖型
足の裏にできます。足の裏全体が熱く硬くなり、粉を吹いたようになったり、ひび割れたりすることがあります。かゆみは伴わず、このタイプが起こる頻度は高くありません。
爪白癬
爪も白癬菌の栄養源となるケラアチンでできているので、水虫ができることがあります。足の水虫を長い間放置して、白癬菌が爪にまで感染して起こります。
爪が変色して厚く、硬くなり、かけたり、ボロボロしたりします。
以上2つのタイプは、かゆみは伴わず、季節による変動もありません。
水虫の治療と予防
水虫は白癬菌が角質層の奥にひそんでいることもあるので、「清潔にする」などの方法だけでは退治することは困難です。
外用薬や内服薬を使った薬物療法が基本となります。使用する薬は、水虫のタイプによって異なります。
外用薬は、症状がない部分も含め、指と指の間や、足の裏全体にまんべんなく塗ります。
趾間型・小水疱型
抗真菌薬の外用薬が用いられます。従来は1日2~3回塗る必要がありましたが、現在外用薬には約20種類あり、1日1回塗れば良い薬が主流です。
多くの場合クリーム剤が処方されます。有効成分が皮膚に長くとどまり、浸透性が高いことが特徴です。
2週間程度で症状が治まってきますが、皮膚の組織がいれ変わるまでおよそ1か月かかるので、少なくとも1ヶ月は薬を塗り続けましょう。入浴後に塗ると良いでしょう。
市販薬にも、処方薬と同じ成分が使われているので、一定の効果を得ることは可能です。しかし、自分の症状にあったものを使わないと、悪化させてしまう可能性もあります。
異変があったら、薬の使用を辞め皮膚科へ、また2週間程度使用しても改善しない場合も、皮膚科を受診することをおすすめします。
角質増殖型・爪白癬
角質増殖型や爪白癬は、白癬菌がいるところまで外用薬が浸透しにくいので、イトラコナゾール(イトリゾール)、テルビナフィン(ラミシール)と言う抗真菌薬の内服薬が用いられます。
内服薬は、処方薬のみですので、専門医の受診が必要です。
イトラコナゾール(イトリゾール)
パルス療法(短期大量間欠両方)を用います。これは「1週間続けて薬を服用した後、3週間薬を飲むのを止める」事を1サイクルとしえ3サイクル繰り返す方法です。
イトラコナゾールは爪の中に長くとどまり、飲んでいない間も効果を持続する特性を持っています。
従来の方法では、半年間毎日服用が必要でしたが、パルス療法は、より効果を発揮することが期待できます。
テルビナフィン(ラミシール)
毎日服用をおよそ6ヶ月間続けます。爪が生え変わるまで、手の爪で1か月約3mm、足の親指の爪で約1.5mm伸びると言われており、完全に生え変わるには、それぞれ6ヵ月、1年以上の期間が必要となります。
薬の副作用
外用薬
重篤な副作用はあまりありません。内服薬は、他の病気で薬を飲んでいたり治療を受けている場合は、服用できない場合もあります。必ず受診時に申し出てください。妊娠中・授乳中の女性は使えません。
内服薬
他の薬との飲み合わせや、下痢、腹痛などの胃腸障害、肝機能障害などの副作用が見られる場合もあります。
予防・再発防止
水虫はいったん直っても再発しやすい病気です。家族に水虫の症状がある場合、足ふきマットやスリッパを別にし、清潔にすることは感染の機会を減らしますが、防ぐことはできません。
白癬菌が皮膚に付着し、角質層の中に入り込むためには、湿度が高い状態で1日かかると言われています。足を清潔にして、靴と足のケア、こまめな掃除などが有効です。
予防・再発防止5つのポイント
- 足の清潔を保つ
- 蒸れにくい靴下をはく
- 通気性の良い靴をはく
- 毎日靴を替える
- 除湿効果のある中敷きを使う
うつさない、うつらないためのポイント
- 部屋の掃除をこまめにする
- 足ふきマットを別にする・毎日替える
- スリッパは専用に
- なるべく裸足で歩き回らない
温泉や銭湯などに行った場合、極力裸足になる機会を減らしましょう。スリッパは素足ではかない、お風呂から上がったら良く足を乾かし、すぐに靴下をはくなどすると良いです。
まとめ~水虫の治療は自己判断でやめない
水虫の治療は、見た目は治った、足の指のかゆみがなくなったと自己判断で辞めず、医師の指示を守って服薬・通院をすることが大事です。予防・再発防止、うつらないためにも、清潔にして通気性を良くすることを心がけましょう。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ