大動脈解離、脳卒中や心筋梗塞など突然死を招く怖い病気は、心臓や脳など、臓器そのものでなく、血管が老化することに原因があります。サイレントキラーとは? 血管の老化でどんな病気が起こるのか、それがいかに恐ろしいかを知ることが大切です。
突然死は血管の老化が原因の血管病の場合が多い
大阪、梅田で痛ましい事故が起こりました。その後の調べで、運転されていた方が大動脈解離を発症されていたことが、わかったそうです。
大動脈解離も、心疾患や脳血管疾患と同じく、血管の病気です。原因となるのは高血圧や糖尿病ですが、自覚症状がほとんどありません。
そのため、初期症状(自覚症状ではありません)が現れた時は、既に病気が進行していて、突然死に至るケースもあります。
死亡原因の約四分の一は血管病。日本人の死亡原因のトップはがんで約30%、次いで心疾患、脳血管疾患を合わせた約25%です。
心疾患、脳血管疾患は発症した場合、多くは一刻を争う救命治療が必要となったり、重い障害が残ったりします。血管の老化が原因となって起こります。
サイレントキラー
血管病の主な要因はサイレントキラーと呼ばれる、高血圧や糖尿病。自覚症状が殆ど無いので、気づいた時には、死に直結する段階まで進んでしまっているケースも多い。
体内を隅々までめぐる血管の状態は、直接見ることができないばかりか、コワイ発作を起こす寸前まで、病状が進行していても、その徴候を出してくれません。
そのため、昨日まで元気に働いていた人が突然倒れ、30代や40代の若さで亡くなってしまうことが起こるのです。
自覚症状と初期症状
例えば、脳卒中のサインである「片側の顔が動かない」「片側の視野が欠けている」などの症状は、病気の前触れである自覚症状ではありません。
これらの症状は、病気が既に起こっていることを示す「初期症状」です。すぐに治療を開始しなければ、生命に関わったり、思い後遺症が残ったりします。
2016年2月25日、大阪梅田の交通事故
この事故は、運転手さんが事故直前に大動脈解離を発症していたと見られています。
何らかの異変を感じ、停車させたけれどもその後に意識を失って、足がアクセルを踏み続けていた、という可能性も。
体力作りを欠かさず、健康であった(と思われていた)そうですが、自覚症状のない病魔が進行していたのかもしれません。
今までは居眠り運転、とされていた交通事故も、実は今回のように、病気が原因となっていたケースも多いとも言われています。
亡くなられた方のご冥福をお祈りし、ケガをされた方が一日も早く回復されますように。
大動脈解離とは
大動脈解離(だいどうみゃくかいり、英: Aortic dissection)とは、3層構造を作ってい大動脈のうち、何らるかのきっかけで真ん中の層の膜(中膜)に血流が入り込み、層構造が別々に剥がれていく(解離してしまう)疾患。
出典: Wikipedia
突然のはげしい胸や背中の痛みがあります。手足の動脈への血流が悪くなり、はげしい痛みが手や足にも現れることもあります。
血管の老化が招く主な血管病
血管病は主に動脈に起こります。主要なものは以下の10の病気です。それぞれの病気の簡単な特徴は後述しています。
- 脳卒中
- 脳出血
- 脳梗塞
- 眼底出血
- 大動脈破裂
- 狭心症
- 心筋梗塞
- 腎硬化症
- 腎不全
- 閉塞性動脈硬化症
脳卒中・脳出血・脳梗塞
脳卒中
脳出血と脳梗塞に別れる
- 脳卒中: 主に脳の細い動脈で起こる。脳機能に障害が出る
- 脳梗塞: 脳の太い動脈に起こり深刻なケース。血流がたたれ、細胞が死んでいき、やがては心停止に至る
脳出血
脳の細い動脈が硬く厚くなってコブ状の動脈瘤ができ、破裂する。
「クモ膜下出血」も脳出血の一種で致死率が高い。(動脈硬化よりも高血圧が主原因となる)
脳梗塞
硬化が進んだ脳動脈に血栓が詰まり、血流が途絶えてその先の細胞が壊死。太い動脈で起こると、致死率が高くなる。
眼底出血
網膜動脈の効硬化で視力障害が起き、進行すると眼底で大出血が起きて失明に至る。
大動脈破裂
腹部や胸部の太い動脈が硬化して、コブ状の塊ができ、それが破裂して体内で大出血が起こる。激痛を伴う発作が起き、致死率が高い。
狭心症・心筋梗塞
狭心症
心臓に血液をおくる「冠動脈」の内腔が狭くなり、血流が一時的に途絶えて、胸に激痛が走る発作が起こる。
心筋梗塞
冠動脈に血栓が詰まり、心臓への血流が完全に途絶え、心筋(心臓の筋肉)が壊死する。致死率が高い。
腎硬化症・腎不全
腎硬化症
人細動脈の硬化が進行し、腎臓が小さくなって腎機能が低下する。
腎不全
腎硬化症が進行し、腎機能が一層低下、血液透析が必要になる場合が多い。
閉塞性動脈硬化症
動脈硬化の進行で、足への血流が不十分になり、歩行障害をきたす「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」が起こる。悪化すると足が壊疽。
参考
【平成26年の主な死因】
- 第1位 悪性新生物 368,103人 28.9%
- 第2位 心疾患 196,926人 15.5%
- 第3位 肺炎 119,650人 9.4%
- 第4位 脳血管疾患 114,207人 9.0%
- 第5位 老衰 75,389人 5.9%
死亡数 127万4,004人
【死因順位(第5位まで)別死亡数・死亡総数に占める割合】
厚生労働省 平成27年9月3日発表 「平成26年人口動態統計(確定数)の概況」
心疾患と、脳血管疾患を合わせると、約24.5%、4人に1人が血管病でなくなっています。
まとめ~血管の病気をよく知り不幸な事故を防ぐ
大阪、梅田の事故は、運転手の大動脈解離によって起きた、不幸な事故であったことがわかってきました。
さっきまで普通に生活をしていた人が、突然死。さらに他の人を巻き込んでしまう危険性もあるのが、血管の病気です。
血管の老化が原因で引き起こされる病気は、日本人の死因の約四分の一にもなります。
サイレントキラーと呼ばれる、高血圧や糖尿病といった生活習慣病は、自覚症状が殆ど無く、気づいた時には重大な状況であることも多い。
それを防ぐためには、まず血管が原因の病気のことを、よく知ることが重要です。
血管の老化を防ぐ方法は、後日まとめます。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ