静脈にも血栓ができますがその90%以上は足の血栓です。血栓がはがれて肺の血管をつまらせると肺塞栓症が起こり、最悪死に至ることも。ふくらはぎの痛みや腫れが片足だけに起きるなど、静脈血栓塞栓症の特徴や予防法をお伝えします。
脚の静脈血栓の特徴
動脈にできた血栓が、心筋梗塞や脳梗塞の原因になることはよく知られています。静脈にできる血栓の殆どが脚の静脈にできますが、細長くなることもあり、長いものではひざの辺りから太ももの付け根辺りまで、30cm以上になることも!
血栓ができても静脈を完全に塞いでいない場合は、血液の流れは滞らず症状が現れません。そのため気づきにくくなります。
ふくらはぎの腫れ、痛み、変色
血栓が脚の静脈の内腔を広範囲に塞ぐと血流が滞り、脚に血液が溜まるので、ふくらはぎなどの腫れや痛みなどの症状が現れます。
皮膚の色が紫色や赤色になったり、慢性化すると色素沈着で黒く見えたりします。
病気が原因でないむくみは、一般に両方の脚に症状が現れますが、血栓が疑われるのは片方の脚だけが腫れている場合です。
血栓が細く、静脈を広範囲に塞いでいなければ血液は流れるので、脚の腫れは起こりません。
血栓を防ぐ方法
血栓ができなければ肺梗塞症、静脈血栓梗塞症の予防になります。血栓を防ぐには、ふくらはぎの筋肉を鍛えるかかとの上げ下げや、リンパを流すマッサージが有効です。その他にも、
- こまめに脚を動かす
- こまめに水分補給をする
ことも重要です。
こまめに脚を動かす
血栓ができるのを防ぐ方法の1つは、こまめに脚を動かすことです。これにより血流がゆっくりになる、という血栓ができる要因を取り除きます。
旅行や仕事で長時間車を運転する場合は、1~2時間に1回はパーキングエリアやサービスエリアなどに車を止め、車外に出て歩いたり身体を動かしたりします。
トイレに行きたくなくても、一定時間経ったらトイレ休憩を取るという習慣を付けても良いですね。
飛行機や電車の旅行では、座っているときにも、脚を動かす運動を行いましょう。その場でかかとやつま先の上げ下げ、足踏みなどをするだけでも違います。
トイレまで歩く、通路でひざの屈伸(他の人の邪魔にならないように気を付けてください)等、危険のない範囲で動くのも良いでしょう。
こまめに水分補給
水分をこまめに補給することで脱水を防ぎ、血液が固まりやすいという要因を取り除きます。
アルコールやカフェインを含む飲み物には利尿作用があります。水分が身体から失われるので適量にとどめましょう。
また、座席の位置によっては隣の座席の人の前を通らないと通路に出られません。
隣の人に遠慮して、トイレの回数を避けようと水分補給を控える人もいますが、血栓予防のために水分補給するようにしましょう。
注意が必要な人
血栓ができやすい次のような人は、長時間の運転や旅行などの際には、特に注意しましょう。
血栓ができやすい人
- 高齢者
- 肥満のある人
- 妊娠中の人
- 持病がある人
- 高齢者
年を取ると血管の壁に傷がつきやすく、血液が固まりやすくなっていることがあります。 - 肥満のある人
座ったときにひざや太ももの付け根あたりの血管が、圧迫されやすくなります。肥満で生活習慣病のある人は、血液が固まりやすくなっています。 - 妊娠中の人
お腹が大きくなってくると血管を圧迫します。又、妊娠すると血液が固まりやすくなります。 - 持病がある人
心臓病、がん、脳卒中、関節リウマチなどの病気があると、その影響で血液が固まりやすくなります。
静脈血栓塞栓症とは
血管の病気には、「こぶ」と「詰まる」がありますが、血栓は「詰まる」病気です。血栓とは血管の中に血液が詰まってできる血液の塊のこと。
脚の静脈には深部静脈と表在静脈があり、血栓はより深い部分を流れている静脈(深部静脈)にできます。
血栓が詰まり下肢に血液がたまってうっ滞した状態のことを、深部静脈血栓症と言います。こぶができるのは主に足の静脈の皮下にある表在静脈です。
脚の血栓が肺に到達し、肺の血管が詰まるのが急性肺血栓塞栓症、いわゆるエコノミークラス症候群です。
「深部静脈血栓症」と「急性肺血栓塞栓症」は一つの病気の異なった2つの側面を見ているだけですので、まとめて「静脈血栓塞栓症」と呼ぶこともあります。
静脈の血栓ができる要因
脚の血栓は以下のような要因が重なり合うことで生じます。
- 血流がゆっくりになる
- 血液が固まりやすい
- 血管壁に傷がつく
血栓は座っている時間がながければ長いほどできやすくなります。血栓ができる危険性が高まる時間の目安は、6時間以上と言われています。
また、肺塞栓症は目的地に到着して歩き出した直後に起こることも有れば、数日後に起こることもあります。
血流がゆっくりになる
ふくらはぎの筋ポンプ作用については過去エントリーでもご紹介しましたが、通常歩くことなどでふくらはぎなどの筋肉が収縮と弛緩を繰り返し、このポンプ作用で血液が重力に逆らって情報へ流れ脚から心臓へ戻ります。ビーナスリターンです。
飛行機の座席など狭い空間に長時間座り続けて脚を動かさないと、筋肉のポンプ作用が働かないため血流が滞り、血栓ができやすくなります。
また、座った姿勢では、ひざと太ももの付け根が曲がり血管を圧迫することでも血流が滞ります。
血液が固まりやすい、血管壁に傷がつく
血液が固まりやすい
乗り物の内部は、空調などの影響で乾燥し易いです。身体の水分が失われ脱水が起こりやすくなるので、血液が固まりやすく、血栓ができやすくなります。
血管壁に傷がつく
血管の壁には滑らかさを保ち、血栓をできにくくする働きが備わっています。血管壁が硬くなると血管の壁に傷がつきやすく、血栓もできやすくなります。
いわゆる血管の老化で、血管年齢を若返らせるには血管を柔らかく広げる簡単な手足の運動がおすすめ。
また、血管を老化させる要因となる、生活習慣病や喫煙習慣の治療、改善も重要です。血管年齢を若返りさせる方法はこちらでも確認できます。
血栓は座っている時間がながければ長いほどできやすくなります。血栓ができる危険性が高まる時間の目安は6時間以上と言われています。
肺塞栓症は目的地に到着して歩き出した直後に起こることも、数日後に起こることもあります。
ふくらはぎの腫れ、痛みが片足だけにおこる
静脈血栓ができても静脈の血液が流れている場合、症状が現れないため病気に気づきにくい場合があります。
ふくらはぎの腫れ、痛みが両方の脚にある場合は一時的な症状で、病的なむくみなどでは無いことが多いです。
脚の血栓の場合は、片足だけに起こることが多いので、ふくらはぎの腫れや痛みが片足だけの場合、検査を受けることをおすすめします。
通常ふくらはぎの腫れや痛みが両足にある場合は、病的でないむくみなどで一時的なことが多いです。
静脈が詰まってできる血栓の殆どは脚に現れ、ふくらはぎの腫れや痛みの症状があることもありますが、多くの場合片足に起こります。
怖い肺血栓塞栓症
静脈にできた血栓がはがれて血流に乗り、心臓から肺の動脈まで達して詰まると「肺塞栓症」が起こります。
詰まった場所により症状はない場合から、胸の痛み、呼吸困難、湿疹、ショック状態などの症状が現れ、心臓や肺の機能が停止して突然死が起こることもあります。
健康な人でも飛行機や電車、自動車などの座席に長時間座り続けると、静脈の血栓ができやすくなります。
エコノミークラス症候群、旅行者血栓症
この血栓が歩いたりすることをきっかけにはがれて肺の動脈を詰まらせ、急に呼吸困難やショックをおこすことからエコノミークラス症候群と呼ばれています。
最近ではビジネスクラス以上の乗客や、長距離トラックの運転手などにも発症することが知られ、「旅行者血栓症」とも呼ばれているようです。
エコノミークラス症候群は、長時間の飛行機旅行などにより引き起こされた、急性肺血栓塞栓症です。
肺血栓塞栓症とは
- 脚の静脈に血栓ができる
- 何かの拍子に血栓が血管の壁からはがれる
- 血流に乗って心臓へ血栓が入る
- 心臓を通過し、廃へ入り、廃の血管をつまらせる
まとめ~ふくらはぎのポンプ作用を促す
静脈の血栓がはがれて肺の血管をつまらせて、肺塞栓症をおこすと、胸の痛み、呼吸困難、ショックなど、最悪の場合心臓や肺の機能低下が起きることも。
ふくらはぎの筋ポンプ作用を促すエクササイズや、リンパを流すマッサージなどを意識して行い、静脈血栓塞栓症の予防を心がけましょう。
血圧が高いと血管年齢の老化にもつながるので、血圧の薬についても知っておくと役にたつでしょう。こちらの記事も参考になると思います。
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