転職を成功させるために、面接の目的を知り、看護師転職で定番のQ&A、基本的なマナーについて確認しましょう。
転職面接の目的
転職面接では、履歴書や職務経歴書からだけではわからない、あなたの能力や適性、人柄を見ようとします。それもたいていは10分~20分くらいの短時間で、質問を投げかけその時の態度や応対のしかた、質問への受け答えで判断します。
一方、応募者であるあなたにも、面接は転職先の職場環境や雰囲気などを見て、自分が本当に入職したい職場かどうかを判断する絶好の機会でもあります。
絶対にここで働きたい!という病院があるなら別ですが、そうでない場合は複数の病院に応募して、面接を受けてみることをおすすめします。
良い病院は人を見ている
面接の仕方でその病院が「話をジックリ聞いて見極めている」「誰でもいいからとにかく採用したい」と言った違いがわかってきます。どちらが転職で成功できるかは、明白ですね。
人材紹介会社を活用した転職活動でも、「すぐに転職したい」ではなく、「3~6ヵ月先に入職したい」と希望すれば、複数の病院の面接を受けるゆとりが生まれます。
定番6つの質問Q&A
転職面接では、質問事項はたいてい決まっています。医療機関の場合は常識的な質問を押さえておけば問題ありません。定番の質問に対する答えを整理して起きましょう。
ウソはいけませんが、必ずしも本当のことをすべていう必要はありません。誤解を招くようなことはあえて避けるということも必要です。
以下では定番の6つ質問と、回答のポイントをまとめました。
1.なぜ当院で働きたいのですか~志望動機
履歴書に書いた志望動機にアレンジを加えます。履歴書そのままでは「本音ではないかも」と思われる可能性があります。 回答のパターンは2つ。
- これまでの看護経験を生かせると考えたから
- 目指すキャリアプランを考えた時に魅力的な職場だから
いずれのパターンでも、どういうスキルを生かせるのか、どういう点に魅力を感じたのかを具体的に説明します。両方を交えて回答できると、より印象が良くなります。
2.退職の理由は
これも必ずと言ってよいほど聞かれる質問で、かつ注意して答えなければいけません。マイナスの理由を上げるのは避けましょう。
例えば、セクハラ、上司のパワハラ、イジメ、えこひいきなど人間関係で退職を決めた人も多いですが、面接の場では伏せておいたほうが良いです。
そうした状況は第三者には判断しがたいし、転職してきても同じように思うのでは、と言う印象も与えます。
給与が低いなどの理由も避けます。前職の悪口になるような理由は口にしないようにしましょう。今回の退職・転職が必要であることを客観的にきちんと説明することが重要です。
「今後のキャリアプランを考えた時、今の職場ではできないことが、この病院では出来る」等、前向きなことばで説明します。
転職回数の多い人
転職回数が多い人は特に気を付けて回答する必要があります。短期間で退職している人は、「また直ぐ辞めてしまうのでは」と思われがちです。
これまでの退職・転職について相手を納得させることが出来るよう、それぞれ説明を考えておきます。
3.看護師を目指した理由は
看護師としての初心や原点を尋ね、あなたの人柄や性格をみています。よく見せようとする必要はありません。「テレビドラマの看護師に憧れた」のがきっかけでもOK。
ただし、実際に看護の勉強を初めて、あるいは看護師として働いて感じたこと、考えたこと、やりがいを感じている事などについても補いましょう。
4.看護師として大切に思うことは
看護観をみる質問ですので、答えはありません。一人ひとり違う看護観があります。これまでの経験で感じたり、考えたりしたことを、ことばに出来るよう整理しておきましょう。
患者さんの話など具体的なエピソードを交えて説明できると、よりあなたの看護観は伝わると思います。
5.インシデントの経験はありますか
インシデントを経験したか、否かを聞きたいのではなく、インシデントを予防するために、看護師としてきちんと意識しているか、失敗を次に活かしているか、ということを聞きたいのです。
ありません、という答えを期待しているわけではないということです。
医療事故、ヒヤリ・ハットを防止するために、どのような工夫を行い、どのようなことを意識して仕事をしているのかを、具体的に話せるよう準備しておきます。
6.いつから働けますか
すでに退職している場合は、入職希望日を伝えます。在籍中で退職日が決まっていない場合、すぐにはやめられない場合は、正直に事情を伝えることが大切です。
就業規則の内容、退職の手続き、引き継ぎを考えたうえで、いつくらいになりそうかの目安を伝えます。
在籍しながら転職活動を行っている人が多いので、引き継ぎなどを考慮すると内定から1ヶ月ほどかかるのが一般的です。それ以上になる場合は、理由も伝えたほうが良いでしょう。
ただし、少し休みたいとか、旅行に行きたいなどの理由は微妙です。「できれば少し休暇を頂いてから」など柔らかく伝えたほうが良いでしょう。
採用時期が決まっている場合は、そのタイミングで入植できないと採用は難しい場合もあります。
入職日については事前に確認しておきましょう。特に自治体病院や大学病院、新設の病院などは注意してください。
面接で見られるのはコミュニケーション力
採用担当者が面接で見ているのは、対話力です。医療はサービス業と言われるように、患者さんとのコミュニケーションが必須。
更に病院では一人では何もできません。医師をはじめ、スタッフとのコミュニケーションが取れないと、仕事はできません。
一緒に働きたいと思ってもらえるか
面接では話す内容自体ももちろん大切ですが、質問に対してきちんと答えているか、受け答えがきちんとできているかという点を重視しています。
面接担当者は、「この人と一緒に働きたい」と言う視点から判断することが多いものです。
国家試験に合格して看護師免許を持っているということは、たとえ多少のブランクがあったとしても、看護師としてのスキル・知識面のベースがあるわけなのでほとんど問題はありません。
応募者からの質問タイム
面接では、最後に「何か聞きたいことはありますか」と質問の時間を設けている場合が多いです。
看護師さんは真面目な方が多いので、真面目さ、正直さをアピールしようと言う気持ちもあるのですが、その際に後ろ向きの質問や権利の確認などはマイナスの印象を与えがちです。
それまでの会話が好印象であっても、最後の最後に「やってしまった…」とならないよう、質問の仕方、内容にも気を付けたいものです。知りたいことを聞き出すコツは、次項でお伝えします。
例:病院の離職率、有給休暇の取得などについてストレートに聞く
知りたいことを聞き出すコツ
応募者側にとっても、面接の場は自分が本当に働きたい職場なのかどうかを判断する絶好の機会でもあります。知りたいことをうまく聞き出すことも大切です。
面接では、担当者から質問が投げられ、答えるというのが基本スタイル。
そして、大抵の場合、病院に関する説明なども一通り終えてから、最後に、「何か質問はありませんか?」と、応募者側が質問できる時間が用意されます。ここで気になることを確認しましょう。
聞き方の注意点
5個も6個も次々に質問するのはちょっと失礼です。「これだけは確認しておきたい」という2、3点に絞ります。
質問は、その内容、質問の順番、聞き方に注意する必要があります。せっかくそれまで良い雰囲気で回答していたのに、聞きたいことを単刀直入、はっきり聞いたために、一気に空気が悪くなったというケースもあります。
注意すべきポイントを次にまとめます。質問する前には、まず面接のお礼を述べてから。
職場の雰囲気、人間関係
働いてみなければわかりません。が一番知りたい部分でもあります。面接は看護部長が担当することが多いので、その人柄を見てみます。また、さり気なく質問して雰囲気を探ることもできます。
例えば離職率で、職場環境がある程度わかりますが、いきなり「離職率は」と聞くのでは印象が良くありません。
「長く勤めたいと思っていますが、みなさん長い方が多いのでしょうか」
「長い方が多いということは、働きやすい雰囲気なんでしょうね」
「何年目くらいの方が多いのですか」
など遠回しに効いてみると良いでしょう。
育児との両立をサポートする制度
育児中の看護師にとっては、院内保育や短時間勤務など、どのようなサポートがあるのか知りたいと思うでしょう。
しかし「○○の制度はありますか」「○○は可能ですか」と聞いていくと、身勝手な印象になりがちです。
「子育てをしながら働いている方はどのくらい居らっしゃいますか」
「お子さんがいる方はどのように勤務されているのですか」
など、今働いている人たちのことを聞くと、実情もわかり、印象もわるくなりません。
給料のこと
お金の話は効き方次第で印象が悪くなりかねません。真っ先に聞くのは避けましょう。
業務内容や勤務形態など当たり障りのない質問をしてから、さり気なく確認することです。聞き方にも、働く意欲を伝える前ぶりをするなど工夫しましょう。
給与、待遇面を有耶無耶にしたまま入職を決めるのは良くありません。聞き方、聞くタイミングを注意すればマイナスのイメージはないので、きちんと確認して転職を決めることが大切です。
締めのお礼に、入職したら上司となる面接官を、さり気なく持ち上げて終われると良いでしょう。
知らないと損!面接の基本マナー
今更感もありますが、面接の際の基本マナーも確認しておきましょう。服装やメイク、面接の際の流れについて簡単にまとめます。
見た目が勝負
第一印象はまず「見た目」が勝負です。
- 清潔で爽やかなみだしなみ
- 心地良い態度や立ちふるまい
- 明るい顔の表情、オーバーでないボディランゲージ
- 感じのよい挨拶や話し方
などに注意しましょう。
服装の基本はスーツ。仕事帰りに面接に行く場合、スーツでは目立つのでジャケットを着てフォーマルな雰囲気の洋服を選びましょう。ナチュラルメイクで清潔感を与える髪型に。
ヒールの低い黒いパンプスなどで落ち着いた色調のバッグを持ちます。
面接の流れ
ふつうの事を普通にすれば大丈夫です。
- 面接場所には少なくとも10分前には到着できるように行動する
- 夏場は早めに到着し、汗が引くのを待つゆとりを持つ
- トイレなどで最後の身だしなみをチェック
- 携帯電話の電源を切り、面接担当者の名前を確認
- 受付の人に「本日○○時に面接のお約束を頂いております、看護師の○○と申します。「(担当部署)の(担当者名)様はいらっしゃいますか」と呼んでもらう
面接室では
相手が待っている場合
- ノックをして返事を待ってからドアをあけ、「失礼します」と挨拶をしてから入室
- まず一礼し「看護師の○○と申します。本日は面接のお時間をいただきありがとうございます。どうぞ宜しくお願いします」と挨拶する
相手が後から入ってくる場合
- 座って待つ。担当者が入ってきたら起立して挨拶をする
- 「お座りください」などと言われたら「失礼します」と言ってから席に座る
面接中
- 背筋を伸ばして座る
- なるべく相手の目を見ながら話す
- 表情にも気をつける。緊張で表情が硬くなりそうだったら「緊張して無表情に見えてしまったら申し訳ありません」と最初に伝えてしまうのも手です
- メモを取りたい場合は、「メモを取らせていただいてもよろしいですか」とひと言確認をしましょう
面接終了
- 起立して「ありがとうございました」と一礼
- ドアをあけ、面接官の方に向き直り「失礼します」と一礼して退室
- 病院を出るまで、他の職員とすれ違ったら軽く会釈をします
採用担当の本音
少し前までは紹介会社経由の看護師さんは、「楽に転職したい」「自分で転職先を探すのが面倒」という方も多く、あまり良い印象を持っていなかったのは事実です。
紹介会社に手数料を払うより、その分を給料に上乗せして、看護師さんに気持よく働いてもらいたいのが本音。
最近では医療職も、人材紹介会社を活用した転職活動が一般的になってきて、優秀な看護師さんが紹介されてくることも増えてきました。
多くの情報を得ていますので、応募先はかなり絞られているので、面接でも具体的な話がし易いです。
とは言え、基本的には自分で応募してくる、「この病院で働きたい」という熱意のある看護師さんに集まって欲しいというのは、どの医療機関でも本心でしょう。
まとめ~転職の目的を明確に
他の業種に比べ、転職率の高い看護師。転職面接は、基本のマナー、コミュニケーション力を見られます。また、応募者側が転職先をより知る機会でもあります。
病院側も、転職者にもインターンシップを制度化し、転職前にマッチングするかどうかを直に感じてもらおうという流れも生まれ始めています。
転職の目的を明確にすることで、面接の質問への受け答えは問題なくできるはず。後はきちんと受け答えすることが重要です。
他の応募者に差をつける面接のコツ、転職で成功するコツはこちらの記事でもご紹介しています。
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