仕事上のキャリアを考える場合、技術を高めてスペシャリストを目指す、マネジメントスキルを磨いて管理職を目指すなど、看護師としての自分の方向性、キャリアプランを考える時、目標設定に便利なのが「資格」。資格取得で失敗しないための考え方、資格の持つ効果である、資格取得のプロセスを確認します。
キャリアアップのステップに資格取得
看護師の約半数が何らかの資格を持っているという報告もあります。
医療分野だけでなく、世の中には多種多様な資格があり、それらを有効に活用してキャリアアップのステップにしたり、転職を有利にしたりしましょう。
資格取得が「こんなはずでは…」とならないためには、目的意識を持つことが重要です。
目的意識を持つ
せっかく資格を取得しても、役にたたなかったという人も少なからずいます。それは、資格をとる「目的」に原因があ るからです。
資格のもつ3つの効果(知識・スキルの習得、知識・技術の客観的証明、経験値を体系的知識へ(後述))は、分野を超えて多くの資格に当てはまります 。
「仕事に役立てたい」と資格取得を考える場合は、「仕事に必要な」資格を取得する必要があります。
資格取得が役に経たなかった原因
実は、「仕事に必要」というポイントは見落とす人も少なくありません。
- 将来役立ちそうだから
- 資格取得しておけば、なんとなく有利そう
と 言った動機で資格取得を目指す人もいます。資格取得した段階で「仕事に役立たない、期待はずれだ」というのは、仕事と資格の関連性を考えずに取 得してしまったからです。
せっかく苦労して取得したのだから、と仕事に活かしたいと思うのは自然ですが、全く関係のない分野の資格を仕事に活かすのは無理 があります。仕事に活かしたい、と思うなら
- どんな資格なのか
- どんな知識が得られるのか
- その知識は仕事とどのように関連するのか
をしっかりと調べることが大切です。
資格取得を目指す時の注意点
漠然と役立ちそうだから、他の人も持っているから、などの動機で資格取得を目指すとただのお飾りになってしまう可能性が高い。
仕事に活かしたい、今後のキャリアに活かしたい、と考えるなら
- 目的をはっきり 現在の仕事や将来の希望と取りたい資格の関連性を確認
- 計画性を持つ お金や時間、試験時期など事前に十分情報を得る
- 資格は道具 資格取得ですべての夢が叶うわけではない
などを十分理解しておくことが大切です。
資格取得で役立つこと
資格取得のプロセス、取得は仕事に役立つばかりでなく、
- 看護の範囲が広がった
- モチベーションアップ
- 患者さんとのコミュニケーション
- 勉強意欲
- 人脈
- 医師との関係
- 評価
などで良い変化が有ったと感じる人が多いという報告もあります。
プロセスこそが資格取得の3つの効果
取得した資格そのものが仕事に直接役立つとは限りません。しかし、大抵の場合は、資格取得に向けて勉教したり、講習会や実習に参加したりします。
このプロセスで得られた知識や技術が日常業務とリンクしている場合、「仕事に役だった」と感じられることが多いです。
- 知識・スキルの習得
- 知識・技術の客観的証明
- 経験値を体系的知識へ
という効果があります。
知識・スキルの習得
途中経過である勉強に価値があると言えます。
忙しい毎日のなかで時間を取り、勉強に取り組むのは用意ではありませんが、資格は試験日程が決まっていたり、参考書や問題集を利用できるので、便利な存在です。
資格取得を目指して勉強しているうちに、自然と仕事に必要な知識や技術が身についた。それが資格の持つ効果です。
知識・技術の客観的証明
看護師に限らず、自分自身のキャリアを証明する際に、一般的に用いられるのが経験年数です。
例えば転職する場合、「看護師歴10年」「外科病棟3年」と言った具合に、キャリアを説明出来ます。しかし、知識や技術の量は、経験年数だけでは測れません。
資格は、認定を行う学会や団体などから「専門家として一定の知識や技術を持っている」と認められたということを意味します。
資格取得は一つのものさしとなり、取得者の知識・技術を証明してくれます。
経験値を体系的知識へ
資格取得のための勉強をしていると、「仕事には必要ないのでは」と思えるような内容もあります。
しかし、これこそが資格の効果でもあります。日常の業務で習得する知識は、必ずしも順序立てられているわけではありません。
目の前の仕事を通して、ランダムに、断片的に身に着けていくことがほとんどです。それまでの経験上の知識もあります。
資格取得に向けた勉強では、順序立てて学べ、また経験値を裏付ける研究結果などに出会うこともあり、体系的な知識を習得することが出来ます。
現場で習得した知識を体系立てて勉強することは、不安や疑問の解消、仕事に対する自信に繋がります。また、知識が整理されることで、次のステップへ進むきっかけとなります。
資格が有ってもなくても同じ
看護師の資格がないと看護師としての仕事はできません。医師や弁護士なども同様です。
これらの資格は、一定水準の知識や技術を身につけた人だけに許可するための資格です。
しかし、大半の資格は資格取得者も、持っていない人も同じ仕事が出来ます。このことを十分理解しておく必要があります。
資格に対する過度の期待、誤解
「資格を取ったのに仕事内容が変わらない」と言ったストレスや
「資格があるのに給料が同じ」と言った不満が生まれることも有ります。
職場によっては、資格取得に対して支援制度が有ったり、資格手当がある場合もあります。
しかし、そうでない職場の場合に「資格取得=給料アップ、昇進」と考えると期待はずれとなりかねません。
資格は便利な道具
資格取得は、あくまでもきっかけであることを忘れてはいけません。
- 資格取得に向けての勉強
- ⇒知識、技術が磨かれる
- ⇒仕事のスキルが伸びる
というプロセスを経て、その結果として昇給や昇進に繋がります。また、取得した資格の種類によっては、転職に有利に働くことがないとも言えません。
多くの資格に即効性はなく、また万能でもありません。しかし、様々な場面で資格は成長を促し、目標へと続きます。
キャリアプランを考える上で、資格は便利な道具として利用しましょう。
まとめ~資格取得は一つの目標
どんな仕事であれ、将来の自分がどのようでありたいのか、キャリアプランを考えるときに、一つの目標となるのが資格取得です。
現在の仕事をキャリアアップするため、あるいはキャリアを広げるため、目標はそれぞれ違います。
大切なのは、取得することが目的ではなく、その資格があなたのキャリアプランとどのように関連するのか、そして、取得に向けたプロセスにこそ、資格取得の効果があることを忘れてはいけません。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ