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脳梗塞再発予防3つのポイント~後遺症対策とのあわせ技

脳梗塞発症後はリハビリなどの後遺症対策と合わせ、再発予防が非常に重要です。再発予防の3つのポイント、危険因子対策、血栓を予防する治療、定期的な検査についてお伝えします。

脳梗塞再発予防3つのポイント~後遺症対策とのあわせ技

脳梗塞の再発予防対策

脳梗塞の再発の多くは、脳の別の場所の血管が新たに詰まることで起こります。また、一度起こしたタイプと同じ種類の脳梗塞を発症することが多いです。

特に心原性脳塞栓症を発症した場合は、再発した場合も心原性脳塞栓症のことが多くなっています。脳梗塞が再発しやすいのは、発症後1年間です。

 

脳梗塞を起こした人の特徴

過去に脳梗塞を起こしたことがある人は、血管が詰まりやすいという特徴があります。

脳梗塞の大きな原因である動脈硬化は、一部の血管だけでなく、脳を始め体のあちこちで起こります。一度症状が落ち着いても、動脈硬化を原因とした脳梗塞が再発しても不思議ではありません。

心原性脳塞栓症でも、心房細動など原因となる心臓病を治療しなければ、血栓ができやすい状態は改善されません。

脳梗塞の再発と予防

再発すると新たな梗塞巣が増えて後遺症が強まるので、生活の質が低下したり、認知症や寝たきりの要因となることもあります。

以下の3つのポイントを守り、脳梗塞再発の予防に取り組むことが大切です。

再発予防3つのポイント

  • 危険因子対策
  • 血栓を予防する治療
  • 定期的な検査

*この他に外科的な治療として、手術もあります。

 

危険因子対策

脳梗塞を起こす危険因子を減らすことが大切です。危険因子を一つでも多く減らせば再発のリスクは減ります。

  • 原因となる病気の治療
    • 高血圧
    • 糖尿病
    • 高脂血症
    • 心臓病
  • 生活習慣の改善
    • 禁煙
    • 飲酒は適量を
    • 肥満の解消
    • 適度な運動

脳梗塞の患者さんが危険因子を1つだけコントロールすると、再発のリスクは20~30%下げられ、高血圧、糖尿病などすべての危険因子をコントロールすると、リスクは80%近くも下がる、という研究報告もあります。

病気の治療

最大の危険因子、高血圧 
再発予防には、血圧の自己管理が最も重要。食事など生活習慣の改善では血圧が目標値に達しない場合は、降圧薬が必要です。

また、家庭での血圧測定が欠かせません。毎日朝と夜、2回測定して記録し担当医に見せると、日常の血圧の状態に併せた治療を受けられます。

糖尿病 
食事療法による血糖のコントルールをまず行います。摂取エネルギー量の制限が必要で、担当医の指示に従い行います。
効果がない場合は、経口血糖降下薬やインスリン注射など、薬物療法も併せて行われます。

高脂血症 
脳梗塞の再発を防ぐには、総コレステロール値を200mg/dl未満まで下げる必要があるとされています。

過剰にエネルギーを摂取しないように、動物性脂肪などの制限をする食事療法が必要です。食事療法だけで改善されない場合は、薬物療法も併せて行います。

心臓病 
心房細動は心原性脳塞栓症の最大の危険因子で、一度心原性脳塞栓症を起こした人で心房細動がある人は、再発率が高くなります。抗不整脈薬、抗凝固薬などによる治療を受けることが大切です。

生活習慣の改善

禁煙 
脳梗塞を起こしたことのある人は、必ず禁煙してください。再発のリスクが高いです。

大量の飲酒 
大量の飲酒は危険因子です。しかし少量であれば、脳梗塞発症のリスクを下げる効果が期待できることがわかっています。

肥満 
肥満は高血圧や糖尿病、高脂血症などを起こしやすくなります。最近では肥満そのものも、脳梗塞の危険因子では無いかと考えられるようになってきています。
適正体重を目標に減量し、それを維持することが必要です。

運動不足 
運動は肥満、高血圧、高血糖などを改善する効果が期待できます。リハビリもかねて適当な運動を続けるようにしましょう。

 

血栓を予防する治療

脳梗塞の再発予防には、薬物療法も必要です。脳の血管を詰まらせるのは血栓(血液の塊)です。内服薬を使って血液を固まりにくくし、血栓ができないようにすることで再発を予防します。

再発予防の薬物療法は、ずっと続ける必要があります。自己判断でやめたりすると再発のリスクが高まるので、医師の指示通りに薬を飲み続けることが大事。

血栓を予防する薬物療法には、抗血小板療法と、抗凝固療法があります。薬の副作用や服用上の中などをよく知り、医師の指示に従って正しく服用しましょう。

抗血小板療法

一般名 主な副作用 注意点
アスピリン
(バファリン、バイアスピリン)
胃腸障害 市販薬もあるが、容量や成分が異なる場合もあるので自己判断で飲まないこと。
クロピドグレル
(プラビックス)
肝機能障害
貧血
胃腸障害
発疹
アスピリンと併用 出血している人は使えない
空腹時の投与は避けることが望ましい
中止する場合は10日~14日前から
チクロピジン (パナルジン) 肝機能障害
白血球減少
TTP*
服用開始から2ヶ月間は2週間に1回血液検査を受ける
シロスタゾール
(プレタール)
頭痛 頻脈 うっ血性心不全の人は使用できない

血栓は血液中の血小板が集まってできます。抗血小板薬には血小板の働きを抑え、動脈硬化のある部位に血小板が集まるのを防ぐ作用があります。

主にラクナ梗塞、アテローム血栓性梗塞の場合に用いられます。一過性脳虚血発作(TIA)を起こした人、無症候性頸動脈狭窄の発症予防のためにも使われます。

現在主に使われている抗血小板薬は3種類あり併用されることもあります。

※TTP:血栓性血小板減少性紫斑病

 

抗凝固療法

一般名 主な副作用 注意点
ワルファリン (ワーファリン) 出血しやすい
止血しにくい
受診のたびに血液検査を受ける
容量調節が必要
湿気やすい
他の薬を飲む時は担当医に相談
ビタミンKの多い緑黄色野菜を控え、納豆やクロレラ、青汁類は摂らない
ダビガトラン (プラザキサ) 消化管出血
頭蓋内出血等の出血
間質性肺炎
アナフィラキシー
中等度腎障害患者、P糖蛋白質阻害剤併用患者のほか、
70歳以上の患者および消化管出血の既往のある患者には慎重に投与する

動脈にできる血栓は血小板が主体ですが、心臓にできる血栓はフィブリンと言う繊維が主体です。抗凝固療法で用いる抗凝固役には、フィブリン主体の血栓ができるのを防ぐ作用があります。

心原性脳塞栓症の再発予防に使われ、心房細動を伴う脳梗塞や、TIAを起こした人などに用いられます。

日本で抗凝固役として使われているのは、ワルファリンと 2011年に販売開始されたダビガトランです。

ワルファリンは抗血小板薬より量の調節が難しく、効きすぎると出血しやすく止血しにくい、と言う症状が現れます。

そのため受診のたびに血液検査を行って血液の固まり具合を調べ、飲む量を調節する必要があります。

またビタミンKの働きを阻害し、血液が固まるのを防ぐので、ビタミンKを合成する成分を含む納豆は食べないようにします。

緑黄色野菜もビタミンKを多く含むので、一度にたくさん食べないようにしましょう。また、市販のかぜ薬には、ワルファリンの作用を強める作用のあるものもあります。注意してください。

ダビガトランはワルファリンのように、血液検査や食事制限などが必要ありません。

 

定期的な検査

一度脳梗塞やTIAを起こした人は、特に自覚症状がなくても定期的な検査は必要です。

検査により動脈硬化の進み具合、新たな脳梗塞の兆しの有無などを定期的に調べ、治療がうまくいっているかどうかを確認することが大切。

検査の結果、進行が見られたりする場合は治療方法の見直しが必要となります。少なくとも1年に1回は、以下のような検査を受けるようにしましょう。

  • MRI検査(脳梗塞の再発がないか、小さな無症候性脳梗塞の有無などの発見)
  • MRA検査(脳の血管の動脈硬化の程度を調べる)
  • 頸動脈超音波検査(頸部の頸動脈の動脈硬化の進行度を知らべる)

後遺症の重症化、再発予防

脳梗塞発症後の後遺症の重症化、再発の予防には、運動機能の回復、社会復帰へのサポートを目的としてリハビリテーション医療と併せて、再発予防の治療も続けることが重要です。

生活習慣の改善など危険因子の除去、血栓を予防する治療、進行の状態などを確認し、適切な治療を検討するための定期的な検査の3つです。

脳卒中は一般に「突然意識を失い倒れる病気」と思われがちですが、脳梗塞の場合意識がはっきりしていることが多く、話もできることが多いです。

そのため少し様子を見よう、などと思っているうちに症状を悪化させてしまうことも少なくありません。

症状が軽いうちに適切な治療を受ければ、後遺症も少なく生活の質を保つことも可能です。少しでもおかしいと思ったら、すぐに医療機関を受診してください。

 

まとめ

脳梗塞を一度起こすと、違う場所に再発のリスクが高いです。後遺症改善のリハビリと合わせて、再発予防もすることが大切。

高血圧など、原因となる病気の治療、生活習慣病予防のため生活習慣の改善などで、まず危険因子を一つでも多く減らすようにすることも大切です。

脳梗塞発症後の生活の質の低下を防ぐために、脳梗塞再発予防の3つのポイントを確認し、3つを並行して実践することが重要です。

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