便秘の多くは腸内環境の悪化が原因で、腸の老化で腸の力が衰えることから始まります。臭いおならの原因も便秘に。便秘がなぜ起こるのか、便秘が体に与える影響や、便秘解消のため腸内環境を整える方法などを見ていきましょう。
腸内環境は全身の健康に影響
便秘は直接命に関わることはあまりありません。なのでしつこい便秘に悩まされていても、あまり深刻に考えないでいることも多いでしょう。
しかし、便秘で腸内環境が悪化し悪玉菌が増えると、便の中にある毒素が体の中に残ったままになり腸の力が衰えます。
悪玉菌が増え腸が老化すると、ニキビなどの肌トラブルや、高血圧、直腸・大腸がんなど様々な体の不調を招く要因ともなります。
便秘とは
腸の働きが正常であれば、通常食べたものは胃、小腸、大腸、直腸と進み、約24時間後に排出されます。便秘とは、一般的に週に2回以下、便が3日以上出ていない状態のことを言います。
毎日出なくても、便秘ではないこともあるし、逆に毎日出ていても便が固くて出にくい、量が少ない、残便感があったりなど不快感がある場合は、便秘の一種と考えられます。
腸内環境の悪化で起こる便秘は大きく以下の3つに分類されます。
- 直腸性便秘 直腸に便がたまり、うまく排便できない
- 弛緩性便秘 大腸のぜん動運動の力が弱い
- 痙攣性便秘 ストレスなどで副交感神経が過度に興奮し便がうまく運ばれない
※詳しい分類は後述
臭いおならは腸内環境の悪化から
便秘も腸内環境を悪化させ、臭いおならの原因となりますが、以前よりおならが臭いとか、トイレが臭い、と感じたり、家族に言われるようになったら、腸の老化が進んでいるのかもしれません。
腸内環境は加齢で悪玉菌が増加する傾向があり、腸内の便からアンモニアや硫化水素などの有毒ガスが発生して、臭いのもととなります。
また、悪玉菌が出す有毒ガスは、腸を傷つけ老化させる要因の一つです。最近腸年齢が実年齢よりも老化している人が増えている傾向があります。
腸年齢が実年齢よりも上だと、今は便秘でなくても将来的に便秘に苦しむ可能性があります。
腸内環境を整え、有毒ガスを発生させないことで臭いおならも発生しません。ガスがなくなればおならが止まらない、という悩みにも効果を期待できます。
便秘の解消で痩せる!
便秘を解消することは健康にも良いことですし肌のトラブルの改善にも効果が期待できます。
更に便秘はダイエットの敵!頑固な便秘が解消したら体重も減っていた、ということはよくあり、巷にあふれるダイエットサプリなどは、腸内環境を整える、毎日のスッキリ、などを謳い文句にしています。
腸内環境を整え、ダイエットのサポートをすると話題なのが乳酸菌や葛の花イソフラボンなどの成分。
出典:「機能性表示食品」って何? - 消費者庁
特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品とは異なる新しい食品の機能性表示制度*による製品もあり、ダイエットの強い味方と人気となっています。
腸内環境を整えるためには、食事や生活習慣の改善が重要ですが、それが便秘の解消にもつながり、ダイエット効果も期待できるというプラスの連鎖が起こります。
食事だけでは不足する栄養素などを、補助的にサプリなどで利用するのも一つの選択肢でしょう。
青汁や酵素飲料を利用する人も増えているようです。口コミなどによく登場する商品を幾つかご紹介しておきましょう。商品の特徴、価格など詳細はそれぞれの公式ページで確認されてください。
ベルタ酵素ドリンク | |
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めっちゃぜいたくフルーツ青汁 | 優光泉 |
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便秘解消には生活習慣の改善
便秘になりやすい生活習慣を見直し、改善することが便秘解消の第一歩。腸内にはたくさんの細菌が住んでいます。善玉菌と悪玉菌がよく知られていますが、実はどちらにつくかフラフラしている日和見菌が一番多い。
便秘になりやすい生活習慣
- 運動不足 便を押し出すには腹筋などの筋肉が必要
- 朝食抜き 食事回数が少ないと、腸の働きが鈍り栄養吸収機能が低下
- 不規則な生活 生活の乱れは睡眠不足、ストレスの原因。食事時間が不規則なのも腸に悪影響
腸内環境の改善
腸内環境は善玉菌より悪玉菌が多いために、腸の働きが衰えた状態です。便秘になりやすい生活習慣が悪玉菌を増加させ、腸の老化を招きます。
- 善玉菌 腸の消化・吸収を助けたり、ぜん動運動を活性化させたりしている
- 悪玉菌 毒素をだしたり、腸のぜん動運動をにぶらせたりする
つまり、腸内環境を改善するためには、悪玉菌を減らし善玉菌を増やすことが大切だということです。
腸年齢チェック
ネット上では様々なサービスで腸年齢チェックができます。一度自分の腸年齢をチェックしてみると良いでしょう。(例として理化学研究所の辨野義巳先生監修のチェックシートをご紹介しておきます。)
腸年齢チェック ←こちらから
出典:雪印メグミルク
トップページを下にスクロールすると、腸年齢チェックのBOXがあります。そこをクリックしてください。(ちなみにセルフチェックして診断された腸年齢をみて、のけぞりました!)
チェックシートは主に
- 便の色・形・出るまでの時間などについて
- 普段の生活習慣について
それぞれ5~10門程度の質問に答える物が多いです。
便秘に良い生活習慣とは
便秘になりやすい生活習慣を改めること、つまり、
- 適度な運動
- 規則的な食事
- 規則的な生活
を心がけることです。具体例として5つご紹介します。
水分補給
特に朝起きてすぐコップ1杯の白湯を飲むと良いです。できれば一日2リットルを目安にこまめに補給しましょう。
発酵食品を食べる
納豆や味噌、ヨーグルトなどを毎日食べましょう
歩く
腹筋が弱まると便を排出する力も低下します。ウオーキングなど適度な運動で腹筋も鍛えましょう
リラックス
ストレスなどで自律神経が乱れると便秘の原因に。半身浴、アロマなどでリラックス
腸マッサージ
腸のマッサージ方法はいくつかあります。例えば握りこぶしで時計回りにお腹を1分ほどマッサージするのも、腸を刺激し活性化させます。
自律神経のバランスの乱れも便秘の原因
胃の中に食べ物が入ると胃は消化を始めます。これが刺激となり大腸もぜん動運動を開始するのですが、このような腸の運動力や吸収力を自律神経がコントロールしています。
自分の意志とは関係なく働く神経で、交感神経(緊張にかかわる)と副交感神経(リラックスにかかわる)があり、それぞれのバランスがとれたときに腸の働きは最も高まります。
交感神経が優位になることが多いストレスや不規則な生活が、便秘の原因となっていることも少なくありません。
腸の動きを悪化させるストレス
- ストレスがたまると自律神経が常に興奮状態になり、交感神経が優位になる
- 交感神経が優位になると、腸内腔が広がり、便が送られなくなる
- 便がたまると腸内に悪玉菌が増殖、腸内環境が悪化
腸内環境を整える呼吸法とヨガ
体をリラックスさせ、副交感神経を優位にする効果があるのがヨガのようなゆったりした呼吸法です。
又、ヨガのポーズには血流に大きな影響があることが判明しています。ぜん動運動は腸の血液量が多くなると活発になります。
呼吸法には丹田呼吸法、完全呼吸法、などいくつかありますが、ここでは簡単にできる方法をご紹介します。椅子に座る、立つ、安楽座(あぐら)いずれの姿勢でもOK。
- おへその下あたり(丹田)に両手をあて、まず息を吐ききります
- 鼻からゆっくり(5秒ほどかけて)息を吸う
- 口をすぼめて吸ったときの倍の長さで息を吐く(鼻から息を吐く方法もあります)
これを1回5分程度、一日3回行いましょう。手を置いたおなかを意識するようにすると良いです。
腸の若返りヨガ
- 両足を挙げてぶらぶらさせる(約10秒)
おなかへ血液が流れます - 寝て両手を左右に広げ両膝を立てる→下半身を左右に約10秒ずつひねる
腹筋を刺激し、腸の働きを活発にします - 膝を抱えて開く(約10秒)左右の膝を手でおなかの方に引き寄せる→両膝を開き太股を下腹部に近づける
- お尻を持ち上げる 両手で体を支えおしりを持ち上げて肛門を締める(約10秒)
- 全身の力を抜いてリラックスし、ゆっくり深い鼻呼吸をする
注意すること
- 寝る前に行います
- 1分以上行ってはいけません
- 足腰に不安がある時は無理に行わないようにします
便秘のタイプ
便秘の原因は様々で、大きく急性便秘と慢性便秘、機能性便秘と器質性便秘にわけられ一般的な便秘は機能性便秘です。
便秘 | ||||
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器質性便秘 | 機能性便秘 | |||
腸閉塞、大腸がんなど腸の腫瘍 閉塞、炎症などで腸の通りが悪い 腸の長さや大きさの異常 などが原因 |
一過性便秘 | 習慣性便秘 | ||
ストレスや食事内容・環境の変化 などが原因 |
直腸性便秘 | 弛緩性便秘 | 痙攣性便秘 |
通常の便秘は大きく分けて3つのタイプがあることは前述しましたが、更にそれぞれが混ざりあった4つのタイプがあり、合計7つに分類することができます。
- 直腸性便秘 直腸に便がたまり、うまく排便できない
- 弛緩性便秘 大腸のぜん動運動の力が弱い
- 痙攣性便秘 ストレスなどで副交感神経が過度に興奮し便がうまく運ばれない
- 直腸性便秘・弛緩性便秘
- 直腸性便秘・痙攣性便秘
- 弛緩性便秘・痙攣性便秘
- 複合型便秘
7つのタイプの特徴と原因
機能性便秘は胃、小腸、大腸などの機能が低下が原因で便秘になるもので、更に一過性と習慣性にわけられます。一般的に便秘と呼ばれるものは習慣性の機能性便秘です。
水分不足、便意の我慢、食物繊維不足、ストレス、運動不足、などが原因で腸内環境が悪化することが便秘につながります。
1.直腸性便秘
直腸やS状結腸に便がたまっても便意が起こらないタイプ。
高齢者や寝たきりの人などに多く、仕事などでトイレに行けない状況が続いたり、痔や恥ずかしさで排便を我慢しているうちに、便意が鈍くなったもの。
肛門括約筋のおとろえや、がん・ポリープで便の通り道が塞がれている場合もある
2.弛緩性便秘
腸管の緩みで腸のぜん動運動がしっかり行われていないために、便が腸のあちこちにたまって水分が過剰に吸収されて硬くなるタイプ。
悪玉菌が増えやすく、腸内環境の悪化で便意も悪化する悪循環に陥りやすい。高齢者や女性に多い。
3.痙攣性便秘 ストレスや疲労、睡眠不足、環境や食事の変化などで、腸のぜん動運動に関わる自律神経のバランスの崩れで、ぜん動運動が強くなりすぎて便がうまく運ばれず、コロコロした便になるタイプ。
下痢と便秘を交互に繰り返す場合もある。長びくと過敏性腸症候群という病気になることもある
4.直腸性便秘・弛緩性便秘 1と2が複合したタイプ
5.直腸性便秘・痙攣性便秘 1と3が複合したタイプ
6.弛緩性便秘・痙攣性便秘 2と3が複合したタイプ
7.複合型便秘 1~3の3つのタイプが複合したタイプ
なぜ女性に便秘が多いのか
日本人女性の半数以上が便秘があると言われています。なぜ女性に多いのか、その理由はいくつかあります。
- 身体の特徴
女性は男性と比較すると腹筋が弱いため、大腸が便を送り出す力が弱い - 女性ホルモンの影響
黄体ホルモンの働き*による。 - 無理なダイエット
食物繊維、水分、脂肪分を減らすのでぜん動運動にも影響が出る - 精神的な理由
忙しさや恥ずかしさで、人前でトイレを我慢することが多い。旅行など環境の変化によるストレスの影響も受けやすい
黄体ホルモンの働き
- 体に水分や塩分をtため込むように指示し、腸壁から水分が吸収されて便が硬くなる
- 妊娠時には流産しないよう子宮筋の収縮を抑制する。これが腸に影響し、ぜん動運動を低下させる
- 特に月経前や妊娠初期には黄体ホルモンが多く分泌されるので、便秘になりやすい
まとめ~腸内環境を整えよう
多くの人が悩まされる便秘。病気や薬剤の影響による場合もありますが、多くは腸内環境の悪化、腸の老化が原因で起こります。
腸の老化は便秘だけでなく様々な病気の要因ともなるので、改善することが大切。
便秘の解消に、腸内環境を整える必要性があることをお分かりいただけたでしょうか。腸内環境を整えることで便秘の解消はもちろん、肌トラブルの改善や、痩せることも期待できます。
有毒ガスの発生も抑えられるので、おならがとまらない、臭いおならなど、おならの悩みも解消です。
毎日できる腸内環境を整える方法、自分にあったものを無理なく継続することで健康を維持していきましょう。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ
機能性食品
事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品です。販売前に安全性及び機能性の根拠に関する情報などが消費者庁長官へ届け出られたものです。ただし、特定保健用食品とは異なり、消費者庁長官の個別の許可を受けたものではありません。
出典:「機能性表示食品」って何? - 消費者庁
主な原因
急性と慢性に分類される。原因は多岐に渡り、急性の場合は医療機関での診断と治療が必要とされる。特に、出血や狭窄を伴う場合は生命に関わる重篤な機転に及ぶ可能性がある。
消化管に臨床的な異常を生じていない機能性便秘は、ストレスや食事内容の変化が原因となる「一過性便秘」と慢性的な「弛緩性便秘」、「痙攣性便秘」、「直腸性便秘」に分類される。
出典:Wikipedia 便秘