「一応、避妊はしていたんだけど…」避妊の失敗で泣くのは女性。困るのは男性。と言うのはステレオタイプな見方でしょうか。いずれにせよ、子供を産んで育てる条件が整わないうちは、「確実な避妊」が必要です。性感染症の予防も考えなければいけません。未婚か既婚か、決まったパートナーがいるかいないか、避妊方法あれこれです。
代表的な避妊方法、メリットとデメリット、失敗率
避妊方法 | メリット | デメリット | 失敗率 |
---|---|---|---|
ピル | 開始、中止が簡単 生理が軽くなるなどの副効用 |
毎日飲まなければいけない 費用がかかる |
0.1~6 |
IUS | 最長5年間避妊ができる 生理痛の緩和が見込める |
病院で出し入れする 卵巣嚢胞などの副作用 |
非常に低い |
銅付加IUD | 数年間(2~5年間)避妊ができる | 病院で出し入れする 月経量の変化、腹痛、おりものなどの副作用 |
1.5~2 |
コンドーム | STD予防が同時にできる 手軽に買える |
失敗率が高い | 3~14 |
女性用コンドーム | 女性がSTD予防を 主体的にできる |
男性用と併用しない よじれやすい |
日本での治験 6.3 |
不妊手術 女性 |
一度受ければOK | 手術が必要 | 0.5 0.1 |
失敗率が高いコンドーム
日本では約8割の人が避妊として使っているポピュラーな方法ですが、欧米では避妊具ではなく、主にSTD(性感染症)を予防するためのもの、と言う考え方が一般的です。
前述の表のように、避妊の失敗率が3~14と他の避妊方法に比べ高いためです。
病院にも、避妊に失敗して慌てて駆け込んで来る方が多いのですが、ほとんどが、外れた、破けた、のケース。使い慣れないためも多いです。
一方で年齢が高くなって、使いづらくなることも原因となります。パートナーの持続時間が短くなったり、ふとしたことで急に萎えて脱落したり。
このように避妊方法としては失敗率が高く、大変危険が大きい。
低用量ピル又はIUD、IUSとコンドームでダブルブロック
避妊方法は低用量ピルかIUD(子宮内避妊用具)で、STD(性感染症)予防をコンドームのダブルブロックが安心です。また、新しい避妊方法として、IUS(子宮内避妊システム)があります。
パートナーが固定化していない
複数のパートナーがいると、感染源も増えるのでSTD(性感染症)にかかるリスクが高くなります。
- 未婚でパートナーが固定化していない場合は、低用量ピルとコンドームの併用が良いでしょう。
- 出産した後は、一回装着すると数年間避妊ができるので、IUD(子宮内避妊用具)、IUS(子宮内避妊システム)がおすすめです。
- 既婚でも、どちらかが他のパートナーを持つことがあるなら、STDにかかるリスクがあるので、必ずコンドームとの併用を。
月経不順の場合
「妊娠しにくい身体なのよ」思い込んで油断し、避妊を怠ったために妊娠してしまった。というケースが少なくありません。
いつ排卵が起きるかわからないので、避妊が難しいと考えましょう。ピルが確実な方法です。
さらにピルを使用すると、生理の周期が安定し、次の生理がいつなのかの予測も経ちます。旅行や仕事の予定に合わせて生理を早くしたり、遅くしたりすることも可能です。
誰の子かわからない事態も起こりうる
生理が不規則でたまにしか来ないから、予定が遅れていても気にしないでいたらつわりが始まり…
慌てて病院に駆け込んでくる人もいます。中にはいつ排卵が起こったかもわからず、誰の子なのかもわからない、ということも現実に起こっている。
パートナーがコンドームを嫌がる場合
妊娠は避けたい場合は、ピルかIUSまたはIUDで避妊します。
パートナーとの関係がスティディ(お互い浮気しない)で感染症がないことがわかっていればSTDの心配は不要です。
半スティディ(決まった相手がいるが、別の相手もいる)、フリー(固定していない)場合はSTDの予防にはコンドームがどんな場合にも必要。
嫌がる相手につけさせるテクニック
「病気をうつしたくない」、「うつされたくない」とはっきり言えれば問題はないのですが…
「つけたほうが安心して楽しめるから」とか、いろいろな種類を買っておき、「今日はこれにしようか」などと、つけること自体をプレイの一部にしてしまっても良いですね。
緊急避妊
行為後に妊娠を防ぐ方法で、ピルを使う方法と、IUDを使う方法があります。
アフターピル
プラノバールを処方。行為後2時間以内に2錠、12時間後に同じ量を飲むと妊娠が防げる可能性があります。成功率は75%で、確実に防げるわけではありません。緊急避妊に失敗して妊娠、出産をしても赤ちゃんへの影響はありません。
また、一度に多量のピルを飲むので、吐き気やおう吐、不正出血、頭痛などの副作用が起こりがちです。
アフターピルの服用後、3週間以内に出血が起これば、緊急避妊は成功ですが、念のため妊娠検査薬でも確認しておきましょう。
IUDを使う場合
行為後5日以内に銅付加IUDを子宮内に挿入、受精卵の着床を妨げて妊娠を防ぎます。成功率は90%以上と言われています。
避妊に失敗したら、迷わずすぐに産婦人科へ
コンドームが破けた、ピルの飲み忘れに気付かず行為をしてしまった、などという時に、妊娠の不安にイライラしながら次の生理を待つのは辛い。
緊急避妊は時間内の早急な対処が必要なので、迷っていないですぐに産婦人科へ行き相談しましょう。
ピルについて
女性が自分の意志でコントロールできる避妊方法ですが、
- 毎日飲まなければいけない
- 保険適用外なので薬代がかかる
- 副作用もある
と言うデメリットもあります。
ピルの副作用が怖い、と言うイメージもありますが、平成11年に認可された低容量のピルは、ホルモン量が低めなので、副作用の発生率はかなり低くなっています。
服用開始1~2ヶ月は、下記のような副作用がでる場合がありますが、症状の多くは1~2ヶ月で軽減します。
- 吐き気
- 倦怠感
- 不正出血
- 頭痛
- 乳房の張りなど
避妊以外のメリット
避妊以外にも、生理痛の軽減、生理不順の改善、PMS(月経前症候群)の緩和などのメリットがあります。
長く飲み続けていると出血量が減り、月経量が減るので痛みも軽くなり、腰痛、下腹部痛、頭痛など生理に伴う症状も軽くなる人が多いようです。
ピルによってホルモンの状態が安定するので、ニキビや肌のトラブルが多い人も、改善することが期待できます。
期待できるピルのメリット
- 生理痛の軽減
- PMSの緩和
- 生理不順の改善
- 腰痛、下腹部痛、頭痛など生理に伴う症状の軽減
- 肌トラブルの改善
ピルの処方
市販はされていません。主に産婦人科で処方してもらいます。ピルの処方の際に、厚生省が必要な検査項目についてガイドラインをまとめています。
問診
- 最終月経の開始日(最後の生理はいつだったか)
- 生理周期、日数、月経量など
- 普段の生理の状態
- 妊娠、出産の経験
- 喫煙の状態
など
タバコを吸う女性は血栓症や心筋梗塞にかかる危険性が高まるという報告があり、ヘビースモーカーは服用できない場合もあります。
ついで、というわけではありませんが、子宮がん検診やSTDの検査も受けることをおすすめします。
低用量ピルの個人輸入
日本ではピルは医師の処方が必要です。保険適用外で実費となるので費用が高いです。個人輸入の代行業者が販売している低用量ピルは、安いので利用している方も少なくありませんが、高いリスクも伴います。
個人輸入自体は違法ではありませんが、日本の薬機法に基づき効果や安全性を確認された製品ではありません。また、副作用、事故などが起きた場合の保障もありません。
オンラインショップの低用量ピルを利用する場合は、信頼できる代行業者かどうか、見極めることが重要です。
ダイエットピル(太りづらい)として認識されているBayer(バイエル)社のヤスミン、アフターピルのマドンナなどが販売されていますが、それぞれの商品説明がしっかり記載されているかどうかも確認しましょう。
副作用や飲み方の注意点、問い合わせ先などの情報がきちんと提供されていることも重要です。
IUD(子宮内避妊用具)とISU(子宮内避妊システム)
IUD、ISUはどちらも子宮内に装着する避妊具です。それぞれ受精卵の着床を防ぐ仕組みが違います。
ISUイメージ 画像出典:清水レディースクリニック
ISU(子宮内避妊システム)
新しい避妊法で、黄体ホルモンを持続的に放出する器具を子宮内に装着し、
- 子宮内膜に作用して妊娠の成立を妨げる
- 子宮の入口の粘液を変化させて精子の子宮内への進入を妨げる
ことで非常に高い避妊効果を最長5年間ほど持続することが可能です。子宮内膜が熱くならないので、月経量が減り生理痛の緩和も見込めます。
ただし、医師による装着が必要で痛みを伴う人もいます。不正出血がしばらく続いたり、黄体ホルモンの影響で不調を感じる人もいるようです。
卵巣嚢胞などの副作用が起こる場合もあります。
IUD(子宮内避妊用具)
子宮内に装着された器具で子宮内の環境を変え、受精や受精卵の着床を防ぎます。
銅や薬剤がついているものがありますが、銅線が巻きついているものは、銅イオンにより精子の運動性を押さえて受精を妨げるので、効果が高いと言われています。
医師による装着が必要で、月経量の変化や腹痛、おりものなどの副作用が起こることもあります。
子宮内避妊器具(しきゅうないひにんきぐ) (英: intrauterine device; IUD)
子宮の中に留置して用いられる避妊器具である。かつては他にも呼び方があったが、現在はIUDに統一された[1]。一度留置すると5-10年継続して効果を発揮し、妊娠回避効果も高い。ホルモンを放出するタイプは月経困難症や月経過多の治療にも使用される[2]。
出典: Wikipedia
参考:
まとめ
妊娠を望んでいないなら、確実な避妊法をとってください。望まぬ妊娠は心も身体もダメージを受けます。
STD予防も考えると、どのようなケースでも、低用量ピル又はIUS、IUDの利用と、コンドームの併用が一番確実な避妊方法です。
不妊で泣く人に~子作りのコツ
望まぬ妊娠で泣く人もいれば、子供が欲しくてほしくて様々な方法を試したり、不妊治療を受けても妊娠できず、泣く人も。
避妊は正しい知識を持つことで多くの場合コントロールできますが、妊娠は「さずかりもの」の部分もあり、なかなか難しいものです。
- 産んで育てる条件が整ってきたので子作りを始めようと思う。
- 避妊はせずに妊活を始めたけれどなかなか妊娠できない…
といったときに是非お読み頂きたいのがこちらです。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ