健康と日々の徒然~Anのひとりごと

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人工透析NO!腎機能低下を早期発見、クレアチニン検査と尿検査の重要性

自覚症状がほとんど現れずに腎機能の低下が進行する慢性腎臓病。透析患者数は増加の一方です。気づいた時は人工透析、とならないためには定期検査が重要です。透析患者減に実績のある、記入式チャート表をご紹介。

人工透析NO!腎機能低下を早期発見、クレアチニン検査と尿検査の重要性

人工透析患者を減らす検査とチャート表

最近、生活習慣病に起因する腎臓病から人工透析を受ける患者さんが増加しています。その中で、兵庫県尼崎市は健康診断の結果を1枚のチャート表に記入し、保健指導を行った結果、新しい透析患者を減らすことに成功しました。

健診の数値を記入することで、どの数値が悪いと人工透析になる可能性が高いのか、どんな生活習慣が関係しているのか、改善するのはどこなのかが一目でわかるように工夫されたシートです。

目で見てすぐに分かるので、健康診断の結果がよく理解できるので市民の健康への関心が深まったことも成功のカギ。

 

自己記入式チャート表の効果

血管の変化はほとんど自覚症状がなく、長い間かけてじわじわ進みますが、チャート表に健康診断の検査数値を記入することで、自分の血管の状態が一目でわかるようになっています。

また、毎年の結果を継続的に見ることで変化に気づきやすく、早い段階で病気を発見することができるので、人工透析になる前に治療を開始することができます。

血管を傷つける危険因子を知ることができるので、何を改善したら良いのかも知ることができるのです。

尼崎市は無料の保健指導も行っており、生活習慣病の予防、改善、人工透析予防に実績をあげ注目されています。

参考:尼崎市オリジナルチャート表 健診すすめ通信平成25年5月号(http;//www.city.amagasaki.hyogo.jp/dbps_data/_material_/_files/000/000/008/272/susume_gougai_25.pdf)

 

このチャート表をNHKのガッテンが、腎臓病に特化してアレンジしたのが下記の表です。2011年9月14日に放送された番組で紹介されました。

ガッテン流自己記入式チャート表
注意:予防意識をより高めるためにわかりやすく番組で作成したもので、厳密には実査の仕組みと異なる点もあります。基準値を越えている場合は、必ず医師の診断を受けてください。
*HbA1cの値は平成24年から新基準NGSP値で5.6%となっています。
自己記入式チャート表 NHK ガッテン(2011年9月14日放送)(http;//www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20110914/P20110914_002.html)

ガッテン流記入式チャート表の見かた

チャート表の空欄に検診結果を記入し、数値の悪い項目の矢印を逆にたどると原因にたどり着きます。それを改善することが人工透析の予防につながります。

クレアチニン値は腎臓のろ過機能がどのくらい働いているのかを表すeGFRがわかり重要な数値です。

  • 検査数値の記入 
    ①~⑩の空欄に検査結果を記入します。②eGFR(糸球体ろ過量)がない場合はクレアチニン値をもとに後述の早見表で調べて記入してください。
  • 基準値を越えているものにマーカーで印をつける 
    記入した数値が基準値を越えている場合、マーカーで印を付けてください。基準値は各項目のそばに表示されています。
  • マーカーを逆にたどる 
    マーカーがついた項目から、矢印を逆にたどると根本の原因にたどり着きます。
  • 原因となっている項目の改善策を実践 
    原因となっているものを改善します。

慢性腎臓病の要因と対応

慢性腎臓病の発症と悪化には、様々な要素が関連しています。特に影響が大きいのは糖尿病と高血圧と言われています。

糖尿病で血糖値の高い状態が続くと腎臓の糸球体に負担がかかり、障害されるので老廃物をろ過できなくなります。

高血圧は高い血圧で糸球体が障害され腎臓の働きが低下していきます。糖尿病や高血圧などがある場合は、医師の指導を受けながら病気の治療も同時に行うことが大切です。

慢性腎臓病と診断された場合、病気の進行を押さえ、透析を受けずに生活できるようにするために必要なのは生活習慣の改善です。

重症度の判定

慢性腎臓病の重症度は、尿蛋白と推算糸球体ろ過量の2つの要素から判定されます。

重症度の分類

  尿たんぱく測定
eGFR
(推算糸球体ろ過量)
ステージ ml/分/1.73m2 1+ 2+以上
1 正常 90以上
2 軽度の腎機能低下 60~89
3a 腎機能低下に対する病態評価と経過観察を要する 45~59
3b 腎臓専門医の受診が望ましい 30~44
4 腎臓専門医による治療が必要となる場合が多い 15~29
5 腎臓専門医による治療が必要
人工透析、腎臓移植を検討
15未満

参考:CKD診療ガイド2012 日本腎臓学会より

例えば尿たんぱくがでていなくても、腎臓の働きが一定の数値いかになると重症と判断され、また腎機能がそれほど低下していなくても、続けて多量の尿たんぱくがでていると重症と判断されます。

腎機能低下、更に尿たんぱくもでているという場合は、非常に危険な状態です。

 

慢性腎臓病とは

慢性腎臓病とは、尿蛋白が陽性である状態、あるいは腎機能低下の状態が続くことを言います。慢性透析患者数は2015年末には324,986人となっています。

初期は自覚症状がなく、かなり進行してから現れるのがむくみ、倦怠感、食欲不振、貧血などの症状で、更に進行すると、息苦しさ、視力低下などが現れることもありますが、いずれも重症化しないと現れません。

更に、慢性腎臓病以外の原因でも起こるので、知らない間に進行していて症状に気づいた時は人工透析寸前ということも少なくないのです。

腎臓とたんぱく、クレアチニン

以前にもお伝えしましたが、左右に1つずつある腎臓の中には、1つの腎臓に100万個あると言われている糸球体と言う毛細血管の塊があります。

腎臓は送り込まれた血液を糸球体でろ過し、ミネラルや水分量などの調節を行い不要となった水分や老廃物を尿として排泄します。

このときに健康な腎臓ではたんぱくは漏れ出ませんが、糸球体が障害されると、たんぱくや赤血球が尿中に漏れ出るようになります。

クレアチニンは筋肉中のたんぱく質が代謝されたときに発生する老廃物で、腎臓が正常であればろ過されてすべて体外に排出されます。

初期の段階で発見するために定期検査が重要

自覚症状が無い初期の段階で慢性腎臓病を発見し、適切な治療を行えば重症化を食い止めることは可能です。そのためには、尿検査と血液のクレアチニン検査の両方を受ける必要があります。

クレアチニン検査は特定健診では必須項目では無いので、検査項目にない場合はかかりつけ医に相談してください。

尿検査
尿検査は尿中のたんぱく量を調べることで、腎臓の障害の有無と障害の程度を測定します。
検査で尿蛋白が陽性でも、激しい運動、ストレス、疲れ、発熱など一過性の原因がある場合は異常なし、と診断されますが、連続で陽性反応がでた場合は、必ず再検査を受けてください。

クレアチニン検査
腎機能が低下すると、ろ過されずに体内に残る量が増えていき、血液中のクレアチニンの濃度が上がります。
クレアチニン検査でろ過機能が何%働いているのかを推測することができます。また、一度低下した腎機能を回復することは困難です。

腎機能が低下するとクレアチニン値が高くなることから、年齢や性別に応じた腎機能の状態をeGFR(推算糸球体濾過量)として数値化し、eGFRが60(ml/分/1.73m2)未満の場合慢性腎臓病と診断されます。

eGFR男女・年齢別早見表

男性用血清Crに基づくGFR推算式早見表(mL/分/1.73m2)eGFRcreat=194×Cr-1 .094×年齢  (歳)-0.287

女性用血清Crに基づくGFR推算式早見表(mL /分/1.73m2) eGFRcreat=194×Cr-1.094×年齢(歳)-0.287×0.739

重症度の分類

 注)GFR区分は小数点以下2桁で考慮していますので,30mL/分/1.73m2でもG4,15.0mL/分/1.73m2でもG5としている部分があります。
※酵素法で測定したCr値を用いてください。18歳以上にのみ適用可能です。小児には使用できません。
出典:血清Crに基づくGFR推算式早見表pdf 日本腎臓学会
https://www.jsn.or.jp/guideline/pdf/CKDguide2012_3.pdf

 

まとめ

腎臓の異変に気づくには継続して健診を受け、濾過能力をチェックすることが重要です。特に糖尿病、高血圧、などの生活習慣病、喫煙など腎臓病の危険因子がある人は、必ず定期的に検査を受けてください。

特にクレアチニン検査をうけ、eGFR(糸球体ろ過量)のチェック、経過観察をすることで変化を早期に発見することができます。初期の段階で発見すれば改善もしやすい。

食事や運動など、生活習慣の改善も重要であることは言うまでもありません。チャート表で自分の腎臓が何%位機能しているのか、今の生活の改善点はどこか、自分で見直すことが大切です。

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