内臓の機能が低下すると爪に病気のサインが現れることもあります。爪が白い、横線や縦線が入る、デコボコしてきたなど、爪の色や形、質を普段からチェックして爪の変化から病気のサインを見つけましょう。
爪でわかる病気のサイン
昔から爪は健康のバロメーター、とも言いますが、全身の状態を知る上で、爪の変化は非常に重要な情報となります。
内蔵に障害が起きて機能が障害されると、初めに影響が現れるのが体の末端の細い血管です。
爪は皮膚の一部ですが、その面積は全部で皮膚全体の500分の1程度しかありません。しかし末端の細い血管の血流が悪くなったり、血管が詰まったりした結果、爪に変化が現れてきます。
慢性腎不全、肝硬変、肺の疾患、糖尿病など内蔵障害を移す鏡とも言える爪の変化にきづくことは、病気のサインをいち早く知ることにも役立ちます。
爪の構造と変化を見るポイント
爪の異常に気づくポイントは、色の変化と形や質の変化の2点です。爪の構造と健康な爪の状態を確認しておきましょう。
爪は毛髪と同じケラチンというたんぱく質でできています。指先を保護するだけでなく、指先に力を入れるときに指先を支える役割もしています。
爪が支えてくれるのでものを掴んだり、歩いたりするときに指先に力を入れられるのです。
爪甲(そうこう)
普段爪、と呼ばれる部分。半透明で舌の皮膚の色がすけて薄いピンク色に見えます。
爪半月
爪甲の根本の白っぽい半月状の部分
爪母(そうぼ)
爪甲を作り出す組織で、爪甲の根元あたりにあり、皮や爪甲に隠れているので見えません。
爪の変化
爪に現れる色の変化は、2種類にわけられ、主に白、黄色、茶色、黒などです。形や質の変化は丸く隆起する、凹む、横に線が入るの主な3つがあります。それぞれ疑われる病気があります。
普段の色や形を知り、これらの変化に気づいた時は、まず皮膚科を受診することが勧められます。
色の変化
色の変化には
- 爪が白い
- 全体的に白くなる
- 根元側の半分が白くなる
- 爪が黄色い
- 茶色や赤い
の主な3つがあります。
爪が白い場合
肝硬変や慢性腎不全の場合、爪が白くなることがあります。これは爪の下の皮膚の血流が低下するためと言われています。
その他に爪が白くなる要因には、
- 加齢
- 鉄欠乏症
- 栄養失調
- 爪の透明度の低下
- 爪と皮膚との接着の弱まり
などが考えられます。
全体的に白くなる
肝硬変、肺がん、白血病などの樹徳な病気が起きていることがあります。肝硬変では手のひらが部分的に赤くなる、という特徴的な症状が現れることもあります。
根元側半分が白くなる
根本側半分が白くなり、爪半月が見えなくなり、上半分は茶色っぽくなります。これは慢性腎不全に見られる特徴的な症状です。
爪が伸びても白い部分は爪の先に移動せず、位置も変わりません。
爪が黄色い場合
イエローネイル症候群が疑われます。
- すべての爪が黄色くなる
- 顔や手足のむくみがある
- 慢性的な肺の疾患がある
と言う3つの条件に当てはまると、イエロー症候群と診断されます。
爪の伸びが非常に遅くなったり、爪が熱くなったりするのも特徴です。黄色くなるのはリポフスチンという脂由来の色素沈着のためと考えられています。その他に
- 糖尿病
- 心不全
- 一部の抗生物質や高リウマチ薬の副作用
によって黄色くなることもあります。
茶色や黒い場合
爪に茶色や黒っぽい線が入るのは、爪甲の内側に僅かな出血があるために現れる症状で、線状出血と言います。
- 感染性心内膜炎
- 膠原病
- リンパ腫
がある場合や、血液透析を行っているなど、出血しやすい背景がある場合に起こりやすくなります。
感染性心内膜炎はその中でも代表的で、心臓に感染が起こる病気です。細菌が指先の細い血管に詰まるため、僅かな出血が起こります。
形や質の変化
爪の形や質の変化や主に以下の3つがあります。
- 爪が隆起している
- 時計皿爪
- ばち状指
- 薄くなりへこんでいる
- さじ状爪
- 横に線が入っている
- 爪甲横溝(そうこうおうこう)
爪が隆起している
時計皿爪
爪が丸く盛り上がり、指の先端を包み込むように変化する爪を時計皿爪と言います。懐中時計などの表面に用いられるガラス状に丸くなることからこう呼ばれています。
ばち状指
時計皿爪のある人は、指の先も丸くなることがよくあり、太鼓のばちににていることからばち状指と言います。時計皿爪、ばち状指は、
- 肺がんや肺気腫などの肺の疾患
- 気管支拡張性
- 先天性心疾患
- 肝硬変
の人に見られることがあります。肺の疾患は、廃と心臓の間の血液循環がわるくなり、全身の血液循環も悪くなるため慢性的にむくみが生じ、指の組織が厚くなります。
そこに成長ホルモンなどが関与して指先が肥大化する、ばち状指が起こると考えられています。
薄くなり凹んでいる
さじ状爪というのは爪が薄くなって先端に近い部分が陥没したり、爪全体がスプーンのように凹んだりした状態を言います。鉄欠乏性貧血の特徴的な症状です。
そのほか慢性胃腸炎、ビタミン欠乏症、強皮症でも起こります。
爪の栄養障害で爪が薄くなり、外側から圧迫されることで凹むのではないかと考えられています。
横に線が入っている
爪甲横溝(そうこうおうこう)とは爪に横線状の溝ができる変化のことです。1本だけのことも数本並んでいることもあります。
- しょう紅熱や腸チフスなどの急性熱性疾患
- 慢性腎不全
- 糖尿病
- 痛風
などが悪化したときにも出現すると言われています。これらの病気により爪母が障害され、そのときに作られた爪甲に溝ができるのです。
爪が伸びるにつれて先端に移動するので、爪の根元からの距離で病気により爪が障害されたおよその時期が特定できます。
まとめ
爪は内臓の状態を移す鏡です。爪の変化から内蔵の障害や病気に気づけることもあります。普段から爪の状態をチェックすることで、体の不調や病気に早い段階で気づくことができます。
悪化を防ぐためにも色や形、質に変化があった場合は医療機関で相談することをお勧めします。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ