食は、生活の質や健康に、良きにせよ悪し気にせよ、大きく関わっています。「味がわからない」「味がおかしい」など味覚障害が原因で、家庭がギクシャクしたり料理下手の彼女はねえ…と結婚に影響することもある。本人だけでなく、周りにも大きな影響がある味覚障害、味覚に異常を感じたら、なるべく早く受診してください。
味覚障害の原因、症状、治療法
味覚障害は、加齢によって起こりますが、最近は若い人でも食生活の乱れなどもあり、味覚障害の人が増えています。味覚障害の症状、原因と治療法をまとめました。
亜鉛不足、風邪のウイルス、喫煙、うつやストレスなどでも味覚障害の症状があることもあり、治療にはまず、検査を受けることをオススメします。
早く治療を開始すれば、それだけ効果も早く現れます。
まだ数は少ないですが、味覚外来がある医療機関もあります。通常は味覚に異常を感じたら耳鼻咽喉科を受診しましょう。
味覚障害はこんなトラブルも引き起こす
従来、加齢によって味覚障害を起こすケースが多かったのですが、生活スタイルの変化、特に若い人の食生活の乱れや、ストレス社会などが原因の味覚障害も増えています。
突然料理の味がおかしくなったので、指摘したら家庭崩壊につながってしまった、彼女の料理が不味すぎて、結婚をためらっている、なんていうことも現実に起こっています。
味覚に異常があると、食事が味気なく満足感が得られなくなって、生活の質が低くなります。それだけでなく、食欲がなくなって、大量や免疫力も下がってしまう。
また、味がわからなくなるので、塩分や糖分の摂りすぎにもつながり、高血圧、糖尿病などの生活習慣病を、悪化させることもあります。
料理下手の彼女は、味覚障害だった
手料理をよく作ってくれる彼女がいるA君の悩みは、彼女の料理がまずいこと。変な味だったり、濃すぎたり。しかも外食するのが好きではない。
一生懸命作ってくれる、可愛い彼女なんですが…
仕事にかこつけて、なんとか外で2、3回食事をする機会を作ることができました。
頑張って美味しいと評判のお店をチョイスしたのですが、どの料理も彼女は美味しくなさそうなのです。
A君は、勿論美味しいと思っていたので、「彼女の味覚がおかしいのでは、手料理がまずいのは、味がわからないからなのでは」、とそれとなく彼女に味を聞いてみると。
やはり、味覚はおかしい。塩みを「辛い」と表現したり、「薄味過ぎて…」というのです。
原因がわかり問題解消!結婚が決まった
その後耳鼻科で味覚障害と診断され、治療を開始した所徐々に回復して、半年後は美味しい手料理を作ってくれるようになったとか。
味覚障害を直したことで、料理下手が一転、毎日美味しいものを作ってくれるので、少々お腹が…
もともと家庭的な彼女でしたので、唯一の問題も解消し、結婚することが決まったそうです。今はダイエットを考えたメニューを勉強中だとか。
A君が彼女の味覚障害に気づかなかったら、ハッピーエンドはなかったかも。
味覚障害と診断されたら
基本の治療は、亜鉛製剤で、すぐに味覚が回復するわけではありませんが、7~8割の患者さんが効果を実感します。
個人差はありますが、回復には3~6か月程度はかかります。
亜鉛製剤の服用が治療の基本
亜鉛製剤の服用で不足している亜鉛を補い、味蕾(みらい)の再生を促して味を感じやすくします。血液検査で亜鉛不足がなかった場合も、亜鉛製剤で味覚機能の改善を目指します。
亜鉛製剤が基本で、原因によって他の治療を加えたり、原因を取り除く対処法を行います。
亜鉛を多く含む食品
- 牛肉
- レバー
- 乳製品
- 魚介類
- しいたけ
- 海藻類など
日本人の平均摂取量は、必要量の半分程度と非常に少ない。亜鉛を多く含む食品を積極的に摂りたいですね。
うつやストレスが原因の時
抗うつ薬、こう不安薬の使用、カウンセリングなどを、精神科や心療内科と連携して心の治療を行います。
薬が原因
その病気の担当医と相談しながら、不要な薬がないか見直し、種類や量を最小限に整理します。
味覚障害の検査
まだ数は少ないですが、味覚外来がある医療機関もあります。通常は味覚に異常を感じたら耳鼻咽喉科を受診しましょう。
- 電気味覚検査
- ろ紙ディスク法
で舌の神経の働きや感じる味の強弱などを調べます。
電気味覚検査
舌に電極をあて、どの部分がどの程度の味を感じるか、舌の神経の働きを調べます。5から10分程度で検査ができます。
舌の6か所に電極をあて、味を感じたら手元のボタンを押す検査です。電流の強さを変えて行い、舌のどの部分が、どの程度の強さの味を感じているかを調べます。
ろ紙ディスク法
甘み、塩み、酸味、苦みの味がついた溶液(濃度は5段階)を浸したろ紙を舌の上に乗せ、4種類の味を感知できるか、どの段階で味を感じるかで、味覚の状態を判断します。2~3段階目で味がわかれば、正常です。
その他、血液中の亜鉛の量を調べるため、血液検査も行います。
味覚障害の原因と症状
味覚障害は
- 舌(味を感じる)
- 神経(感じた味を脳に伝える)
に原因がある場合に分けられます。
神経に問題が生じるのは、
- 脳卒中
- 脳の外傷
- 耳の手術の合併症
等の場合ですが、多くは舌に問題があります。
多くは亜鉛不足が原因
加齢や食生活の乱れなどで亜鉛が不足すると、味蕾*の細胞が再生しにくくなり、味蕾の数が減って味覚に異常が現れます。
味蕾(みらい)
味を完治する小さな器官。舌の表面にある乳頭と言う、細かい無数の突起の中にたくさんあります。
1つの味蕾で甘み、塩み、酸味、苦味、うまみをすべて感じることができます。新陳代謝が非常に活発で、7~10日で新しい細胞と生まれ変わります。
薬の作用で排泄される亜鉛
亜鉛は、様々な薬の作用で、特定のたんぱく質と結合して排泄されてしまうことが有ります。
抗がん剤が最も多く作用しますが降圧剤など、長期間服用する生活習慣病の薬が原因となり、亜鉛不足になることもあります。
そのほか
- 胃や腸の呪術後に胃腸からの亜鉛の吸収が減る
- 糖尿病、肝臓病、腎臓病などの全身疾患
で亜鉛不足になることも。
また風邪のウイルスや喫煙などで味蕾がダメージを受け、味覚障害を起こすことも、
うつやストレスでも味覚障害の症状が現れることもあります。
この場合、検査をしても味蕾や神経の機能は正常なことが多く、味を感じる脳の働きが変わることが、原因ではないかと考えられています。
症状は
味覚障害の症状は大きく分けて次の2つです。
- 味が薄く感じる
- 味が全くわからない
味覚の異常が少しずつ進んでいると、自覚症状がなく、気づきにくい。いつも通りに調理しているつもりでも、味を薄く感じるので、家族から「最近味付けが濃くなった」と言われて、はじめて気づくこともあります。
- 何を食べても全く味を感じなくなると、食べる楽しみを感じられなくなり、食欲も落ちてしまう。また、
- いつもと味が違って感じる
- 塩辛いを苦いと感じる、というように本来の味とは違う味に感じる
- 口の中に何もないのに、苦みや甘みを感じる
- 食べ物や飲み物が嫌な味に感じる
などの異常が表われることもあります。
まとめ~味覚障害は回復が可能
食べることは、単に命をつなぐための手段ではなく、健康で、美味しい、楽しい、と言った生活の質を高める要素でもあります。
味覚障害があると、様々な影響が起きます。時間はかかりますが大抵の場合亜鉛製剤の服用で回復が可能です。
美味しいものを楽しく食べて、人生を豊かにし、健康も維持していきたいものです。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ