身体を動かさない生活を続けていると多くの場合、筋力や身体能力が低下し生活の質の低下や病気のリスクが懸念されます。リスク軽減のため、自宅で高齢者でも簡単にできる体力の付け方として、筋トレとストレッチそれぞれの具体的なやり方をご紹介します。
自宅で体力をつける運動の具体例とやり方
前回の記事で体力をつける筋トレとストレッチについて、運動の種類と鍛える筋肉、伸ばす筋肉を表にしてご紹介しましたが、具体的にどのように行えばよいか知りたいというご意見をいただきました。
ご紹介した筋トレとストレッチについて、文章でまとめましたので参考にされてください。イラストは似たような動きを探しましたので、実際の動きとは多少違うところもあります。無いものは申し訳ございませんが、想像で^^;
運動を行う時の注意点などは前回の記事で確認されてください。どの運動も無理なく自分のペースで安全に行い、継続することが大切です。
筋肉を鍛える運動12例(筋トレ)
基本的にイスを利用して行います。
注意点
- 呼吸をとめない
- ゆっくり、一定の速さで行う
- 負荷を上げる時は、まず回数や時間を増やし、その後ウェイトを重くしていく
- ウェイトは一番軽いものから始めること
- 同じ筋肉を鍛える運動を続けてしない
腕の横上げ 肩の筋肉を鍛える運動です
- イスに座り背筋を伸ばす
- 両足は平らに床に付け、肩幅に開く
- ダンベルなどを両手に持ち、手のひらを内側に向けて*両腕を真っ直ぐ身体の脇におろす
- 両腕を真っ直ぐにしたまま3秒かけて肩の高さまで横に上げ、床と水平にする
- そのままの姿勢を1秒間キープ
- 3秒かけてゆっくり両脇におろす
- これを1セットとし、8~15回くりかえす
*ウエイトを手にもつ運動では、関節をいためないように手首の関節を少し内側に曲げた状態を保つようにする。
椅子から立ち上がる 腹筋と大腿筋を鍛える運動です
- イスの背もたれに枕を置く(背中を支えるため)
- 背筋を延ばしてイスに浅く腰掛ける
(真ん中よりも前に座り、斜めにもたれかかる) - 膝を曲げ、両足は平らに床につける
- できるだけ手を使わずに上体を垂直になるまで起こす
(前方に動かす。枕から背中は離れている)
*両肩を丸めないように背筋をのばして腹筋を使う - 3秒かけてゆっくり立ち上がる
(背筋を延ばしたまま、できるだけ手を使わない) - 3秒以上かけてゆっくりイスに腰掛ける
- これを1セットとし、8~15回くりかえす
*胸の前で腕を交差させると、腕を使わずに行えます。
二頭筋を縮める 上腕(二の腕)の筋肉を鍛えます
- ひじ掛けが無いイスに腰掛け、背もたれに軽く寄りかかる
- 両足は床に平に置き肩幅に開く
- ダンベルなどのウエイトを両手に持ち、手のひらを体に向けて両腕を体の脇にまっすぐにおろす
- 3秒かけてゆっくり片方の肘を曲げ、ウェイトを胸の方向に持ち上げる
- 同時に手のひらが肩の方に向くように回す
- 1秒そのままの姿勢を保つ
- 3秒かけて手を最初の位置に下ろす
- 反対側の手も同じように行う
- これを1セットとして8回~15回繰くりかえす
かかと上げ(背伸び) 足首とふくらはぎの筋肉を鍛える運動です
- バランスを摂るために、テーブルかイスの背もたれにつかまる
- まっすぐに立つ
- できるだけ高くつま先で3秒かけてゆっくり立つ
- 1秒間姿勢を保つ
- 3秒かけてゆっくりもとに戻す
- これを1セットとし、5回~15回くりかえす*筋力が強くなってきたら、両足を交互に、片方の足だけでつま先立ちをする
更にウェイトを使うようにしても良いが、必ず一番軽いウエイトから始める
三頭筋を伸ばす 上腕(二の腕)の後ろ側の筋肉を鍛える運動です
肩関節に不安がある方は、次の「腰浮かし」を参考にしてください。
- イスに腰掛け、両足は床に平、肩幅に開く
- 左手にウエイトを持ち、手のひらを内側に向けながら、天井に向かってできるだけたかくあげる
- 左腕のひじの下に右手を当て支える
- ゆっくり左ひじを曲げ、ウェイトが左肩の後ろに来るようにする
- 3秒かけて左腕をゆっくり天井に向けて伸ばす
- そのままの姿勢を1秒間保つ
- 3秒かけてゆっくりひじを肩まで曲げウエイトをおろす
- 伸ばす、曲げる動作を8~15回繰り返す
- 右腕も同じように行う
- これを1セットとし、休みを入れてもう1セット行う
腰浮かし (三頭筋を伸ばす) 上腕(二の腕)の後ろ側を鍛える運動です
- ひじ掛けがついたイスにこしかける
- 上体を少し前に傾け、背筋を伸ばす
- 肘掛けを上からつかむ
- 手の位置は脇腹かその少し前におく
- 両足はイスの前橋よりやや内側におく
- かかとは床からあげてつま先と親指の付け根で支える
- 両腕に力を入れてゆっくりと体全体をできるだけ高く持ち上げる
- 足や脚を使わない(できるだけ使わない)で腕を使って行う
- 最初の位置にゆっくり戻す
- これを8~15回繰り返して1セット。少し休んでもう1セット行う
*椅子から体が持ち上がらなくても腕の筋肉を鍛えることができます。
膝を曲げる 大腿の背側にある筋肉を鍛える運動です
- テーブルかイスのそばに真っ直ぐに立ちつかまってバランスをとる
- ふくらはぎをできるだけももの後ろ側につけるように、左膝を3秒かけて曲げる
*膝から上の部分を動かさないようにする - 3秒かけてゆっくり脚をもとの位置にもどす
- 右脚も同じように行う
- これを8~15回繰り返し1セット。少し休んでもう1セット繰り返す
初めはウエイト無しでおこない、筋力がついてきたら足首にウェイト(アンクルウエイト)を使って行っても良い(必ず一番軽いウエイトから始めること)
もも上げ(膝上げ)大腿とお尻の筋肉を鍛える運動です
- イス、テーブルなど高さがある安定したものにつかまって立つ
- 3秒かけて片方のひざを曲げて脚を胸の方へあげる
- ウエストやヒップは曲げず、体幹を真っ直ぐにしておく
- 1秒この姿勢を保つ
- 3秒かけてゆっくり脚をもとに戻す
- もう一方の脚も同じように行う
- これを3回~15回繰り返して1セット。休みを入れてもう1セット行う
ウェイトなしからはじめ、アンクルウエイトを使って行ってもよい
腕を前にあげる 肩の筋肉を鍛える運動です
- 背筋を延ばしてイスにすわる
- 床に脚を平らに置き、肩幅に開く
- ダンベルなどのハンド・ウエイトを両手に持ち、手のひらを内側*にして両腕を体の両側にまっすぐ下ろす
- 3秒かけてゆっくりと両腕を体の前に、肩の高さまであげる(腕はまっすぐ、手のひらが上を向くように腕を回しながらあげる)
- 上げた姿勢を1秒間保つ
- 3秒かけてゆっくり両腕を脇に下ろす
- 一呼吸する
- これを8回~15回繰り返し1セットとし、休みを入れてもう1セット行う
*手首を痛めないように、いつも手首の関節を少し内側に曲げた上体をキープする。
膝を伸ばす 大腿、下腿の前側の筋肉を鍛える運動です
- イスに座り背もたれに体をあずける
- 床にはつま先と親指の付け根だけがつくようにする
(足裏が付いている場合は、膝の下に丸めたバスタオルなどを挟んで調整する) - 両手は太ももの上か、イスの両脇の縁におく
- 3秒かけて片方の脚をゆっくりできるだけまっすぐに伸ばす(床に平行に前に突き出す)
- そのままの位置つま先が頭の方向に向くように足首を曲げる
- 1、2秒そのままキープ
- 3秒かけてゆっくりもとの位置に戻す
- もう一方の脚も同じように行う
- これを8~15回繰り返して1セット。少し休んでもう1セット行う
初めはウエイトなしでおこない、筋力がついてきたらアンクルウェイトを使っても良い。
脚の後ろ蹴り 臀部、背中の下部の筋肉を鍛える運動です
- テーブル、またはいすから30cm~45cm離れた位置に足を少し開いて立つ
- バランスを取るためにつかまる
- 上体を真っ直ぐにしたまま腰から上を45度程度に曲げる
- 片方の脚を真っ直ぐにしてたったままもう一方の脚を膝を曲げずに*3秒かけてゆっくり後ろにあげる
(つま先の向きや上体は動かさないようにする) - その姿勢を1秒キープする
- 3秒かけてもとの位置におろす
- もう一方の脚も同じように行う
- これを8回~15回繰り返し1セット。休みを入れてもう1セット行う
*腰を痛める可能性があるので、腰がそれたり曲がったりするほど脚を上げない
脚を側方にあげる お尻、大腿の側部にある筋肉を鍛える運動です
- テーブルやイスのすぐ後ろに両脚を少し開いて真っ直ぐ立つ
- バランスを取るため、テーブル・イスにつかまる
- 3秒かけてゆっくり片方の脚を横にあげ、脚を外側に15cmから30cm開きもちあげる
(つま先は前に向けたまま) - その姿勢を1秒間キープ
- 3秒かけてもとに戻す
- もう一方の脚も同じように行う
- これを8回~15回繰り返し1セット、少し休んでもう1セット行う
筋肉を伸ばす運動10例(ストレッチ)
ストレッチは少し力を加えて意識的に関節を真っ直ぐにする運動です。引き伸ばされた筋肉や腱に緊張した感覚が生じ。これを「ストレッチを感じる」といいます。
筋力運動と持久力運動を行った後にストレッチを行いましょう。それぞれの運動について、ストレッチを3回~5回繰り返すようにします。ストレッチだけを行う場合はそれぞれの運動を1回20分以上、週3回以上行うことを目指します。
筋肉が温まらないうちにストレッチをすると、怪我をする恐れがあるので必ずウオーミングアップを行います。急激な動作も筋肉が緊張しケガをすることもあるの。でゆっくりなめらかな動きをします。
痛みが出る場合はやりすぎなので運動量を減らしましょう。軽い筋肉痛や不快感は正常です。
ハムストリング (大腿漆屈筋) 大腿の背側にある筋肉を伸ばします
*股関節の置換手術を受けたことがある場合はおこなわない
- 筋トレで使うベンチ(長腰掛け)など背もたれがなく表面の硬い台に背中と背筋をまっすぐにして平行に腰掛ける
- 一方の脚をベンチの上に乗せつま先を上に向けてまっすぐ伸ばす
- 反対の足はベンチの縁で膝を曲げ、足裏を床につける
- 背中と首筋を真っ直ぐにしたままベンチの上の脚がストレッチを感じるまで、上体を腰から曲げてゆっくり前方に傾ける
(ウェストで曲げない) - この姿勢を10~30秒間キープ
- ゆっくりもとの戻し、反対の脚も同じように行う
- これを1セットとして3~5回繰り返す
- 脚をまっすぐにしてイスの後ろに立ち、背もたれに両手でつかまる
- 背中と首筋をまっすぐにしたまま、上体がゆかと平行になるまで腰から曲げる
- そのまま10~30秒間姿勢を保つ
- 3~5回繰り返す
ふくらはぎ 脚の下部の筋肉を伸ばす運動です
- 膝を真っ直ぐにして行う方法と、膝を曲げて行う方法があります。
- 両手を壁について立ち腕を伸ばす
- 片方の脚を30~60cm後ろへ動かし、足裏全体を平らに床につけ10~30秒間姿勢を保
(膝を伸ばす) - 後ろの脚の膝を曲げ、姿勢を保つ
- 後ろへ動かした脚をもとに戻し、反対側も同じように行う
- これを1セットとし、3~5回繰り返す
足首 足首の前側の筋肉を伸ばす運動です
- イスの背に枕やクッションを入れて背中を支え、前の端に座る
- 両腕をイスから前の方に滑らせ伸ばして出す
- 足首を伸ばし、つま先を更に先の方へ伸ばす
- ストレッチを感じない場合はかかとを床から少し浮かせて行う
- 姿勢をしばらくキープする
- 3~5回繰り返す
三頭筋 上腕の後ろ側の筋肉を伸ばす運動です
- タオルの端を右手でつかむ
- 右腕を上げて曲げ、タオルを背中に垂らす
- そのままの姿勢で左手を背中に周しタオルの下端を握る
- 左手をだんだん高い位置に握り変えてタオルを手繰る
- 右手が下へ下がってくる
(右手と左手が触れるまで、もしくは限界まで両手を近づける) - 左手も同じように行う
手首 手首のストレッチです
- 胸の前で合掌(手のひらを合わせる)
- 両手を合わせたまま腕が床と平行になるまで肘をあげる
- そのまま10~30秒間キープする
- 3回~5回繰り返す
四頭筋 大腿前部の筋肉を伸ばす運動です
立ったままでも行なえますが、ここで床に寝た姿勢で行う方法です。体幹がしっかりしていない人でもバランスを崩さずに行えます。
- 片方の方を下にして横になる
- 頭を枕、または手の上に載せる
- 上側の脚の膝を曲げ、同じ側の手で足首をつかむ
(手が届かない時はタオルなどを輪にしてもよい) - 大腿前部の筋肉が十分伸びるのを感じるまで手またはタオルで脚を軽く引っ張る
- 10~30秒間その姿勢をキープする
- 反対側の脚も同じように行う
- これを1セットとし、3回~5回行う
- 途中で筋肉がつった時は脚を伸ばして痛みを取り、もっとゆっくり行う
*股関節を痛める可能性があるので両足の膝を付けたまま行い、膝が開かないように注意する
腰をひねる (お尻の二重回転) お尻と大腿の外側筋を伸ばす運動です
股関節置換手術を受けている場合は医師の許可なく行わない
- 仰向けに横になり膝を立てる
- 両肩は床から離さない
- 脚を揃えたまま片側に両脚を静かに倒す
- そのままの姿勢を10~30秒キープ
- 膝を中央に戻し反対側も同じように行う
- これを1セットとし、3回~5回繰り返す
股関節の回転 (お尻の単回転) 骨盤と大腿内側の筋肉を伸ばす運動です
- 仰向けに横になり両膝を曲げて立てる
- 両肩は床から離さない
- 右膝をゆっくりと右側に倒し、床近くまで下げる
- 10秒~30秒姿勢をキープ
- 右膝をもとの位置に戻す
- 左足も同じように行う
- これを1セットとし、3回~5回繰り返す
肩の回転 肩の筋肉を伸ばす運動です
- 頭に枕を当て、両脚を真っ直ぐにして横になる
- 手のひらをゆかにつけて両腕を真横に開いたら肘を90度に曲げる
- 上腕(二の腕)は運動中床から離さない
- 手首は曲げずに肘だけを直角に曲げ、指の先を天井に向ける
- そのまま手首を曲げず、前腕を頭の方に床まで倒す
(手のひらは上を向く) - 激痛や鋭い痛みを感じたらすぐに止める
- 再び指先を天井に向け、それから腰の方向に倒す
- 床(腰方向)→天井→床(頭方向)→天井→床(腰方向)の一連の動作、それぞれの位置で10~30秒姿勢をキープする
- 両肩と上腕は床から離さないことが大切
- 3回~5回繰り返す
首の回転 首の筋肉を伸ばす運動です
- 電話帳など厚い本の上に頭を乗せて仰向けに横になる
- 頭を左右に開店し、左または右を向いた位置で10~30秒間姿勢をキープする
- 3~5回繰り返す
- 頭を前後に傾けない
- 背中が楽になるよう膝は曲げたままにする
ラジオ体操のすすめ
ラジオ体操は殆どの方が一度は行ったことがあると思いますが、一つ一つの運動をしっかりやると結構疲れますよね。たかがラジオ体操、とあなどるなかれ。老若男女手軽に行える優れた運動です。
地域で仲間が集まって一緒に行うラジオ体操の会も、盛んなようです。筋トレやストレッチというとなかなか踏み込めないあなた!まずラジオ体操から初めて見ませんか。
テレビ番組もありますが、かんぽ生命が普及推進している「ラジオ体操」動画のYouTube公式チャンネルでも第一~第三まで動画が見られますので、ぜひ!
出典:かんぽ生命ラジオ体操YouTube公式チャンネル
まとめ~自宅で簡単にできる筋トレとストレッチ
筋力が低下していたり高齢者の方でも手軽に自宅でできる運動、筋トレとストレッチ。具体的なやり方をご紹介しました。前回の記事と合わせて無理なく安全に運動する参考にしてください。
体力を付けることは生活の質の向上、健康増進にも役に立ちます。さあ、できることから始めましょう!
「Anのひとりごと」~今日も1ページ