生活習慣病の予防や、健康のために何かをはじめようという時、大抵の人がウオーキングを考えます。しかし、心臓に負担がかかり、危険なことも。ウオーキングの効果と、注意点について確認していきましょう。
ウオーキングの特徴と注意点
ウオーキングは、脂肪燃焼させて体重を落とすなどの効果が期待できる、全身を使う有酸素運動です。
基本的に道具もいらずどこでもできるので人気がありますが、手軽にできる運動とはいえ、危険もあります。中高年で特に注意が必要なのが心臓の病気。
高血圧などで動脈硬化が進んでいたりすると、運動中に狭心症や心筋梗塞など、突然死を招く病気を発症するリスクもあります。
安全なウオーキングのためには、心臓に異常がないかどうかを定期的に調べること、また、心拍数を上げすぎないように注意することが大切です。
ウオーキングの効果
ウオーキングで期待できる代表的な効果は
- 脂肪を燃焼させ体重を落とす
- 下肢の筋力低下を防ぐ
- 心肺機能を高める
- ストレス解消
- 生活習慣病を予防
- 骨を強くする
など。運動中は心拍数が増えるので心肺機能を高め、血圧や血糖、血中脂質などの値の改善が生活習慣病の予防に、また、適度な衝撃が加わることで骨を強くするなどの効果も期待できます。
ウオーキングのポイント
最初から歩くことを意識しすぎると継続しにくくなるので、まずは以下の2つのポイントだけ意識して歩いてみましょう。歩いているうちに、自然と正しい姿勢も身についてきます。
ウオーキングのポイント
- 視線を真っ直ぐにして遠くを見る
- しっかりと腕を振る
心拍数をはかる
ウオーキング中の心拍数を知るために、5分間ほど歩いたら心拍数を立ち止まって測ります。手首より少し下の親指側に、人差し指、中指、薬指の3本を揃えて脈に触れ、計測します。
10秒測って6倍、もしくは15秒測って4倍すると、心拍数が測れます。阿智℃待っていることで心拍数が下がるので、算出した心拍数に10を足すと、より正確になります。
心拍数が目標心拍数を越えている場合は、運動の強度を下げます。
心拍数を上げないようにする
心拍数とは心臓が1分間に拍動する回数のことです。ウオーキング中は心拍数を上げすぎないようにすることが大切。
加齢により心臓の働きは低下してくるので、持病がなくても運動の強度が上がりすぎると、体に悪影響が及ぶこともあります。運動の強度の目安となるのが心拍数です。
- 安静時心拍数 安静にしているときの心拍数
- 最高心拍数 100%の力出運動したときの心拍数。「200-年齢」で推測することができる
最高心拍数に達するまで運動の強度を上げてしまうと、心臓に負担がかかりすぎて危険です。
安静時心拍数と最高心拍数の間にあたる、「心拍予備脳」と呼ばれる範囲の強度で運動を行うことが大切です。
ウオーキングの場合は、心拍予備脳の50%を目標心拍数とすると、心臓への負担が少なく安全に行うことができます。
目標心拍数=安静時心拍数+[(最高心拍数-安静時心拍数)✕50%]
より適切な目標心拍数を知るには
前述の目標心拍数は、あくまでも目安です。
- 生活習慣病や他の持病がある
- 運動制限がある
- 40歳以上
- 運動になれていない
などの場合は、医療機関で「心肺運動負荷試験」を受けて、より適切な目標心拍数を知る必要があります。(前回のエントリを参考)
危険を防ぐ運動のポイント
運動をすると、全身に多くの血液(酸素)を送るために、心臓が活発に働くようになるので、心拍数が増加します。
しかし中高年では心臓の働きが衰えていたり、動脈硬化によって冠動脈(心臓の筋肉に血液を送る動脈)の内腔が狭くなっていたりすることがあります。
急に激しい運動をすると運動の負担に心臓が耐えられず、心臓へ十分な血液を送れなくなるので狭心症や心筋梗塞など、突然死につながる病気を発症する危険があります。
突然死を防ぐためには、以下の2つのポイントを守ることが大切です。
突然死を防ぐポイント
- 定期的な検査
- 心拍数を上げすぎないようにする
心臓の異常を調べる定期的な検査
運動を行うにあたり、心臓に異常がないかどうかを調べておくことが大切。定期的に健康診断を受け、心臓の異常が疑わしい症状が見つかった場合は、精密検査を受けましょう。
健康診断の検査項目の内、特に心臓の状態に関係するのは以下の3つです。
- 血圧測定・血液検査
血圧や血糖、血液中のコレステロール、中性脂肪などの値で、心臓の病気のリスクを高める生活習慣病の有無を調べます。 - 心電図検査 心臓の拍動から、冠動脈の状態や不整脈の有無を調べます。
- 胸部エックス線検査 画像検査で心臓や肺の状態を調べます。
運動負荷心電図
「肥満」、「喫煙」、「血圧や血糖値、コレステロール値が高い」と言った場合は心不全や心筋梗塞を起こしやすいので、一つでも当てはまれば運動負荷心電図を受けましょう。健康保険の適用があります。
セルフチェック
自分でも運動前や運動中の体調をチェックすることが大切です。
症状 動悸、息切れ、胸の痛みと言った症状はないか
脈拍 運動する前の1分間の脈拍数が60~100 回の範囲内か、乱れはないか
最大脈拍数 大まかな目安として「200-年齢」の値を越えていない
血圧 正常値の範囲内か
家庭血圧が最高135mmHg 未満、最低85mmHg未満が正常値。上か下の血圧のどちらかが超えていれば高血圧と診断されるので、激しい運動は避けましょう。
運動中と運動直後に脈拍を測り、超える場合は運動を見直すか医師の指示を受けましょう。突然死を防ぐためにも、脈拍を測る習慣は大切です。
心臓突然死とは
一見すると健康な人が、心臓発作を起こして突然倒れてしまうと言った、心臓の異常が原因で起こる突然死を「心臓突然死」と言います。
心臓突然死のおきな原因になるのが「心室細動」で、心室細動が起こると、心臓の筋肉の収縮が一定でなくなりやがて心室が収縮しない状態になります。
その結果、血液を送り出す心臓のポンプ機能が失われ、およそ6秒で意識がなくなり、更に、脳に血液がいかなくなるためおよそ3分間で脳は深刻なダメージを受け、心臓発作につながります。
心臓突然死の70~80%で心室細動が起こっていると考えられています。
運動中は心臓に負担がかかるので、心室細動などが起こりやすく突然死のリスクが高くなります。
特に今まで全く運動をしていなかった人が、ダイエットや生活習慣病の予防に、と運動を始めたときに、ストレッチなどの準備運動を行わずに急にウオーキングなどを始めると、突然死につながる危険性があることを肝に命じてください。血管の老化が進んだ中高年は特に注意が必要です。
まとめ
手軽に行えるウオーキングは、脂肪燃焼で体重を減らす効果が期待でき、肥満、高血圧など生活習慣病の予防におすすめの運動です。
脂肪を燃焼しようと張り切ってウオーキングを始めるのは良いのですが、心臓の状態などの定期的な検査を受けることと、心拍数を上げすぎないように注意して、安全にウオーキングを行いましょう。
心拍数が増加するので心肺機能を高めることも期待できますが、中高年では動脈硬化が進行して心疾患のある人が多いので、心臓への負担が少ないスポーツでも、突然死が起こりやすいことを知っておいてください。
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