野菜にはビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれていますが、その他にも体の機能を活性化させるファイトケミカルという、機能性成分も含まれています。夏野菜のファイトケミカルで、夏バテを寄せ付けない!
夏野菜とファイトケミカル
ファイトケミカルは、色素や香り成分、アク、香味成分なども含まれており、カロテンやポリフェノール、βグルカンなどはファイトケミカルの一部です。前の記事、夏バテ対策は食から!夏バテ予防・解消に役立つ食べ方のコツでご紹介した以下の野菜について、少しウンチクを傾けてみたいと思います。今回はトマト、ゴーヤ、枝豆、ナスを取り上げます。
- トマト 強力な抗酸化成分であるリコピンが豊富。紫外線から体を守る
- セロリ 独特の香りには精神を安定させ、安眠を誘う働き
- ゴーヤ 豊富なビタミンCで夏を乗り切る栄養が豊富
- オクラ ネバネバ成分が弱った胃腸の粘膜を保護
- 枝豆 疲労回復にビタミンB1が豊富。アルコール分解も促進
- 冬瓜 淡白で食欲の無い時でも食欲が進む
- なす 皮に多く含まれるナスニン(ファイトケミカル)
- かぼちゃ ビタミンEが豊富。血行を促進、冷えから体を守る
- モロヘイヤ ビタミン、ミネラルともの多く、美肌、疲労回復など多くの効能
- ピーマン・パブリカ βカロテン、ビタミンC、Eが揃い免疫力アップ
トマトの赤は豊富なリコピンの色
トマトの赤色は、ファイトケミカルの一種リコピンという色素由来です。リコピンは強力な抗酸化作用があり、紫外線から体を守り、疲労回復や美肌効果に役立ちます。夏のトマトは味が濃く、格別に美味しいです。
主な栄養成分 | 効果 |
---|---|
リコピン、βカロテン、 ビタミンC、ビタミンE |
疲労回復、抗酸化作用、血行促進、 免疫力アップ、老化予防、美肌効果 |
ビタミンB6 | 脂肪の代謝サポート |
ペクチン | 整腸作用、便秘解消 |
カリウム | むくみ解消、デトックス効果 |
クエン酸 | 消化促進、疲労回復 |
リコピンは強力な抗酸化物質
トマトに豊富に含まれるリコピンは、βカロテンの2倍とも言われる抗酸化作用を持っています。リコピンは脂溶性なので、細胞のなか、血液中ではLDLコレステロールの中に入っていき、体内の活性酸素の分解、血糖値や血圧の安定にも効果があると言われています。
夏は紫外線の刺激で、体内に過剰に活性酸素が発生するので、トマトはとても頼りになる健康野菜です。
美容にも効果大
- ビタミンC 代謝を促進
- ビタミンE 若返りビタミン
- βカロテン 体内で必要なだけビタミンAに作り変えられる
も豊富です。相乗効果で強力な抗酸化パワーを発揮し、免疫力を高めたり、紫外線でダメージを受けた肌の老化も防いでくれるので美容効果も大きい。
また、整腸作用のあるペクチン(食物繊維の一種)も含まれていて、便秘解消、老廃物の排出にも役立ちます。更に体内の酵素の働きをサポートし、エネルギー代謝をスムーズにする働きのあるカリウムが、体内の余分なナトリウムを排泄し、血圧を下げてむくみなどを予防します。
トマトは栄養豊富、旨味が深い野菜
トマトの酸味はリンゴ酸によるもの。胃液の分泌を促進し、食欲を増進してくれる働きがあるので、夏バテで食欲の無いときにも食べられます。栄養面だけでなく、旨味が深い野菜です。旨味成分であるグルタミン酸とアスパラギン酸が豊富で、あらゆる料理の引き立て役隣ります。
生食だけでなく、料理のベースとしても応用が広い。加熱すると甘みが増します。リコピンは脂溶性ですから、脂と一緒にとると効率よく摂れます。
ゴーヤはビタミンCたっぷり
ゴーヤは熱帯アジア原産。日本では沖縄や九州南部などで栽培されています。近年は緑のカーテンとしても広く利用されるようになってきました。旬は6月から8月、特に8月の露地物のゴーヤは最高です。熟すと黄色くなりますが、食べるのは未熟果で緑色のもの。
主な栄養成分 | 効果 |
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βカロテン、 ビタミンC、ビタミンB1 |
疲労回復、抗酸化作用、 免疫力アップ、老化予防、美肌効果 |
食物繊維 | 腸内環境改善 |
カリウム | むくみ解消、デトックス効果 |
モモルデシン | 食欲増進、消化促進、抗酸化作用 |
味の特徴は独特の苦味
ゴーヤの独特の苦味はモモルデシンという成分です。抗酸化作用など多くの健康効果がありますが、胃腸を刺激し、消化を促進したり、食欲を増進させる作用もあります。血圧や血糖値を安定させる働きもあると言われています。
ゴーヤに特に多いビタミンCは、しみ、そばかすの元となるメラニン色素の生成を予防します。肌にハリや弾力を与えるコラーゲンの生成にも欠かせません。苦味成分のモモルデシンの抗酸化作用と合わせ、肌のバテを乗り切るための美容食といえます。
βカロテン、ビタミンB1、カリウム、カルシウム、食物繊維なども豊富で、夏バテや疲労回復の効果が得られます。
加熱しても壊れにくいゴーヤのビタミンC
ビタミンCは加熱すると失われやすいのですが、ゴーヤのビタミンCは壊れにくいのが特徴。油で炒めるとβカロテンの吸収力も高まるので、ゴーヤチャンプルーは、有効な栄養分を上手に体に取り入れる、理にかなった賢い食べ方といえます。
意外なことに牛乳や豆乳などとよくあいます。スープにして豊富な栄養素を丸ごと食するのも良いですね。ナマのままフレッシュジュースにすれば、ビタミンCたっぷりの美容ジュースです。
枝豆は熟す前の大豆
ビールのおつまみと言えば枝豆、枝豆といえばビール。枝豆は大豆が熟す前の未熟果です。たんぱく質、βカロテンを始め、多くのビタミン類や食物繊維、カリウムなどのミネラルが豊富です。
主な栄養成分 | 効果 |
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βカロテン、ビタミンE、 ビタミンC、ビタミンB1、 ビタミンB2 |
疲労回復、抗酸化作用、血行促進 免疫力アップ、老化予防、美肌効果 |
食物繊維 | 腸内環境改善 |
カリウム | むくみ解消、デトックス効果 |
サポニン、メチオニン、 イソフラボン |
抗酸化作用、動脈硬化予防 |
動脈硬化予防、老化防止
イソフラボンやサポニン(どちらもファイトケミカルの一種)の抗酸化作用で動脈硬化予防、老化防止などに役立ちます。大豆になると失われてしまうビタミンCが豊富です。免疫力を強化します。新陳代謝を促し、自律神経を調整するビタミンB1も豊富。
ビタミンB1不足に注意
ビタミンB1はエネルギーを作るときに必要な栄養素ですが、麺類や清涼飲料水などで糖質過多になりがちの夏は、消費量が増えるので夏バテしやすくなります。意識して摂るようにすることが大切です。
ビールに枝豆は正解!
枝豆のたんぱく質に含まれるアミノ酸のメチオニンは、アルコールの分解を促進し、肝臓への負担を軽くする働きがあります。「ビールに枝豆」は正解、ということ。ただし、飲み過ぎはダメですよ!
殆どが水分のナス、ナスニンのパワー
ナスの成分は90%以上が水分です。ビタミンやミネラルはそれほど多くはありませんが、皮に含まれるナスニン(ファイトケミカル)は青柴の色素成分であるアントシアニンの一種で、抗酸化作用があります。
主な栄養成分 | 効果 |
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ビタミンB2 | 脂肪分解、代謝促進、細胞再生 |
ナスニン | 抗酸化作用 |
カリウム | むくみ解消、デトックス効果 |
ファイトケミカル・ナスニン
ナスニンは、LDLコレステロール値を低下させ、動脈硬化の予防にも役立ちます。疲れ目の予防、肝臓の働きを活性化する働きもあるという成分です。ナスニンを効率よく摂取するには、皮ごとの調理がオススメ。
水分が多く冬瓜と同じように、漢方では体を冷やす野菜として知られています。体の熱をとり、暑気あたりに優しく働きます。加熱すると一緒に調理した素材の味をよく含みます。炒め物、煮物、ふくめ煮、揚げ物など調理法を選びません。脂との相性は抜群で加熱するほど柔らかくトロトロになります。
まとめ
トマトたっぷり、ナス、ピーマン、パプリカを使った炒めモノは、魚介、肉、何でもよく合い、食が進みます!大辛の夏野菜のカレーにしょうがを効かせたら最高!
暑くなればなるほど食欲が増すのは、健康といえば健康なのですが…夏になると普段にまして成長してしまうので、毎夏の悩みでもあり。(夏バテする方、ごめんなさい)
夏バテ気味の方は夏野菜をたっぷり使って、さっぱりめのメニューを考えると良いですよ。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ