足の親指の付け根の骨が痛い外反母趾は女性に圧倒的に多いですが、男性も発症します。足の親指の変形が進行すると強い痛みを伴うし、おしゃれな靴が履けません!まずは外反母趾のチェック。痛みの対処には足底筋を鍛える体操をご紹介。
外反母趾とは
足の親指(母趾)に起こる病気で、親指のさきが体の外側に反るので外反母趾と呼ばれます。(ちなみに外反母趾の反対は、小指が親指側に曲がる内反小趾と言います。)
健康な足の親指は、親指の付け根にある骨、中足骨(ちゅうそくこつ)とその先の基節骨(きせつこつ)がほぼ真っすぐにつながっています。
外反母趾では中足骨が体の内側をむき、基節骨は体の外側(小指側)を向くので、親指の先が体の外側に反ります。
中足骨の先端の部分が体の内側へ飛び出すので、親指の付け根の骨が曲がっているように見えますが、この出っ張った部分が靴に当たると痛みや赤い腫れが現れます。
外反母趾は進行する病気です。進行で変形した親指を完全に矯正するには手術が必要ですが、外反母趾の進行を抑えるには保存療法で対処することが大切です。
外反母趾、痛みの対処
外反母趾の進行を抑え痛みを軽減するには、早い段階から保存療法を行うことが大切です。保存療法には以下の3つがあり、並行して行います。
外反母趾3つの保存療法
- 足に合う靴を履く
- 体操をする
- 足底挿板を装着する
保存療法では症状が改善されず、日常生活にも支障を来す場合は、手術が検討されます。
▶足に合う靴を履く
足の指が自由に動かせるよう靴の先端が四角い形のヒモ靴が外反母趾に適しています。先端が狭い靴だと、親指が靴に押されて外反します。
パンプスのように足の甲の部分が大きく開いた靴や、横母が広い靴は中足骨が広がりやすいので外反母趾を進行させる原因となります。
ハイヒールはつま先に体重がかかりやすく、足の指のはばが広がって横のアーチが崩れやすくなります。なるべく履く機会を減らすようにしましょう。
オススメの靴
- ヒールの高さが5cm以内
- 紐靴
- 先端が四角い
このような靴は足の指を自由に動かせ、中足骨が体の内側へ広がりにくくなります。
▶体操をする
代表的な体操はホーマン体操と母指外転筋訓練とがあります。扁平足の改善にも効果を期待できる、足底板を鍛える体操です。
ホーマン体操
硬くなった親指の付け根をゴムを使って柔らかくする体操です。外反母趾の進行を押さえたり、変形を改善したりする効果が期待できます。
- 両足を揃え、両足の親指にゴムをかける
- かかとを併せたまま、足先をできるだけ外側へ開く
- もとに戻す
- これを繰り返す
- 1回5分程度、1日2~3回行う
足に痛みがある場合は、痛みが悪化しない範囲で行いましょう。
ホーマン体操 母指外転筋の拘縮予防エクササイズ
母指外転筋訓練
いわゆる足じゃんけん、と考えてください。足の指でグー、チョキ、パーの形を作ります。
足の指を広げることで、中足骨と基節骨の内側にある母指外転筋を鍛える体操です。親指の変形を軽減したり、予防したりする効果があります。
最初はできなくても、繰り返すことでできるようになります。
- グーの形を作るように両足の指を軽く閉じる
- 指に力を入れてパーの形に広げて10秒間キープ
これを20回繰り返して1セットです。一日2~3セット行いましょう。
この他にも、タオルギャザーも足底筋を鍛えるトレーニングとしておすすめです。足底筋の疲労を取るために、ゴルフボールを使ったセルフマッサージも扁平足気味や外反母趾の方におすすめです。
▶足底挿板を装着
扁平足のときには縦のアーチを支えるために利用しましたが、外反母趾では横のアーチを支えます。靴をはいたときに第二趾に掛かる負担が軽くなります。
足の形状に合わない足底挿板を使用するとかえって痛みが悪化するので、医師の処方により自分の足に会うものを作りましょう。
足底挿板を作る場合、基本的に健康保険の適用対象となります。
症状が改善されない場合
外反母趾の手術には、
- 親指の中足骨を正常な位置に戻す
- 親指の関節の内側と外側にある筋のバランスを整える
と言う2つの目的があります。
手術に長い時間はかかりませんが、中足骨の一部を着るのでその部分が固まるまで、およそ2~3ヵ月必要です。
その間は指先に負担をかけないよう安静が必要なので、日常生活や仕事に影響がある場合もあります。
外反母趾の原因は?
外反母趾が起こる原因はよくわかっていませんが、
- もともと足の幅が広い
- 中足骨の先端が体の内側を向いている
- 足の関節を支ええいる靭帯や腱、関節を覆っている関節包などがたるみやすい
などの体質が関係すると考えられています。また、女性に圧倒的に多く発症するので、女性であることもリスク因子とされています。
このような体質がある人が、足に合わない靴やハイヒールを履き続けると足に負担がかかり、外反母趾を発症しやすくなると考えられています。
近年、男性にも外反母趾が増加傾向にあるのは、おしゃれな靴を履く男性が増えたからかもしれませんね。
見た目も大切ですが、デートなどここぞというときだけにして、普段は履きやすい靴を履くようにすると良いと思います。
外反母趾があると、そもそも素敵な靴が履けなくなってしまいますから…
外反母趾のチェック
X線検査を受けると、外反母趾かどうかはほぼわかります。裸足のときと靴をはいた状態両方の画像を見ると更に状態がよくわかります。
親指の中足骨と基節骨の中心線が交わる部分の角度(外反母趾角)が20度以上であれば、一般に外反母趾と診断されます。
角度により、軽度、中等度、重度の3つに分類され、多くの場合変形が大きくなるに連れてより症状が重くなります。
出典: 外反母趾 古東整形外科
外反母趾の分類
- 軽度: 20~30度未満 親指の付け根の出っ張った部分に痛みや腫れ
- 中度: 30~40度未満 第二趾(足の人差し指)の付け根の裏側にたこができる
- 重度: 40度以上 第二趾が脱臼して強く痛む
軽度の外反母趾は、親指の基節骨が少し小指側に曲がった状態。靴を廃げいるときに親指の付け根の出っ張った部分が靴の内側に当たっていたんだり、赤く腫れたりします。
親指の基節骨が更に小指側に曲がると第二趾の中足骨との隙間が広がり、第二趾にも影響が出てきます。
*上記サイトでは、外反母趾の図解、タオルギャザーや足指じゃんけん、コルフボールのセルフマッサージ動画も公開していました。ご参考まで
親指は横のアーチの要
足には扁平足に関わる縦のアーチの他にも、親指から小指にかけて横のアーチがあり、これを作る上で最も重要なのが親指です。
第二趾と第三趾の付け根の部分がやや盛り上がった構造をしていますが、外反母趾によって横のアーチが崩れると、第二趾の付け根に強く体重がかかるようになります。
第二趾の付け根の裏側は親指とは異なり、体重を支える構造にはなっていません。このため強く体重がかかると痛みを伴う「たこ」ができてきます。
更に進行すると第二趾が親指に圧迫されて脱臼し、その下に親指が入り込むようになり、第二趾の痛みや更に強くなります。
靴を履くと脱臼した第二趾の背の部分が靴にあたるようになり、また、立ったり歩いたりする動作などにも支障が起きます。
外反母趾は痛みだけでなく、足の機能にも影響を及ぼすので、痛みがなくても放おっておかず、軽度の段階で早めに整形外科を受診することをお勧めします。
子供でも発症することがあるので、兆しを見落とさないよう注意してください。
外反母趾セルフチェックリスト
確実に診断するには、上記X線検査が必要ですが、自分でもチェックしてみましょう。
□ 親指が小指の方に曲がっている
□ 親指のつけねが内側に出っぱっている
□ 親指のつけねが痛い
□ 親指のつけねが腫れて赤くなっている
□ 親指のつけねが靴に当たって痛い
□ 親指が第2指の下にもぐり込んで重なっている
□ 第2,3,4指が小指の方に曲がっている
□ 親指のつけねの関節の下が痛い
□ 第2指のつけねの関節の下が痛い
□ 足が平べったくなり先の方が広がっている
まとめ
足のトラブルはどれも毎日の生活に直接関わるので、予防や進行を防ぐ対処が重要です。足の親指の付け根の骨が痛い外反母趾も、おしゃれな靴がはけなくなる、という健康以外の悩みも発生します。
変形に気づいたり痛みが出たら、早めに整形外科を受診し診断を仰ぎましょう。早期で有れば進行を抑えることも可能です。
足底筋を鍛えるトレーニングなどの保存療法も、ちょっとした時間にできるものが多いので継続して行いましょう。
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