食後の胃痛、食欲不振、ひとくち食べただけで満腹になる、など胃の調子が悪い状態が長引く場合、それは機能性ディスペプシアかも知れません。ストレスも大きく関わっている、機能性ディスペプシアの原因や症状などについてお伝えします。
原因となる病気がない胃の症状
機能性ディスペプシアとは聞き慣れない言葉ですが、ある意味現代病と言えるかもしれない胃の病気です。
かつては、明らかな病気がないのに、みぞおちを中心とした胃痛、胃もたれ、早期満腹感などの症状がある場合、慢性胃炎と診断されていました。
現在では、胃の機能に異常が生じることが原因で現れる症状だとわかってきました。機能性ディスペプシアです。
まだ詳しい医師が少ないのが現状で、機能性ディスペプシアと診断されず、なかなか治らない患者さんも少なくありません。
機能性ディスペプシアの治療
胃の病気がないのに、胃痛、胃もたれ、早期満腹感の症状が慢性的にある、機能性ディスペプシアは、薬物療法が中心となります。
ストレスも大きく関わっているので、ストレスの原因を取り除くことも有効です。
いくつか薬の種類がありますが、一般的に
- 運動機能改善薬
- 胃酸分泌抑制薬
のどちらかが第一選択薬となります。
薬物療法
運動機能改善薬
アコチアミド*と言う薬が、2013年6月から使用できるようになりました。胃の運動を良くして、食べたものが胃からスムーズに排出されるようにすることで、症状を改善します。
*商品名アコファイド(アコチアミド塩酸塩水和物)
胃酸分泌抑制薬
胃酸の分泌を抑えます。内蔵知覚過敏がある場合は、胃酸に対し、胃が非常に敏感な状態になっているので、胃酸の分泌を抑えることで少しでも刺激を減らすためです。
症状が改善しない場合は、
- 漢方薬の六君子湯(りっくんしとう)
- 抗不安薬(ストレスが関係していると考えられる場合)
などが用いられることもあります。
不安の解消
ストレスが関わっていることも多いので、不安の解消が役立つこともあります。担当医に話を聞いてもらうだけでも、症状が軽くなる人も少なくありません。
又、内視鏡検査で胃の病気がないとわかると、安心して症状がなくなる人が3割程いるとも言われています。
「取り立ててストレスはないのだけれど」という人も居ますが、ストレスは刺激です。刺激になるものは、ストレスとなってしまいます。
自覚がなくても、何らかのストレスをため込んでいるのかもしれません。
生活や仕事の環境の変化もストレスですし、運動不足、食べ物が美味しく感じなくなった、寝すぎた、などもストレスです。
ストレスマネジメントで、ストレスとうまく付き合うことも必要です。
ピロリ菌の除去と生活習慣の改善
その他に気をつけることは
- ピロリ菌の除去
- 生活習慣の改善
です。
ピロリ菌が胃に感染している場合には、除菌を受けましょう。
ピロリ菌の感染が機能性ディスペプシアの原因ではないかもしれませんが、将来起こるかもしれない、胃潰瘍や胃がんのリスクを下げるためにも除菌が大切。
機能性ディスペプシアの患者さんは、生活習慣が乱れている人が多いと分かっています。
- 食事が不規則
- 運動不足
- 睡眠不足
などの傾向があります。
こういった生活習慣を改善していくことが、機能性ディスペプシアの症状を改善することにも大きく関係しています。
機能性ディスペプシアの原因
几帳面な人、周りに気を配る性格の人に起こりやすい傾向があります。
- ストレス
- ピロリ菌
- 食事など生活習慣の乱れ
- 胃酸の刺激
などが関わっていると考えられており、これらがきっかけとなって、胃の
- 運動機能異常
- 内蔵知覚過敏
が引き起こされます。
運動機能異常
- 胃の運動が悪くなると、食べたものが胃に残るようになり、胃もたれが引き起こされる
- 食事をすると胃の丈夫が膨らみ、食べたものを貯める働きがあるが、膨らみが悪くなると早期満腹感が現れる
内蔵知覚過敏
胃酸に対して敏感すぎる状態。
通常胃の中で胃酸が分泌されても胃がそれを感じることはありませんが、胃酸の量が特に多くなくても過敏に反応してしまい、胃痛を感じてしまうひともいます。
ストレス
ストレスを受ける→運動機能異常や内蔵知覚過敏が引き起こされる→症状が現れる→さらにストレスを感じる
悪循環に陥り、つらい症状が長く続くことがあります。精神的にも肉体的にも辛い上、仕事に身が入らなくなるなど、社会的は影響が出てくることもあります。
我慢せず、早めに医療機関を受診しましょう。
機能性ディスペプシアとは
まず、ディスペプシアについて説明すると、胃潰瘍や胃がんなどの胃の病気が有れば現れる、「胃もたれ」「早期満腹感」「胃痛」など、みぞおちを中心とする様々な症状のことです。
機能性ディスペプシアは、明らかな病気がないのに、このようなみぞおちを中心とした症状が現れている、ディスペプシアのことを言います。
かつては、炎症がないのに慢性胃炎と診断されていましたが、胃の機能に異常が生じることで症状が現れることがわかってきました。
胃痛、胃もたれ、早期満腹感(すぐにお腹がいっぱいになる)と言った症状が週に2~3回以上慢性的に起こっている場合に、機能性ディスペプシアと診断されます。
人間ドック受信者のうち、5人に1人が発症していると考えられています。
診断は胃の内視鏡検査
胃痛、胃もたれ、早期満腹感と言った症状が慢性的にあることが、機能性ディスペプシアの診断の条件ですが、さらに胃の内視鏡検査を受ける必要があります。
胃潰瘍や胃がんなど、ディスペプシアの症状を引き起こしている病気がないことを確認するためです。
病気がない場合に機能性ディスペプシアと診断されます。
看護師のストレス
新人看護師の離職率が高いのには、様々な原因がありますが、現場で要求されることが思っていたものと違いすぎて、自信をなくす、ということもあります。
- 生死を扱う仕事
- 患者さんのため
- 周りの期待
などの重圧に耐えられなくて看護師を辞めたい、と思ってしまう。胃痛や食欲不振、不眠などの症状が現れ、機能性ディスペプシアを発症することも少なくありません。
当然仕事もはかどらず、ますます辞めたい気持ちはつのります。少し慣れてきた頃では、主任になったなど、責任のある立場になってさらに重圧がのしかかる。
抗不安薬で改善
看護師を辞めたい、と相談してきた新人看護師のCさん、理由は「患者さんに接するのが怖い、自信がない、もう無理!食事も美味しくないし、胃の調子も悪くて仕事がつらいです」
胸の内を吐き出して少し落ち着いたので、とりあえず胃の不調をなんとかしましょう、と内視鏡検査をすすめた所、機能性ディスペプシアと診断されました。
薬物療法を行いながら、仕事を続けましたが、数か月たっても状況はほとんど変わらず、やっぱり看護師の仕事は辞めたいと、別の職種で転職先を探し始めたのです。
「本当は看護師の仕事は続けたいのだけれど、今の状況ではとてもムリ。看護師の仕事は向いていないんです」の一点張りでした。
「もう少し様子をみましょう」、と話を聞く機会をさらに増やし、抗不安薬も併用した所、徐々に改善が見られ、4週間後にはほとんど症状が無くなりました。
中堅看護師として活躍中
ストレスマネジメントもおこない、ストレスを溜めないように注意したことで、今では薬は必要なく、プリセプターとして元気で後輩の指導もしています。
自分と同じように辞めたい、と悩むプリセプティーを「あの時辞めなくてよかった」と、自身の経験を交えて励ましている姿が頼もしい先輩となりました。
まとめ~ストレスマネジメントも大切
毎日何かしらのストレスを抱えて生きている現代人ですが、病気がないのに病気の症状が出る、機能性ディスペプシア。ストレスマネジメントを上手にすることでも、症状は軽減されます。
心因性の病気には、身体的要因があることもあります。首や肩のこりがある、姿勢が悪い、すわりっぱなし、など思い当たることがあったら、それを改善することも大切です。
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