睡眠と健康は深い関わりがあります。ストレスや疲れをいやすには良い睡眠を得ることが大切です。では、良い睡眠とはどんなものなのでしょうか。あなたの状況や状態にあった方法で睡眠の質をあげるには?
良い睡眠とは
一般的に睡眠時間は7~8時間、不眠には朝日をあびる、横になるだけでも身体は休まる、などなど睡眠に関して様々な情報があります。
確かにそれぞれ一理あるのですが、個人の状況や状態によっては必ずしも当てはまらないことも少なくありません。
あなたにとっての良い睡眠とはどんなものなのか、まずそれを考えてみてはいかがでしょうか。良い睡眠を得るにはどうすれば良いのかも見えてくると思います。
疲れと睡眠の関係、良い睡眠について一般的に言われていること及びそれとは違った見方、などをご紹介します。あなたにとっての良い睡眠を考えるきっかけにしてください。
良い睡眠とは、
かなあ、と個人的には考えています。
もし起きたときに疲れが残っていると感じるようなら、疲れが取れない原因はなにだろうと考えてみてください。
疲れで眠い?寝不足だから疲れる?
休みの日は日頃の疲れで寝ていることが多いなあ、と思うあなた。少々寝坊しても眠ることで疲労が回復し、リフレッシュできているなら問題は無いのですが…
休日に普段より2時間以上寝過ごしたり、一日中家の中で過ごすような生活が続いていたら、平日の睡眠が不足している可能性や、身体や心の疲れがたまっていると考えられます。
- 寝ても疲れが取れない
- 疲れで不眠気味、寝不足が続く
- 何かをするのに億劫に思うことが増えた
こんな状態はありませんか。さらに
- 物忘れが増えた
- 集中力や注意力が低下してきた
と感じるようになったら、日常生活には支障がないとしても要注意です。疲労感はうつ病のサインの一つだからです。
睡眠不足と肥満
体力を使わない疲れ(人間関係やデスクワークなど)でストレスがたまると…
スイーツやスナック、ファストフード、お酒などに手が伸びていませんか。どれも高カロリーです。
もちろん運動不足も肥満の元!運動には抗うつ効果、ストレス解消、モチベーションアップなどの作用があるので、運動しないとストレスが引き金となって間食が増えると言う悪循環にも陥りやすい。
更に睡眠不足は、食欲を増進させるホルモン、グレリンの分泌を増やし、レプチンという痩せさせる物質を減らすので肥満になりやすくなります。
良い睡眠をとる方法
疲れを溜めず、体をリセットするために大切な良い睡眠をとるには、どんなことを意識すれば良いでしょうか。毎日の生活の工夫でできる快眠法をご紹介しましょう。
人は体温が下がってくると眠くなります。入浴などで一時的に体を少し温めると、脳から体温を下げるように指示があるので、眠くなりやすくなります。
体温をあげると徐波睡眠、という眠りの深い睡眠が増えるという研究もあるようです。
また、昼間の行動も眠りに大きく影響するので、飲食や運動、生活のリズムなども意識することが大切です。
後半の「睡眠の誤解」でもいくつか例を上げていますが、以下でご紹介する方法は一般論であり誰にでも当てはまるわけではないことを御理解の上、お読みください。
体温を調節
一時的に体温をあげ、体温を下げさせて眠くなるようにするための簡単な方法は入浴です。寝付く前の体温上昇には、38~40度くらいのお湯がちょうどよいと言われています。
入浴が難しい場合は半身浴や足湯でもOK。リラックス効果の得られる入浴剤を入れると更に良いでしょう。
手足の冷えもスムーズな眠りを妨げます。冷え性の方は手足を温めてから布団に入りましょう。予め布団を温めておいたり、毛布を敷布代わりに敷くのも一つの方法です。
寝る直前に飲食をしない
寝る前には体を休息モードにしますが、飲食は脳と体に刺激を与え活動モードにしてしまいます。特にアルコールは不安定な睡眠を増やしたり、利尿作用で眠りが浅くなったりします。
更に舌の付け根をゆるめ喉の空気の通り道を狭くするので、いびきもひどくなりやすい。飲食は寝る3時間ほど前までに済ませ、特に寝酒は控えましょう。
肥満予防のためにも、寝る前に飲食をしないことは重要です。
昼間の生活スタイルを見直す
昼間の行動も良い睡眠に大きく関わります。適度な疲労は快眠に良い影響を与え、充実した1日を過ごすことも心地よい眠りを誘うことでしょう。
デスクワークが多い方は、意識して軽い運動をすると良いですね。ストレスも眠りには悪影響があります。ストレスがない生活は現代では望めないでしょう。いかにストレスを少なくするか、うまく解消するかが大切。
眠れないストレスを和らげる工夫
また、疲れて眠れない、寝不足が続いていて疲れが取れない、と言ったことに悩み、睡眠にこだわりすぎるのもまたストレスです。
無理に眠ろうとせず、場合によっては起きて温かいハーブティーを飲むなど気分を変えてみましょう。ただし、
- 部屋を明るくする
- スマホやパソコン、TVなどを見る
- お酒やカフェイン入りの飲料を飲む
などはダメですよ。
人間は追い詰められるとノルアドレナリンという物質が活発になります。注意や集中に関係する物質です。「一晩くらい眠れなくたって問題ない。」そんな心の持ち方も大切です。
ただし、不眠が2週間以上続いたり日常生活に何らかの支障が出ている場合は、うつ病など病気のサインかもしれません。専門医に相談してください。
快眠のための運動
運動不足は肥満にもつながりますが、適度な疲労は安眠、質の良い睡眠につながり、体にも脳にも良い影響を及ぼします。
適度に運動することで、脳内の神経伝達物質セロトニンやドーパミンなどの働きを強めます。また不安や抑うつを和らげやる気アップにもつながります。
どんな運動が良いかは個人個人で違ってきますが、少し汗をかくくらいのウオーキングやジョギングなどの有酸素運動がおすすめです。
スキマ時間を利用してできる簡単な運動でも継続するようにしましょう。ただし寝る前に腹筋や背筋など体幹の筋力を維持する運動を行うと、逆に眠りを妨げてしまうこともあります。
運動と健康に関する過去記事はいくつかありますが、最近まとめたのが4つのタイプの運動についてのこちら。
睡眠の誤解
理想的な睡眠時間、体内時計のリズム調整と朝日、眠れない時は横になるだけでも良い、と言った良い睡眠に関連する情報は、最大公約数的なものです。
良い睡眠とはそれぞれ個人の体質や状況、生活環境、ライフスタイル、考え方などで非常に幅のあるものなので、一概に「これが良い睡眠の条件」ということはできません。
以下では、一般的に良い睡眠と言われていることでも、状況によってはそうではないという例を4つ上げておきます。
理想の睡眠はケースバイケース
理想的な睡眠時間は7~8時間
→個人差が大きいので誰にでもあてはまるわけではない
例えば「良い睡眠には7時間程度が良い。」と言われていますがショートスリーパーと呼ばれる人や、9時間寝ても足りないくらい、という人など、一人ひとりに必要な睡眠時間は非常に個人差があります。
年齢、体質、運動や飲酒などの生活習慣、季節など外的な環境により理想的な睡眠時間は異なるのです。
加齢とともに眠れなくなった、夜中に何度も目が覚める
→自然なことと受け止め、深刻に悩まない
寝ることにもエネルギーが必要です。20~30代では7~8時間眠れても高齢になってくると睡眠時間が短くなってくるのは自然なことです。
若い頃は昼間の活動量が多くエネルギーを消費します。その為長く深い睡眠が必要です。しかし加齢に伴い体重あたりのエネルギー消費量が低くなるので、若い頃に比べて浅く短い睡眠でも十分となります。
起きているときに疲れや倦怠感などを感じず、生活に支障がなければ問題はありません。高齢になって眠りが浅くなったり、短くなってくるのは誰にでも起こりうることです。眠れないことを不安に思い深刻に悩まないことも大切です。
眠れない時は、横になるだけでも疲れは減る
→かえってストレスになるので、無理に寝ようとしない
不眠に悩み、「眠くないけれどとにかく疲れは取れるから横になるようにしている。」という方も少なくありませんが、実は大きな誤解であることがわかってきました。
横になっていればそのうち眠くなるだろうと布団の中でもんもんとしたり、今日もなかなか眠れないのかなあ、などと寝ることにストレスを感じていると熟睡感を得ることができません。
これは進化の過程で備わった新しい脳と、もともとある動物の本能的な古い脳があるためです。眠れないストレスが高くなると古い脳が覚醒してしまうので熟睡感が得られなくなります。
無理に寝る努力をするのではなく、眠れない時は起きていれば良いのです。体が休養を必要とすれば必ず眠くなります。布団に入って10分しても眠れなかったら、起きてしまいましょう。
快眠のためには朝日を浴びる
→朝早く目が覚めて眠れない人には逆効果。夕日を浴びながらの運動がおすすめ
朝起きるのが辛い人は、朝日を浴びることで体内時計をリセットし、体のリズムを最適な状態に調節することが可能です。
しかし、朝早く目が覚めてしまい、そのまま眠れないことの多い高齢者が朝日を浴びると、体内時計はドンドン前にずれ更に朝早く目が覚めるようになってしまいます。
起きてから7~8時間以降に光を浴びると後ろへずれていくので、午後光を浴びることで超早起きの改善が見込めます。目に光を浴びることが大切です。
夕方の運動も日中の眠気を解消し、睡眠に必要な疲労をためる効果も期待できます。
睡眠の質と健康
睡眠は様々な病気と関係性があります。睡眠時間が短くなると肥満、高血圧、糖尿病などの慢性疾患のリスクが高くなることが知られており、認知症などにも影響します。良い睡眠→質の良い睡眠を心がけることで健康に長生きすることを目指しましょう。
出典:睡眠時間と死亡との関係 玉腰暁子 JACC Study
睡眠時間が少ないほど肥満の傾向に有るという実験結果もあります。不眠によりグレリン、レプチンと言うホルモンの分泌が崩れることで肥満が引き起こされるとされています。
睡眠と健康の関係例
質の良い睡眠 | コルチゾールの低下や善玉コレステロールによる血管年齢の改善により高血圧症のリスク軽減 良い睡眠でメラトニン、成長ホルモンの分泌増加、神経年齢の改善で認知症発症リスクを下げる |
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不眠 寝不足 | 不眠によりグレリンとレプチンというホルモンの分泌が崩れ肥満の引き金 不眠でインスリンの働きが悪くなる、糖尿病のコントロールに悪影響 |
参考: 週刊ダイヤモンド 2017/7/1 第25号
*睡眠時間が短かったり長かったりするとなぜ死亡しやすくなるのかは明らかではありません。また、7時間の睡眠が誰にとっても死亡リスクを減らすと言うことでもありません。
まとめ~あなたにとっての良い睡眠とは
心身の健康のためにも、毎日の疲れはできるだけその日のうちに解消することが理想です。疲れをゼロにすることはできなくても食事、睡眠、生活習慣や行動パターンを変えることなどで、疲れを減らすことは可能です。
良い睡眠を妨げる生活スタイルを見直しつつ、多少ズボラにおおらかに睡眠を考えることも、良い睡眠を取るコツの一つと言えるのではないでしょうか。
疲れを取り健康で長生きするために、今回の記事をあなたにとっての良い睡眠とはを考えるきっかけとしてください。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ