急に聴こえが悪くなる難聴で最も多い、突発性難聴と、急性低音障害方感音障害(低音障害)について、症状、治療について原因や対処法をお伝えします。20代~30代の女性に起こりやすかったり、ストレスや不眠で発症することも多いです。
突然の難聴、原因・症状・治療
飛行機の離着陸時、鼻を強くかんだ時、耳元で大音響を聞いた時など、突然聴こえが悪くなった経験はありませんか。これらは外的要因で起こる難聴です。
難聴には様々なタイプがありますが、
- 生活習慣病を防ぐ
- 大音量や騒音を避ける
- ストレスを減らす
などに注意することで、予防したり改善することは可能です。
難聴で最も多いのは加齢性難聴(老人性難聴)。
加齢が原因ですので完全に予防することは難しいですが、他の原因で起こる難聴の予防と、同じように注意することで、進行を遅らせることは可能です。
突然起こる難聴で多いのは
急に聞こえなくなる難聴で最も多いのが、片側だけ聞こえなくなることが多い突発性難聴と、低音だけが聞こえにくくなる急性低音障害型感音難聴(低音難聴)です。
音が聞こえる仕組みの中で、センサーの役割を果たす有毛細胞(内耳の蝸牛の内部にある)は、いったん壊れると再生したり治ったりすることはありません。壊れる前に治療を開始することが大切です。
難聴治療
どちらの難聴も、遅くとも発症から1週間以内に医療機関で治療を開始することが大切です。治療は薬物療法が中心となります。
- 突発性難聴: 血管拡張薬、ステロイド薬、ビタミン剤など
- 低音障害: 利尿剤、ステロイド剤
突発性難聴の原因と治療
突発性難聴の原因は、まだはっきり分かっていません。血流障害とウイルス感染の2説が考えられています。
症状は殆どが片側の耳だけで、発症時間が特定できることが特徴です。耳鳴り、耳が詰まった感じ、めまいなどが起こることもあります。
ただし、メニエール病のようにめまいが繰り返し起こることはありません。
突発性難聴の治療
- 血流障害: 血管拡張剤
- ウイルス: 検証に対するステロイド剤、有毛細胞を守るためのビタミン剤(向神経ビタミン)
いずれも内服薬ですが、最近は内耳に薬を効果的に到達させるため、直接耳の中へ薬を入れる治療も始まっています。
突発性難聴は早く治療を開始すれば、すぐに回復する可能性がありますが、2か月以上たっても回復しない場合、残念ですが改善は難しいと考えられています。
血流障害
耳の狭心症、耳の心筋梗塞と呼ばれることもあります。
内耳の血管が、何らかの原因で細くなったり詰まったりして、血流障害が起きることが、突発性難聴の原因だと考えられています。
ウイルス感染
おたふくかぜのウイルスなど、耳の神経を痛めやすいウイルスが、内耳に感染して炎症をおこし、発症すると考えられています。
これらにはストレスが大きく関わっているとされ、耳の血流障害、免疫の働きが弱まって感染しやすくなると考えられています。
急性低音障害型感音難聴(低音難聴)
めまいが起こらないのが特徴で、20代~30代の女性に多く発症し、低音が聞き取りづらくなる、耳鳴り、耳が詰まったような感じが起こります。
大半は耳鳴りがあり、聞こえなくなった音と同じ高さの耳鳴りが聞こえます。ゴーッという低音の耳鳴りが起こります。
リンパ液の代謝、ストレス
原因ははっきり分かっていませんが、リンパ液の代謝障害で発症するのでは、と考えられています。
有毛細胞の周りにあるリンパ液は、古いものは吸収、新しい物が作られることでバランスをとっています。
代謝が悪くなると、古いリンパ液が徐々に溜まり、リンパ液が入っている膜迷路が膨らみ、耳が詰まったような感じ、低い音を担当する場所のほうがリンパ液の圧力の影響を受けやすく、低音難聴が生じます。
こうした循環代謝の障害にも、ストレスが大きく関わっていると考えられています。
治療
耳の中に古いリンパ液が溜まることが原因と考えられているので、
- 水分の代謝を活発にする利尿剤
- 有毛細胞が壊れないようにステロイド薬
- ストレスに対処するためのカウンセリングなどの心理療法
などを行ないます。
急性低音障害型感音難聴は、治療で7~8割の人が治りますが、中には再発を繰り返し、メニエール病に約1割の人が移行すると言われています。
再発を繰り返さないポイント
- ストレスを溜めないように心がける
- 水分をよく摂る
- 適度な運動をする
- 温めのお風呂にゆっくり入り発汗を促す
などを心がけ、体内にもともと備わっている「利尿ホルモン」の活性化、水分の代謝を活発にします。塩分は控え味にして水分を十分に摂るように注意しましょう。
急に起こる難聴の種類
突然の難聴には、最も多い前述の
- 突発性難聴
- 急性低音障害型感音難聴(低音難聴)
の他、病気や外的要因で起こる
- メニエール病(めまいもおこる)
- 聴神経腫瘍(聴こえに関わる神経に腫瘍が出来る)
- 外リンパ瘻(急激な圧力の変化で突然聴こえが悪くなる
- 急性音響性感音難聴(大音響などを聞いた直後に難聴になる)
などがあります。
伝音難聴と感音難聴
難聴は、異常が起こる部位により、伝音難聴と感音難聴に分類されます。耳の構造は外耳、中耳、内耳から成り立ち、
- 外耳から入った音が鼓膜(外耳と中耳を隔てる)に達する
- 振動となり中耳に届く
- 内耳にある蝸牛に伝わる
- 有毛細胞(蝸牛の内部にありセンサーの役割を果たす)が刺激を受ける
- 脳へ電気信号を送る
ことで音として聞き取れる仕組みになっています。
この経路のどこかに異常が起きると、聴覚に影響して難聴が起こります。
伝音難聴
外事か中耳の異常で起こる難聴です。耳垢などの異物で耳の穴(外耳道)が詰まったり、中耳炎などで鼓膜が炎症を起こしたり、損傷したりした場合に起こります。
感音難聴
内耳の異常で起こる難聴です。内耳の蝸牛の障害により発生する突発性難聴と急性低音障害型感音難聴は、感音難聴に分類されます。
まとめ~聞こえが悪くなったら医療機関へ
急性音響性感音難聴の場合、高温は聞こえるので、突発性難聴と比べると、あまり難聴を自覚しない場合が多いようです。
どちらの難聴も、ストレスや生活習慣病が関連していることがわかっているので、規則正しい生活、ストレスを溜めないようにすることが大切です。
聴こえが悪くなったと感じたら、すぐに医療機関で診てもらい、難聴と診断されたら治療を開始しましょう。
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