高血圧は血管の状態により、収縮型と過剰型の2つのタイプがあり、高血圧のタイプにより、治療は異なります。まずは自分のタイプを知ることが大切です。血圧が上がりやすい人の特徴、高血圧のタイプについてお伝えします。
高血圧のタイプと種類
高血圧は、血圧を調節する仕組みがうまく働かないために起こります。血圧とは血管にかかる血液の圧力のことで、血圧が上がる原因には
- 血管収縮型 血管が収縮することで血液が流れにくくなり高くなる
- 血液量過剰型 血管内の血液量が増えることで高くなる
の2つの高血圧のタイプがあります。
血圧が上がりやすい人の特徴として、強いストレスがある、塩分摂取が多い、高齢者であるなどがあります。
高血圧のタイプ~収縮型と過剰型
血圧が常に高くなっている状態を高血圧と言いますが、血圧とは、心臓から送り出された血液が、血管の壁に与える圧力のことです。(高血圧の診断基準は後述の過去エントリーで確認できます。)
血圧が高くなる仕組みには前述の2つのタイプがあり、それぞれの状態には、性格やストレス、ホルモンや酵素の分泌などが関わっています。
どちらのタイプかは血液検査である程度わかります。タイプにより治療方法や治療に使われる薬も異なるので、自分の高血圧のタイプを知ることは重要です。
血管収縮タイプ
脱水などで体内の水分が少なくなると、血液量が減少します。そのままでは血圧が下がりすぎてしまうので、必要に応じて血管が収縮し、血圧を高めようとします。
例えば水撒きをするときに、ホースから水があまりでていない状態でも、ホースを握ると水の勢いが強くなりますね。握った状態ではホース内にかかる圧力が高まるからです。
必要以上に血管の収縮が続き、血圧の高い状態が続くのが血管収縮タイプの高血圧です。
血液量過剰タイプ
塩分を摂ると血液中の塩分濃度が高くなりますが、これを抑えるために、水分の吸収が高まります。すると血液量が増え、血管がパンパンになって、一時的に血圧が上がります。
通常は腎臓から余分な塩分と水分が尿として排泄され、血圧は正常に戻りますが、腎臓の働きが低下し、塩分と水分の排泄が不十分になると血液量が過剰になり、血管がパンパンの状態が続くのが血液量過剰タイプの高血圧です。
高血圧になりやすい人の特徴
高血圧の要因としてまずあげられるのが塩分の過剰な摂取と肥満です。
その他多量の飲酒、喫煙、運動不足、強いストレス、野菜不足などの環境因子と、遺伝的な因子、性格などが挙げられますが、血管収縮タイプと血液量過剰タイプでは、要因は異なります。
高血圧の多くは進行するまで自覚症状がなく、サイレントキラーとも呼ばれています。偏った食生活や運動不足、ストレスなど血圧が上がりやすい生活習慣がある場合は、改善することが重要です。
血液や血管の健康にEPA
血液や血管の健康に様々な効果がわかっているのがEPA(エイコサペンタエン酸)です。体脂肪、内臓脂肪などの代謝、動脈硬化の予防にも、深く関係していることが多くの研究によって明らかになっています。
青魚に多く含まれるEPAは、体内ではほとんど作ることができない必須脂肪酸の一つですが、魚離れが危惧される現在、厚生労働省の推奨する1日の目標摂取量1000mgにはどの年代でも不足しています。
特に30代、40代では男性675mg、女性774mgも足りていません*。不足する分を補おうと、健康や血圧が気になる方に人気があるのがDHA・EPAのサプリメント。製薬会社などから様々なサプリメントが発売されています。
*資料:厚生労働省(2010年食事摂取基準)
高血圧の治療のポイントと要因
血管収縮タイプ、血液量過剰タイプ、どちらのタイプでも、血圧が高くなることは同じ。怖いのは血圧が高い状態が長く続くと、血管壁が厚く硬くなる動脈硬化が生じることです。
動脈硬化は血圧を更に高めます。高血圧と動脈硬化は悪循環の関係にあります。
血圧の調整機能に異常が生じ、血液量が増えた状態や、血管が収縮した状態が続いたりすると、常に血圧が高いままとなってしまいます。
治療のポイント
高血圧の治療のポイントは、腎臓の働きを正常にする、塩分を控える、ストレスを減らすことなどです。
また、1日の中でいつ血圧が高くなるのかも、高血圧のタイプを知る上で参考となり、適切な治療につながります。通常、血圧は日中は上昇、就寝中にさがります。
- 就寝中も高い→血液量過剰タイプ
- 朝の血圧が極端に高い→血管収縮タイプ
と考えられます。
血液検査である程度高血圧のタイプがわかるので、それぞれのタイプにあった治療を始めます。収縮タイプではまずストレス対策、過剰タイプでは減塩に取り組むことが特に大切です。
血圧が下がらない場合は、薬による治療が必要ですが、高血圧のタイプにより用いる薬の種類は異なります。
血管収縮タイプの要因
神経質な性格があると、体を守るための交感神経の働きが関係しています。神経質な人は、普段から些細な事でも気になることが多く、それを脳がストレスと受け止めます。
すると、意志とは関係なく交感神経が活発になりノルアドレナリンと言うホルモンが分泌されますが、ノルアドレナリンには血管を収縮させる作用があるため、血圧が高くなります。
また、交感神経が腎臓に作用すると、腎臓からレニンという酵素が分泌されますが、レニンには、血管を収縮させるアンジオテンシンと言うホルモンを作る働きがあり、コレも血圧を上昇させる要因となります。
ストレスで
- 交感神経が活発になり、ノルアドレナリン(ホルモン)が分泌
- 腎臓からレニン(酵素)が分泌され、アンジオテンシンが大量に作られる
- これにより血管が収縮する
血液量過剰タイプの要因
- 塩分
- 高齢
- 高血圧の家族歴
などが要因となります。塩分は体内の血液量を増やし血圧を挙げてしまいます。
高齢になれば多くの人で腎臓の働きが低下、また、高血圧がある家族がいる場合は、もともと腎臓の働きが低下しやすいなどの、高血圧につながる遺伝的体質がある可能性が高い。
血液量は、体内の余分な塩分と水分を腎臓から、しっかり尿として排泄できるかどうかで決まります。塩分の摂取量や腎臓の働きが関係しているのです。
血液検査を受けてタイプを確認
収縮タイプ、過剰タイプ、どちらなのかは血液検査である程度知ることが可能です。重要となるのは血液中のノルアドレナリン、レニン、ANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)の値です。
ノルアドレナリンとレニンの値が高い場合は血管収縮タイプが考えられます。ANPの値の上昇は、血液量過剰タイプになっていることを示しているといえます。
ノルアドレナリン、レニン、ANPとは
ノルアドレナリン 血管を収縮させるホルモン
ストレスで交感神経が活発になると分泌される
レニン 血管を収縮させるアンジオテンシンを作り出す酵素
交感神経が腎臓に作用すると分泌される
ANP 塩分を水分の排泄を促すホルモン
心臓から分泌されるホルモンの一種。心臓を流れる血液量が増えると盛んに分泌され、腎臓から尿の排泄を促す働きがある。
全身の血液量が増え、血管だけでなく心臓もパンパンになるとANPの分泌量が増える。
高血圧の種類
一般的に高血圧は原因のわからない「本態性高血圧症」が約90%で、遺伝的な因子や生活習慣などが深く関わり、生活習慣病と言われています。
高血圧はメタボリックドミノの要因ともなりますが、自覚症状がないので進行するまで気づかないことも少なくありません。
他の病気や薬が原因となって起こるのが「二次性高血圧」です。原因となる病気には、腎臓の病気、甲状腺ホルモンや副腎皮質ホルモンなどの異常、動脈の障害などがあります。
高血圧の診断基準や種類については過去エントリーを参考にしてみてください。
まとめ~高血圧のタイプを知り適切な治療を
サイレントキラーとも呼ばれる高血圧。多くの場合進行するまで自覚症状がありません。
血圧が高くなりやすい人は、予防のため、生活習慣を見直し、血圧が上がらないような生活に改善することが大切です。
血圧が高い人は、自分の高血圧のタイプを知ることで、より適切な治療を受けましょう。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ
参考
▶協会けんぽ 健康サポート 2014.10.03 あなたの高血圧は「過剰型」と「収縮型」どっち? /kenkousupport.kyoukaikenpo.or.jp/support/01/20141003.html
一般向け『高血圧治療ガイドライン』解説冊子 「高血圧の話」
高血圧 /www.ncvc.go.jp/cvdinfo/disease/hypertension.html