口が少ししか開かない、音がする、痛いなどのあごのトラブルは、日常生活のあるくせ、TCHが原因の顎関節症かもしれません。あるくせとは?対処は?TCHをコントロールして症状を改善!
口が開かない?顎関節症かも
食べたり会話をしたりするときには、顎の顎関節と筋肉が複雑に動いています。
- 口が少ししか開かない
- 顎がカクカク、カクンカクン音がする
- 口を開けると関節や筋肉が痛い
などあごのトラブルが起きた場合、実はその働きに異常がある、顎関節症という病気かもしれません。
- ストレスや寒さ、緊張で歯をくいしばる
- 頬杖をよく付く
なども要因となり、軽い症状を含めると2人に1人は経験すると言われる、よくある病気です。音がしていても痛みや開口障害がなければ、特に治療は必要ありません。
顎関節症と全身の健康
しかし、顎関節症は痛みだけでなく食生活に影響がでたり、頭痛や肩こりがひどくなる場合もあります。自律神経のバランスが崩れたり精神的な疾患が悪化したりすることも。
顎関節症は、日常生活のある「癖」(TCH)が大きく関わっていると考えられています。
TCHを知り、コントロールして症状を改善、健康長寿を目指しましょう。全身の健康にも影響するTCH、改善のヒントは歯にありました。
TCHをコントロールするセルフケア
口を閉じているときに上の歯と下の歯、触れていますか?もし常に触れているのであれば、その癖、TCHが顎関節症の原因かもしれません。
今回はTCH(歯を接触させる癖)のことを知り、コントロールすることであごのトラブルを改善するヒントをご紹介します。
TCHのチェック
まずTCHがあるかどうかをチェックしましょう。
TCHのセルフチェック
- 姿勢を正して正面を向き、軽く目を閉じる
- 唇を軽く閉じる
- 上下の歯が触れないように軽く離す
口の辺りに違和感があった場合TCHが疑われます。
*TCHがあると歯が触れている感覚になれてしまい、離したときに違和感を感じます。
- 口の中に歯のあとがついていないか観察する
*TCHがあると舌や頬の内側に歯のあとがつきます。
日常でできるTCHコントロール
セルフチェックでTCH(の疑い)がある場合は、歯を離すことを意識して生活します。早ければ2~3週間程度で変化を感じられることも。
日常でできるTCHのセルフコントロールを覚え、改善していきましょう。顎関節症の改善や予防だけでなく、全身の健康にも良い影響が期待できます
まずTCHの状態を確認します。
上下の歯が触れていると下顎を動かす筋肉(側頭筋、咬筋)が動くことを感じます。
- 側頭筋と咬筋に指を当て、上下の歯を接触させる
→歯を接触させていると、筋肉が緊張し続けるので疲労や顎関節の負担になります。
次に日常の行動を変えます。
TCHは無意識に歯を接触させていますので、歯を離すことを意識できる環境を作ります。また、顎の力を抜くことも意識させます。
- 「歯を離す」
- 「力を抜く」
- 「リラックス」
などの言葉を書いたメモを家中の目に付きやすいところに、最低でも10箇所以上貼ります。
メモが目に入り、「気づく」→「歯を離す」を繰り返していると、だんだんメモを見なくても上下の歯が触れると、条件反射的に歯が離れるようになっていきます。
痛みが軽い場合
顎関節を動かすトレーニングを行いましょう。関節は動かさないでいると動かなくなってしまいますから。
「痛みを感じるところまで口を開ける」
無理のない範囲で、気づいたときに繰り返します。
注意点
- 腫れている
- 動かさなくても痛い
- 痛みが悪化した
- セルフケアやトレーニングを2~3ヶ月も行っているのに改善しない
などの場合はできるだけ早く医療機関へ。
筋肉や関節の障害が大きかったり、顎関節症以外の病気がある可能性もあります。
その他注意したい行動
- うつ伏せ寝
- 頬杖(ほおづえ)
- 冷房の効きすぎ
- 寒い日の外出
- 寒い場所でのスポーツ
- 長時間のPC作業
などにも注意してください。
うつ伏せの状態を長く続けると、筋肉や顎関節が圧迫され痛みが出やすくなりますし、頬杖は上下の歯を接触させます。
寒さは緊張であごに力が入りやすくなり、また歯を食いしばりがちになります。長時間のPC作業も、無意識に歯を食いしばっていることが少なくありません。
あごのトラブルとTCH
口を大きく開けるのは、様々な筋肉と顎関節が複雑に動いているからです。
なかでも、咬筋(こうきん)、側頭筋などの筋肉と関節円板(関節内部でクッションの役割をする)の働きが重要です。
顎関節症は従来、かみ合わせが主な原因と言われてきましたが、現在はかみ合わせの悪さの他に
- 関節や筋肉構造の弱さ
- 緊張と持続
- TCHという歯を接触させる癖
など様々な原因が関係していると考えられるようになってきています。なかでも特にTCHが大きく関わっていると考えられています。
TCHってなに?
TCHはTooth Contacting Habitの略で、「歯を接触させる癖」のことです。
口を閉じてみてください。上下の歯はどうでしょう、触れていますか。普段意識していないのですが、一般的には接触していません。
試しに口を閉じ、歯と歯をずっと触れたままにしてみてください。違和感を感じたらそれが普通です。
本来上下の歯が触れるのは
- 会話
- 咀嚼
- 嚥下
などのときに瞬間的に起こるもので、1日のうち歯と歯が接触しているのは20分にも満たないのです。
TCHがある場合は日常的に上下の歯が接触しているので、体全体の健康にも影響があります。
口が開かない、カクカク音がする、痛いなどの顎のトラブルがなくてもTCHをコントロールして改善することが勧められます。
日常生活で意識して力を抜き、歯を離すようにするセルフケアを行いましょう。
TCHと顎関節症の関係
歯と歯をくっつける癖、TCHがあると、普段から接触しているので違和感はありません。必要が無いときにも歯が触れているので、無意識のうちに筋肉や顎関節に負担がかかっています。
TCHは筋肉や関節内の血流を悪化させます。間隔が敏感になり、痛みを感じやすくなるのです。
長時間続くと負担が積み重なり疲労を招くので、顎関節症を発症するリスクが高いと言われています。
日常の行動を変えることで改善できますので、セルフコントロールを覚えましょう。
顎関節症について症状や原因、主な治療など詳しく知りたい方は、こちらのサイトを参考にどうぞ。
口腔外科相談室 顎関節
公益社団法人 日本口腔外科学会 (jp以下のアドレス:/public/soudan/gaku/itai/)
顎関節症(がくかんせつしょう)とは
一般社団法人 日本顎関節学会 (net/jstmj以下のアドレス:/general/about_tmd.html)
まとめ~あごのトラブル、TCHコントロールで改善
口が開かない、顎が痛い、かくかく音がするなどのあごのトラブルは、上下の歯を接触させる癖、TCHが主な原因と考えられています。
全身の健康にも影響するので、TCHがある場合はセルフケアで改善しましょう。
日常生活でコントロールする方法は簡単です。
健康長寿、「8020運動」80歳で歯を20本残すためにも、奥歯を失いやすいTCHのセルフコントロールは重要です。
顎関節症と歯についてはこちらの記事も参考にしてください。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ