最近健康診断などで、それほど太っていないのに脂肪肝と、診断される人が増える傾向にあります。その背景にあると考えられる生活習慣病と、脂肪肝が健康にどのような影響を与えるのかをお伝えします。健康管理にお役立てください。
脂肪肝とは
脂肪肝とは幹細胞の中に、中性脂肪を主とする脂肪が過剰にたまる病気で、肝臓機能の定価が見られます。しかし、肝臓は「沈黙の臓器」とも言われ、はっきりとした症状が出にくい臓器です。
肥満でなくても、健康診断などの血液検査の数値から脂肪肝の疑いがもたれ、超音波検査で発見されることが増えてきました。脂肪肝の段階で発見し、適切な治療をすることで元の元気な肝臓に戻せます。
脂肪肝になると健康にどのような影響があるのか、どんな症状が現れるのかを知り、脂肪肝の予防、適切な治療につなげましょう。
脂肪肝の影響~肝臓の機能が低下
脂肪肝になると、肝細胞の中に脂肪の粒がたまり、一つ一つの肝細胞が大きくなります。細胞と細胞の間を通る毛細血管が圧迫され、血流障害が起こるので、肝細胞が十分な酸素や栄養を受け取れなくなり、肝細胞の働きが低下するので、肝臓の様々な機能も低下してしまいます。
脂肪肝で肝臓の機能が多少低下しても、自覚症状はほとんど現れないので病気に気づきにくく、治療せずに長い間放置していると、進行して肝硬変になることがあります。
炎症が起こり肝硬変になる
NAFLD,NASH
出典:脂肪肝と非アルコール性脂肪性肝炎 日本消化器病学会
脂肪肝自体は直接生命に関わる病気ではありませんし、肝臓は再生能力が高い臓器です。適切な治療をすることで元の元気な肝臓に戻ります。
自覚症状が殆ど無いので気づかずに治療をせず長い間放置すると、肝臓に炎症が起こり肝細胞が線維化して「肝硬変」になることがあります。
特にアルコールが原因の脂肪肝は、30~40%の割合で肝硬変になると言われています。肝硬変は肝臓の機能が著しく低下し、更に進行すると生命にも関わる重い病気です。
脂肪肝は治療で元の戻せますが、肝硬変になると治療をしても元の健康な肝臓には戻りません。このようなことにならないために、脂肪肝と診断されたときにきちんと治療を受けることが必要です。
生活習慣病と脂肪肝
脂肪肝は様々な生活習慣病と、密接に関わっていることがわかっています。
脂肪肝がある人は、肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧などの生活習慣病もあることが少なくありません。
また、脂肪肝がこれらの病気を悪化させたり、これらの病気が脂肪肝を悪化させたりする悪循環も起こります。
脂肪肝が増えている原因
脂肪肝の原因の一つが肥満ですが、大学病院の調査では、健康診断で脂肪肝の発見率が男女とも2倍以上に増えていました*。それほど太っていないのに脂肪肝と診断される人が増加の傾向にあるのです。
生活習慣の変化などで、皮下や内蔵に脂肪がつきやすくなっていることが、脂肪肝が増えていることに関係しています。
*東海大学医学部付属病院健診センター調べ1989年~2000年までの初回受信者を対象。
脂肪肝の発見率とBMIの関係
BMI25以上が肥満の目安となりますが、同じBMI値での脂肪肝の発見率が1998年は1989年の2倍近くに増加しています。
BMI別の脂肪肝発見率
出典:日本消化器病学会雑誌Vol.104(2007)No.4 492-500PDF J-STAGE
この背景にあると考えられるのが、肥満の中でも内臓の周りに脂肪がつく「内臓脂肪型肥満」。見た目は太って見えないことも少なくありません。内臓脂肪型肥満は、正常体重でも起こることがあり、皮下に脂肪がつく「皮下脂肪型肥満」に比べて肥満に見えにくいのです。
BMI=現在の体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
隠れ肥満、内臓脂肪型肥満
内臓に脂肪がたまると脂肪肝になりやすいことがわかっています。そして、この内蔵脂肪型肥満の人が増えてきていることが、脂肪肝の増加と関係していると考えられます。
隠れ肥満とも言える内臓脂肪型肥満や脂肪肝は、生活習慣が深く関わっていると考えられます。
中でも「過食」「脂肪の摂り過ぎ」「栄養の偏り」「不規則な食事」などの食生活の乱れ、運動不足、ストレス等が重視されます。
また、大気汚染、シックハウス、食品添加物など柄問題になる化学物質や内分泌撹乱物質(環境ホルモン)と脂肪肝との関連も指摘されています。
生活習慣やこれらの様々な要因が複雑にからみあい、脂肪肝を発生させていると考えられているのです。
まとめ
脂肪肝と生活習慣病は密接に関わっています。このことから、脂肪肝は生活習慣病の危険を知らせるサインと言えるでしょう。
脂肪肝と診断された場合は、様々な生活習慣病になったり、悪化させたりするリスクが高い状態であると考え、きちんと治療することが重要です。
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