乳がんは日本では女性の20人に1人とも言われており、女性のがんのなかで最も多い。遺伝的要素も関係しますが、現代の女性は誰でもなりうる病気です。少しでも早く発見するには、胸のしこりがないか、おっぱいをなでたり、触ることから始めましょう。
乳がんは10mm大で発見するのが大事
乳がんは20mmを超えると、リンパ節や他の臓器への転移の可能性が高くなります。いかに10mm大で発見できるか、が重要となります。
何気なく触れて気付けるのは20mm大ですが、普段から自己検診していれば10mm大でも発見することは可能です。
がんのしこりの発生から10mmになるまでに約5年、20mmになるまでは約8年かかります。
胸のしこりをお風呂でチェック
入浴時は触診の絶好のチャンスです。おっぱいは手でなで洗いするように洗いましょう。
ボディソープ、石鹸やオイルを使うと余計な力が入らず、チェックしやすいです。胸のしこりを発見する方法
全体を見る
鏡の前に立ち、頭の後ろで手を組んで色や形を見る
くぼみ・ふくらみ、ただれ・変色、ひきつれをチェック
入浴時のなで洗い
人差し指、中指、薬指の3本の指の腹で全体を均一になでる
力加減は肋骨の下を押して、気持ちが良いと感じるくらい
鎖骨の下あたりを頂点とした三角形の形に上から優しく
「の」の字を書くように軽くなでるようにしてもよい
胸の上部
乳首から上を触診するときは、調べる側の腕を腰にあて、反対側の手でチェックする
胸の下部
乳首から下を触診するときは、調べる側の手を頭の上に挙げ、反対側の手でチェック 乳房が開き、まんべんなく触れる
乳頭
乳頭の根本を軽くつまみ、分泌物が出ないか調べる
胸の大きい人
仰向けに寝て、触診する乳房側の背中に枕を入れて反対側の手でチェック
乳房が横に流れるのを防ぐ
毎日なでる、触ることを習慣にし、月に一度丁寧にチェックすることで、発見しにくい10mm大のしこりも見つけることが可能になります。
乳がんチェックリスト
乳がんは周りの組織を巻き込んで、へこませてしまう場合や分泌液を伴う場合もあります。
□ しこりがある
□ 痛みがある
□ 乳頭から分泌液が出る(特に片側から)
□ 乳房にえくぼのように凹んでいる箇所がある
□ 乳頭が凹む、または向きが変わってきた
□ 乳頭や乳輪の治りにくいかゆみや湿疹
これらの症状が一つでも有れば、すぐに医療機関を受診します。問題がない場合でも、定期的にきちんと乳がん検査は受けましょう。
1年に1度は医療機関で検診
毎日胸のしこりをチェックすることが、乳がんを10mm以下で発見することに繋がりますが、年に一度は必ず医療機関で検診を受けてください。
検診で行う画像の検査は、手に触れる以前の数ミリ大のしこりを発見することが可能です。
乳がんの発症のピークは40代~50代で、仕事を持っている人は責任ある立場に有ったり、家庭では子供の受験や働き盛りの夫を支えて、自分のことは後回しにしがちな世代。
また、近年は20代~30代で発症する人も増えてきています。健康は先延ばしにできません。年に1回の乳がん検診、毎日の触診を!
※乳がん患者の約150人に1人は男性の乳がん患者さんがいます。治療は女性の乳がんと基本的に同じです。
超音波診断とマンモグラフィ
乳がんの検診には、主に超音波診断とマンモグラフィの2種類があります。
マンモグラフィ(乳房・乳腺専門のレントゲン撮影)
乳がんの初期症状の一つである石灰化した胸のしこりの発見に適している
20代~30代の若い世代では、乳腺が緊密に張り巡らされているので、しこりが見つかりにくい場合も
超音波診断
X線を使わない検査方法で、妊娠、授乳中でも受けられる 石灰化したしこりの発見は困難
超音波診断とマンモグラフィ、それぞれ単独での乳がんの発見率は85%程度です。安心のために両方を受診するようにしましょう。
乳がんが増えている理由
- 生活習慣の変化(食事の欧米化)
- 少子晩婚化
食生活の欧米化や都市型の便利な生活は肥満になりやすく、乳がんのリスクにもなります。
乳がんは女性ホルモンの影響が大きいので、初潮が早い、閉経が遅い、出産経験がない人はかかりやすいとも言われています。
生活習慣の変化
アメリカでは8人に1人が乳がんを発症しています。日本での罹患率の増加は、食事の欧米化など、生活習慣の変化が挙げられています。
女性にも男性ホルモンが分泌されますが、皮下脂肪に多く存在するアロマターゼという酵素に、男性ホルモンを女性ホルモンに変える働きがあります。
閉経して卵巣から女性ホルモンが分泌されなくなっても、肥満の人はこの酵素が皮下脂肪にある男性ホルモンを、女性ホルモンに変えてしまうため、女性ホルモンの影響を受けます。
少子晩婚化
妊娠、授乳中は月経がなく、女性ホルモンは休止状態です。
ライフスタイルの変化で女性も働くようになり、少子晩婚化でお休みの期間なく月経が続くようになることで、女性ホルモンの影響にさらされていることも、乳がんが増加している要因です。
イソフラボンは女性ホルモンの働き?
かつて日本人に乳がん患者が少なかったのは、欧米人に比べ大豆食品を多く食べていたことが関係しているかもしれません。
イソフラボンは女性ホルモンの働きをする、過剰な女性ホルモンをコントロールする、とも言われています(明確な実証はありません)。
豆腐や味噌、納豆などバランスの良い食品と運動習慣に注意すると良いでしょう。
再発・転移は2~3年後に多い
再発・転移が起こるのは手術後2~3年語が最も多く起こりますが、10年、20年たった後に発見されることがあります。
手術後も長期にわたって補助療法が行われるのは、再発;転移を防ぐためです。最初に発見された時の病気が進んでいるほど、再発・転移が起こりやすいとされます。
発見は一定の大きさになってから
がんと一緒に乳房やその下の筋肉まで切除しても、およそ30%~40%の患者さんに再発・転移がみられるとされます。
乳がんが始めて発見された時には、目に見えず、検査でもわからないような「微小転移」が、すでにどこかに潜んでいると考えられています。
微小転移が体のどこかにあっても、一定の大きさになるまで発見できないのです。手術後の定期的な検診と、少なくとも月に1回は自己検診をすることが重要です。
※遠隔転移の場合は、自覚症状が現れてから治療を始めても、治療成績にはあまり変わりはありません。
遠隔転移を見つけるために色々な検査を受けるのは、体の負担が大きく、ほとんどメリットは無いので、自覚症状や気になる体調の変化が有った時に主治医に伝えるようにしましょう。
再発・転移とは
「再発」は,目にみえないがん細胞のかたまりが,乳がんになった最初の時点から微小転移としてからだのどこかに潜んでいて,初期治療などもくぐり抜けて後になって出てくることです。
手術をした側の乳房やその周囲の皮膚やリンパ節に起こるものを「局所再発」といい,骨や肺などの乳房から離れた場所に発生する場合を「転移」あるいは「遠隔転移」といいます。
手術後の検査とその頻度
問診、視触診 手術後1~3年目 3~6ヶ月ごと 手術後4~5年目 6~12ヶ月ごと 手術後6年目以降 年1回 マンモグラフィ 年1回 血液検査や各種画像検査 気になる症状がある場合、必要に応じて
まとめ~セルフチェックで早期発見
乳がんになっても乳房を残すには、早期発見が必須です。
年に一回の乳がん検診のほか、自分でも入浴時におっぱいをなでる、触ることを習慣にすることで、発見しにくい10mm大のがんを見つけることは可能です
月に一度は、さらに念入りにチェック!他の臓器への転移の可能性が高くなる20mm以上になる前に早期発見することが重要です。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ