健康診断は病気の予防と早期発見のために行うものです。将来のリスクを減らし、健康で長生きするために検査結果のデータを活用しなければ損ですよ。「そんなことを言ったって、見かたがわからないよ」、という方のために健康診断の結果の見かたをお伝えします。
健康診断の結果の見方と検査項目
多くの職場では春の健康診断の時期ですね。検査結果が届いても、ちらと見ただけでしまいこんでしまう人がほとんど。「再検査」にさえいかない人も少なくありません。
健康診断は病気を早く発見し、健康維持に役立てるために行ないます。指摘された検査値の異常が軽度でも、他の要因と重なるとリスクが高まる場合もあります。
指示された検査は必ず受ける、経過観察を指摘されたものは、変化がないかチェックするなどが大切です。
健康診断の項目について、それぞれどのようなことを調べるのかも知っておきましょう。
健康診断の結果
健康診断の結果、病気の可能性がある場合の判定は
- 経過観察
- 要再検査
- 要精密検査
- 要受診
- 要治療
など。
生活習慣病の場合は、年齢が上がるほど罹患率は高まりますが、短期間で検査結果が極端に悪化することはまずありません。
問題がある場合は、健康診断結果を持って、医療機関を受診します。
気になる以下の検査項目について、少し詳しく解説します。
- 血圧
- 肝機能
- 血糖値
- コレステロール値
- 腎機能
血圧
血圧は様々な要因で変化します。測る時間やその日の体調などでも大きく変わります。
検査値が正常な範囲を超えている場合は、家で朝と夜の血圧を測って記録したものを持って、かかりつけ医を受診してください。
検査では他に問題がなくても、飲酒や喫煙の習慣があり肥満の場合は、脂質異常症や糖尿病の可能性があります。
そのままにしておくと動脈硬化が進むリスクが高いので、生活習慣の改善が必要です。
【生活習慣の改善】
- 休肝日を設ける
- 禁煙
- 塩分を控えて摂取量をへらす
- 有酸素運動などで血圧を安定させる
急激に行うのではなく、BMIが22になるくらいの体重を目標に、1ヶ月に1kg程度のダイエットをします。
肝機能
血液中のAST、ALTなどの酵素は肝細胞が壊れると高値になります。γ-GTPは肝臓や胆のうの障害で高い値になるのですが、γ-GTPだけが高い場合は、過度の飲酒か脂肪肝が疑われます。
再検査で重い病気では無いと診断されても、γ-GTPが高いと、将来肝機能障害を起こすリスクが高い。
肝臓は機能低下が有っても自覚症状がなく、肝硬変まで進んでしまうともとに戻すことができません。基準値を超えたら
- 休肝日を設ける
- 飲酒量を控える
必要があります。
肥満ではなくても糖尿病などを発症する可能性もあるので、血糖値と中性脂肪にも注意が必要です。
血糖値
糖尿病で血糖が高い状態が続いても、早期は自覚症状がほとんどありません。
しかし、治療をせずに放置していると、深刻な合併症を引き起こる可能性があり、脳梗塞や心筋梗塞のリスクも非常に高くなります。
- 中高年で前年より体重が増えた
- BMIが高めで血糖値があがった
場合は危険信号です。再検査などの判定があった場合は、必ず検査を受け腎機能や肝機能も検査をしてください。
【日常生活の見直し】
- 炭水化物や脂肪のとりすぎを避け、エネルギー摂取量を抑える
- ウオーキングなどの運動
たくさん食べるのが習慣になっている場合、量を減らすだけでも改善することが多いです。
食事の改善と運動でも血糖値が下がらない場合は、薬によるコントロールが必要となります
コレステロール値
主に食事や運動などの生活習慣が原因で、血液中の脂質の異常が起こります。加齢や閉経によりLDLコレステロール値が高くなることもあります。
コレステロールが血管に付着して動脈硬化の状態になると、脳梗塞、心筋梗塞、狭心症など重大な病気がひきおこされやすくなり、肥満、高血圧、高血糖がある場合は、そのリスクはさらに高まると考えられています。
【生活習慣の改善】
- 血中脂質の検査をしてLDLコレステロールの管理目標値を決める
- 栄養バランスの良い食事
- 適度な有酸素運動
希望すると総合病院で管理栄養士の指導を受けることも可能です。
腎機能
重症になるまでほとんど自覚症状がない腎臓病を、調べるための重要なサインが尿蛋白ですが、一過性で検出される場合があるために、軽視されがちです。
尿検査で陽性になったら、必ず結成クレアチニンや糸球体濾過量(eGFR)の検査を受けてください。
糖尿病、高血圧、動脈硬化などに伴って、腎機能が低下する場合も多く見られます。
尿蛋白がでたら、
- 他の病気がないか調べる
- もともとの病気をきちんと治療する
ことが大切です。
高齢者は腎機能が落ちて「慢性腎臓病(CKD)」が進むと腎不全を招くこともあり、腎機能異常の早期発見は、特に重要です。
【生活習慣の改善】
- 減塩食、禁煙などで血圧をコントロール
- 一般的に推奨される生活習慣の改善を行う
検査結果で特に問題がなかった場合
検査結果が基準値の範囲内で、特に指摘がなくても、過去のデータと比べてみましょう。
少しずつでも基準値から離れる方向に変化している場合は、生活スタイルを見直す必要があります。
- 食事内容を見直す
- 運動する時間を増やす
などを行ない、定期的に健康診断を受けて、変化に注意していくことが大切です。
- 体調の不調を感じている
- 家で測った血圧が高い
と言った場合は、血圧を1週間程度記録してかかりつけ医を受診しましょう。
検査項目
症状が現れた時には、すでに血管や臓器などの障害が進行していることもあります。また、生活習慣病があると、生命に関わる病気を発症するリスクが高まります。
検査結果にきちんと向き合い、次のステップにつなげていきます。
一般的な健康診断の項目は
- 身体測定(身長、体重、腹囲、BMI)
- 血圧測定(循環器系の状態)
- 血液検査(中性脂肪、コレステロール値、血糖値、AST、ALT、γ-GTP、などの値を調べ、脂質異常症や糖尿病の有無、腎臓やカンゾウの機能障害を調べる)
- 尿検査(尿糖、尿蛋白などを調べることで、腎臓、尿路の状態や糖尿病の有無を調べる)
- 胸部や胃のX線、心電図、視力、聴力、メタボなどの検査が行われることもあります。
特定健康診査など
その他に、生活習慣病などを中心に調べる特定健康診査(特定健診)やがん検診などもあります。医療機関によってオプション検査を追加できる場合もあります。
より詳しい検査を受けたい場合は、人間ドッグの利用が良いでしょう。
オプション検査の選び方
オプション検査の選び方は、
- 健康診断で指摘されたことのある項目
- 中高年男性で前立腺がんが心配ならPSA(前立腺特異抗原)検査
- 喫煙者で肺がんが心配なら喀痰細胞診(かくたんさいぼうしん)
など、年齢や自分が気になる項目を選ぶと良いでしょう。
企業の検診を専門に請け負っている会社に、転職した看護師もいますが、夜勤がないので人気があるのと、働いている看護師が辞めないので、なかなか求人もないようですね。空きが出るとあっという間に埋まってしまうのだとか。
まとめ~検査の結果を活用することが大事
定期健康診断は受けるのが目的ではなく、病気の予防や早期発見が目的です。検査の結果をきちんと受け止めて、必要な行動を起こさなければ意味がありません。
データは活用するものです。各項目が何を調べるためのものなのか、どう見れば良いのかを知っておくことが必要です。
自分の健康は自分で責任をもつ。そのために健康診断の結果を役立てましょう。
健康診断で設けられている基準値は、医療機関や検査センターによって異なっていたり、病気の診断基準とは異なることもあります。わからないことは担当医に尋ねましょう。
フリーランスなど職場で検診を受ける機会が無い方は、自治体の健康診断を利用したり、自分で時期を決め、定期的に検診を受けてください。
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