サプリメント、特に利用の多いビタミンサプリは、食品からだけでは不足する栄養の摂取を補助するものとして、愛用者も多いです。天然か合成か。上手に利用するために、それぞれのメリットとデメリットを知ってください。
天然と合成のメリット・デメリット
サプリメントの原料には、
- 科学的に作られた合成原料
- 野菜、果物などから抽出された天然由来の原料
があります。天然の方が良い、というイメージは根強いですがサプリメントに関して、必ずしもそうとは言えません。どちらにもそれぞれメリット、デメリットはあります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
天然原料 | 吸収率、体内の働きに優れる 食べ物に近い 他の成分との相乗効果がうまれやすい 合成では作れない栄養素も含まれる |
高価 低濃度 量がかさばる 農薬、植物由来の毒素混入のおそれ 季節や産地により栄養素の量が変動 |
合成原料 | 安価 高濃度 品質が安定 農薬混入の恐れがない |
不純物混入のリスク 製造方法によっては天然より作用が弱くなる 人間が解明している栄養素のみ |
合成と天然の見分け方は、パッケージの原材料表示で確認できます。
栄養素の名称(ビタミンA、ビタミンB1など)そのものが書かれている場合は、合成の原料を使っています。一方、野菜や果物など、食べ物の名称が記載されている場合は、天然の原料を使っています。
天然栄養素
天然の原料は動植物から抽出された栄養素です。目的の栄養素の他にも、様々な成分が含まれるので、錠剤が大きくなったり、必要量が多くなったりします。
季節や産地による濃度の変動、残留農薬の心配などのデメリットはあります。安全、安心な原料を選ぶのにもコストがかかります。このため価格も高くなってしまいます。
ただし、高価なサプリメントだから厳選された原料を使っている、とは限らないのも事実。
広告やパッケージにコストをかけていたり、企業の利益を多く取っているために高額となっている場合もあります。
単に天然原料だから、高価だから、と言うだけで判断せず、しっかり成分表示や製造工場などの基準も確認しましょう。
天然原料のメリット
動植物からの栄養素がバランス良く入っていて、それらが相乗効果をもたらしてくれます。例えばビタミンCは水溶性なので、ビタミンCだけを摂った場合必要量以外は、数時間で体外に排出されてしまいます。
しかし、植物由来のポリフェノールを一緒に摂ると、吸収率を上げたり、体の中に長くとどまるように働きます。
栄養素は単独で働いていることは少なく、他の成分と協力して機能を果たしていることが多いので、1つの栄養素が有ればそれと一緒に働く成分も一緒にあるはずです。研究が進んでいる植物が持つ天然成分(フィトケミカル)の働きが期待されています。
ファイトケミカルまたはフィトケミカル(英: phytochemical)は、植物中に存在する天然の化学物質であるとされる。 一般的に、「通常の身体機能維持には必要とされないが、健康によい影響を与えるかもしれない植物由来の化合物」を意味する用語として使用されている。
味方と一緒~相乗効果
天然原料には、頼りになる味方が一緒に含まれ、栄養素が体の中で効率的に使われる相乗効果が生まれやすい、という大きなメリットがあるのです。
注意!食物アレルギーがある人は原材料の欄をしっかり読み、体質に合わない成分がないか確認をしてください。また、妊娠中はハーブ*、脂溶性ビタミンの過剰摂取には注意が必要です。
*ブラックコホシュ、レッドクローバー、プエラリア、大豆イソフラボン、チェストツリーなど女性ホルモン様物質を多く含むもの。アロエ、サラシア、ダミアナ、モリンガ、フィーバーフュー等妊娠中の期間が報告されているもの。この他安全性が確認されている成分意外は避ける。
合成栄養素
工業的に作られた栄養成分です。ビタミンCの多くはデンプンを発酵させています。ビタミンB群はビタミンBを体に貯める性質のある酵母を培養して作られます。
合成のビタミンEは天然に比べて作用が弱くなります。
合成栄養素は、味にクセがなく少量で済むというメリットがあるので、飲みやすい形のサプリメントを作ることができます。
処方薬や医薬品のビタミン剤やミネラル剤には合成栄養素が使われています。
安価な合成サプリメントの注意点
手頃な価格で手に入る合成サプリメントの中には、なんと100円均一ショップ売られているものも。
「長年使っているけれど問題は特にない」
「それなりに効果はあると思う」
と言ったクチコミ情報はありますが…
例えばビタミンCの原料でもkgあたり数百円のものから、30万円するものもあります。
ビタミンC を合成する場合、ビタミンCによくにた物質も一緒にできてしまいます。「光学異性体」という、すべての構造がそっくり反転している分子ができてしまうこともあります。
こういった「そっくりビタミン」、いわゆる不純物を取り除いて目的のビタミンだけを取り分ける作業には、費用も手間もかかります。
純度の高さはこの工程により左右されますが、作る側により、品質に差があるということ。
激安サプリメントには、精製の度合いが低い原料が使われているかも知れない、ということは頭に入れておいてほしい。
もちろん安いサプリメントでも、原料から製造まできちんと管理されているものもあり、安いものはダメ、ということではありません。
そっくりビタミンの害
「そっくりビタミン」が本物と同じような働きをしてくれるなら良いのですが、化学構造がちょっとでも違うと目的のビタミンとしては働かず、逆に邪魔をするかもしれません。
多くのビタミンは、体の中で酵素とともに補酵素として働きます。
補酵素がないと働けない酵素はたくさん存在するのですが、そっくりビタミンが酵素にくっつき、機能を停止してしまうかもしれません。
体は毎日せっせと酵素を作っています。しかし、そっくりビタミンが機能を停止させてしまっては、せっかく作った酵素が役に立たなくなってしまいます。
正常なコストと手間をかけ、きちんと精製を行っている原料を使ったサプリメントを選ぶことが重要です。
からだと脳の疲れにおすすめビタミンB群
ビタミンB郡とは以下の8つのビタミンの総称です。
ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パテント酸、ビタミンB6、ビオチン、葉酸、ビタミンB12
- ビタミンB1、B2 エネルギーの生産に関わる
- パテントテン酸 ストレスに対抗するホルモンを作る上で重要
- ビタミンB12、葉酸 新しい細胞を作るのに欠かせない
等大切な働きを持った栄養素の集まりです。
不足すると集中力の低下やいつも疲労を感じる、イライラする、眠れないといた不調が現れたり、ストレスに過敏になったりします。
ビタミンB群は栄養ドリンクや医薬品などで、肉体疲労回復のための定番成分でもあります。
更に神経細胞が正常に働くためにも、精神的んストレスにも負けないためにも欠かせない栄養素です。
子作りにも影響が
心理的ストレスは女性にとって、妊娠しにくい原因になりえますが、男性の精子の質や男性機能もストレスの影響をとても受けやすいことがわかっています。
ビタミンB郡不足が続くと、「したくない」「面倒くさい」と言った状態になる可能性も少なくありません。
睡眠不足も妊活、健康には良くありませんが、ビタミンB郡の不足を補うことで脳と体の両方の回復に役立つ睡眠不足にも良い影響が期待できます。
しかし、ビタミンB群は水溶性の栄養素のなので、体の中にためておくことはできません。また、飲酒やストレスでも大量に消費されてしまいます。
ビタミンB群を多く含む食品をバランス良く食べ、睡眠時間を確保したり、体内時計をコントロールする生活習慣も心がけることが大切です。
ビタミンの別名
サプリメントの食品表示では、ビタミンは原材料名には、以下の別名で表示されている場合もあります。
ビタミンA | レチノール *ビタミンA前駆物質のβカロテンが利用されることが多い |
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ビタミンB1 | チアミン |
ビタミンB2 | リボフラビン |
ナイアシン | ニコチン酸 |
ビタミンB6 | ピリドキシン |
葉酸 | プテロイルモノグルタミン酸 |
ビタミンB12 | シアノコバラミン |
ビタミンC | アスコルビン酸 |
ビタミンD | カルシフェロール |
ビタミンB | トコフェロール |
まとめ
食品からだけでは不足してしまう栄養素を補うために、サプリメントの利用が増えています。しかし体に必要なビタミンを効果的に摂取するには、原材料、成分をしっかり確認することも大切です。
サプリメントの原料となる合成栄養素と天然栄養素、それぞれのメリット・デメリットを知り、上手に利用していきましょう。
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