新卒看護師の前に立ちはだかる試練。技術的な未熟さもありますが、精神的なストレス、職場の人間関係などが、「ナース辞めたい」という気持ちを増長させてしまいます。ツライ1年目を乗り切るには?
辞めたいと思う理由と解決法
わからないことばかりで、スタッフにも患者さんにも迷惑をかける。先輩からは何度も注意され、患者さんの死にショックを受ける。自分のミスで患者さんに何かあったら、と考えるとナースの仕事を続けるのが怖くなって…
技術が未熟で辞めたいなら、技術を身につける努力をすれば良い。一人で出来なければ、プリセプター*や同僚の助けを借りれば良い。職場環境に問題があるのなら、転職という選択肢もある。心の持ち方を変えるだけで、変わることもある。
一番ツライ一年目を乗り切るためには、「初心」を思い出し「辞めたい」気持ちと正面から向き合うこと。
「看護師になりたい」と思った時の気持ちを、もう一度思い出して初心に帰りましょう。
真面目すぎてストレスをためこむ
ナースは身体的ストレスがたまりやすく、いつの間にかストレスをため込んでしまっていて、「辞めたい」と思い込みがち。看護の仕事は、患者さんと接することそのものです。あまり真面目に「看護」について考え過ぎないほうが良いです。
看護師としての自覚は持ちつつ、仕事80%、残り20%は私生活を満足させる。あなたに余裕がなければ、患者さんに余裕を持って接する事は出来ません。
自分を大事にする
自分を大事にしなければ、患者さんを大事にすることは出来ないのです。自分の生活を大事にして楽しむ。そうすればどんな仕事だって継続出来ます。
「看護師に向いていないのでは」「辞めたい」そう思って迷ったら、やってみると良い。楽しめることが有れば、仕事のツライことも乗り越えられるし、ストレスもたまりません。
技術が未熟でツライ、周りに迷惑をかけている
新卒看護師が一番悩むところがこれでしょう。ナースの仕事は、時に患者さんの生き死ににも関わる。その重厚に押し潰される毎日。
技術を身につける努力をすれば良いのです。勉強会や講習会など積極的に動くことも大切。
忙しくて、学ぶ時間も機会も無い
そうでしょうか。忙しいのは誰でも一緒。工夫次第でいくらでも学ぶことは出来るはずです。先輩やスタッフから学ぶことはたくさんありますし、多くの先輩達も激務を縫って学んでいるのですから。
目先の事で手一杯で、患者さんに向き合えない
新卒看護師は、自分がこなさなければならない仕事、目先の仕事で、手一杯。やることがたくさんあると、患者さんに声をかけられても、足を止めてはなしを聞いたりすることは、なかなか難しいです。
でも、それはあなただけの悩みではありません。皆自分の事で手一杯の時期を過ごしています。2年くらい経てば余裕も出てきます。患者さんが声をかけてこられたら、自分が必要な人として、選ばれたのだと思えば嬉しいものです。
プリセプターが丁寧に教えてくれない
新人看護師(プリセプティ)の指導を先輩看護師(プリセプター)が行う病院が多いですが、担当プリセプターによって、指導方針が異なることもあります。
「丁寧に教えてくれない」「他の新卒看護師より自分の方がツラく当たられる」などと感じてしまうことも有るでしょう。
プリセプターも評価されている
新人のミスはプリセプターのミスになるので、チェックとフォローは必ずしてくれます。なにより、プリセプターとしてきちんと出来るかどうか、先輩看護師も評価されるのですから。
メモを取ったり、理解できないことはきちんと聞き直す、など学ぶ姿勢が大切です。
もしあなたが、本当に問題のあるプリセプターに付いているのなら、看護師長や看護部長に相談しましょう。しかし、大抵の場合はあなたに、早く一人前になって欲しいという思いから、厳しい指導をされているのだと思います。
新人ナースならではの迷い、悩みに気づいて対処
新人ナースが落ち込んだり、悩んでいたりする時はたいてい「辞めたい」という気持ちを持ってしまうもの。中には新人ならではの悩みに気づくことで、解決できるケースも多いです。
プリセプター自身も、その指導ぶりを評価されます。ですから新人ナースが、同じ病棟に2人いるとすると、半年後にはどうしても差がでてしまうので、遅れがちな新人を指導しているプリセプターも、辛い思いをしてしまう。
教育が遅れてしまう原因は
看護学生の頃は成績が良かったのに、どうも器用でなく、他の人から遅れてしまう人も居ます。遅れている新卒看護師を指導しているプリセプターは、指導に自信をなくし、悩んでしまうことも。
実は、指導が悪いのでも、新卒看護師の覚えが悪いのでもない場合が多い。
入職後3、4年も経つと疑問にも思わない、「個々の患者さんは異なる」ということに、新卒看護師は気づいて、どう対処したら良いのか悩んでいるのです。
新人ナースの思考過程
新人なりの考えや疑問を持つがために、他の人のように器用に出来ない、ということが解りました。理由がわかると指導もしやすくなります。
しかし、新人ナースがこんな思考過程をしていることに周りが気づかなければ、ただ「不器用な人」として見てしまうかもしれません。
プリセプターシップとは
プリセプターは
- 新人とのコミュニケーションギャップがない
- 指導者の役割に対する姿勢が前向きである
- 上司の補佐役が務められる
- 組織の一員としての責任と自覚がある
などの基準で選ばれ、新人ナースを1対1で一定期間指導しますが、技術面だけでなく、メンタル面でも新人の指導をにないます。
※プリセプターシップ(プリセプター制度)
新人看護師や介護福祉士の能力開発を、上司に代わって先輩看護師が、OJTを実施する教育手法。
新人看護師(プリセプティ)が、早く職場と看護業務に適応できるようにするために、一定期間、先輩看護師(プリセプター)がモデルをしながらマンツーマン方式で看護実践能力を教育する。
患者さん、スタッフに対して一瞬を大切にする
精一杯やっているつもりでも、大切な一瞬を見落とすことは良く起こり、「あれで良かったのかな」と何度も思い返します。
要領よくささっと解決したほうが良いのでしょうが、振り返って、納得するまで時間がかかる。でも、その時にベストだと判断した行動をすることが大事です。
時間は沢山必要ですから、周りの方の力をいただきながらの、積み重ねが必要です。
自分との勝負
何かにつまずいている新人ナースには、先輩が一瞬立ち止まって関わって初めて理解できることがあるはずです。これは、相手が患者さんであろうと、スタッフであろうと同じことです。忙しい中で人に関わる時間を取れるかどうかは、すべて自分との勝負だと思っています。
今、「自分には十分な力が無い」「辞めたい」と思っていたとしても、看護を作っていくのは1人の力だけでなく、チームの力です。仕事の中で焦らずに、一瞬立ち止まり、振り返ることを大事にして、少しずつでも成長していく自分を楽しんで欲しいのです。
プロとして必要な力を、必死で身につけたケアを提供する努力は、最低限必要だと思います。力をいれて、しかし力みすぎずにがんばってほしい。
違う環境に変わる
どうしても今の職場になじめない、合わない、ということは有る。病院内での移動の可能性も有ります。急性期病棟で身も心もボロボロに成ってしまった後、療養病棟に変わってのびのび働いている新人ナースも居ます。
労働条件がどうしても合わない場合は、勤務先を変えて違う環境で働いてみてはどうでしょうか?新人看護師さんは、本人が思っているよりも、患者さんと向き合えていると思います。
一生懸命は必ず伝わる
今はまだ、理想の看護と現実とのギャップに戸惑っている状況。徐々に経験を重ねていくにつれて理想の看護に近づいていき、やりがいが感じられるようになりますよ。あなたの一生懸命さは、きっと患者さんに伝わっていると思います(^^)
まとめ~辞めたいと思ってもやめない理由
理想と現実はかけ離れていて、「辞めたい」と思う日々は、新卒看護師に限りません。それでも辞めないのは、ナースの仕事が好きだから、誇りを持っているからです。
患者さんにもナースにも感情がある。「困っている人を助けるのが私の仕事」なんだと言う「初心」に戻る。
今、辞めたいと悩んでいるナースには、「こうでなきゃ」という思いから離れて、「自分の目指す看護」あるいは、「目指す人」を見つけて欲しい。
看護師は、人生まるごと活かせる、ありがたい仕事だと思います。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ