看護師にかぎらず、新人の「仕事辞めたい病」はハシカのようなもの。誰でも一度はかかります。「以前、3ヶ月目の辞めたい」について3枚の処方箋を書きましたが、この新人がよくかかる「仕事辞めたい病」はその続き。
新人看護師の仕事辞めたい病の3大原因
- 同期と比較して落ち込む
- 真面目に頑張りすぎる
- できないことまでやろうとする
新人看護師は、何度も「仕事辞めたい病」にかかることもあるようです。抗体(笑)を作って免疫を持続させれば、笑って乗り越えられるようになります。(ごくまれに、免疫ができない看護師もいますが…)
看護師を辞めたい、と思った時に「私だけじゃないんだ」と安心するのも、免疫療法と言えるかも。
辞めたいと思う理由には、これ以外にもたくさんあります。労働環境やお給料、人間関係、体調、生命を預かる緊張、不規則な勤務、等など。そういった中から、新人看護師が特に陥りがちな悩みを。3つピックアップしました(独断ですが)。
その前に、実際にやめてしまう新人看護師のことにも、少し触れておきましょう。
実際に辞めた看護師のその後
実際に辞めた人が、どうしているかというと、働いていなかったり、関係のない仕事をしていたりすることもありますが、大抵は転職して看護師として別のところで働いています。
基本的に看護師の仕事が好きな人が多いのです。
しかし、一つのところで最低でも3年は続かないと、転職先でもすぐに辞めたいと思い、転職を繰り返すことが多い。経験年数は増えますが、転職先ではいつも新人、一からのスタート。
スキルも知識も増えず、人間関係もうまくいかないケースが多いです。
看護師を辞めたいと思うのはこんな時
看護師の仕事は転職が他の職種と比較して多い。特に新人看護師が辞めたい、と思うのは3ヶ月目と以前の記事でお伝えしました。新人看護師ならではの悩みがあるからです。
同期と比較して落ち込む
ミスが多い、手順が悪い、先輩に迷惑ばかりかけているし、患者さんにも迷惑をかけているのではないか、危険な目に合わせているのではないか、と不安ばかり。
「自分には看護師の仕事は向いていないのでは」、と思い辞めたい病にかかる。
この場合、同期の新人看護師と自分を、比較していることが多いです。彼女はミスもせず、ちゃんと出来るのに、私はなんでできないんだろう。と落ち込み辞めたいと思ってしまう。
誰でも同じように悩んでいる
多くの新人は、自分と他人を比較して落ち込むものです。比較された同期の看護師も、実は同じように不安を感じていることが多い。
そのことに気づくと、フッと肩の力がぬけ辞めたい病は無くなります。
真面目に頑張りすぎる
看護師は真面目な人が多いのですが、真面目すぎるのにも問題がある。看護師の仕事を一生懸命やろうとしても、思ったような看護ができない、患者さんにもなんだかうとまれる…
一生懸命にやろうとすればするほど、空回りしてしまいます。理想を追いかけるだけでは心身ともに疲れきってしまうのです。
できないことまでやろうとする
最初は何もできません。出来ることはまず、他の看護師の邪魔にならないことです。
技術や知識は先輩に叶うわけがありません。無理をすればミスも増えるし、ストレスも増える。出来ることを一つでも見つけて、コツコツ努力することです。
知識や技術はついてくる
病棟に来たばかりの新人看護師には、仕事ができると期待はされていないものです。知識や技術はいつか必ずついてくるもの。
技術や知識を覚えようとする姿勢、ほかで補おうとする姿勢を持って仕事をしていれば、プリセプターも根気よく指導してくれます。
新人には新人の役割がある
新人には新人の時しか持っていない笑顔や新鮮さがあります。そこをちゃんと理解して自分が出来ることをすれば良いのです。
新人看護師は、初々しさもあるし、何よりも忙しいベテランナースにはない、心のゆとりがある。患者さんにとっても、新人の新鮮さや笑顔は何よりの治療となっています。
まとめ
本当に辛かったら、辞めたいと考える前に、辞めているかもしれません。辞める、となったら辞めれば良いのです。
新人のうちは、日本中の病院でたいていみんな泣いています。一年目の仕事は「勤務日にちゃんと出勤してくること」だと思います。
迷っているうちはまだ大丈夫。辛いと考えると一日は長いですが、楽しければあっという間に過ぎてしまいます。
辛さや辞めたい、という思いを誰か話せる人がいる、受け止めてくれる人がいる、それも「辞めたい病」に免疫を付ける方法。
仕事を覚え、看護師の仕事の楽しさがわかってくるのは、3年位たった頃からです。
多くの新人看護師は辞めたい、という気持ちを一つ一つ昇華し、時には誰かに助けてもらいながら、「仕事辞めたい病」に抗体を作って、ベテランナースとして成長し、活躍しています。
参考: 大先輩、川島みどりさんの言葉から
看護技術のコツ
看護と看護でないものを分けるもの、それは看護技術。優しい気持ち、思いやる心を表現できる技術あっての専門職と言えましょう。技術の種類を選択し実践する基礎に、生命や人間、健康や病気への看護婦の哲学が反映します。
看護技術は他の医療技術に比べて優れて安全。しかも、そのプロセスは安楽です。既にある知識と研究による成果、そしてベテランナースのコツをミキシングして身に付ければ、どんな問題にもたじろがない自信につながることでしょう。
温かで確かな技術は、日々のトレーニングにより磨かれます。チームの技術水準が高まれば、患者さんの降伏につながることでしょう。無数の技術の中には、小さいけれど大切な鍵が潜む技術がいくつか有ります。
川島みどり
出典: ナースの法則200 ベテランナースのよりどころ 8、9ページ
日本看護協会出版会
「Anのひとりごと」~今日も1ページ