健康と日々の徒然~Anのひとりごと

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看護師不足~解消の障壁は看護師のバーンアウトと潜在化問題

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看護のお仕事
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患者さんの生き死ににもかかわる看護の仕事は、精神的な負荷は相当なものであり、交替制など、肉体的にもきわめて厳しい労働です。看護師のバーンアウトと潜在看護師の問題が、慢性的な看護師不足に与える影響は大きい。再就労しやすい環境が望まれます。 f:id:lady-jhones:20151203234614p:plain

看護師のバーンアウト

看護師不足から、看護師のニーズは急増していますが、数が増えない理由には勤務の過酷さ以外にも様々な要因があります。ヒヤリ・ハットの連続、無力感、仕事への疑問、などなど。

新人ナースAさんの苦悩・無力感

病院内でも、激務と言われる、外科病棟に配属された新人ナースは、1年でバーンアウトしてしまいました。

高齢の患者さんの中には、手術後にせん妄(幻聴。幻覚)が現れて、突然点綴を引き抜いたり、自分で抜糸してしまう人もいます。

暴れる患者さんの対応に追われる毎日でした。

2交代制、スーパー勤務

通常の2交代では夜勤は16時間勤務で、大変なのですが、3交替よりは休みが取れる期待感はあります.

Sさんは、いわゆるスーパー日勤と言われる「イブニング日勤」(8時30分から19時)が組まれました。残業が0時まで続き、終電帰りということも珍しくありませんでした。

残業をつけるのは、先輩の顔色をうかがいながら

しかし、新人のSさんは「基本的に残業はつけられない。2時間だと先輩の顔色をうかがいながらつけていました」と言います。

先輩ナースも、新人に教える余裕もなく、見よう見まねでは仕事の時間がかかる。

仮眠もままならず、緊張の連続

夜勤は月に6回~8回、一人で10人から20人の患者さんを担当するので、仮眠できない時もある。

専門科が違えばオーダーされる薬は、見たことがないものばかり。常にミスを犯さないかという危険と隣り合わせでの仕事でした。

先輩から、引き継ぎなしで、急に患者さんを任せられることもある。苦悩の毎日です。

ヒヤリ・ハットの連続

点滴の落ちるスピードを、細かくチェックしなければいけない患者さんの様子を、見ることができずにナースコールで呼ばれたり、本来は内科の患者さんが、外科的手術を受けたために、外科病棟に来たときには、何の説明もなく内科の薬をまとめておかれただけのため、投薬ミスを起こしたり…

病棟以外の患者さんから、何か聞かれても答えられない。無力感も増すばかり。

いつもは優しい患者さんの一言にショックを受けた

夜勤で検温をしたときに怒鳴られたのです。普段は優しい患者さんなのに、こんなに怒らせてしまったのは、自分のせい。とSさんはショックを受け、眠れなくなってしまい、睡眠導入剤を封要するようになってしまいましたが、フォローしてくれる先輩もいない。

他の病棟で仕事を教わりながら、働きたいと異動を願い出ましたが、かなわずに他の病院に転職したのです。

やりがいを感じられない

看護師2年目のKさんは、内科と外科の患者さんが混在する病棟に配属されました。1時間前から出勤して仕事をこなしていましたが、内科と外科では看護の内容が全く違います。

のしかかるプレッシャーは半端ありません、さらに入院日数が短く、重症患者さんばかりなので、患者さんが治っていく過程を知る喜びを感じられずに、ハードな毎日を過ごしていました。

夜勤明けで休みが重なって、数日病棟を開けると患者さんが入れ替わっています。患者さんの情報収集に追われ、やりがいを感じないまま激務に追われる毎日でした。

Kさんはバーンアウト。1年半で看護師を辞め、OLに。免許を持っていながら看護師として働いていない。「潜在看護師」の一人となりました。

 

看護師の潜在率改善

給料面での条件改善はもちろん、労働時間面での条件改善が看護師の潜在率*改善に、大きな効果を持つと考えられています。

実際に労働条件、賃金ベースで改善が進む准看護師は、潜在率が改善しつつあります。しかし看護師はほぼ変わりはないのが現状です。

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出典: 看護職員の潜在化と労働条件:看護師不足解消に向けての論点提案
同志社大学技術・企業・国際競争力研究センター

 

看護師の就業率はL字カーブ。20代前半から後半になると約10ポイント低下、30代ではさらに落ち込み、以降あまり上昇しません。

看護師の年齢別就業率

  • 20歳~24歳  87.74%
  • 25歳~29歳  77.58%
  • 30代      69.97%~69.83%

*潜在者

専門的な教育を受け、知識・技術を持ちながら、就労していない看護師。

2006年の調査では、潜在者は約65万人もの多数、国内に存在していました。これは、看護職免許保持者の3分の1にもなります。

厚生労働省は、慢性的な看護師不足の解消にこの潜在者が再び就労する環境を整えることで、現在の看護職員不足が解消!としていますが。

現実は甘くはない…

理想と現実のギャップが辞めたいに

20代後半から30代を過ぎると、就業率の変化が少ないのは看護師の給料は夜勤をこなして、一般企業で働く女性と同程度。時間は変則だし、命を預かる重圧もあり、家族と仕事を天秤にかけると、家族を選ぶケースも多いのも要因の一つ。

また、看護学校などでの実習は、医師のように本格的なものではないので、適正がありません。(10年からは卒後臨床研修が努力義務化されています。)

結婚や出産を境に、ライフスタイルに合った働き方のできる職場に転職することも多いのですが、理想と現実とのギャップから、ナースの仕事を辞めたい、と考えるナースもいる。

 

看護師のバーンアウトの現状

日本医労連の「看護職員の労働実態調査」(2013年)に寄れば仕事を辞めたいと「いつも思う」が19.6%(21.7%)、「ときどき思う55.6%(57.6%)と合わせると75.2%(79.3%)で看護師の約3/4がやめたいと答えています。

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看護師の仕事を辞めたい理由は

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①人出不足で仕事がきつい、44.2(46.1%)

②給料が安い33.9%(37.0%)

③思うように休暇が取れない33.3%(35.4%)

⑤夜勤がつらい31.6%(30.5%)

⑥思うような看護ができず、達成感がない27.8%(30.5%)

*( )内は前回2010年の調査結果

医療・看護事故が続く大きな原因」(上位2つ選択)についても、「慢性的な人手不足による医療現場の忙しさ」が81.3%(84.9%)と突出して高い 

患者さんが治りきらないうちに、毎日のように入れ替わってしまう。急性期病棟では、重症患者さんばかりをみることになり、看護師の超過密・激務は避けられません。

それだけでなく、患者さんが回復する喜びも味わえないので、看護師はバーンアウトしてしまうのです。

 

潜在看護師の就労を促すには

給料面での待遇改善も必要ですが、看護師の大半は女性です。女性のライフサイクルにあわせ、出産や育児などで離職した看護師が、再就労し易い環境づくりが必要です。

また、ブランクに不安を持つ潜在看護師には、技能講習を受けやすくしたり、短時間勤務を可能にしたりなどが望まれます。

画像、表出典: 医療労働 臨時増刊 2014年1月 発行所日本医療労働組合連合会

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