ノロウイルスと間違われやすいロタウイルス胃腸炎は、白い下痢便が特徴で主に乳幼児に発生します。ウイルスを環境からできるだけ減らす、手洗いの徹底、ロタワクチンなどロタウイルス胃腸炎の治療、予防についてお伝えします。
子供のほとんどがかかるロタウイルス胃腸炎
ほぼすべての子供が、5歳までに感染するといわれているロタウイルス胃腸炎は、白色の下痢便、嘔吐、発熱が典型的な症状。
ノロウイルスの症状とよく似ているので間違われることも多いです。ロタウイルス胃腸炎の特徴、治療についてお伝えします。
ロタウイルス胃腸炎とは
乳幼児の突然の激しい下痢や嘔吐など、ロタウイルスによって起こる乳幼児の急性胃腸炎です。ノロウイルスと同じような症状をおこします。特に白色の下痢便が続くのがロタウイルスの特徴。
通常は直ちに受診する必要のないことが多く、夜間に症状が現れた時には判断に迷うところですが、翌日の診療時間に受診すればよいでしょう。
ただし、水分がとれず、脱水症状をおこしていたり、急にぐったりした場合などは旧友外来を受診してください。
まれにですが脳症や脳炎を引き起こすこともあります。もうろうとしていたり、けいれんを起こした場合は、直ちに受診してください。
典型的な症状
- 白色の下痢便
- 嘔吐
- 発熱
がロタウイルス胃腸炎の典型的な症状です。便のにおいが強いことも多いです。嘔吐は1日に何度も繰り返すこともあります。口から水分が取れなくなったり、脱水症状を起こすこともあるので注意が必要。
尿の色が濃くなったり、量が減ったりしたら脱水を疑います。発熱は通常38℃以上の高熱になります。これらの症状が3日ほど続きます。
ロタウイルス胃腸炎の治療
ロタウイルスに効果のある抗ウイルス薬はありません。処方されるのは吐き止めや、解熱剤など症状を抑える薬が中心です。
解熱剤
子供に対する安全性が確立して入る「アセトアミノフェン」を使用します。アセトアミノフェン以外の解熱剤を自己判断で飲ませてはいけません。
下痢止め
下痢には体内のウイルスなどを排出する働きがあるので、下痢止めは処方されません。もちろん市販の下痢止めを勝手に飲ませてもだめです。
脱水を予防
下痢や嘔吐が続くと脱水が起こる恐れがあります。脱水を予防するためには次のような方法を行います。
- 水分はこまめに少しずつ 一度に飲ませると吐いたりしますので、1回に飲ませる量を少なくして頻繁に飲ませます。
- 母乳やミルクはそのまま 原則的に母乳、ミルクはそのまま飲ませます。
- 電解質を補う 下痢や嘔吐で電解質が失われるので、電解質を含む乳幼児用のイオン飲料や経口補水液などを使うとよいでしょう。
- 食事 食べられるようであれば、普段食べている食品の中から消化の良いものを与えます。ただし、糖分の多いジュースなどは下痢を助長する可能性があります。避けましょう。
日常生活の注意点
ロタウイルスは感染力が非常に強く、また、乾いた場所では数日間生きています。
生活環境からウイルスをできるだけ減らす、ウイルスとの接触を避けることが重要となります。排泄物の処理、手洗いはノロウイルスの対処と同じように徹底しましょう。
手の洗い方は、ノロウイルスの予防でもお伝えしましたが、再掲します。
出典:厚生労働省
排泄物や吐しゃ物などの処理
- 使い捨て手袋をはめて処理し、ポリ袋に使った手袋も入れて密閉して捨てる。
- すぐに石けんで手を洗う。
- おもちゃなど、感染者が触ったものは85℃以上の熱湯か、市販の塩素系漂白剤の希釈液でウイルスをのぞく。
- 汚れた衣類や布団は熱湯か塩素系漂白剤の希釈液でウイルスを除いた後、洗濯する。
感染した子供の便や周囲の環境には、ウイルスが非常に多く存在します。完全に取り除くことは難しいのでできるだけ数を減らすようにして、感染を広げないことが大切です。
ロタウイルス胃腸炎の特徴
ロタウイルス胃腸炎はノロウイルスと同じく感染性の胃腸炎で、冬季に多く発症し、特に2~3月に多発します。日本では5歳までにほとんどの子供が感染するといわれていて、発病は生後4か月~3歳に多いとされています。
一度感染すると免疫ができるのですが、ロタウイルスには多くのタイプがあり、ほかのタイプのロタウイルスに感染すれば、再び胃腸炎を起こすこともあります。
おとなは感染しても症状が現れなかったり、ごく軽い場合がほとんどです。ただし、免疫の働きが低下している高齢者、持病のある人の場合は、進行することもあり、注意が必要です。
ワクチンの接種
ロタウイルス胃腸炎を予防するワクチンがあります。予防率はおよそ80%~100%と高く、WHO(世界保健機関)でも世界の子供たちへの接種を推奨しています。
ロタワクチンの値段
日本では現在2種類のワクチン接種がありますが、任意接種なので病院によって値段は異なります。1回につき12,000~15,000円が自己負担となります。ワクチン接種は2回、または3回ですので合計24,000~45,000円程度がかかります。
ロタワクチンは以下の2種類で、経口型のワクチンです。
- 単価ロタウイルスワクチン ロタリックスR(2回接種)
- 5価ロタウイルスワクチン ロタテックR(3回接種)
いずれも生後6か月までに受けなければなりません。
ワクチン接種に注意が必要な場合
- 1回目の投与で重篤なアレルギー反応を起こした
- 免疫不全の病気がある
- 慢性的な消化器疾患がある
- 過去に脳重責を起こしたことがある
上記に該当する場合は医師に相談します。
参考: ロタウイルス感染性胃腸炎 NIID 国立感染症研究所
まとめ~感染力が高いロタウイルス予防にワクチンも
ロタウイルス胃腸炎もノロウイルスを同じく感染性胃腸炎です。5歳までにほとんどの子供がかかるといわれています。
非常に感染力が高いので環境からできるだけウイルスを除去、手洗いの徹底などで予防することが大切です。
ロタワクチンの予防率は高いので、医師と相談してワクチンでの予防を考えるのも一つの方法です。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ